プロジェクトマネージャーの決断力はプロジェクトを成功に導く~技術だけでは解決できない『人』と『組織』のリアルな壁~(解決編)

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皆さん、こんにちは!
富士通ラーニングメディア デジタル人材育成ソリューション事業本部の吉田です。

このコラムは、プロジェクトマネジメントや品質マネジメント、上流工程について執筆するシリーズの第15弾です。(前回までのコラムはこちら(注1)

どのようなプロジェクトにおいても、計画通りに全てが進むことは稀であり、予期せぬ課題や障壁は常に発生します。中でもプロジェクトマネージャーが最も頭を悩ませ、そのリーダーシップと人間力が試されるのは、やはり「人」にまつわる問題ではないでしょうか。

特に、前回のコラム(第14弾はこちら)で掲載したような「プロジェクトの規律を守らないが、非常に優秀なメンバー(ベテラン)」の存在は、プロジェクト全体の成功に大きく影響を与える可能性があります。

彼らの突出した能力はプロジェクトにとってかけがえのない財産である一方で、彼らの行動がチームの調和を乱し、ルール順守の意識を低下させ、最終的にはプロジェクトの品質や進捗に悪影響を及ぼすリスクをはらんでいます。このようなジレンマに直面した時、プロジェクトマネージャーは安易な判断を下すことなく、多角的な視点から状況を分析し、戦略的な決断を下すことが求められます。

今回のコラム第15弾では、前回コラムの解決編をお届けします。

規律と才能を両立させるプロジェクトマネージャーの決断(解決策)

では、「プロジェクトルールを守らない優秀なメンバー(ベテラン)」に直面した時、プロジェクトマネージャーとして私たちがどのような決断を下すべきか、そしてその選択肢がプロジェクトにどのような影響を与えるか。皆さんは、前回のコラムの問いにおいて、どのような解決策を考えましたか?

プロジェクトマネージャーの決断は、単なる問題解決の枠を超え、プロジェクトマネージャーがチームを率い、目標達成へと導くための本質的なリーダーシップが問われる局面と言えます。

  • 思考の罠を乗り越える

では、プロジェクトルールを守らない優秀なメンバーに直面した時、プロジェクトマネージャーとして私たちはどのような決断を下すべきなのでしょうか。

多くのプロジェクトマネージャーが陥りがちなのは、「優秀だから仕方ない」「彼がいなければプロジェクトが進まない」という思考ではないでしょうか。しかし、どれほど高い生産性を誇ろうとも、プロジェクトの共通認識やルールを軽視し、結果としてプロジェクト全体にまで影響を及ぼすような状況であるならば、看過することはできません。時には、規律や健全なプロセスを守るため、毅然とした態度で臨む必要があります。

今回の問題では、プロジェクトマネージャーはすでに幾度となく指摘し、改善を促したにも関わらず、彼の姿勢に変化は見られず、最終的にはプロジェクトに具体的な問題発生という形で影響が出ています。

  • プロジェクトマネージャーが取るべき具体的な一手

このような状況において、プロジェクトマネージャーが取れる有効な手段の一つは、ルールを順守できないのであれば、プロジェクトから外すことも視野に入れた「最終勧告」を本人に伝えることです。

これは決して容易な決断ではありませんが、チームの統制とプロジェクト全体の成功を守る上で避けられない場合があります。もし、この最終勧告によって彼の姿勢が改まれば、それはプロジェクトにとって大きなプラスとなります。

もちろん、プロジェクトマネージャーにとって「最終勧告」だけが選択肢ではありません。公の場でメンバーを牽制することは、一見有効に見えますが、かえって本人の態度を硬直化させ、問題解決から遠のく可能性もあります。

また、所属長を頼る方法もありますが、プロジェクト運営に関することはプロジェクトマネージャーが自らの責任で対処すべきであり、問題を他人に委ねるばかりでは、プロジェクトマネージャーとしての役割を果たしているとは言えません。既に何度も注意している状況では、単に繰り返し指導しても効果は期待できません。

  • 創造的な解決策を探る

しかし、プロジェクトマネージャーの役割は、問題を追及することだけではありません。プロジェクト全体の成功を最大の目的とするプロジェクトマネージャーには、「広い視野」と「柔軟な発想」が求められます。

今回、問題になっているメンバーは、超一流。その専門の能力は、確かにプロジェクトにとって大きな資産です。彼がチームの規律を乱すことなく、その卓越したスキルを最大限に活かせる別の役割は本当にないのでしょうか

例えば、彼の「個人で十分に確認している」という性質を逆手に取り、独立したレビューアーや、新しい技術要素のプロトタイプ開発責任者として任命することが考えられます。また、若手の面倒見が良いという長所を活かし、チームの開発規約作成や普及・指導といった役割を担ってもらうことで、その知識と経験を全体に還元することもできるかもしれません。

一人の担当者としてルールに縛られずに自由に動きたいという彼の潜在的な欲求を満たしつつ、その能力をプロジェクトの共通基盤や品質向上へと昇華させる手段も考えられます。

プロジェクトマネージャーの仕事は、状況に応じて最も効果的な手段を選択するだけでなく、困難な人材をいかにしてプロジェクトの力に変えるか、というクリエイティブな側面も持ち合わせています。

このケースは、まさにプロジェクトマネージャーとしての「決断力」と「人間を活かす力」が試される、現代のプロジェクトが抱える典型的な課題と言えるのかもしれません。


さて、上述の問題とその解決策はいかがでしたか?

プロジェクトマネージャーは常に決断を迫られていることは、今も昔も変わりません。特に「人」にまつわる問題はいつの時代も付きものです。また、リモートワークが普及する中でメンバーとどのようにコミュニケーションを図るかなど、現代ならではの問題も絡んでくることもあります。プロジェクトマネージャーはその時々によって、さまざまな決断をしなければならないのです。

技術や知識だけでは語れないプロジェクトの奥深さと、その中で光るプロジェクトマネージャーの決断力は、経験がものをいう部分も大きいかもしれないですね。

私なら、プロジェクトマネージャーの役割は果たすべきと思っていても、所属長に相談して、一緒に対応策を検討してもらう方法を選んでしまうかもしれないです。プロジェクトマネージャー経験に関しては、私もまだまだ勉強中です。

しかし、座学だけでは得られない「生きた経験」を効率的に積むためには、体系化された学びが非常に有効です。

今まさに、プロジェクトマネージャーとして日々の決断に悩んでいる皆さん、私も皆さんと同様に学び続ける一人として、皆さんの経験値を高めるお手伝いができればと思っています。この後ご紹介する「【集合】PM次の一手~富士通SEの『定跡』に学ぶ~」コースが、きっと皆さんの力になるはずです。ぜひ、一緒に学び、成長していきましょう!

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プロジェクトマネジメントのコース紹介

富士通ラーニングメディアでは、システム開発に関わる方に対する初心者向けのプロジェクトマネジメント基礎研修から、経験者向けの応用研修まで、幅広いニーズに対応した研修プログラムを取り揃えています。また、初めてマネジメントを学ぶ方向けのコースも用意しています。

プロジェクトマネジメントの知識を持っている人材は、どの会社においても、どの立場においても、必要不可欠です。プロジェクトマネジメントの知識を身につけたい方は、ぜひ富士通ラーニングメディアの研修をご検討ください。

プロジェクトマネジメント研修コースのご紹介


今回のコラムで取り上げた研修は、こちらのコースです。
技術的な知識だけでは解決できない、具体的なプロジェクトの場面を想定し、あなた自身が主体的に考え、判断を下す実践的な討議が中心のコースです。各ケースにおいて、提示された選択肢の中から最も適切と思われる行動を選び、その理由を深く考察することで、PMとしての意思決定能力とリーダーシップを飛躍的に向上させることができます。実践経験豊富なFLM講師のアドバイスも必見です!

(注1)これまで私が執筆したプロジェクトマネジメントや品質マネジメント、上流工程(要件定義)におけるコラムも是非ご覧ください。

今年もコラムをお読みいただき、誠にありがとうございました。これからも皆さんにとって有益な情報をお届けできるよう尽力しますので、今後のコラムも是非楽しみにしてください。来年もどうぞよろしくお願いいたします!

執筆者紹介

デジタル人材育成ソリューション事業本部
プロマネ品質上流チーム所属
吉田 千鶴(よしだ ちづる)

COBOLやメインフレームの研修講師を経て、近年はアジャイル研修の講師やシステム開発のプロマネも経験しています。美味しいコーヒーを飲みながらまったりする時間が好きです。

(2025/12/23)

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