業務部門が主役!要件定義で成功するDX時代のシステム開発

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皆さん、こんにちは!
富士通ラーニングメディア ナレッジサービス事業本部の吉田です。
プロマネ品質上流チームに所属し、日々知識の習得に励んでおります。

このコラムは、プロジェクトマネジメントや品質マネジメントについて執筆するシリーズの第5弾です。

読んでくださる皆様、いつもありがとうございます。今年も皆様のキャリアアップ・スキルアップのお力になれるよう努めてまいります。

前回までのコラムはこちら(注1)

さて、今回のテーマは「要件定義」です。

私たちのチームは、プロジェクトマネジメント・品質マネジメント・上流工程という大きく3つのカテゴリーで構成され、現場経験も豊富な講師陣で構成されています。

上流工程というのは、システム開発における始まりのステップになる「要件定義」が主な範囲となります。

今回はDX時代のシステム開発で、とても重要視されている「要件定義」について語ります!

DX推進の鍵は、業務部門(利用部門)にあり!

皆さんは企業のシステム開発で、誰が最も重要な役割を担っていると思いますか?

開発を請け負うITベンダー?
システムを設計する情報システム部門(IT部門)?

もちろん、彼らも重要な役割を果たしますが、実はもっと重要なのは業務部門(利用部門)なのです。

なぜなら、システムは経営目標を達成するために、業務を変革するための手段だからです。

どんなに優れた技術力があっても、経営目標の達成のための業務施策に貢献しないシステムを開発することは、コストの無駄遣いですよね。

デジタル化が加速する現代では、企業の競争力を維持・向上させるためには、DX(デジタル・トランスフォーメーション)が不可欠です。しかし、DX推進は単純にITを導入しても実現しません。最新の技術導入を前提とした、経営目標達成のための既存業務の徹底的な見直しが求められます。それを実現するためには、業務部門(利用部門)の力が必要になるのです。

現状業務の「可視化」はDXの第一歩!

まずは、想像してみましょう。

もし、皆さんの会社の業務プロセスがブラックボックス化していたらどうでしょう?

部門目標達成にあたり、どこがボトルネックになっているのか、何が問題なのか、すぐにわかるでしょうか?

おそらく、多くの時間と労力を費やしても、完全な解決策を見つけるのは難しいと思います。

経営層が業務の効率化や生産性向上を期待したとしても、現場はそれを実務に落とし込むことがなかなか実現できないという現実があります。これを解決する手段が業務の「可視化」です。

業務がデジタルに可視化されることで、情報システム部門(IT部門)への要望を正確に伝えることができます。曖昧な言葉ではなく、定量的なデータに基づいてシステムの機能、データの構造等を記述し、よりスムーズな開発、そして期待通りの成果につながります。業務フロー図などのドキュメントは、もはや単なる資料ではなく、DX推進における強力なツールなのです。

業務の可視化は、業務効率化への第一歩!
そして、組織全体の生産性向上、そして真のDX実現へつながるのです!

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効果的な要件定義とは?

可視化された業務は、新たなシステム開発の要件定義にも不可欠です。

曖昧な要望ではなく、具体的なデータに基づいた要件定義を行うことで、情報システム部門(IT部門)との円滑な連携を実現し、経営層の期待に沿ったシステム開発を推進できます。

単なるシステム導入ではなく、経営層のビジョンと現場の課題をつなぎ、真のDXを実現するためには、綿密な現状分析と、それを可視化するプロセスが重要です。業務の可視化は、株主をはじめとした外部ステークホルダーおよび経営層の期待を、現場で実現する重要な架け橋となります。

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業務部門(利用部門)がシステム開発の要件定義における「主役」であることがおわかりいただけたでしょうか?

富士通ラーニングメディアでは、業務部門(利用部門)が主体的にシステム開発に関わるためのスキルを習得できる2つのコースを提供しています。

【集合】DXを推進するための部門業務の可視化技術(UDX06L)
【集合】業務分析・設計のための要件定義技法 実践トレーニング(UZS71L)

一見異なるコースですが、共通の根幹は「効果的な要件定義」です。

両コースともに、業務部門(利用部門)が主体的にシステム開発に関わることを重要視し、現状の業務を分析し、問題点を洗い出し、理想の姿を描き、それを実現するためのシステム要件を明確にするプロセスを学ぶことができます。

【集合】DXを推進するための部門業務の可視化技術(UDX06L)」コースは、DXという大きな流れの中で、業務の可視化を通して全体像を把握し、戦略的なシステム開発につなげることを目指します。

業務の可視化といっても何を明らかにすればよいか、明らかにしたものをどう新しい業務の姿に変えていくか、またIT化が必要な場合、どうIT部門に伝えればよいかを習得できます。

【集合】業務分析・設計のための要件定義技法 実践トレーニング(UZS71L)」コースは、より詳細な要件定義技法に焦点を当て、実践的なスキル習得を重視した、情報システム部門(IT部門)向けの内容です。業務部門としても、情報システム部門と連携を深めるために、情報システム部門における要件定義技法を知っておくことも有用です。

具体的には、現状の業務を分析する際に表面的な問題だけをとらえて対症療法的な解決策を検討するのではなく、様々な観点から網羅的に問題を分析し真に解決すべき問題を特定します。さらに、その解決策も決めつけで検討するのではなく、網羅的な観点から検討し最善の策を決定し理想の業務の姿を描き、システム要件へ落とし込む具体的な方法(プロセス)を実践形式で習得できます。
 
どちらのコースも、システム開発における要件定義の重要性を改めて認識することができ、業務部門(利用部門)を真の主役へと押し上げるための強力なコースです。システム開発に携わるすべての人、特に業務部門(利用部門)の皆さんにとって、受講して損はないですよ。

要件定義のコース紹介

<業務部門向け要件定義コース>

<情報システム部門向け要件定義コース>

2025年3月6日に、【集合】業務部門のための要件定義入門(UZT02L)のコースがリリースされます。コース名の通り、業務部門の皆さんのための要件定義コースです!

業務部門はシステム開発にどう関わればよいのか、どんな役割を果たすべきなのかを、演習を通して理解を深めることができます。システム開発に関わったことがないがこれから関わる可能性がある業務部門の方、システム開発に関わった経験はあるが業務部門として何が求められていたのか分からなかった方など、本コースがお勧めです。業務部門視点のコースの為、理解がグッと深まりますよ。

上記、いくつかのコースは、オンライン研修(ライブ)も実施しております。
コースの詳細は、各コースのコース概要をご確認ください。

また、コースマップで各コースのレベル感など見ていただけるとわかりやすいかと思います。

各コースのカスタマイズでの実施や実施における不明点などあれば、お気軽にお問い合わせください。

(注1)これまで私が執筆したプロジェクトマネジメントや品質マネジメントにおけるコラムも是非ご覧ください。

これからも皆さんにとって有益な情報をお届けできるよう尽力しますので、今後のコラムも是非楽しみにしてください。

執筆者紹介

ナレッジサービス事業本部 プロマネ品質上流チーム所属
吉田 千鶴(よしだ ちづる)

COBOLやメインフレームの研修講師を経て、近年はアジャイル研修の講師やシステム開発のプロマネも経験しています。美味しいコーヒーを飲みながらまったりする時間が好きです。

(2025/01/30)

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