皆さんこんにちは!富士通ラーニングメディア 人材育成イノベーション事業部の佐藤です。
今回はアジャイル開発のコラム第6弾です!前回までは、アジャイル開発、スクラム、テスト駆動開発などについてご紹介しました 。
詳しくは以下をご確認ください。
本コラムは、これまでの記事と比べると、幅広い層へ向けた内容になります。業種・職種・業務内容を問わず、ビジネスパーソンがアジャイルの考え方を活用するためのヒントをご紹介します。
アジャイル開発が、変化に対して柔軟に対応できる開発手法であることは、皆さんご存知かと思います。例えば、アジャイル開発では、成果物やスコープが変わることを前提としているため、作るべきものを小さくして、ユーザーや利用部門に使ってもらい、フィードバックを得ながら開発を進めていきます。
近年、ビジネスを取り巻く環境は、経済・社会情勢の変化、競合他社の増加、消費者ニーズの移り変わり、新技術の出現など、様々な変化にさらされています。そのため多くのプロジェクトで、成果物の仕様をあらかじめ確定させることが難しくなってきています。そこで情報システムの世界では、アジャイル開発手法を活用するケースが増えてきているのです。
アジャイル開発のおさらいは以上となりますので、ここから先は、ビジネスパーソンである皆さんの業務について考えてみましょう。
ご自身の業務で、以下のようなことはありませんか?
●営業担当者:
上司やお客様へ、何度か提案を行っているが、ニーズをうまく探れない
●情報システムの運用担当者:
ユーザー部門へのサービス改善を続けているが、満足度が横ばいのまま変化しない
●プロモーション担当者:
エンドユーザー向けに宣伝広告をしているが、反応が薄く、購入にもつながらない
上記のケースで、以下のように取り組んでしまうと、上手くいかない場合があるかも知れません。
●営業担当者:
「よし、上司やお客様が希望するであろう、あらゆるパターンを網羅的に予測してみよう!」
「提案資料のページ数を大幅に増やして、詳細緻密な情報を盛り込んでおこう!」
●情報システムの運用担当者:
「これまで出てきたすべての改善策を、とにかく実行しよう!」
「着手しやすそうなものから順に、たくさん数をこなしていこう!」
●プロモーション担当者:
「お客様の動きとして想定するパターンを、徹底的に洗い出そう!」
「お客様のすべての動きに対応した宣伝広告コンテンツを用意しよう!」
このような進め方は、必ずしも得策ではありません。変化のあらゆるパターンを網羅的に洗い出すのはよいのですが、対策のための作業時間を前もって使いすぎているからです。
上記はいずれも極端な例ではありますが、このように私たちは、処理しきれないほどに膨らんだ変化の物量に対して、「全部こなさなければいけない」と、頑張りすぎていないでしょうか。
そこで、ご自身の仕事の進め方に、アジャイルの考え方を取り入れてみるのはいかがでしょうか。
具体的には、「ビジネスの成功のため、成果物やスコープが変わることを前提として、話し合いながら優先順位を付けて、仕事を進める」というやり方を検討いただければと思います。
以下は、「仮説と検証を繰り返しながら、成果物を定めていく」という進め方のイメージ図です。
この進め方では、そもそも成果物の仕様をあらかじめ確定させていません。営業担当者・情報システムの運用担当者・プロモーション担当者、お客様・ユーザー部門・エンドユーザーなど、関係者がいるとしたら、全員が「欲しいものがわからない」という状況について合意し、そこからスタートします。当初の着地点(作業完了目標、成果物など)は定めますが、変わってもよい(出来上がったものはまったく別物になったとしても構わない)点についても、しっかり合意します。
そして、要求レベルで欲しいものを洗い出し、優先順位を付けて、よく話し合いながら、作るべきものを小さくして、ユーザーや利用部門に実際に使っていただけるものを作ります。使っていただけたら、意見・コメント(フィードバック)を得て、その内容を次に作るものへフィードバックしていきます。この繰り返しで、関係者間での着地点(成果物の仕様、スコープ)を探し求めていきます。
もちろん、皆さんの業務すべてをアジャイルで解決できる訳ではありません。アジャイル化が目的というわけでもありません。これまでの仕事の進め方を見直し、より柔軟にできるのではないか、困っていることを解決(もしくは緩和)するヒントになるのではないか、という観点からのご紹介になります。
ご自身の仕事の進め方を見直し、アジャイル開発の考え方を様々な業務へ活用してみましょう。
富士通ラーニングメディアの教育研修では、アジャイルから学ぶ「柔軟な仕事の進め方」と称して、以下3点のポイントをご紹介しています。
いずれも、今回ご紹介したようなアジャイルの考え方を、様々な業務へ活用するための観点です。関係者間で合意するための工夫も踏まえておりますので、参考にしていただければと思います。
今回のコラムでは、アジャイルの考え方を活用するためのヒントについてご紹介しました。
富士通ラーニングメディアでは、アジャイル開発に関する研修サービスを多数ご用意しています。
ぜひ、この機会に研修受講をご検討ください。
■人材育成イノベーション事業部 デジタルプロセスプロジェクト所属
佐藤幸呼(さとう さちこ)
新人~若手時代、組織の中長期ビジョンと情報システム構想とのすり合わせを行うフェーズに従事。その後、情報システム開発をゼロから勉強し、ベトナムなどで学生・若手社会人とプロジェクト活動を行いました。専門分野・立場・言葉が異なる環境での仕事は、プロセス・フレームワーク・基本用語といった認識の共有が重要と考え、アジャイル開発にもその姿勢で取り組んでいます。
(更新日 2024/04/23)