[オンライン研修事例]ニューノーマル時代の新入社員研修の取組み~人事担当の苦悩と成果とは(後編)

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みなさんこんにちは。富士通ラーニングメディアの石坂、千野です。

今回は、2020年度の新入社員研修をオンライン研修で実施されたIT関連某企業様(以下A社)の人事部長 冨野様、人事担当 田坂様(共に仮名)へのインタビュー後編です。(前編はこちらから)

「2021年度もオンライン研修を予定しているが、このままでいいのか不安」
「研修事例があれば知りたい」・・・など

2021年度の新入社員研修に、まさに取り組まれようとされている皆様のご参考になれば幸いです。


★当ブログは連載全2回(前半、後半)にてお届けします。

~後半のTopicテーマ~

Topic4 研修を自分事としてとらえるために大切にした育成者側の意識

Topic5:新入社員との距離を縮めるための施策

Topic6:今後のビジネスをリードするのは人材開発部門である

Topic4 研修を自分事としてとらえるために大切にした育成者側の意識

石坂:

そのほかにオンライン研修を通して気づいたことはありますか?

田坂様:

人間関係という面では、新人同士一体感があったと思います。今の新入社員はSNSを利活用できている世代なので、研修で使用するツールを抵抗感なく使えていたと考えています。

千野:

ツールの使い方について、基本操作は紹介したものの、「自分たちでどうしたらよりよく使えるか主体的に考えながら行動してほしい」と繰り返し伝えました。

石坂:

新入社員の世代では、顔が見えないコミュニケーションも当たり前となっていますし、お互いを理解する、承認することが自然とできていたのかもしれませんね。またA社様の場合は、短期間でありながらもオンライン研修前に、受講者同士が直接顔を合わせる場を設けており、チームビルディングの機会が持てていたから、というのも、オンライン上での人間関係がうまく構築できた要因の一つかもしれません。

田坂様:

結果、グループで取り組む「システム開発プロジェクト演習」も集合研修と遜色ない進め方で実施できました。「アジャイル開発研修」のアウトプット品質も例年より圧倒的に高かったです。日数の都合上、省略した研修もありますが、千野さんが受講者に寄り添って手厚くフォローいただいた結果だと考えております。

千野:

配属後、オンライン上での仕事が当たり前になっていくと思います。研修では、オンライン上での意思疎通や作業など、インタビュー冒頭で星様田坂様がおっしゃっていた、「仕事の進め方を学ぶ」機会となるよう意識しました。仕事に直結するという動機づけを通して、受講者も自分事として前向きにとらえることができたと思います。

石坂:

オンライン研修は、お互いの様子が見えづらい環境にあります。そのため新入社員も、研修への能動的な参加意識が必要になっていきます。もちろん、人事様側からの働きかけも必要です。関係者すべてが、一歩踏み込んで相手に近づく努力がオンライン上での関係性構築のためには大切ですね。



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Topic5:新入社員との距離を縮めるための施策

石坂:

同期や先輩社員との絆づくりをさせてあげたい、という思いから、人事主催でオンラインイベントを企画されていましたね。オンライン上でも、人と人の交流を大切にされていたと思います。

田坂様:

確かに思いを強く持っていました。イベントの企画もそうですし、研修の合間などに、私のほうから会社・仕事・プライベートの雑談をしたりして距離が縮まる努力をしました。まず我々も自己開示をしなくては新入社員も歩み寄れないと考えたからです。ただ、度が過ぎて研修の進捗を遅らせてしまい、千野さんに注意されたときもありました(笑)

千野:

ありましたね(笑)。研修にかかわらず、オンラインの人材育成において、「自己開示」は、特に重要なキーワードの一つだと考えています。A社様はそれをきちんと実行されていました。

石坂:

積極的にコミュニケーションをとろうという貴社の思いと行動が少しずつ新入社員にも伝わった結果だと思います。また、「リアルより、オンラインのほうが人と話しやすい」という新入社員もいます集合研修では見えなかった個性がオンラインでは発揮できることもあると思います。そういう個性をしっかりと見つけることも必要になっていきますね。

Topic6:今後のビジネスをリードするのは人材開発部門である

石坂:

最後に、本年度の新入社員研修、そして今後、人材育成の将来をどのように捉えていらっしゃるかを、教えていただけますでしょうか。

冨野様:

新入社員たちに、学びから結果を出すことへのマインドチェンジをしてほしいと考えていました。学生までは学ぶことが中心だったでしょう。結果を出すためにどういうことが必要なのかを身につけてほしかった。結果的にオンラインでの研修実施となりましたが、学びのインプットはもちろん、マインドチェンジができたと考えています。研修最終日の新入社員の成果発表会を見ても、ひとつひとつの工夫が実を結び、目的は達成できたなと感じました。

これからは人材そのものがビジネスになる。設備投資ではなく、より人材投資が重要になってくるでしょう。我々人材開発部門はただ研修を運営するだけでなく、ビジネスを作るためにリードする必要があります。そのためには新入社員に対して、目まぐるしく変わる世の中の情報や技術を、最速で効率的に吸収できる環境を提供する必要があります。そして、環境を与えつつも、その選択を自分主体で繰り返すことで、自律できるようにしていきたいと考えます。

石坂:

当社としても研修を全うするだけでなく、貴社の人材育成全体を見据えたパートナーとなれるよう、今後もお手伝いできれば幸いです。皆様、本日は誠にありがとうございました。

~・~・~・~・~
今回のブログでは、オンライン新入社員研修に挑戦した企業様の事例をご紹介しました。
今後の新入社員研修のご参考になれば幸いです。

※ご参考:2021年度新入社員研修についてはこちらから

登場人物紹介


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石坂 恭成(いしざか やすまさ)※写真右
人材育成サービス事業部 新入社員育成プロジェクト

入社後、IT技術講師、新入社員研修講師、営業、Web(SNS)マーケティング、社長室など従事。2015年よりお客様新入社員研修のプロジェクトマネージャーをメイン業務とする。プライベートでは母校の大学オーケストラの相談役を16年間務めており、年々変化する学生たちのライフスタイルや価値観を間近に見つづける。好きなものはクラシック音楽と、豚足。

千野 陽太(ちの ようた)※写真左
人材育成サービス事業部 PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)

お客様との新入社員研修の共創、Webコンテンツコースの責任者などを担当し、現在は講師部門のPMO。大型の商談対応や部門全体に関わる業務を担当。2020年度は所属講師の中でもトップクラスの企業数・日数のオンライン新入社員研修を実施。認定スクラムマスター。1児の父。

(2021/03/25)