[オンライン研修事例]ニューノーマル時代の新入社員研修の取組み~人事担当の苦悩と成果とは(前編)

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みなさんこんにちは。富士通ラーニングメディアの石坂、千野です。

2020年2月頃から猛威を振るい、未だ衰えない新型コロナウィルス禍。
「新入社員研修を急遽オンライン研修に切り替えたが、ノウハウが少なく運営が大変だった」
と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、2020年度の新入社員研修をオンライン研修で実施されたIT関連某企業様(以下A社)の新入社員研修を担当した石坂(研修企画)と、千野(講師)が、人事部長 冨野様、人事担当 田坂様(共に仮名)に研修のご感想をインタビューした記事となります。

「2021年度もオンライン研修を予定しているが、このままでいいのか不安」
「研修事例があれば知りたい」など・・

2021年度の新入社員研修に、まさに取り組まれようとされている皆様のご参考になれば幸いです。

★当ブログは連載全2回(前半、後半)にてお届けします。

~前半のTopicテーマ~

Topic1:新型コロナウィルス禍以前の新入社員研修に対する思いと5つの課題

Topic2:コロナ禍突入!オンライン研修を決断するまでの不安や抵抗感とは??

Topic3:いざオンライン研修へ!課題は解決できたのか??

~後半のTopicテーマ~

Topic4 研修を自分事としてとらえるために大切にした育成者側の意識

Topic5:新入社員との距離を縮めるための施策

Topic6:今後のビジネスをリードするのは人材開発部門である

Topic1:新型コロナウィルス禍以前の新入社員研修に対する思いと5つの課題

石坂:

A社様は幅広い研修施策を通して、新入社員を高水準に育成することを目指しておられます。まず、新型コロナウィルス禍以前は、新入社員研修をどのようなお考えで実施予定だったかをお聞かせください。

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冨野様:

2020年度新入社員は、プログラミング初学者が例年と比較し多かったため、技術力の底上げを手厚くするにはどうするかを検討していました。また、新入社員研修は集合して行うのが当たり前だと考えておりました。

田坂様:

受け身ではなく主体的に学ぶ姿勢を身につけてほしいと考えています。また、同期や先輩社員との絆づくりも大切です。さらに、実務さながらのシステム開発プロジェクト演習をやりきってもらうことで、技術習得はもちろん、仕事の進め方がどんなものかを理解させたい、という目的もありました。

冨野様:

これまでも当社の目標とするレベルの研修ができている実感はありました。しかし、2年前から施行しているアジャイル開発研修については、まだ改善点があると考えていました。DXの観点としても、ウォーターフォール開発だけでなく、アジャイル開発を体験・理解してもらうことを目指しており、2020年度はこの集大成となる研修ができれば、と考えていました。

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Topic2:コロナ禍突入!オンライン研修を決断するまでの不安や抵抗感とは??

石坂:

オンライン研修には不安があったかと思います。

田坂様:

不安はとにかくありました。「オンライン研修」というのは、ビデオを流して受講者個々人で学習するものをイメージしていました。私の息子が通う学習塾が、その方式を採用していたのです。参観したことがあるのですが、質疑応答の活発的な雰囲気はまったくありません。新入社員研修がこのスタイルになってしまうと、一方通行な学習スタイルになってしまうのではと考えました

石坂:

その雰囲気を先に見たからこそ、オンラインへの不安に拍車がかかったということですね。

冨野様:
私もeラーニングでの一方通行の研修をイメージしていました。また、在宅中心になると、新入社員同士や我々人事との交流も少なくなり、絆形成ができなくなるのではと思いました。インターネット環境のトラブルが起きないか、も心配でした。

千野:

当社がオンライン型の研修に切り替えるご提案をした際も、はじめは抵抗感を示されていましたね。

冨野様:

当時は、まだ通常業務においてもオンラインに不慣れでしたので、研修のイメージが湧きづらかったです。また、仕事は集まってするものであり、周りの視線から緊張感・空気感を掴んで、意識を変えていったという実体験もあるので、同じことがオンラインで実現できるのか、という不安がありました。

石坂:

しかし最終的には、オンライン研修を決断していただけました。

田坂様:

富士通ラーニングメディアさんが、オンラインでも研修はできる、という自信を持ってご提案いただき、かつ、なぜできるのかを根拠立てて説明くださいました。実際に講師として登壇する千野さんを中心に何度もディスカッションを繰り返し、対策を考えていただいたので、やってみようと思えました。

千野:
私は貴社担当前に数社、最大で300名以上のオンライン研修を実施しました。そのうえで、貴社の課題を達成する研修は実現できると思っていました。ただ、研修を乗り切れたことは、A社様のご決断があってのものだと考えています。

冨野様:

当社グループの「感染拡大の防止に努めつつ、重要な事業を継続維持し、社会的責任を追及する」という方針に沿って考えたうえでの決断です。研修を実施せずに新人を配属させるという社内の意見もありましたが、最終的にはオンラインでの実施を決断しました。

Topic3:いざオンライン研修へ!課題は解決できたのか??

石坂:

オンライン研修となり、「技術力の底上げ」、「主体的に学ぶ姿勢を身に着ける」、といった当初の課題は達成できたでしょうか?

田坂様:

はい。まず、「主体的に学ぶ姿勢」について言えば、Zoomのブレイクアウトセッション(※)を活用した質問専門ルームの設置などにより、一方通行にならない指導をしていただいたことが大変効果がありました。受講者も自ら活発に質問ができていました。
※Zoom上で、ミーティング参加者をグループに分ける機能

冨野様;

ご提案いただいた、ブレイクアウトセッションの活用アイディアは、緻密に設計されており、すごいと思いましたね。


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田坂様:

技術力の底上げ」という点では、テストの点数などの定量評価は例年よりも高い結果となりました

千野:

ブレイクアウトセッションの活用だけでなく、チャットなどで気軽に相談し、都度技術的な悩みを解決できたこともよかったのではないかと思います。


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冨野様:

ただ、オンラインでやりづらいこともありました。本人が発した言葉の空気感がわかりづらいのです。集合では、何気ない会話でも言葉だけでなく仕草を通じて本人の精神状態を把握できました。オンラインでは、これが難しい。それに、インフラ面にはまだまだ課題があると感じます。場合によっては通信が固まりますので。

田坂様:

ブレイクアウトセッションの活用も、基本はうまくいったと考えますが、全体が見えにくくなるという欠点はあります。例えば、グループ演習中にセッションに入ってしまうと、周りのグループの状況がわからない。周囲の様子をわかりやすくするにはどうしたらいいか、このあたりはまだ課題です

石坂:

新入社員の様子を常時見守る必要のある人事様側の立場からすると、確かにオンラインでは、個人が死角に入る時間が長いかもしれません。丁寧に観察するにはまだ思慮と工夫が必要そうですね。


後編につづく・・

※ご参考:2021年度新入社員研修についてはこちらから

登場人物紹介


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石坂 恭成(いしざか やすまさ)※写真右
人材育成サービス事業部 新入社員育成プロジェクト

入社後、IT技術講師、新入社員研修講師、営業、Web(SNS)マーケティング、社長室など従事。2015年よりお客様新入社員研修のプロジェクトマネージャーをメイン業務とする。プライベートでは母校の大学オーケストラの相談役を16年間務めており、年々変化する学生たちのライフスタイルや価値観を間近に見つづける。好きなものはクラシック音楽と、豚足。

千野 陽太(ちの ようた)※写真左
人材育成サービス事業部 PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)

お客様との新入社員研修の共創、Webコンテンツコースの責任者などを担当し、現在は講師部門のPMO。大型の商談対応や部門全体に関わる業務を担当。2020年度は所属講師の中でもトップクラスの企業数・日数のオンライン新入社員研修を実施。認定スクラムマスター。1児の父。

(2021/03/18)