こんにちは!富士通ラーニングメディアの向井です。
富士通グループにおいて、約20年間お客様企業の人材育成に携わってまいりました。
現在は、ヒューマン・ビジネススキル関連の講師を担当しています。
今回より4回にわたり、「会話でつながるコミュニケーション」をテーマにお届けします。
1回目となる今回は、会話とコミュニケーションの関係についてお話しします。
問題解決をテーマとする研修を担当する中で、プロジェクトリーダーや幹部社員の方々から「プロジェクトの問題がなかなか解決しない」「プロジェクトや組織において、人がなかなか育たない」という悩みをよく伺います。
詳しくお聞きしていくと、最終的に「コミュニケーション不足が原因ではないか」という結論にたどり着くことが多いように感じます。
『職場の方たちの中に、会話はありますか?』と尋ねると、『必要な話は、Eメールでしていますので、会話はほとんどありません』という答えが返ってくることがよくあるのです。
会話が少ない職場でも、業務が円滑に進行しているときは、コミュニケーションの必要性をそれほど感じないことも多いでしょう。
みなさんの中にも、「うちの職場は会話が少ないけれど、問題はない」と感じている方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、「トラブルが大きくなる直前に発覚したこと」や、「トラブルを予期できず対応が手遅れになったこと」は起こっていないでしょうか。
このようなことが起こる一因には、「信頼関係」が大きくかかわっていると思います。
みなさんもお気付きのように、信頼関係は、一晩でできあがるものではなく、日常のかかわりの積み重ねから生まれてくるものです。
信頼関係の大切な要素が「会話」で、しかもその「会話」は一方通行ではいけません。
双方向の会話を築く第一歩として、相手の話をよく「聴く」ことから始めてみてはいかがでしょうか。
相手の話をよく「聴く」ために、「傾聴(けいちょう)」のスキルを意識することをおすすめします。
私は講習会において、「傾聴」とは、
「耳で聞くだけでなく、心と目を使って、相手の話に気持ちを向けること」
と説明をしています。具体的には、以下のようなスタイルがあります。
たとえば『昨日こんな残念なことがありました』と部下から報告があったとしましょう。
部下のほうに身体を向けて、話を聞きます。
うなずきながら、部下の話すペースに合わせて、『なるほど』と相づちを打ちます。
『そうですか。そのような残念なことがあったのですね』と、部下の発した言葉の一部を取り入れて話します。
こうすることによって、部下は自分の話を聞いてもらえた安心感や、上司に対する信頼感を持つようになります。
前向きな気持ちの変化は、彼らが一歩前に踏み出すための原動力になっていきます。
私は、傾聴は単なるスキルではなく、心を伴う相手への基本的な姿勢である、と考えています。
つまり、傾聴のスタイルを取り入れるだけでなく、相手に関心を持ち、可能性を信じる気持ちを伴っていることが大切だと思います。
傾聴は、「答えは相手の中にある」、「相手には、成長し、実践する力がある」と、相手を信頼するからこそ、成立するのです。
人は自分の話に耳を傾けてくれる人の発言には、耳を傾けようとする傾向があるといわれています。
つまり、リーダーがメンバーの話を傾聴していると、メンバーはリーダーの言葉に耳を傾けるようになり、双方向の会話が成立するようになります。
やがて、職場での会話が増えていくことにつながります。
傾聴を伴う会話が多い職場では、幹部社員や同僚が、日常の会話からトラブルの火種を察知する可能性が高まります。
表面化する前に対策を考えることができれば、トラブルを未然に防ぐことができます。
その結果、プロジェクトの円滑な運営につながっていくのです。
会話は、スムーズなコミュニケーションの必須要素といってもよいでしょう。
■次回は、より建設的な会話を可能にするための「アサーティブ・コミュニケーション」を取り上げます。
■第2回 自分も相手も尊重する「アサーティブ・コミュニケーション」
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富士通ラーニングメディアでは、会話や傾聴のスキルを含むコミュニケーションについて学べます。
ご自身のスキルアップに、スタッフのスキルアップに、ぜひ、ご活用ください。
(更新日 2019/05/09)