こんにちは!富士通ラーニングメディアの城(じょう)です。
「これからのプロジェクトマネジメントは?」というテーマでお話ししています。
5回目は、前回に続き、職場環境が大きく変わる中でも、プロジェクトを確実に成功に導くプロジェクトマネージャを育成するには、どうすればよいのか、がテーマです。
前回は、ポイントを2つ挙げました。
ポイント1:KKDを短期間で身に付けること
ポイント2:ビジネス環境の変化に対応できるようになること
1つ目のポイントについては、前回お話ししましたので、今回は2つ目のポイント「ビジネス環境の変化に対応できるようになること」について、考えます。
※1つ目のポイントについては、バックナンバー(第4回KKDを短期間で身に付けるために)をお読みください。
今、日本のIT業界は、クラウドビジネスへのシフトが加速しています。
今まで、ユーザー企業は、自社のシステム開発を、自社の業務にあわせてオーダーメイドしてきましたが、これからはクラウドという既製品に業務を合わせていく必要が出ています。
その結果、システム導入による「初期投資を軽減できる」ことや、システム運用における、「ランニングコストを抑えられる」ことなど、ユーザー企業にとっては大きなメリットが得られるわけですから、クラウドはかなり魅力的です。
一方、ベンダー企業は、これまで顧客のニーズに合わせ、システム全体をパッケージとして、すべて自分たちで開発してきました。
これからは、既存のクラウドサービスをベースとしたうえで、ユーザー企業に合わせたカスタマイズを行っていくことになります。
「無いものは作る」というスタイルから、「既存のサービスを組み合わせて提供する」というスタイルに変わるのですから、ベンダー企業は、開発に対する考え方を変える必要があります。
また、システム開発の開発プロセスモデルにも変化が現れています。
これまで主流だった「ウォーターフォール・モデル」は、原則として前工程が完了しないと次工程に進まないのが特徴です。
「前工程に間違いがない」ことを前提としているので、開発途中で仕様が変わると、大きな後戻りが生じます。
最悪の場合、運用テストなど、システムの動きの確認後に変更が発生し、設計から作り直す可能性も出てくるというデメリットがあります。
このデメリットを補完するものとして登場したのが「アジャイル開発」です。
アジャイル開発は、開発対象をリリース可能な小さな「機能」や「非機能」などに分割し、イテレーションと呼ばれる短い開発サイクルを、プロジェクトが完了するまで繰り返し行います。
各イテレーションは、それ1つが独立した小さな開発単位となっているため、「徐々に機能を拡張して提供できる」「仕様やスコープの変更に柔軟に対応できる」「ユーザーとベンダーで機能を確認しながら開発できる」といったメリットがあります。
システムにおける開発要素が少なくなってきているクラウド時代では、開発した結果を確認しながらプロジェクトを進めることができる「アジャイル開発」を採用するプロジェクトが増えてきています。
クラウドやアジャイルは一例ですが、誰も経験をしていない領域にビジネスがシフトしていく中では、プロジェクトマネージャの役割も大きく変わっていきます。
このような過渡期にいるプロジェクトマネージャと、その予備軍の方々は、今まで自分の中で蓄積してきた「KKD(勘・経験・度胸)」に加え、新しい領域の「KKD」を身に付けることが重要となります。
つまり、「KKD」もビジネスの変化に合わせて成長させていかなければなりません。
そのための近道として、ぜひ、活用していただきたいのが、研修です。
同じクラウドでも、プロジェクトマネージャとして知っておくべきことと、技術者として知っておくべきことは異なります。
研修によって、それを切り分けて整理し、学ぶことができます。
また、クラウドやアジャイルといった新しいビジネスや技術を導入する際は、社内に経験知も現場の知恵もありません。
ですから、実際の事例を扱った研修を受けることによって、スムーズに導入するためのポイントを身に付けていただきたいのです。
当社でも、このように、ビジネス環境の変化に対応できるような人材育成を、研修として支援していきたいと考えています。
■次回は、「これからのプロジェクトマネージャに必要なこと」について、当社の福山が話します。
■第1回「これからのプロジェクトマネジメントとは?(1)マネジメントを、経験知から形式知へ ~PMBOK® Guideについて考える~」
■第2回「これからのプロジェクトマネジメントとは?(2)プロジェクトを成功に導くために ~PMBOK® Guideについて考える~」
■第3回「これからのプロジェクトマネジメントとは?(3) PMBOK® GuideとKKDの融合が成功のコツ」
■第4回「これからのプロジェクトマネジメントとは?(4)KKDを短期間で身に付けるために」
■第6回「これからのプロジェクトマネジメントとは?(6)「モノづくりの匠」から「経営的な視点」へ」
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富士通ラーニングメディアでは、プロジェクトマネジメントのスキルを体系的に学べます。
ご自分のスキルアップに、スタッフのスキルアップに、ぜひ、ご活用ください。
(2019/03/07)