こんにちは!富士通ラーニングメディアの福山です。
「これからのプロジェクトマネジメントとは?」というテーマでお話をしています。
第2回目は、「プロジェクトを成功に導くために」というテーマで、PMBOK® Guide(A Guide to the Project Management Body of Knowledge)について、みなさまと一緒に考えてみたいと思います。
富士通で20年以上、プロジェクトマネージャを担当してきた私の経験や、はじめてプロジェクトにPMBOK® Guideを導入した時に感じたことなどをお話ししましょう。
※PMBOK® Guide:米国プロジェクトマネジメント協会(PMI)が作成した「プロジェクトマネジメントの知識を体系的にまとめた」もので、グローバルスタンダードとして活用されています。
富士通時代、私は、あるプロジェクトで、100人ほどのシステムエンジニアを取りまとめ、何人ものプロジェクトマネージャやプロジェクトリーダーを抱えていました。
組織文化の異なるメンバーもいましたので、プロジェクトの運営方法を統一する目的で、PMBOK® Guideを導入することにしました。
PMBOK® Guideの考え方をプロジェクト運営に適用したことで、何を、どういう流れでやったらよいかの基準が分かるようになり、大きな漏れや、観点のずれが少なくなりました。
その結果、さまざまな組織文化で育ったプロジェクトマネージャやプロジェクトリーダーであっても、Q(品質)・C(コスト)・D(納期)を追求するプロセスを、ある一定の基準を守った上で遂行できるので、失敗が少ない着実なプロジェクト推進ができるようになっていったのです。
さらに、プロジェクトマネージャやプロジェクトリーダーの属人的だった経験知が、PMBOK® Guideというフレームワークに基づいた共通認識のもとで語られる「形式知」となって、ノウハウが次の世代へ受け継がれやすくなるという効果も出てきました。
実はこれが重要なことです。
PMBOK® Guideには、標準たるものの素晴らしさがあります。
それにのっとった仕様は、「福山流」や、「富士通流」ではなく、誰もが共通で認識できる「ブランド」としての地位が確立されるので、お客様にも、社内のチームメンバーにも、自然に受け入れてもらえるわけです。
実は、優秀なプロジェクトマネージャは、PMBOK® Guideを知らずともプロジェクトを成功裏に運営できていて、後からPMBOK® Guideと照らし合わせてみたら、自分のやっていることは、PMBOK® Guideにのっとっていたことに気がつくことが多いのです。
しかし、最近は1つのプロジェクトの実施期間が短期化し、複数のプロジェクトを掛け持ちしているマネージャも少なくありません。
そのため、社内での人材育成に時間や手間がかけられなくなっています。
プロジェクトマネージャになる前に、プロジェクトを成功に導くスキルを完全に身に付けることが難しくなっているのです。
このような場合でも、PMBOK® Guideを指針にマネジメントすると、大きな失敗をしないですむわけです。
では、PMBOK® Guideだけを知っていれば、いつでも、誰でも成功できるのか、というと、答えは「NO!」です。
PMBOK® Guideはあくまでも、あらゆる業界で通用するフレームワークです。
また、「何をすべきか」は書いてありますが、「どうやってそれをすべきか」は書いてありません。
ですから、自分の業界や目の前のプロジェクトに合わせてアレンジをして、現場で使える具体的なフレームワークに落とし込むことが必須です。
その、アレンジや落とし込みが難しいために、多くのプロジェクトマネージャたちから、「PMBOK® Guideという素晴らしいフレームワークがあるのは分かる。でも、どうやって使いこなしたらよいのか分からない」という声が聞こえてくるわけです。
■次回は、PMBOK® Guideを使いこなせるフレームワークにするためのコツについてお話しします。
■第1回「これからのプロジェクトマネジメントとは?★マネジメントを、経験知から形式知へ ~PMBOK® Guideについて考える~」
■第3回「これからのプロジェクトマネジメントとは?(3) PMBOK® GuideとKKDの融合が成功のコツ」
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富士通ラーニングメディアでは、プロジェクトマネジメントのスキルを体系的に学べます。
ご自分のスキルアップに、スタッフのスキルアップに、ぜひ、ご活用ください。
PMBOKは、プロジェクトマネジメント協会(Project Management institute,inc.)の登録商標です。
(更新日 2019/01/17)