みなさん、こんにちは。
富士通ラーニングメディアの広報を担当している東&伊藤です。
今回のブログでは、長年にわたりコミュニティ活動や講演等を通じてMicrosoft製品サービスに関わる技術スキルの普及啓蒙を行っている富士通グループのMicrosoft MVP受賞者たちで、最新技術動向との向き合い方やこれからの学びについて語り合いました。その模様をお届けします。(その2)
福岡:
MS社も年々やることが変わってきています。例えば初心者向けコンテンツです。昔はありませんでした。最近は、MVAなどのオンラインコンテンツも充実してきています。
冨田:
最近ではOSS系の人材も入ってきているそうです。一昨年ほど前は全く状況が異なると思います。
伊藤:
MS社は人材面含め、OSS系に力を入れようとしていると聞きます。Azureもそうですが、クラウドになり、より多くのものとコネクトしていく流れの中での動きでしょうか。
冨田:
当然それもあると思いますが、他にもあります。モノの作り方もどんどん変わっています。例えばAzureですが、Azure用のSDKを開発しますといった時に、GitHubのようなオープンの場で進めました。3年程前だったと思います。ソースコードを公開し、オープンな場で更新作業をする。その動きが徐々にMS社の他プロジェクトにも広がっていったと思います。OSS系の世界でやっていたこと、文化みたいなものを、MS社としてもそうやっていきましょう、というのがあったのではないでしょうか。また、その世界で元々やってきていた人がいれば、その人にもJOINしてもらいたい、というのもあると思います。
福岡:
MS社のCEOが変わられて、Azureのクラウド上でのLinux利用のように、明確にOSS化の流れになっています。トップダウンの形で表明してから、OSS界隈の人たちのMS社に対する関わり方は確実に変わってきていると思います。
変わったなと思って実際に蓋を開けてみると、MS社もOSS的な動きをしているじゃないかといったことが、言葉だけじゃなくて見えてきます。特に今年はOSS界隈の人たち、例えばJavaの人なんかも入ってきていますね。
伊藤:
FLMもAzureの入門教育を3年程前に出しましたが、当時は全くといっていいほど人が来ませんでした。最近はホットだね、ということで8月に再復活をしています。当時は早すぎたのかなと思います。
冨田:
早かったかもしれませんね。ただ、それなりに流行っていたはずです。誰が使っていたかというと、エンタープライズじゃない人たち、例えば、ウェブ系の分析をやっている人でした。2時間程分析作業に必要で、後はいい、という人たちです。そういう人たちがAWSを使い始めました。今、AWSはエンタープライズ側に入ってきていて、エンタープライズ系の人たちを採用しています。感覚的に言うと、5年前のMS社が採りたかった人たちがAWSに入っていっているイメージでしょうか。逆に、5年前にAWSが採りたかった人たちがMS社に入っているイメージかなと思います。
伊藤:
AWSはエンタープライズ系をかなりやっていますね。
冨田:
当時、AWSは相当量やっていますからね。
冨田:
私は基本的にアプリケーションを作りたい派の人間です。アプリケーションが動いてくれればそれでいいのですが、AWSだとは手前の条件が多いです。インスタンス生成からネットワークの外に出すための設定等、多々あります。
柏木:
インフラ周りの作業が多い、というイメージですね。
福岡:
例えるならば、AWSはインフラ屋さんのクラウドです。Azureはアプリ屋さんのクラウド。なので、実は富士通の中ではAWSが好きな人が多いのです。RD工程で始まり、パラメータシートに数値を記入、シート通りにできるのがAWS。設定しようとしたときに設定項目がないのがAzure。Azureはその代わりに、APサーバ、Webサーバというようにサービスとして指定すると、いい形で入ってくれます。インフラ屋さんがいない場合は、Azureを選択するほうが大分作業を減らすことができます。
伊藤:
富士通が好きな理由が良く分かります。基盤大好きですから。
冨田:
やったことがあるからやれる、というのはあるかもしれません。
伊藤:
PaaSレイヤーではどうでしょうか。
冨田:
富士通はPaaSでご飯は食べていないと思います。当社はSI企業ですが、SI企業の保守はというと、運用する、ということです。アプリケーションももちろん否定しませんが、アプリケーションではなくインフラを運用するという仕事がない、ということは手放しで喜べない状況です。
福岡:
Azureの場合は上の層があるので、監視等もある程度やってくれます。もっとちゃんととなると、IaaSとしてVMを構築、Azureっぽくない作業になっていきます。そうなるとAWSでもできます。最終的には実績のある方を選ぶ、というループになってしまいがちです。
FGCP(*)もAとSとありますが、みんなSを使いたがります。見ていると、Sでは規模的に手間が掛りすぎるというものであっても、Sを選ぶこともあります。自分たちの組み立てたインフラの上じゃないと怖いし、バックアップも取りつつ、運用保守フェーズでフォローする流れになってきます。そうはいっても、このあたりはノウハウが溜まりさえすれば、適材適所でインフラに細かな調整が不要でいいならAzureの方でというのも増えてくると思います。
伊藤:
今Azureに力を入れようとしていることは、間違いではないですね。
冨田:
間違いではないと思います。ただ、単純にAzureをやるというのではないと思います。なぜAzureなのか。例えば、皆さんのPCにOfficeのソフトが入っていると思います。Office 365にしません?とか色々あると思います。会社で働いている人すべてを含め、クラウドとどう向き合うかによります。結論として、Azureを活用したほうが楽です。同じことを例えばAWSで仮想デスクトップ、シンクライアント的なやり方もありますが、なぜシンクライアント?という話になります。Officeは場所がどこであれ、OSがAndroid、iOSであっても見たいものです。そうした動きが出来始めたのはここ1年くらいでしょうか。
また、MS社は全世界の人々の生産性の向上に対して責任を持っています。
伊藤:
それはOfficeスタートだからですか?
冨田:
皆さんがOfficeを活用されているということもあります。
福岡:
MS社の新CEOも、MS社はすべての人の生産性を、どんなプラットフォームであっても向上しますと明確に方向性を出しています。開発者に限らず、オフィスワーカーも。OSやプラットフォームといったものは関係ありません。
冨田:
使う側から見ると、例えばiPhone使っている人がWordを見られないという時代ではないですよね。お客様がそうなっているのだから。
福岡:
MS社でプロダクトを作る際、当然Windowsでプレゼンはされるでしょうが、iPhone、Androidでも動くんだよねと当然のように聞かれるそうです。
冨田:
Azureを使ったほうが良いというのは、会社視点で見た場合、特に管理面からも言えます。デバイスの区切りがだんだん分からなくなっています。会社の端末にはActive Directoryが入っていますが、なぜこの手持ちのデバイスまで来てくれないのかということもあります。解決出来るのはMS社だけです。
福岡:
デバイスの管理、紛失時のロック等、トータルソリューションとして見ると、バックボーンはMS社の技術で押さえ、モバイルでクラウド必須となると、Azureを活用する。富士通全体でAzureを活用していないのはすごく勿体無いと思います。
伊藤:
なぜでしょうか。MS技術者を増やそうとしていたと思いますが。
柏木:
出だしはAzureが早かったと思います。後からAWSが入ってきました。
福岡:
富士通の中で、Linux等のOSSをやられている方は、どうしてもMS製品を避けてということが多いのではないでしょうか。90年代とかにMS製品で苦労してOSSにいってあの苦労はなんだったんだという感想をお持ちの方は多いでしょうし。
柏木:
95年といえば、Windows NT 3.51が出たばかりだったと思います。
福岡:
その頃Linuxどうだったんだ、というのはありますが(笑)
世の中の流れとしては、OSSをやっていた人たちは、意外とMS技術を使い始めている。MS社か否かではなく、OSSか否かで選ぶように変わってきている。富士通の中もそのような動きに変わっていくことで、人的リソース、無駄遣い含め、グローバルで勝てるソリューション、SIが出来るんじゃないかと思います。
(2015/09/10)