みなさん、こんにちは。
富士通ラーニングメディアの広報を担当している東&伊藤です。
今回のブログでは、長年にわたりコミュニティ活動や講演等を通じてMicrosoft製品サービスに関わる技術スキルの普及啓蒙を行っている富士通グループのMicrosoft MVP受賞者たちで、最新技術動向との向き合い方やこれからの学びについて語り合いました。その模様をお届けします。(その4)
柏木:
そういう人は日本企業にそぐわない流れの話になっていますが、今後、若手を育成していくうえでの道標というか、その辺りはどうでしょうか。
福岡:
当社の場合、マネジメントラインに行く場合も、まずは技術面から入ります。ある程度技術で突破していくとなると、会社っぽくないかもしれないですが、どう自分自身にコミットするかだと思います。自分がやりたいこと、それを実現するための手段に技術があるという主従関係がポイントです。技術が好きで技術を学ぶという目的では、先に進まないこともあります。技術が廃れる場合もあります。今の目的を達成するためにはこの技術が合致するけれど、新しい技術が出たらそっちに動けるみたいな。そうすることで技術革新にもついていけると思います。
新しいことを学ぶのは楽しい、という意見もあると思います。楽しい理由はさまざまですが、今まで何日間もかけて苦労していたことが、新技術ではたった数時間で出来ましたとあれば、そっちを採用します。私がAWSよりAzureが好きな理由の1つは、より楽ができるからです。
伊藤:
楽が出来るというのはポイントですね。
福岡:
色々な場面で出てくると思います。楽をするために苦労しますと言いますが、それを本当に技術として突き詰めていく流れはそれほど強くないのでは、と思うこともあります。
柏木:
楽をする前に、そこを覚える苦労が絶対にあります。将来の楽を見通すことも難しいです。時間は掛るけど手取り早くを選択する人も多いと思います。
福岡:
それはおそらく、時間というものに対して面倒という評価軸で考えていないのではないかと思います。私は仕事が終われば早く帰りたい派なので(笑)今日の分が終わったら帰りたいという気持ちです。覚えてやってしまった方が、繰り返してやるよりはトータルで終わるのが短いのであれば、覚えます。くり返しやることは飽きると思いますし、ある意味コスト高とも捉えることが出来ます。いかに1回で終わりに出来るか。技術はそっちの方だと思います。
最近流行っているDocker(*)もそうです。1回手元で作ったら後はクラウドに上げて終わり、そうなると楽だよねというスタイルです。下のVMが何で動いているかは関係ないです。VM上でWindowsを上げておけば、コピーして設定も不要。動いていた環境をそのまま移行できます。それも20秒くらいで。
みんなそのような世界を作ろうとしています。そこを追える人っていうのは、くり返しの部分で時間を使うのを嫌がる人じゃないと、そのような技術が出てきたときに同じ楽しさを味わえないと思います。
とはいっても、私も捨てている部分は多々あります。ここはいいやという部分。例えばDocker、概要は知っていますが、触るのは後にしています。大量に同一インフラを作成するような作業とか繰り返し同じインフラを扱うような業務じゃないので、まあ、恩恵にあずかるよりも覚える時間の方がまだ長そうなので(笑)
伊藤:
皆さん最新技術のキャッチアップはどのようにされていますか。もちろん自学自習やコミュニティ参加、勉強会もあると思います。
柏木:
新技術を覚える前段階にモチベーションが必要だと思います。この新技術を知りたい、というところまでいかない人のほうが多いです。今の仕事とは関係ないが覚えたいというモチベーションがまずは大事です。勉強会などでここにいるような熱い人たちと接することでモチベーションが高まります。技術修得は後からついてきます。
伊藤:
皆さん個性もありますね。さまざまな人と出会うことで、自分のキャリアの中でこの人を目指したいという想いも生まれてくるのでしょうか。若手社員もコミュニティに入った方が影響を受けやすいですよね。
柏木:
勉強会に来た時点でその人のモチベーションは高いです。
伊藤:
富士通の新人・若手社員と話をすると、自分のスキルを研鑽するためにコミュニティや勉強会に参加するそうです。当社が講習会化する頃には新技術ではなくなり、今さら感ということにもなりかねません。
冨田:
みんなあまりクラウドを使いたがらない理由としてはそうかもしれません。本がないからです。
伊藤:
英語だから、というのもあるかもしれないですね。
福岡:
本を書く頃には古くなっていることもあります。オンサイト教育として、本としてのタイムラグがない学びが本当は必要かもしれません。
冨田:
コミュニティとしても困ることはあります。入門用の勉強会の需要はあります。個人的にはわかりますが、MS社が会社としてさまざまな入門用コンテンツを提供していますし、ウェブで検索すると色々出てきます。なぜ我々がやるのかといったこともあります。
柏木:
オフのクチがないということですか?本はあるけどオフを好む人。
冨田:
その場合は教育も選択肢としてあると思います。個人的に、その部分にお金を払いたくない、という面もあるのではと思います。そういうのが世の中にはあるというのを拾いにも行ってないのではと思うこともあります。そういうタイプの人には教えるのは難しいし、お互いに時間の無駄にもなってしまいます。
福岡:
コミュニティに求められていることって、技術を教える、技術を啓蒙すること以上に、この技術が楽しい、というのを見せ付ける部分ではないでしょうか。みんなが自分の知らない技術で楽しそうにしているのを見ると、多少なりともやってみようと思うじゃないですか。しかも無料でできるとなると、今日聞いたあのことをやってみようと思います。
子どもの頃を思い返してみてください。他の子どもが遊んでいたことを、わからないなりに輪に入って自分もやっていたと思います。それと同じ流れですね。組織としては作れないし、本やセミナーでは得られない場だと思います。かといってコミュニティに参加すると技術を修得できるかというと、場合によります。
冨田:
勉強会の存在意義は、人前で話すコストをものすごく下げたことだと思います。勉強会に行けばわかりますが、毎回参加していても話さない子もいます。聞くだけではあまり勉強にはならないと思います。
伊藤:
当社の社員も先日、研修会場のラウンジでApache Sparkの勉強会を開いていました。みんな何かしら発言していました。お互いに教えあう、高めあうという印象を受けました。これがコミュニティ、勉強会の姿だなと。若い技術者にも体験してもらい、意見を交換し合う場、そこでお金が取れるかはわかりませんがやってみたいなと思いました。
冨田:
みんな知ってそうだから話さなくていいかなというのがよくありますが、それ私知らないし、というのも多くあります。全然分からないこともあります。それはぜひ話してくださいと言うこともあります。
伊藤:
分の中で整理できていないと話さないこともありますね。10知っていても1しか伝えられないこともあります。
冨田:
その場合は単純で、1をずっとやり続けるのです。1で50分話し続ける。本当は10あるけど今日は1だけ話すよと伝えます。みんなExcuseして話そうとしませんが、つまらなかったらみんな途中で帰りますよ。やってみると意外とみんな帰らないですが(笑)
伊藤:
若い子にそういう話を聞かせたいですね。
冨田:
渋谷のある企業では、若い子の話を年配社員が聞く場があったりしますね。
(2015/09/10)