いま、求められるテストとは?~研修効果を可視化するテスト品質向上~★テストの価値ってなんだろう?

  • テクノロジー

みなさん、こんにちは!

富士通ラーニングメディアで、主に、研修の企画・設計を担当している五十嵐です。
このコラムには、3回目の登場となります。

私は、2011年に半年間、大学などの教育機関や企業が実施する試験問題を管理するシステムを開発・提供しているイギリスのグローバル企業(Z社)にインターンシップで所属し、テスト問題の開発や、評価手法の調査を担当しました。

インターンシップ中の気づきについては、『海外インターンシップ体験記』として、また、帰国後、インターンシップでの経験を活かして取り組んだ、「プロジェクトマネージャの研修における評価とフィードバック」は、『研修効果を向上させる個別評価とフォローアップ』としてご報告させていただきました。
※過去のコラムのURLは、本記事の最後をご参照ください。

今回は、「テスト問題の品質」をテーマにご紹介します。

学生時代の科目テスト、中間・期末テスト、大学入試、さらに各種資格認定など、さまざまなテストを受験されていらっしゃる方も多いと思います。
このように、多様なテストがさまざまな目的を持って、私たちの生活に深く関係しているといえます。

当社では、集合研修やeラーニングを通じて、IT研修やヒューマンスキル研修、新人研修など、各種研修を提供しております。
そして、「研修内容を理解できたかどうか」、「目標に到達できたかどうか」を確認するために、テストを提供しています。

今月は、実践に基づく当社のテスト開発ノウハウと、学術的観点を活用した取り組みの紹介を通し、今、求められているテストについて、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。

<研修効果の可視化がもたらす価値とは?>

人材育成をご担当されているお客様と会話していると、研修効果を「可視化」したい、というご要望をうかがう機会が多く、その期待は、ますます高まっていると感じます。

研修効果の可視化がもたらす価値とは何でしょうか?

まず、受講者本人にもたらされる価値があります。

  • 「何がわかっていないか」「何ができていないか」を可視化でき、復習や改善すべきポイントが明確になり、学習に大いに役立つ。

次に、人材育成担当者・部門長の方には、次のような価値がもたらされます。

  • 研修を実施し、どれだけ知識・スキルを身につけさせることができたか、効果がみえる
  • 新人をレベル分けし、研修を受講させ、各個人のスキルにあった指導ができる
  • 個人の強み弱みを把握し、育成計画に反映できる
  • 他社と比較して、自社の技術者のレベルはどの程度なのか確認できる

このように、様々な立場の方が、研修効果の可視化に価値と必要性を感じています。

<なぜ研修効果の可視化にテストが利用されるか?>

研修効果を可視化する手段は多くあります。

テスト(ペーパー、実技)、アンケート、インタビュー、そして行動観察など様々です。
下図は、研修効果測定の指標とその研修効果を可視化する手段との関係を示しています。

20130307_02.png

その中で、図の赤枠部分で示されている、研修後のテストを活用した研修効果の可視化は、人材育成や研修効果測定でも非常によく活用される手段です。

では、なぜ研修効果の可視化のために、テストがよく活用されるのでしょうか?

下図は、実施・提供にかかるコストと獲得できる情報量を軸にとった、各スキルの可視化ツールの位置づけを表しています。

20130307_03.png

アンケート評価の場合、気づきや育成を促すために活用すると学習効果の向上に効果を発揮します。
しかし、一方では、客観性を持ったデータを取得することは難しくなります。

インタビューや行動観察を活用する方法もあります。
この手法は、観察者が多数であればあるほど、また、熟達したインタビュアや評価者であればあるほど、客観性はより高くなり、一人ひとりに対応した的確な助言をすることができ、育成に非常に効果があります。
しかしながら、運用面の手間やコストは比較的高くなります。

客観的に評価でき、かつ運用面の手間とコストをなるべく抑えたい、と考えた場合、テストを活用したい、というお客様はやはり多いといえます。

ただ、テストを活用する場合には、意識しておくべき点があります。
テストをどのような目的で活用するかにより、問い方や結果の見方に工夫が必要であるという点です。
人材育成担当者の方は、「受講者の平均点数が○○点でよかった!」で満足していませんか?
また、そのテスト問題は受験者が学習目標を満たしていることを確認できる問題になっているか、といった点は意識されていますか?

私たちは、研修効果の可視化を実現するひとつのツールとして、テストの可能性を引き出し、お客様の人材育成に役立つ、価値あるテストを提供するため、テスト品質向上プロジェクトを立ち上げました。

次回は、実践に基づく当社テスト開発ノウハウと学術的観点を活用した、「テストの品質」を高めるための、プロジェクトにおける具体的な活動をご紹介します。

過去に五十嵐が担当したコラム

海外インターンシップ体験記

第1回「グローバル企業で語学よりも重要なこととは?」

(2013/03/07)