みなさん、こんにちは!
富士通ラーニングメディア 新人育成ソリューション室の山内です。
新入社員研修の企画・運営を中心としたコンサルティングを担当しています。
当社は、新入社員の育成に携わるお客様をご支援させていただく「新入社員向け研修サービス」を提供しています。
2012年度は、289社、約5,000名の新人研修を担当させていただくとともに、2012年10月から2013年1月にかけて、「新入社員の育成を考える」セミナーを計12回実施し、新入社員の育成に携わる多くの企業のご担当者の方にお集まりいただきました。
セミナーでは、当社から情報提供に続いて『意見交換会』の時間を設け、それぞれの企業の新入社員育成現場における悩みや課題などをうかがうことができました。
今月は、当社のこれまでの取り組みを踏まえ、新入社員の育成について当社の知見をお話ししてきました。
最終回の今回は、当社の2013年度の新人社員育成専用カリキュラムの特長をお話しします。
これまでにご紹介した、最近の新入社員の特徴をとらえて、大幅な改修を行いました。
みなさんが新入社員研修のプログラムを検討する際や、新入社員を現場に受け入れる際の参考にしていただけたら幸いです。
前回までにお話ししてきた最近の新入社員の傾向や成長に効果を発揮した施策を踏まえ、2013年度に当社が提供する新入社員研修サービスは、カリキュラムが大きく変わります。
2012年度までの新入社員育成専用カリキュラムでは、仕事を推進するHOW TO「ビジネススキル」をITスキルの学習要素とリンクさせ、難易度が上がっていくITスキルの学習のタイミングに合わせて散りばめて配置していました。
この方法では、ITスキルの段階的なステップアップはできますが、ビジネススキルの修得はその多くが中盤以降となり、トライアルもできないままで研修終了を迎えるケースがありました。
実はそれが、配属後の実践で学びを発揮できていなかったという育成ご担当者の悩みとして表れていたのです。
(⇒過去ブログ「最近の新入社員の傾向は?」)
そこで2013年度は、ビジネススキルを研修の初期段階にまとめて修得できるように配置しました。
新入社員は研修期間をめいっぱい使って修得したスキルを反復実践できるようになります。
加えて、ITスキルの研修中は、毎朝「ビジネススキルトレーニング」と称して新入社員にとっての「想定外」のケーススタディに取り組み、粘り強く考えて行動することを習慣化していきます。
このように、ビジネススキルの強化に取り組み、配属時には使いこなせる状態(定着)を目指していきます。
今までの新入社員育成専用カリキュラムは、最初に講義があって、次にロールプレイをしながら身に付けるスタイルで進めていました。
この方法は教わったことをすぐにロールプレイで再現するので、効率よく知識や技術を得ることができます。
ところが「何をしたらよいのか、わからない」という状況はほとんどないため、わかった気になってしまい、わかっていないことに気付きにくい傾向があります。
そこで2013年度は、講師から何の説明もない状況で、まずロールプレイをします。
これは、「指示待ち姿勢からの脱却」や学んでいないことにどう対処をしたらよいか「自分に考える力があることに気づける」ことを狙いとしています。
(⇒過去ブログ「研修内容にひと工夫加えて課題を解決!」)
もちろん、初めてやってみるのですから、失敗するのは当たり前です。講師は最初に、「失敗してもよい」と伝えます。
アルバイト経験豊富な新入社員でも、いざ実践形式のロールプレイに取り組んでみると、多くは「きちんとできない」事実を痛感し、学ぶ必要性に納得します。
ロールプレイで「失敗に慣れる」「失敗から学ぶ」ことを覚えると、「新たな価値(知識やスキル)を獲得できる」という実感となり、新しいことに果敢に挑戦する意欲へとつながっていきます。(ただし、失敗経験を新しい意欲につなげるには、指導者からの十分な支援が不可欠です。
当社の新入社員研修では、事前に本カリキュラムの指導研修を修了した講師を選任しています。)
このように、自身の「わかる」と「できる」の違いを認識する機会を設けることで、社会人としての意識付けを強化する目的も持たせています。
組織にとって「人は財産」ですから、新入社員の育成は最も重要なプロジェクトの1つといえます。
社内での育成を特定の誰かに任せるのではなく、社員全員で担っていく姿勢が重要になります。
その際、留意していただきたいことを2つお話ししましょう。
計画的に新入社員を育成するために、配属前に「育成計画書」を作成しましょう。
新入社員を職場に受け入れてからひと通りの仕事を覚えるまでの各イベントに沿って、トレーナーの役割を確認します。トレーナーが適切な指導や振る舞いができるかどうかが、新入社員の成長にも影響を及ぼします。
また、トレーナーが、不安やトラブルを一人で抱え込まないようにするための仕組みも必要です。
OJTが始まってからもトレーナー仲間の連絡会を定期的に設けたり、上司が状況の把握に努めるなど、トレーナーを支援する体制や仕組みができると、トレーナー育成にも有効です。
現場の社員全員を対象とし、新入社員の受け入れにあたり接し方の認識を合わせて心構えをつくる研修を行います。
先輩社員が新入社員の朝の挨拶に返答できないために、新入社員が挨拶をしなくなってしまった話をよく聞きます。
先輩社員のための研修は「新入社員への指導法を学ぶ場」としてだけでなく、「自分のビジネスマナーについての知識を再確認してもらう場」と位置付けるとよいでしょう。
(過去ブログ「コミュニケーションに注目して課題を解決!」)
最近の新入社員は、ともすると「ゆとり世代」という言葉でひとくくりにされてしまいがちですが、直に接してみると、さまざまな個性を持った若者です。
ひとまとめにするのではなく、個を尊重したコミュニケーションを心がけていただけたら、と思います。
当社の新入社員研修サービスでは、個人の特性やスキルの修得度や今後のアドバイスなどをまとめた「個人カルテ」を提供しています。
新人研修後のご指導にご活用いただけるのではないかと考えています。
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みなさんは、新入社員の受け入れ態勢をどのくらいの周期で見直しますか?
新入社員の時期の教育は、社会人として、また会社の一員としての意識形成にきわめて重要です。
新入社員が育ってきた環境も世の中のニーズも刻々と変わってきています。
さまざまな変化を察知して育成方法や受け入れ態勢を見直していくことは、新入社員に潜在している可能性を引き出し、創発を刺激して成長を促すために必然のことといえるでしょう。
当社では、御社の新入社員育成を全力でサポートいたします。
当社がおすすめする新入社員育成プランはこちらをご覧ください。
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※本シリーズは、今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。
3月の【いま、求められる人材】もどうぞお楽しみに。
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(2013/02/28)