研修効果を向上させる個別評価とフォローアップ★海外でのインターンシップ経験が評価の真の意味を考えるきっかけに

  • 理論・研究

みなさん、こんにちは!富士通ラーニングメディアの五十嵐です。
主に、研修の企画・設計を担当しています。

私は、2011年に半年間、インターンシップでイギリスのグローバル企業(Z社)に所属しました。
Z社は、大学などの教育機関や企業が実施する試験問題を管理するシステムを開発・提供している会社です。
私の担当は、テスト問題の開発や、評価手法の調査でした。

インターンシップ中の気づきについては、昨年12月の【いま、求められる人材】で『海外インターンシップ体験記』としてご報告させていただきました。
※『海外インターンシップ体験記』のURLは本記事の最後をご参照ください。

その後、私は、このインターンシップ経験で得たことを業務に活かしたいという想いから、当社の活動の1つである「プロジェクトマネージャの研修における評価とフィードバック」に取り組みました。
この取り組みのねらいは、「個人に着目した評価とフォローアップによって研修効果を向上させる」ことです。
今月は、この取り組みから得た気づきについてお伝えします(毎週木曜日掲載)。

なお、本取り組みの成果は、論文にまとめ、10月3~5日にハワイで開催されたProMAC(プロジェクトマネジメント学会が主催するプロジェクトマネジメントに関する国際アカデミックカンファレンス)にて発表しました。
本学会の雰囲気などもお伝えしたいと考えています。

<「人を裁くもの?」アセスメントの定義とは>

みなさんは、「アセスメント」を、どのようなものと思っていらっしゃいますか?

昨年インターンシップに行く前の私は、「アセスメントは人を裁くもの」という、どちらかというとネガティブなイメージでとらえていました。
なぜかというと、アセスメントは、大学試験や就職試験において「合格・不合格」を決定づけるもの、つまり、人生を左右するものという印象が強かったからです。

ところが、インターンシップ中にZ社の会長とディスカッションをする中で、このとらえ方が大きく変わりました。
彼から聞いたのは、「アセスメントは、人を裁くものではない。その人がどういう状況にあるか、または、その組織がどういう状況にあるのかを確認し、次の方針を立てるために使うのが正しい活用方法である」ということでした。

この言葉を聞いて、私は会長の考え方を帰国後の業務でも活かしていきたいと強く感じたのです。

<アセスメントを研修のフォローに活かす>

当社では、「受講後や学習中の理解到達度の判定」や「スキル診断」など、アセスメントを取り入れた研修コースを開発しています。しかし、活用方法については、「できる・できない」「理解した・理解していない」を評価するためだけのアセスメントになっていたケースもありました。

せっかくアセスメントがあるのですから、その目的を認識し、意識して活用すれば、研修後のフォローアップがより効果的になるはずです。半年間のインターンシップを終えた私は、「より効果の高いアセスメントにするにはどうしたらよいか」「アセスメントの結果をフォローアップに活かしていくにはどうしたらよいか」ということを日々の業務において考えるようになりました。

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<アセスメントにも種類がある>

もちろん、「できる・できない」「理解した・理解していない」を正確に評価するだけのアセスメントが有効な場合もあります。たとえば、IT関連の一部のコースなどでは、適正に動くプログラムが「組めた・組めなかった」という2つの基準で評価し、「組めなかった人」を「組める人」に変える指導をしていけばよいわけです。

一方で、マネジメントスキルやヒューマンスキルのようなものは、「できる・できない」「理解した・理解していない」という基準では一概に評価しにくいケースにあたります。スキルとしての複雑さに加えて、1人1人の経験や立場・状況によっても、業務内容や期待される役割が大きく異なるため、「これが正しい!」と、一概に言えないからです。

だからこそ、マネジメントスキルやヒューマンスキルのような分野でのアセスメントのあり方を研究し、今後の業務に活かしていきたいと考えたのです。そして、具体的に取り組んだ活動の1つが、「プロジェクトマネージャの研修における評価とフィードバック」です。次回からはこの取り組みについての詳細や気づきについてお伝えします。

※次回は11月8日にお届け予定です。
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五十嵐の『海外インターンシップ体験記』は、こちらでお読みいただけます(2011年12月掲載)。

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第1回:グローバル企業で語学よりも重要なこととは?

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(2012/11/01)