リモートワークで効果的なチーム活動を行うには~DiSC(R)を活用したコミュニケーション

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みなさん、こんにちは!富士通ラーニングメディアの柳(やなぎ)です。
早いもので、もう2023年が終わりますね。皆さんの今年の漢字1文字は何でしょうか。
私の1文字は「学」です。講師という職業柄、常に勉強している感じですが、今年は10年間携わったプロジェクトマネジメントの講師を兼任しつつ、新たにコミュニケーションについても深く学ぶ年になりました。コミュニケーションを改めて深く学んだことで、プロジェクトマネジメントとコミュニケーションの関わり合いを強く実感した次第です。

今回は、職場やチーム活動のコミュニケーションを活性化する取り組みについてご紹介します。リモート環境だけでなく、従来のローカル環境でも活用できる内容となっていますので、是非ご覧ください。

リモート環境でのチーム活動の弊害

コロナ禍を経てリモート勤務が増え、チーム活動が進めにくくなったという声を良く聞きます。
実際に私も講師として登壇する以外は在宅勤務がメインになり、顔を合わせて会話する機会が極端に減りました。人が物理的に集まり周囲の会話が嫌でも耳に入ることで結果的に情報共有されている「浸透型コミュニケーション(Osmotic Communication)」のメリットは大きかったのだなぁと身に染みている今日この頃です。

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リモート環境が増えることで、以下のような苦労をされた方も多いのではないでしょうか。

◆建設的な意見や本音を伝えることができない

相談しやすく失敗が責められない環境ではないと、なかなか本音を言うことは難しく、当たり障りのない会話になってしまいます。当たり障りの無い会話では、現在の複雑な問題(計算で解決できない問題、答えが1つではない問題)に対応することが困難です。

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◆コンフリクト(対立・もめごと)に対して妥協策を選びがちになる

意見の食い違いにおける感情の衝突を避けるために妥協策に落ち着きがちになります。
妥協策はすべての関係者を満足させることが潜在的な欲求であり、お互いに何かを得、何かを諦める対処方法です。妥協策ばかり選ぶと、画期的なアイデアで建設的な解決策を考える機会を逃す恐れがあります。

◆特定の人たちで重要な物事を決めてしまい、他のメンバーが指示待ち状態になる

他の人が忙しそうだからとトップダウンで結果だけを押し付けると、指示の受け手のモチベーションに悪い影響が生じます。協働して作業するチームは、共通の目標をより効果的かつ効率的に達成できるといわれています。特に、複雑な問題解決や重要な意思決定では、関わるメンバー全員で考えることが重要です。

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効果的な協働の実践

このような状況を振り返ると、あらためて「仕事は協働することで達成できる。効果的な協働の実践が大切!」と実感したのではないでしょうか。
協働とは、文字の通りお互いに協力し助け合いながら働くことです。では、協働を実現するには何を行う必要があるでしょうか?

協働するためにまず行うこと

(1)お互いの人となりを知る(価値観、性格など)
(2)チームの方向性を決める(価値観、規範、行動など)
意外とできていないのが「(1)お互いの人となりを知る」なんです。これにより会話の食い違いが生まれ、コミュニケーションがうまくいかないことが多いのです。この 「(1)お互いの人となりを知る」ために活用できるのがEverything DiSC(R)ワークプレイスです。※詳細は後述

価値観は様々

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次に、お互いに助け合い、チームに必要な規範や行動を特定しながら、時間をかけてチームを成長させていきます。

チームに必要な規範や行動をまとめた文書がチーム憲章です。チーム憲章はプロジェクトマネジメントの知識体系であるPMBOK(R)で紹介されているマネジメント文書になりますが、どのようにチーム活動をすれば良いか、共通の理解を持てるので心理的安全の場の構築に役立ちます。

チーム憲章の項目例

  • チームの目標
  • チームの価値観
  • 行動規範
  • 各メンバーの役割と責任
  • コンフリクト解決のプロセス など

このチーム憲章は、メンバー全員の協働作業で作成することが大切です。一部のメンバーやリーダー、マネージャーによって作成されたトップダウンで義務付けられたチーム憲章ではメンバーに当事者意識が芽生えず、チームがパフォーマンスを発揮することは難しくなります。

このブログでチーム憲章について初めて耳にした人もいらっしゃると思いますが、「チーム憲章」といった文書の名称を意識せずに、チームの価値観や行動規範(チーム活動で何を遵守するか)などを共有したことでチーム活動がスムーズに進んだ経験のある人はいらっしゃるのではないでしょうか。

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DiSC(R)とは

DiSC(R)とは、1人ひとりのコミュニケーションスタイルを分析する人材アセスメントツールです。世界で50年、日本で30年の歴史があり、現在では世界中で毎年100万人以上が利用しています。プロジェクト活動だけでなく、通常の職場のコミュニケーションに役立つのがEverything DiSC(R)ワークプレイスのアセスメントです。Everything DiSC(R)ワークプレイスのアセスメントでは、約15分~20分の短い回答時間で約20ページに及ぶプロファイルが作成されるのも大きな魅力です。
人と人の関係性の向上が必要な、あらゆる状況で活用できます。

DiSC(R)の活用シーン

  • 組織づくり
  • プロジェクトでのチームビルディング
  • 部下マネジメント力の向上
  • セールスの顧客対応力強化 
  • 基本的なコミュニケーションの改善 等

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DiSC(R)のコミュニケーションスタイル

DiSC(R)は、D、i、S、Cの4つの基本スタイルからなるシンプルなモデルになっています。Everything DiSC(R)では各基本スタイルをそれぞれ3つに分け全部で12スタイルで構成されます。各スタイルは全て同等の価値を持つもので優劣はありません。異なるスタイルを知ることで、お互いを補完する関係構築に結び付けるなど、効果的なコミュニケーションに役立てることができます。また、自分自身の傾向を改めて認識し、相手が思ったような反応をしなかったときに自省の観点で相手の反応を受け止めることができるようになります。

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Everything DiSC(R) プロファイルの特徴

アセスメント結果として出力されるEverything DiSC(R)プロファイルでは、自身のスタイルが円環グラフ上のドットで表示され、従来のClassic DiSC(R)と比較し自身の傾向が直感的に分かりやすくなりました。中心からの距離にも意味があり、円の淵にドットが近づくほど、そのスタイルの傾向がより顕著に表れていることを示しています。

優先事項(優先的にエネルギーを注ぎ込む活動。価値観)についても円環グラフで示されます。誰でも少なくとも3つの優先事項があります。左の例は4つの優先事項を示しています。斜線で表されているのが追加の優先事項です。

自身のスタイルの特徴や優先事項の他、モチベーション要因、ストレス要因、効果的に働くための対応策、他のスタイルの特徴などが含まれているので「自己認識」「他者理解」「効果的なコミュニケーションに向けての対策」の理解を深めることができます。

Everything DiSC(R) ワークプレイスのアセスメントを体験して

プロファイルを読んだ第一印象は「たった15分のアセスメントでここまで言い当てられるの!?凄い!」でした。もちろん、アセスメントは占いをすることが目的ではないので、プロファイルから自己認識を深めて自己の成長に繋げることが大切です。「ここは当たっていない」と思う記述についても、自分をよく知る人に確認してみると実は気が付いていない傾向だったりして、自身の深い理解に繋げることができました。

私は円の淵にドットがあるDiスタイルで「楽観的でリスクを取り新しいことにチャレンジすることが大好き。スピードを緩めることが苦手」といった傾向があります。思い起こせばスピードを重視するあまり、気が付くと一人で突っ走っていたという経験がありました・・・。周囲が遅いのではなく、自身のスピードが特徴的だったと気が付き、慎重な思考の人に相談しながら意識的にスピードを落とすことで物事がスムーズに進むことが増えました。

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「チーム活動の疑似体験」× 「DiSC(R)(ディスク)」が実践的な学びにつなげます!

今回ご紹介したチーム活動に重要な「お互いを知る」「協働でチーム憲章をつくる」を疑似体験してみませんか?プロジェクトマネジメントにDiSC(R)の要素を盛り込み、チーム活動に関してより実践的な気付きが得られることを目指して研修を開発しました。
リモートワークの関係だけでなく、対面コミュニケーションの環境でも役立つ内容となっています。
是非ご受講をご検討ください。

コースのご紹介

【ライブ】Everything DiSC(R)を活用した多様性のあるチームの構築(アセスメント付き)
コースコード:ULF69R
期間:1日(9時~17時30分)

執筆者プロフィール

柳 晶子(やなぎ しょうこ)

■経歴:1993年4月 富士通株式会社 教育事業部入社(のち富士通ラーニングメディアに分社)
プログラミング、OS等などのIT技術系の講師、eラーニング開発などを経て2013年よりプロジェクトマネジメントの教育を担当。2023年6月よりDiSC(R)とプロジェクトマネジメントの要素を取り入れたコース開発に従事。
■保有資格:DiSC(R)認定講師、PMP、PRINCE2プラクティショナなど
■趣味:料理、旅行、美術館、ヨガ、プランター栽培

(2023/12/21)