ブログをご覧の皆さん、こんにちは。富士通ラーニングメディアでビジネスリーダー育成関連のコースを担当している中村です。今回は、不定期ながら全4回にわたり、「人材面から見た経営課題は?」、「企業が求める"ビジネスリーダー"ってどんな人材?」、そして、「今、各階層の人材にはどんな特徴があるの?」などについて、お客様からの生の声や私がリアルに接した受講者の傾向を交えて語っていきます。
私は講師という仕事柄、多くの企業の経営層、人材育成担当、人事担当、そして現場でOJTを担当されているリーダークラスの方々に、「人材面から見る経営課題」の生の声についてお話を伺う機会が多くあります。そこでみなさまからいただいた貴重なお言葉を一言でまとめると、
「新しいビジネスを、自らが主体となって創り出していく社員がいなくなった。」
でした。その具体的なお話の中には、生々しい現場の病巣がいっぱい。例えば、
「上から言われた仕事だけをそつなくこなす、優等生はたくさんいるんですよね。でも、仕事じゃなくて作業でしょ、それ。」
これは多くの企業から共通的に言われた言葉。さらに「あるある感」満載だったのが、食品関係N社のA氏の言葉。
「新しいビジネスの仮説が立てられない。仮説を立てるのが悪いことだと思っている社員もいる。」
仮説を立てるのが悪いこと? と思った筆者。そのあと、A氏はこう続けました。 「上司からの指示を忠実に守るのが自分の仕事だと思っている"作業屋さん"社員のことですよ。自分が持っている"プロとしての提言"を、"余計な口出し"なのではと思ってしまう。」
なるほど、そういう意味でしたか。さらにA氏は、個人の能力や資質の問題だけではなく、このような指摘もされていました。
「有効な仮説を立てられる社員がいても、言いだしっぺが全てやらされ、その責任まで個人に押し付けるような風潮があると、ただでさえ忙しいのにそんなリスクを背負ってまで新しいことをやろうという気は失せますよね。だから企業風土から改善していかないと・・・」
仕事の仕方の変化に関する話として印象深いのは、サービス業F社のN氏の話。
「昔は、重要度の高い仕事のアイデアって、チームで検討していました。例えば絶対に落としたくない商談の提案書は、サービス提供部門と営業とが一緒になって徹夜で検討していましたよ。かなりしんどかったけど楽しかったですね。たとえ商談が取れなくても、みんなで一体感を味わいながら仕事していました。」
筆者も入社して20数年。バブル崩壊前はそのような検討の場がOJTになっていたのをよく覚えています。先輩方の議論に揉まれて、頭に汗をかきながら成長させていただきました。
「でも今は、一人で仕事をしろって風潮が強くて。そうすると、その個人の能力を超える仕事が生まれないんですよ。」(N氏)
能力の高い"一匹狼"社員がいたとしても、やはり新しいビジネスを切り開いていくには限界があります。SIベンダーR社のI氏は、
「新しいことを検討するためにチームメンバーを集めても、みんなで意見を出しながらシナジーを生み出すという経験が少ない"一匹狼"社員は、チームでのアイデア出しという場をうまく活用できないんですよ。」
チームで検討する文化が一度失われたら、それを取り戻すのは難しいと、筆者も痛感しています。
では、「新しいビジネスを、自らが主体となって創り出していく社員」とはどんな社員なのでしょうか?
それは「有能な一匹狼」ではなく、チームでシナジーを出せる人材。そして泥臭い行動を最後まで覚悟をもって貫き、実践できる人。そんな人材を企業は求めています。私たちはそのような社員を「ビジネスリーダー」と呼ぶことにしました。
お客様の、ビジネスリーダー育成の実務に対して、研修サービスでどんな貢献ができるだろうか? それが私たちの課題だったのです。せっかく研修を受けても、現場に戻ったらその内容を実務で実践しない/できないでは、研修の効果って一体?ってなりますよね。
私たちはその答えの一つとして、「ビジネスリーダーの考動実践ワークショップ1~障壁突破と価値創出~」、「ビジネスリーダーの考動実践ワークショップ2~ビジネス視点拡大と価値創出~」の2コース、そして現場のビジネス創出実務支援をテーマとするサービスの提供を開始しました。
現場のビジネス創出実務支援サービスは、リーダークラスや課長クラスには新商品・サービス創出を、そして部長以上には自分の管轄組織の新規事業創出をテーマに、自分たちが実務で本当に やるべきことを検討していただき、それを通じてビジネスリーダーとしての覚悟と行動に責任を持っていただくのです。
特に、部長以上向けサービスのアウトプットは、もちろん経営層にコミットメントしてもらえるようなものを目指していただきます。 と、ここでこのブログが終わったら、
「なんだ、新サービスの紹介か。」と思われてしまいますね。(笑) なので、次回以降はそのサービスを通じて見られた、リーダー・サブリーダークラス、次世代リーダー・課長クラス、部長クラスの傾向をご紹介しますね。
では、最後に当ブログの名物コーナーのオススメ書籍のご紹介です。
経営戦略全史 三谷宏治(著)
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
ISBN-10: 4799313134
ISBN-13: 978-4799313138
書籍は先達の残した知の財産です。積極的に活用しましょう!
2014年現在、四捨五入すると五十路という事実から目をそむけ続けている。若く見られたい一心で、40歳から 年甲斐もなくインラインスケートのトリックスラロームという X-SPORTに取り組み、今なお現役選手。2013年、 まさかのこのトシで東京国体出場を果たし、第4位にランクイン。 しかし、スケートを滑っているとき以外は体を動かすたびに 「あいたたたた・・・」と口走る、年相応のおっさんである。
(2014/02/20)