みなさん、こんにちは!富士通ラーニングメディアの佐藤です。
主にビジネス・ヒューマンスキル分野の講師を担当しています。
今月は、当社が考える「階層別研修のあり方・考え方」について、私がこれまで携わった階層別研修の事例なども踏まえながら、4回にわたりお届けします(毎週木曜日掲載)。
階層別研修を企画・運営する方や、受講する方、部下を研修に送り出す方など、さまざまな立場の方にお読みいただき、少しでも参考にしていただければ幸いです。
さて、みなさんの職場では、階層別研修をどのような目的で行っていらっしゃいますか?
一般的に「階層別研修」は、自社の階層(課長・リーダー・○○等級・○○職など、企業によって名称は異なります)としてふさわしい人材を育成するための「基礎固め」と位置付けられる重要な研修です。
ところが実際には、
といったように、研修の場が基礎固めとして活かされていない、あるいは形骸化しているケースも多いようです。
1回目となる今回は「階層別研修に対する上司のかかわり方」についてお話しします。
A社の鈴木課長は、部下の遠山さんをリーダーに昇格させたいと思っています。
次の会話を読んで、みなさんはどのように思いますか?
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「立場が人を作る」とよく言われます。これは、未経験の立場(仕事の領域)で試行錯誤しながら、成功体験と失敗体験を積み重ねる中で、多くの気づきを得ながら成長し、その立場にふさわしい人になっていくという意味合いです。
しかし、「未経験の立場(仕事の領域)に踏み込むだけで、自ずと成長していく」ということではありません。
その立場としての役割や、周囲からの期待をしっかり認識(=期待・役割の目的化)し、それに向かって、自分の強みを発揮または弱みを克服(=主体的な能力開発)しながら、さまざまな経験を重ねていくことが必要です。
昇格などで社内の階層が上がる場合には、現場の上司が自らの言葉で、新たな階層における役割と周囲からの期待を伝え、当事者にしっかり認識させることが先決です。
階層別研修の受講に向けて、遠山さんが研修内容について、鈴木課長に質問しています。
次の会話を読んで、みなさんはどのように思いますか?
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階層別研修がその階層における基礎固めをする場であるならば、学習する本人以上に、上司はその内容を熟知しておかなければなりません。
なぜなら、部下が研修受講をきっかけとして、期待や役割に対する主体的な能力開発を行っていくためには、現場業務の中で上司の中期的な支援が必要になるからです。
また、階層別研修は所属部門の業績向上や、受講者本人の弱みの克服といった局所的な問題解決ではなく、組織全体の価値向上といった全社的な課題達成のために行われています。
したがって研修後の育成も、業績成果だけではなく、その階層にふさわしい人材として成長しているか、つまり個の成長が組織にとって価値ある成長につながっているか、という視点に立って支援する必要があります。
なお、ここでは階層別研修に特筆していますが、事例にある登用論文などの、研修以外の施策についても同様のことがいえます。
いずれにしても、上司は、階層別研修の意義や研修後の育成方針について事前に部下と十分にコミュニケーションをとって、お互いに納得したうえで研修へ送り出すことが肝要です。
「とにかく行って来い」では、せっかくの受講機会を活かすことができないのです。
今回は、「階層別研修に対する上司のかかわり方」についてお話ししました。いかがでしたか?
次回は、「階層別研修に対する人材育成部門のかかわり方」についてお伝えします。
※次回は9月13日にお届け予定です。
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(2012/09/06)