第10回:eラーニング最新動向 ~eラーニングの明日はどっちだ!

  • 理論・研究

「熊大通信」は、2010年8月~10月に掲載した記事を、再度お届けするものです。

こんにちは!千葉です。
9月後半のシルバーウィーク、10月10日の体育の日と、連休続きの後はいまひとつ仕事をするペースに戻りきりませんね・・・。
後期からは土曜日の集中講義も始まりますので(eラーニングでの学習や合宿とは別で、何と半期に6日もあります・・・)、今の内に体調を整えて、臨みたいと思います!

さて、今回で『熊大通信』も10回目。
"eラーニング"という言葉自体は1990年頃から使われ出したらしいですが、それから20年経った今、社会人の学びのスタイルや中身自体が大きく変わりつつあります。
そんな中どんなeラーニングが有効だと言われているのか・・・、当社のイチオシコンテンツのご紹介を交えつつ、見て行きたいと思います。

【現代のeラーニングに求められるものとは】

冒頭でも少し触れましたが、"eラーニング"が生まれた1990年頃、当時は「CDROMに入った学習ソフト」や「書籍をPDF化してインターネットに上げたもの」なども"eラーニング"と呼ばれていました。

また、最近まで、或いは今でも多くのコンテンツは、

  • パラパラとページをめくっていく「紙芝居型」
  • 講師がしゃべっている動画が中心の「動画型」
  • 衛星放送を用いたリアルタイム講義を行う「同期型」

などが主流です。

ではこれらが良くないコンテンツかというとそんな事はなく、これはこれで使い方によってはとても便利です。
例えば、10,000人の社員に法令順守の為の教育をする場合の「紙芝居型」は、学習効果はともかく、低コストで効率よく"全社一斉教育"という目的を達成できますし、
千葉の所属する熊本大学教授システム学専攻で先日行われた遠隔講義は遠隔会議システムを用いた「同期型」でしたが、リアルタイムに東京・熊本・名古屋を繋ぎ、質問がいつでもできる仕組みが確立されており、集合研修と変わりませんでした。

ただ、昨今のユーザーニーズ多様化の波は教育業界にも押し寄せており、上記のような「効率が良い」「集合研修と変わらない」というだけでは、社会人はもう満足できないんです。

例えばどんな新しいニーズがあるかというと、以下のようなものが主ですね。

<今後のeラーニング動向>

  1. 問題解決型になる
    知識習得ではなく、パフォーマンスに直結する業務や生活の問題解決が主に。
  2. 教科書にない知識が得られる
    書籍や教科書など、他のメディアでも得られにくい知識が習得できるように。
  3. コミュニティ・オブ・プラクティス型になる
    あるテーマに関する知識や技能を、継続的に交流しながら相互習得する、コミュニティ・オブ・プラクティス(実践的コミュニティ)型になる。
  4. ナレッジマネジメントとの融合が進む
    先人の暗黙知を貯め、活用できる仕組みナレッジマネジメントの仕組みが取り入れられる。
  5. コンテンツだけでなくコンテキストを学べるようになる
    成果(コンテンツ)から経緯(コンテキスト)重視の学習になる。
  6. コラボレーションツール(WikiやBlogなど)が使われるようになる
    Web2.0のコミュニケーション促進ツールが活用されるようになる。
  7. 検索エンジンが大きな役割を果たす
    4.で貯めた暗黙知を迅速に探し出す仕組み、検索エンジンが重要視され始める。
  8. 管理型学習と非管理型学習にハッキリ分かれる
    人事部や人材開発担当者が進捗管理をする管理型学習と、自主的かつ主体的に学習する非管理型学習に学びが二分される。

※「eラーニング活用ガイド」(日本イーラーニングコンソーシアム)を参考にして作成。

この表からは「実務や生活など即日活用できる」「eラーニングでしか得られないもの(知識・気付き・人間関係など)を」「より効率的に」得たいというニーズが読み取れると思います。

【実際、どんなコンテンツが開発されてるのか】

こういった流れを受け、eラーニングベンダーは新しい学習の仕組みに日々頭を悩ませています。
当社でも幾つか面白いコンテンツを開発していますので、上記を取り入れるとどんなものが出来上がるかの例として、簡単にご紹介したいと思います。

体験型eラーニング ~失敗しながら学ぶプロジェクトマネジメント~

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ITプロジェクトのマネージャになって、疑似体験をするコンテンツです。
私も(学生として演習課題で)全編体験しましたが、ストーリーが作り込まれているので、アドベンチャーゲームのような感覚で楽しんで工程体験ができました。
また、自分の行動でプロジェクトが大成功したり、頓挫しかけたりする辺りも面白いですね。

ビジネスメールスキルアップ研修 ~E-mail環境だけで学べる文章力研修~(UAP03D)

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eメール環境だけで学べるビジネスメールのスキルアップコンテンツです。
4,725円(2010/10現在・税込)というお値段もあってか、お客様にもとても好評です。
当社の新人も受講していたのでメールを見せて貰いましたが、「社内イベントの参加呼びかけ」や「業務成果のアピール」といった新人さんにありがちなものから、「お客様へのお詫び」「上司への依頼」などといった業務で即使えるメールを実際作ってみる事ができ、多くの気付きがあるようです。

「超上級PMから学ぶ!目からウロコのプロジェクト疑似体験 ~リスク編~」

このコース自体はプロジェクトマネジメント熟練者向けの最上級レベルの集合研修ですが、受講後にWebコミュニティによる情報提供や受講者同士の交流の仕組みが付いています。
こういった仕組みを上手く使っていただくことにより、研修時間内だけで終わらない学習と気付きの機会を作ることができます。

これらはいずれもここ数年で開発したもので、前述の表"今後のeラーニング動向"の要素を少なからず取り入れたコンテンツであることがお読み取り頂けると思います。
こういった新しい学習の仕組みを取り入れたコンテンツで、楽しく、より効率的に実用的な学習をして頂ければ幸いです。
なお、この辺の情報は当社ホームページでも随時発信しておりますので、宜しければちょくちょく覗いてやってくださいませ。

最後に突然ですが、ちょっと悲しいお知らせです。
ご好評を頂き連載しておりました熊大通信ですが、佐藤・千葉の後期日程が開始した事もあり、次回で一旦の区切りとさせて頂くこととなりました。
最終回の11回目では、これまでの総まとめをお送りして、定期刊行の区切りとしたいと思います。
最後までお付き合いの程、宜しくお願い致します♪

(2010/10/19)