「熊大通信」は、2010年8月~10月に掲載した記事を、再度お届けするものです。
こんにちは!千葉です。
おかげさまで無事、修士課程1年前期の全科目課題提出を終え、つかの間の夏休みを堪能しております。
9/25(土)~26(日)には熊本で教授システム学専攻の合宿があり、その後は後期日程が始まりますので、あと1週間強なのが残念ですが・・。
さて、『熊大通信』6回目の今回は「どうしたらみんながeラーニングを活用してくれると思いますか?」というお題について、ご一緒に考えていただければと思います。
第4回の最後でお話した通り、意外とeラーニングを導入したものの、当初の目的である「研修の効率化」「受講終了率の向上」などを満たすのは簡単ではありません。
どうしたらeラーニングを活用してくれるかを考えるためには、当然「eラーニングを活用して貰うために必要な工夫は何か」を考えなければいけません。
もし、同僚や上司にそう聞かれたらあなたなら何て答えますか?
「進捗を定期的に監視して、進みの遅い受講者のフォローが大事だよね」
「便利なシステムを用意するだけじゃみんな使わないから、サポートデスクが必要かもなあ」
「コンテンツのデキが良いことが一番!いろんなコンテンツがあるとなお良いな...」
などなど、色々思いつかれることはあると思います。
でも、なかなかeラーニング活用に必要なことを網羅するのは難しいですよね・・・。
また、仮に必要なことを作業項目単位で分け、網羅できたとしても、"誰が"・"何を"・"どれだけ"やるべきなのかを定めるのがまた一苦労です。
一般的な会社組織を想像いただくとイメージが付きやすいと思いますが、部長、課長、担当は、それぞれ役割が大きく違いますよね。
例えば、私は営業担当ですので、普段は各種ご提案や案件の手配などを行っていますが、営業部長は部全体統括と売上・損益の管理、営業課長は各担当のフォローや指導、各種手配・受注の確認と承認、担当の手には余る難しい案件の担当などをしています。
営業担当間でも、業種(製造系・流通系など)や商品区分(研修・ドキュメント・パソコン教室など)で大きく業務が異なっています。
役割分担や担当が決まっていると、自分が取り扱えない仕事(お客様や商品)が出てきてしまう一方、"何をやれば良いのか"・"どれだけやれば良いのか"が明確になり、余計な迷いを持つこと無く、職務を全うし、成果を上げることができるのです。
これは当社営業部門の例ですが、eラーニング導入や運営にも同じ事が言えるでしょう。
そうしたことを考える上で非常に役立つのが、デジタルラーニング・コンソーシアム(DLC)(旧:日本イーラーニングコンソシアム)が認定・運用しているeラーニングプロフェッショナル(eLP)資格制度。
今回は資格制度そのものの話は省きますが、eラーニング活用に必要なことを網羅して、役割分担や担当を定義するときには有効なフレームワークであると思います。
※ DLCホームページ「eLP資格制度とは」より引用
今回、特に注目頂きたいのは下から二段目の7つの資格です。
これらにの資格については、eラーニング導入から運用までの各フェーズで、それぞれの資格者が何をすべきかが以下のように明確に定義されています。
※ DLCホームページ「eLP資格制度とは」 より引用
上記の表を見れば、 "誰が"・"何を"・"どれだけ"やれば良いかが、一目瞭然ですね!
加えて、結構ベンダに任せられる部分や、分担できる部分があることもお判りになると思います。
また、「各フェーズでやることが書いてあるけど、これだけ読んでも何だか良く判らない」という方は、eLPベーシックのeラーニングコースを受講してみるのも1つの手です。
実は熊本大学大学院教授システム学専攻の講義でも、同等の内容を学びましたが、事例分析を通して広くeラーニングのことが判り、大変勉強になりました。
「みんなにeラーニングを活用してもらう」為の方策をイチから考えるのは骨の折れる作業ですし、役割分担無しに1人で抱え込むには、現実的にかなり重たい話です。
こういったツールを上手く使いながら、効率的にeラーニングの活用促進を進めると良いでしょう。
次回はID(インストラクショナル・デザイン)における学習設計の柱となる学習目標について、目標の立て方と評価方法についてご紹介する予定です。お楽しみに★
(2010/09/21)