みなさん、こんにちは。
富士通ラーニングメディアのグローバル研修の企画・実施~運営を担当している石橋と、国内研修の企画・開発・実施を担当している塙です。
今年もATD ICEの季節がやってまいりました。ATD ICEとは、Association for Talent Development International Conference & Expositionの略称で人材開発に関する世界最大の会議&展示会として知られています。毎年5月にアメリカで行われ、2015年は5月17日(日)~5月20日(水)にフロリダ州オーランドのOrange County Convention Centerで開催されました。
当社では、毎年ATD ICEに参加することで研修や人材開発の最新トレンドをチェックしています。今年は幸運にも我々が任命され、参加の運びとなりました。
石橋&塙がATD ICEで見てきたこと、感じたことを3回にわたりお伝えしています。
2回目は、ATDの教育セッションの中で、注目セッションから感じた人材開発のトレンド「ラーニングテクノロジー」と「インストラクショナル・デザイン」の活用ポイント・活用事例をご紹介します。
14カテゴリに分けられたセッションの中で、注目セッションとして「ラーニングテクノロジー」と「インストラクショナル・デザイン」を取り上げます。
ラーニングテクノロジーのセッション数は43セッションと2014年度の36セッションに比べて増加傾向となり、モバイルラーニング、ソーシャルラーニング、バーチャルトレーニングといったキーワードが目立ちました。特徴としては各テクノロジーの活用ポイントや活用事例を紹介するセッションが多かったことです。この傾向は、以前は新しいキーワードとして紹介されていたテクノロジーの実用化が始まったことの現れであると考えます。
たとえば、モバイルラーニングは「短時間でお手軽に学べるコンテンツ」や「気軽なコーチング」としての利用が適しているといった報告がありました。
一方で、ソーシャルラーニングについては普及が進んでいないのが現状ですが、今後はSNSを日常的に利用しているジェネレーションZ(1990年代前後~2000年代終盤に生まれた世代)の台頭によって、今後の普及が期待されています。そのため、ソーシャルラーニングの活用についても引き続き注目する必要がありそうです。
ラーニングテクノロジーの進歩により、学習環境が大きく変わろうとしています。その中で何が学習者にとって最適なのかを考えていくことが重要になると考えます。
もう1つの注目セッションはインストラクショナル・デザインです。インストラクショナル・デザイン自体は以前からあるキーワードですが、 テクノロジーの進歩で様々な学習環境が提供できるようになったからこそ、改めて学習デザインの重要性が見直されているようです。
インストラクショナル・デザインのセッションでは、今年からよく聞くようになった言葉として、「ストーリーテリング」「グラフィックデザイン」「バーチャルシミュレーション」が挙げられます。どれもやや芸術的なアプローチで、まだベストプラクティスなどには至っていませんが、今後のインストラクショナル・デザインのキーワードとなりそうです。
また、現場での活用を促す手法となる「転移」を考慮した学習デザインが標準的となっていることも印象的でした。「研修後に学んだことをどう活用するか(How)」に着目し、学習内容を振り返る内省(リフレクション)やトレーニング実施後に学習内容の再提示(リマインド)のプロセスを組み込むことで、学習者の行動変容を促すことに繋げることが重要であるとの提言でした。学習環境が多様化する中で、改めて学習効果に焦点をあてることの重要性を感じました。
教育セッションの様子
次回は、ATDの企業展示から見えた世界的に共通する人材開発サービスの傾向などをご紹介します。どうぞお楽しみに!
グローバルラーニングサービス部 石橋 宏路(いしばし ひろみち)
英語によるIT・ヒューマンスキル研修の実施など、国内や国外向けのグローバル案件の企画~実施、運営まで幅広く担当しています。
趣味は旅行でこれまでに国内外含めて色々なところに行きましたが、日本でのお気に入りは常駐経験もある沖縄です。
西日本ソリューション部 塙 陸一郎(はなわ りゅういちろう)
主に国内研修の企画・開発・実施を担当しています。現在は、Windows関連コースを中心に、データベース関連コース、ITサービスマネジメント関連コース、ビッグデータ関連コースを中心に担当しています。
遠い昔に、修士課程にて、教育工学(主にeラーニングやインストラクショナル・デザイン)や教育心理学を専門とする教授のもとにいました。
(2015/06/25)