Amazon Web Servicesってどんなことができるの?~クラウド講師が語るAWSのメリットとは~

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ブログをご覧のみなさん、こんにちは。富士通ラーニングメディアの見越(みこし)と申します。Amazon Web Services(以下AWS)やVMwareの認定講師として、クラウドや仮想化研修を担当しています。

みなさんは、オンラインショッピングを利用したことはありますか。書籍を買うときにAmazonを使うという方は多いと思います。本だけではなく、家電、食品などを購入するという方も多いですね。
今回は、Amazon社が提供するクラウドサービスで、高いシェアを誇るAWSについて、そのメリットやどういうことに向いているのかなどをご紹介します。

クラウドってそもそも何、というおさらいから

クラウドについては、既にご存知の方やご使用の方も多いと思います。クラウド(Cloud)は雲を意味する英単語ですが、IT用語としては手元のパソコンやサーバ、スマートフォンなどのローカル環境ではなく、ネットワーク(特にインターネット)越しに別の場所にあるコンピュータ資源をサービスとして提供する形式のことを指します。
たとえば、自社内にWebサイトを構築する場合、ピーク時のアクセス数などを考慮し、机上で計算などを行い、ハードウェアの選定をする、もしくはスケーラビリティを考慮した設計を行います。そうした設計などに時間をかけているうちにシステムのカットオーバーは遅れ、ビジネスや情報発信の機会を損失してしまうかもしれません。
しかし、クラウドであれば、プログラムを修正するかのごとく、わずか数分でインターネットの向こうにあるサーバを大量に用意できます。また、基本的にはクラウドサービスは従量課金制ですので、不要になったサーバリソースを解放することでコストを抑えることもできます。また、クラウドで提供される部分(ハードウェアやデータセンター内のネットワーク、場合によってはOSなど)は、利用者側で管理する必要がありませんので、管理費用面でもコストメリットがあります。

Amazon Web Services ってなに?

Amazon社は世界最大級のオンライン小売事業者として知られていますが、データセンターやサーバ群の管理システムなどは基本的に自社で構築・運用しており、これをWebサービス展開のインフラとして他社に貸し出したのがAWSの始まりです。
AWSは2006年からサービス提供を開始し、世界190か国以上の地域で100万人を超えるユーザーが利用しています。日本でも2万人を超えるユーザーが利用しており、政府機関や教育機関にも幅広く普及しています。世界11箇所にデータセンターがあり、日本には2011年3月に、東京リージョン(データセンター群)が開設されました。東日本大震災の数日前にオープンし、震災時には多数の自治体、公共団体、学校、支援サイトなどの増強や移行に用いられました。IaaS市場で大きなシェアを占めているのも頷けます。

AWSはどういうことをするのに向いている?

AWSの特徴として、非常に低額な従量課金が挙げられます。たとえば、画像とHTMLファイルを中心としたWebサイトなら、月額10円からWebサーバを利用することができます。これにより、ITインフラ導入に必要なイニシャルコストを、ビジネス拡大にあわせた低額な変動費に移行できます。クラウドの使用によって、企業は数ヵ月前からサーバなどのITインフラを計画・調達する必要がなく、必要なタイミングで即座に何百・何千もの高性能なサーバを展開できます。
また多くのマネージドサービスも特徴の1つです。マネージドサービスとは、サービスの利用に必要な機器などの運用や管理、導入に必要な機器の設置や設定なども一体となって提供されるサービスのことです。IaaSにおいてシステム基盤部分をクラウドベンダーが運用・管理することは当然ですが、AWSでは例えば、データベースサービスの1つであるAmazon RDS(Relational Database Service)では、データベースのバックアップの自動取得や、高度な技術が必要となるデータベースの冗長構成(自動レプリケーション+自動フェールオーバー構成)も全てAWS側で対応してくれます。これにより、ITインフラを運用管理するリソースも大幅に削減できます。企業は、ビジネスのコアコンピタンス(競合他社に真似できない核となる能力)が発揮できる部分に、資金や技術、人材などのリソースを集中できるようになります。

AWSのメリット

AWSには多くのメリットがあり、AWSを活用することでビジネススピードの改善や今までできなかったサービスの提供などができるようになります。AWSのメリットを簡単にまとめます。

低コスト

AWS は、従量課金制で低価格に設定されており、先行投資費用や長期的な契約は必要ありません。AWSのグローバルインフラストラクチャを規模に応じて構築・管理し、それを低価格で利用することができます。

俊敏で伸縮自在

AWS は、セルフサービスなインフラストラクチャとして提供されており、利用者によって迅速に検証、展開、修正が可能となります。ハードウェアを数週間も数ヵ月も待たなくても、即座に新しいアプリケーションを展開し、負荷の増加に応じて瞬時に拡張したり、需要に基づいて迅速に縮小したりすることができます。

オープンで柔軟

AWS は、OSや開発言語に依存しないプラットフォームです。利用者のビジネスにとって最も理にかなっているものを選択できます。利用者はインフラストラクチャに気を取られることなく、技術革新に集中することができます。

安全

AWS は、PCI DSS レベル 1、ISO 27001、FISMA Moderate、FedRAMP、HIPAA、SOC 1および SOC 2 監査報告書など、業界が認める資格を持ち、監査に合格しています。国内でも、ソニー銀行株式会社をはじめとした金融業界でもAWSの採用が進んでおり、「金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準」に対する AWSの対応状況リストも提供されています。

AWSを使うためには、どういうスキルが必要?

AWSが提供するサービスは現在40種類以上あり非常に多岐にわたります。AWSを効果的に活用するには、ITインフラの構築・運用経験、RDBMSの知識、Webシステムの構築・運用経験、クラウドコンピューティングの知識など、幅広い知識とスキルが必要です。また、クラウド環境の運用・管理には、クラウドベンダーから提供されているAPIを利用して独自ツールを作成することも多く、APIの活用スキルもあるとよいです。

インフラサービス

仮想サーバ、データベース、ストレージ、ネットワーク など

アプリケーションサービス

メール配信、通知、キュー、検索 など

マネージメントサービス

リソース監視、ユーザ管理、モニタリング など

コース紹介

AWSを効果的に活用するには、幅広いスキルが必要となりますが、実際は、上記スキルをすべて習得している方はそう多くないと思います。まずは、AWSを体験し、使用できそうと感じたサービスを導入していくことがAWS活用の第一歩です。そこで、1日で学ぶコースをおすすめします。

AWS認定コース

~一日で学ぶ、AWSクラウド活用編~
Amazon Web Services(AWS)をこれから使い始めるという方に最適!
ハンズオンを通じて、基本的な多層構成Web アプリケーションシステムの構築を行いながら、AWSの主要サービスである、Elastic Load Balancing (ELB)、Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)、Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)、Amazon Relational Database Service(Amazon RDS)の基本機能を学習します。
AWS上でのベストプラクティスなアーキテクチャーの構築を体験し、受講後、AWS上でシステムを設計、検証、構築が行える実践的なコースです。

~AWSクラウドのサービス実践編~
「Amazon Web Services(AWS)実践入門1」を修了後、さらに多くのAWSのサービスや実践的な利用方法を学習したい方に最適!
ハンズオンを通じて、Amazon CloudWatch、Auto Scaling、Amazon Cloud Front、Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)、 Amazon Elastic Block Store (Amazon EBS)、Amazon Glacierの 基本機能および高度な機能を学習します。
さらに、AWSならではの実践的なシステム構築、AWSのベストプラクティスに基づいたアーキテクチャーパターンを学習します。

AWS認定コースで構築するシステム構成パターン

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おすすめWebサイト

講師おすすめWebサイトです。

AWS クラウドサービス活用資料集

<<http://aws.amazon.com/jp/aws-jp-introduction/>>

各サービスの資料がSlideshareで共有されていますので、みなさんも是非ご活用ください。

AWSクラウドデザインパターン

<<http://aws.clouddesignpattern.org/index.php/メインページ>>

AWSクラウドデザインパターンとは、AWSクラウドを使ったシステムアーキテクチャ設計を行う際に発生する、典型的な問題とそれに対する解決策・設計方法を、分かりやすく分類して、ノウハウとして利用できるように整理したものです。AWSを利用するにあたり、是非チェックして頂きたいです。

講習会で皆様とお会いできることを楽しみにしております!

見越 孝介(みこし こうすけ) 

AWSやVMwareの認定講師としてクラウド関連コース(AWS、FUJITSU Cloud IaaS Trusted Public S5など)、仮想化関連コース(VMwareなど)を担当しています。
現在当社では、講習会の実習環境の一部をクラウド環境で提供しています、そのクラウド実習環境の設計から構築・運用も担当しています(実習環境構築の舞台裏は関連コラムで紹介しています)。クラウド環境の運用にはネットワークからサーバ、OS、アプリと幅広い知識が必要となるため、各レイヤのプロフェッショナルである先輩を捕まえてはスキルを盗み、日々成長している・・・つもりです。

(2015/04/09)