ブログをご覧の皆様、こんにちは。富士通ラーニングメディアの見越(みこし)と申します。VMwareの認定講師として、仮想化やクラウド研修を担当しています。
手前味噌になりますが、当社の講習会の実習環境の一部をクラウド環境で構築しており、4月1日現在32コースをご提供しています。この環境を安心して使っていただくために、しっかりと計算された負荷テストを行い、安定した品質管理を行っています。また、実習環境のセットアップ漏れやオペレーションミスを防止するために、運用自動化の仕組みをクラウド、仮想化担当講師を中心に自前で構築しています。まさに活きた素材です!
今回は、そんな自慢の実習環境クラウド化を支える基盤構築作業の舞台裏について、ご紹介いたします。クラウド環境の構築作業について、研修でもご紹介している「クラウド導入のステップ」を参考にしながら私たちも環境を構築していきました。是非皆さんも参考にしてくださいね。
さて、基盤構築の舞台裏についてお話する前に、実習環境クラウド化の背景や構成について簡単にお話ししておきましょう。
お客様から、ITトレンドであるビッグデータやサーバ仮想化などの講習会を「自社会場や地方でも開催してほしい」というご要望をいただいておりました。このような分野のコース実習環境をクラウド上でご提供することで、お客様自身で高スペックなPCをご用意いただくことなく、コースをご提供できるようになり、お客様の利便性が向上しました。
当社の実習環境は、プライベートクラウドとパブリッククラウドの両方を使用しています。プライベートクラウドはVMware社のvSphereをベースにクラウド基盤を構築しています。パブリッククラウドでは、富士通のクラウドサービスであるFUJITSU Cloud IaaS Trusted Public S5を使用しています。コース内容に最も適したクラウド(プライベート/パブリック)上で実習環境をご提供します。こうした構成にするまで、色々な検討やテストを重ねて運用品質などを議論しました。
さて、こうした環境を作っていくには、単純にクラウド化するというわけではなく、それ以外にも意識しておかなければならない事が沢山あるのです。
それでは、本題に戻って舞台裏を4ステップでご紹介しますね。
実習環境クラウド化サービスをご提供するに当たり、まずは仮想化の導入を行いました。30近くある研修カテゴリ(仮想化、最新テクノロジー、言語、Webアプリケーション、データベースなど)の中から代表コースを選定し、部分的に導入し効果を確認することから始めました。
そして徐々に対象コースを拡充しつつ、リソース利用の効率化や運用管理の効率化を目指しました。特定のカテゴリによらない、全体的な視点での効率化を行うには、標準化が必要です。例えば、実習環境セットアップの標準化として、パターンを2つに絞りました。
1つは今までと同様に、実施日前日にマシンを展開するパターン(仮想マシンのテンプレート機能を使用)、もう1つが実習環境をクラウド上に常設し再利用するパターンです(仮想マシンのスナップショット機能を使用)。
このように共通インフラ基盤の運用を標準化するための運用ルールとフローの策定を推し進めることで、日々の実習環境セットアップや新規コース開発用マシンの準備、実習環境のイメージ取得などの運用管理を一元化し、共通インフラ基盤を共有して効率的に利用できるようにしました。
さらに、仮想マシン作成の自動化や、利用者に対しての操作権限の委譲により、管理者の負荷を削減するプライベートクラウドの構築を進めました。Step2.標準化にて、実習環境(マシンスペック)のタイプも4つに絞り、仮想マシン作成の自動化を実現しました。
ここまでの作業はほぼ予定通りに進めることができました。自動化がある程度実現できたタイミングで、実習環境としてサービスの提供もはじめさせていただきました。そして、クラウド実習環境のサービス化と合わせて、新たなサービスの基盤としても利用されることになりました。
(1)クラウド実習環境 × サテライト講習会
その1つが「サテライト講習会」です。サテライト講習会とは、当社講習会をインターネットを介してライブ配信し、同時に複数の地方会場から受講していただくサービスです。これまでの課題として、実機演習のあるコースはお客様先に実習環境の配備が難しいことから当社の地方会場のみの開催となっておりました。そこで、このクラウド実習環境と組み合わせて利用できないかと話になり、新たなサービスを検討しはじめました。
既存のサービスと組み合わせるだけとはいえ、一筋縄ではいきませんでした。元々サテライト講習会では、「受講される方のマシンをモニタリングして、トラブル時に講師が対応できる」仕組みとして、地方会場のマシンに監視ソフトウェアを入れておりました。この仕組みをお客様環境でも実現するのに非常に苦労しましたが、成功させることが出来ました。
(2)クラウド実習環境 × トレーニングジム
[2013年10月24日]掲載の人材育成最前線ブログの記事、【新入社員研修の新しいカタチ~学習効果を高める育成方法~】にてご紹介させていただきました「トレーニングジム」も、クラウド実習環境を利用した当社サービスの1つです。「トレーニングジム」とは、好きなタイミングで好きな部分を鍛える、スポーツジムのようなサービスです。
当初クラウド実習環境は「講習会の時間の間のみ使用する」ことを想定して設計されていました。しかし、このトレーニングジムではお客様の好きな時に使用できるようにする必要があるため、運用ルールの見直しを行い、某お客様ではおよそ2か月もの間フル稼働!を実現しました。
この他にも、いくつかのサービスでクラウド実習環境を利用していますが、クラウド実習環境の利活用にはまだまだ伸び代があると考えています。次の「クラウド実習環境 × ???」をぜひ皆さんも一緒に考えましょう!「こういう使い方ができないか?」といったアイディアがありましたら是非教えてくださいね。
また、当社でも仮想化やクラウドのコースを多数扱っています。
そして、ブログでも登場したパブリッククラウドのコース
講習会で皆様とお会いできることを楽しみにしております。
それでは、最後に当ブログの名物コーナーであるオススメ書籍のご紹介です。
クラウドと直接関係ありませんが、クラウドを支える重要な要素の一つであるストレージについて詳しく説明されています。
Linux、ストレージ、VMware製品などシステム基盤コースを担当。講師でありながらサーバ室で作業することが多く、富士通の作業着にあこがれている様子。
VMware View学習のために自宅に購入したPRIMERGY TX300が割と幅を取るということに、いまさらながら気づき始めました。
(2014/04/10)