こんにちは!富士通ラーニングメディアの宮田です。
私は、コンサルタントとして、企業の人材育成や組織活性化に関するご相談を受けたり、ICTを活用した新しい学びの場のデザインや教材の開発指揮を行ったりしています。
本日より4回にわたり、「自ら考え、気づいて学ぶ『新ラーニングモデル』」をテーマにお届けします(毎週木曜日掲載)。
1回目となる今回は、eラーニングの課題と、課題に対する当社の挑戦についてお話しします。
インターネットを通じて学べるeラーニングは、場所や時間に縛られることなく、いつでも、どこでも学べるという特徴があります。
短期間に多くの従業員を教育したいというニーズに適しており、さまざまな企業で採用されています。
一方で、多くの方から、
「eラーニングは、達成感はあるが、身に付いた感じがしない」
「eラーニングの受講を終えた部下に、どのようなことを学んだのか質問しても、きちんとした答えが返ってこないことが多い」
などの声を、よく伺います。
eラーニングには、どのような課題があるのでしょうか。
eラーニングの現状について、当社では以下のような課題があると考えます。
eラーニングは、知識修得型が主流です。
たくさんの知識を得ても、「なぜその知識を学ぶのか?」「得た知識をどう使うのか?」「学んだことにより、自分がどう変わるのか?」「知識を活かして、具体的に何をしたらよいのか?」といった疑問が残ることが多いようです。
実践での活かし方が分からない、という課題が見えてきます。
多くのeラーニングは、コンテンツや講義映像をインターネット上で閲覧するスタイルです。
受講者は、講義内容を一方的に受け取るだけで、疑問がわいても、その場で講師に質問することができません。
質問を受け付けるフォローアップの仕組みを備えている場合もありますが、回答を得られるまでに「時間がかかる」ことが多いです。
双方向性がないという課題が浮かび上がってきます。
集合研修の場合は、他の受講者の意見や気づきが、自分の学習内容を広げたり、深めたりするきっかけになります。
ところが、一人で受講するスタイルのeラーニングでは、他の受講者の意見や気づきを得る機会がないため、学習内容の広がりや、深まりが期待できません。
一般的なeラーニングは、すべての受講者に、同じコンテンツや講義映像が配信されます。
集合研修なら、講師は、受講者の表情から理解度を探り、講義内容の調整が可能です。
ところが、従来のeラーニングでは、講師による臨機応変な対応ができないというデメリットがあります。
eラーニングというひとつの学びの中に「自分ごとに落とし込んで考える場」や、「学んだ知識を使い、体験する場」を設けることによって、学びから実践までの流れを作ることが重要です。
そして、これからのeラーニングには、自分で考えるだけでなく、みんなで考える協調学習や、コミュニケーション学習の要素を取り入れた新しい学びのデザインが必要だと考えました。
このような現状を踏まえ、当社は、新しいスタイルの教材開発に挑戦することにしました。
完成したのが、今回、具体的事例としてご紹介する「クラウド時代の仕事の捉え方 あなたにできることは」というタイトルのeラーニング教材です。
本教材を開発するにあたり、留意したのは、以下の3つの要素です。
本教材は、現在までに、富士通のコーポレート部門など、複数の企業で取り入れられています。
受講者からは、
「今までと同じeラーニングだと思って、気楽に聞いていたら、全く違うスタイルだったので、あわてました」
「自分のこととして、考えざるを得ない場面が多く、頭に汗をかいた感じです。よい意味で、疲れました」
といった声が聞かれ、そのインパクトは、当社が予想をしていた以上のものとなりました。
次回からは、本教材のカリキュラムの特徴や、受講による成果などについてご紹介します。
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(2012/06/07)