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効果の高い【在宅研修】を円滑に進める方法

2020年4月以降、新型コロナウィルス感染拡大防止策として、在宅勤務を推進する企業が増えています。

そのような中で、どのように自社の社員教育を実施、継続すべきか、対応に苦慮された教育担当者の方もいらっしゃったのではないでしょうか。

このような時だからこそ、企業において人材育成は欠かせません。
在宅勤務を推進する中で、社員教育を継続できるよう、eラーニングやライブ形式で配信される研修スタイルが注目されています。

このような課題をお持ちの方におすすめ

  • 在宅研修を導入するか検討している
  • 在宅研修の実施効果を高める方法を知りたい
  • 在宅での研修を実施することになり、進め方を確認したい

本記事では、在宅勤務に対応した研修実施を検討する企業に向けて、在宅研修の概要、メリット・デメリット、研修効果を高める方法をご紹介します。

目次

急速に増える在宅研修

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在宅研修は、自宅にいる従業員に対し、オンラインで企業研修を行う方法です。

2020年4月の緊急事態宣言が新入社員の入社時期に重なったこともあり、やむを得ず新入社員研修を在宅研修で実施した、という企業も多かったのではないでしょうか。
以降、多くの集合形式の講習会やセミナーが中止になったり延期になったりしました。

リスクを避けるためリモートワークが進み、これまで対面で行われてきた会議やミーティングなどもWeb会議システムに移行しました。

社員教育も、従業員がリモートワークでも必要な研修を受講できるよう、Web会議システムや eラーニングシステム(LMS)を使った在宅研修が取り入れられました。

在宅での研修のメリット

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在宅研修は、在宅勤務のメリットと同様に、主に3つのメリットが挙げられます。

在宅研修のメリット

  1. 人との接触を低減できる
  2. 家庭と仕事を両立しやすい
  3. 移動コストが発生しない

1.人との接触を低減できる

メリットの1つ目は、 多人数との接触を避けることができることです。

多人数が集まることで飛沫よる新型コロナウィルスの感染リスクが上がるため、集合形式で行うセミナーや研修を実施することが難しくなりました。

行政は、新型コロナウィルスの感染を防ぐ目的で、「密閉」「密集」「密接」の3要素からなる「3密」を避けるよう市民・民間企業に求めました。

集合形式の研修で、万全の対策をしたとしても「他の受講者が咳をしている」「体調の悪そうな人がいる」などが気になり、「研修に集中できない」という受講者もいるかもしれません。

在宅研修であれば自宅で受講できるため、多くの人が集まる会場で行う集合研修に比べ3密を回避できます。

在宅勤務でも安心して受講できる研修スタイルとして、採用されるケースが増えていくでしょう。

2.家庭と仕事を両立しやすい

メリットの2つ目は、 家庭と仕事を両立しやすいことが挙げられます。
特に子育てや介護を伴う世代の従業員にとって、家庭と仕事の両立は重要です。

緊急事態宣言の発令中は、多くの学校で休校措置が取られました。子どもを教育機関に預けらず、仕事をしながら子どもの面倒をみなくてはならない、という従業員の方もいらっしゃったのではないでしょうか。

2020年5月に緊急事態宣言は解除されましたが、ウィルスの性質上、第二波への備えが重要になってきます。

また、介護の視点では、2025年には団塊世代と呼ばれる人々が75歳以上となり、いわゆる介護が必要な人がこれまで以上に増えると言われています。

企業において、在宅勤務や在宅研修の導入が遅れると、育児や介護をしなければならないという理由で、多くの優秀な従業員を失うことにもなりかねません。

在宅勤務推進のために、在宅で受講できる研修を企画・設計し、スキルアップや学習機会を提供することは、従業員の仕事への意欲向上につながります。

また、集合研修の場合、出張や宿泊を伴うことがあるため、育児や介護のために参加が難しくなるケースがありますが、在宅研修であれば集合研修よりも受講しやすいかもしれません。

在宅研修は、集合研修に比べて、家庭と仕事の両立がしやすい研修スタイルだと言えるでしょう。

3.移動コストが発生しない 

メリットの3つ目は、移動コストが発生しないことです。

在宅研修では、移動によるコストを抑えられます。

移動のコストには、研修場所までの交通費・宿泊費などの実際にかかる「費用」の他、「時間」も含まれます。

例えば、名古屋支社で働く人が東京本社で行われる集合研修に参加する場合、新幹線を使って往復すると2万円以上の交通費と3時間以上の移動コストが、参加者1名ごとに発生します。
また、各支社から社員を集める集合研修では、多くの人数が受講できる施設を確保する必要があるかもしれません。

在宅研修で実施すれば、従業員の移動コストや会場費の削減につながります。

在宅での研修のデメリット

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在宅研修にはメリットがある反面、デメリットも存在します。

在宅研修のデメリット

  1. 職種によっては適応できない場合もある
  2. 通信環境や自宅環境に依存する
  3. コミュニケーションが希薄になりやすい

1.職種によっては適応できない場合もある

デメリットの1つ目は、職種によって在宅研修が適していない場合がある、ということです。

在宅研修は、在宅勤務と同様に、同じ企業内であっても全ての職種で対応できるわけではありません。在宅研修に向いている職種と、向いていない職種があります。

現場作業を中心とする職種の場合は、業務の習得ために道具や機械が不可欠だったり、実地での状況をみながら学ぶことが重要である場合がほとんどです。
このような技術的な社員教育は、在宅でのオンライン受講で学ぶことは難しく、在宅での研修では対応できないと言えます。

一方で、知識をインプットしたり、参加者同士でディスカッションをしてもらったりなどが必要な社員教育は、在宅での研修が実施しやすいと言えるでしょう。

例えば、新入社員研修のマナー研修やビジネス文書を作成する研修など、知識に実践が伴う内容であれば在宅研修でも対応できます。

2.通信環境や自宅環境に依存する

デメリットの2つ目は、通信環境や自宅環境に左右されることです。

在宅勤務もそうですが、従業員の自宅の通信環境が整っていない場合や、自宅の環境によって、在宅での研修に集中できないことがあります。

在宅研修は、インターネットを利用する場合が多く、安定した通信環境が必要ですが、自宅にWi-Fi環境を整えていないという従業員もいます。スマートフォンの通信を利用する方法もありますが、研修受講に十分な通信状態を確保できない可能性があります。
また、マンションなど全戸で一括回線を利用している場合、在宅勤務者が増えたことで、回線が混雑し通信速度が遅くなることも考えられます。

通信環境の問題の他にも、それぞれの自宅の環境によって工事などの雑音が気になる、近くに家族がいて集中できない、ということもあるかもしれません。

このように、従業員の自宅の通信環境や自宅の環境によって在宅での研修に集中しにくい状況が生じるというデメリットがあります。

3.コミュニケーションが希薄になりやすい

デメリットの3つ目は、コミュニケーションが希薄なりやすいことが挙げられます。

在宅研修の場合、ディスカッションの機会を設けない限り、受講者同士が雑談するという状況は生まれにくく、他の受講者の様子がわからず不安になることがあるかもしれません。集合研修に比べると、講師と受講者、受講者同士が直接コミュニケーションを取ることは難しいと言えます。

特に、新入社員研修の場合、研修内容そのものも重要ですが、研修の中で同僚や先輩社員との接点を持つことが大事な場面もあります。
コミュニケーションの機会が少ないことで、新入社員が周囲の状況から研修の温度感を感じることが難しく、また、ビジネスの緊張感や会社独自の雰囲気が伝わりづらくなります。

そのため、在宅研修で新入社員を受講すると、知識は得られますが、「入社した」という実感を得づらいという声もあります。

在宅研修の効果を高めるポイント

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在宅研修をスムーズに運営するためには、様々なテクニカルなサポートが欠かせません。

ここでは、在宅研修の効果を高めるポイント3点をご紹介します。

在宅研修の効果を高めるポイント

  1. 講師以外に運営面をサポートするスタッフを配置
  2. 双方向性を活かしたコミュニケーション
  3. 研修後のフォローアップ

1. 講師以外に運営面をサポートするスタッフを配置

効果を高める1つ目のポイントは、講師以外に運営を補助するスタッフを配置することです。

在宅研修で受講者からの質問で多いのは、研修内容に関する内容はもちろんですが、オンラインでの研修進行におけるテクニカルな内容です。

例えば、受講者がオンラインでの研修に慣れていないためにうまく接続ができない、画面の切り替え方、質問の投稿や回答の確認方法などです。

ライブ形式の在宅研修で、これら全てをスピーカーである講師が対応することになると、円滑な研修を妨げることになりかねません。

講師以外に運営面をサポートするスタッフを配置しておくことで、研修をスムーズに進めやすくなります。

2.双方向性を活かしたコミュニケーション

効果を高める2つ目のポイントは、双方向性を活かしたコミュニケーションです。

在宅研修のデメリットでもご紹介したように、在宅研修の場合、双方向性のあるコミュニケーションが課題です。

受講する社員が受け身にならないよう、発言やディスカッションの機会を作ることで、主体的に受講できるようにします。

講義が多い研修の場合、自宅で受講している従業員は、集中力を欠いてしまう可能性があります。

在宅研修では、意識的にコミュニケーションの機会を取り入れ、受講する従業員の積極性を引き出すよう工夫しましょう。

3.研修後のフォローアップ

効果を高める3つ目のポイントは、研修後のフォローアップです。

集合形式でもオンライン研修でも、受講しただけでは研修内容が定着しにくいのは同じです。そのため、在宅研修が終了した後のフォローアップをどのようにするか設計しておきましょう。

具体的には、

  • 受講者自身の課題を明確にして、研修内容に対する意識を高める
  • 受講後も定期的にリマインドや振り返りを促す
  • 受講後、一定期間をおいてから上司と面談する機会を設ける

などが挙げられ、在宅研修でも定着のための事後フォローが重要です。

上司との面談で、研修で得た学びを日々の業務にどう生かしているのか、自分や周りに変化があったかなどを振り返ることが、研修内容を想起させ定着を促すことにつながります。

(参考)研修で成果を上げるための事前準備と事後フォロー「研修の成果を定着させるための3つの事後フォロー」

まとめ

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政府は「働き方改革」の一環として、場所にとらわれない柔軟な働き方として「テレワーク」を推進してきました。その1つが「在宅勤務」です。新型コロナウイルスの影響もあり、これまで以上の規模で在宅勤務への移行が進んでいます。

今後のウィズコロナ時代において、企業の社員教育に在宅研修を取り入れることは、持続的に企業を成長させていくためにも重要になっていくでしょう。

本記事でご紹介したように、在宅での研修にはメリットもデメリットもあります。

自社においてどのように在宅研修を活かすべきかを見極めながら、今後の社員教育、研修計画を検討されてはいかがでしょうか。

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