教えて、大仏さん!開発と運用の狭間をつなぐ変更管理とリリース管理の重要性 ~安定したシステム運用実現のための一手~

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みなさん、こんにちは。
富士通ラーニングメディアの大仏(俗称)です。 ITサービスマネジメント関連の教材開発や講師を担当しています。

今回のブログでは、システム運用現場における変更管理とリリース管理の活動にスポットを当てて、その重要性をご紹介したいと思います。

昼食後、自席でハーブティーを飲んでくつろいでいる大仏の前を、いつものように屋台弁当を食べ終えたタエが通りかかった。あまり元気な感じではない。

大仏:
タエさん、顔色が良くないですね、何かありましたか?

タエ:
大仏さん、ちょっと、聞いてくださいよ~ 先月、去年から開発していた某システムがやっとサービス運用を開始したんですけど、毎週トラブルが発生したり、いきなり運用手順が変わったりで、もうクタクタですよ~ 何で、こんなことになっちゃったんでしょうか?

大仏:
ふーん、例えばどのようなことが発生しているのですか?

タエ:
例えば・・・

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タエ:
開発の最後の時期に、スケジュール遅延が発生したとかで、テスト要員としてお手伝いをして忙しかったのに、運用開始後もちっとも楽にならないです~

大仏:
なるほど、なるほど。これは、変更管理やリリース管理の進め方に問題があるようですね。 開発部署から運用部署に対して、業務アプリケーションやシステム環境などの開発成果物を引き渡してサービス運用を開始する、この引き継ぎの部分は昔から様々な問題が発生しているのです。

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タエ:
何で、そのようなことになっちゃうんですか?

大仏:
そもそも、開発と運用とでは、作業や役割などの立ち位置が違うので、考えることや思うことが異なります。 開発側のプロジェクトマネジメントに対して、運用側のサービスマネジメントがあるように、管理の捉え方も違いますよね。
まず、開発担当は、「与えられた条件下で、品質の良いものを作る」ことを考えますが、運用担当は、「サービスを安定提供する」ことを第一に考えます。
例えば、安定稼働しているシステムであれば、修正や追加などの変更を行わなければ、安定継続してサービス提供が可能となるため、運用担当は基本的に変更作業を嫌うわけです。
実際、変更作業が起因となって発生したトラブルの発生件数の割合は高く、危険を伴う作業であることは間違いありません

当然のことながら、このような立場の違いを踏まえ、お互いに理解したうえで、一丸となって協力しなければ、良いサービスは提供できません。タエさん、DevOps(デブオプス)という言葉を聞いたことがありませんか?

タエ:
あの、ウォーターフォールではなくて、アジャイル開発とかいう手法を活用して開発するものですよね。

大仏:
そう、このDevOpsは、開発部署(Development)と運用部署(Operations)の連携と協力をうまく進めるための、ひとつの工夫なのです。

まずは、どのような手法で開発するとしても、開発部署と運用部署といったように担当範囲で縦割りにするのではなく、ひとつの流れと捉えて、コミュニケーションや協力体制を組むことが非常に重要であることを覚えておいて下さいね。

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タエ:
なるほど、色々と難しい問題があるんですね、勉強になりました。じゃあ、今後は一体どうすれば良いのでしょうか?改善提案みたいなものをして、部門内で打開策を検討してみたいんですが?

大仏:
まず、ITサービスマネジメントのフレームワークであるITIL®(Information Technology Infrastructure Library)を参考にして、ルールや作業フローの見直しを行う流れがお勧めですね。 ITILのサービスライフサイクルは、以下のようになっていますが、今回問題となるのは、移行(トランジション)の段階となります。

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大仏:
ITIL®では、RCV(Release, Control and Validation )という表現で、移行段階における「リリース、コントロールおよび妥当性確認」の重要性を説明しています。今回は、「変更管理」と「リリース管理および展開管理」のふたつのプロセスを中心に取り入れて、現場の改善を進めることになると思います。

大仏:
現場にルールや活動を定着させるにあたって、重要なポイントがいくつかあります。これらは、さきほど伺った「現場で発生している問題」への対策にも通じますよ。

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タエ:
やっぱり、まずは、システム運用の勉強をしないとだめですかね。最近、ITIL®の勉強をしようと思っているんですが、いきなりfoundation認定試験とかはやっぱり厳しいので、なかなか重い腰が上がらないんです。

大仏:
それならば、いきなりfoundation認定を目指すのではなく、まずは、ITILとはなんぞや?を初心者向けに分かりやすく教えてくれるeラーニングコースあたりから受講してみたらどうですか? ITIL®の概要を理解するのに最適ですよ。

タエ:
それって、私でも大丈夫ですか?  知恵熱とかでませんか?

大仏:
まぁ、大丈夫でしょう。 集合研修と違って、疲れたら休憩を取ったり、自分のペースで進められるのがeラーニングの良いところですから。

タエ:
分かりました! では、さっそく申し込んでみます。いろいろと、ありがとうございました。

大仏:
いえいえ、では日々精進してください。

【参考リンク情報】

【e講義動画】開発から運用への橋渡し入門 ~変更管理・リリース管理~(UHG06D)

ITサービスの提供において、開発担当と運用担当との責任分界点であり、「本番運用に入る前の水際」という位置づけである、移行段階の実践的なポイントを、ワークショップ形式で学習します! 演習では、ケースを元に変更管理とリリース管理の課題をグループで検討し、ITIL®でのプラクティスをもとにして、解決策を検討します。
安定運用を実現するために、移行段階ではどんな準備が必要なのかを把握するために、本コースをご活用ください。

【登録商標】

ITIL® は AXELOS Limited の登録商標です。

【登場人物紹介】

大仏(俗称)

富士通グループの関係会社に入社し、以降、業務開発/運用保守に始まり、インフラ設計/構築、構成管理などの様々なシステム開発/運用現場を20数年ほど経験しました。
その後、講師に転身し、現在はITサービスマネジメント関連のコースに登壇しています。

見た目はどこぞのお寺の住職ですが、美味しいものやお酒が大好きなど、まだまだ俗念を振り払うことができず修行の毎日です・・・。最近、メガネ属性に開眼したようです。

タエ

最近、開発部門から運用部門に異動となった、入社10年目の社員です。開発部門ではお客様の要望に従って仕様検討してシステム開発に勤しんでいました。運用部門はそんなシステムの運用管理だから少し楽になると考えていましたが、想像とは違う多忙な状況に驚き、どうにかしたいともがいているところ・・・

一方私生活では、家に帰ると怪獣(幼児)が待っているワーキングマザー。

(2016/12/08)