コンピテンシーの意味とは?面接・評価・研修の活用例とモデルの作り方

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近年、「コンピテンシー」という言葉が面接や評価の手法として広く定着してきています。ハイパフォーマーな従業員を増やすことにつながると言われる「コンピテンシー」ですが、「コンピテンシーとは?」とあらためて聞かれると戸惑うのではないでしょうか?ここでは、あらためてその意味やメリット、自社に導入する方法をわかりやすく解説します!

コンピテンシーの意味とは?

コンピテンシーは「高い成果につながる行動や思考の特性」という意味で、1980年代にアメリカで生まれた考え方です。ハイパフォーマーの行動と思考をローパフォーマーに伝える有効な方法として注目されました。

日本でも多くの企業がコンピテンシーの導入を試みましたが、うまくいかない会社もありました。

それは、企業がハイパフォーマーの「行動だけ」に注目し、それを他の社員に真似させようとしたことが原因と言われています。

コンピテンシーのレベルは5段階

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コンピテンシー型人事では、社員が5つのレベルに分類されています。最上級はレベル5で、「パラダイム転換行動」が取れる社員です。以下、レベル4創造行動、レベル3能動行動、レベル2通常行動、レベル1受動行動と続きます。

それでは事務職の社員を例に取って、各レベルの社員がどのような具体的行動を取るのかを見てみましょう。

レベル5:パラダイム転換行動
パラダイム転換とは、これまでにない発想を打ち出し、周囲を巻き込みながらその独創的なアイデアを実現することです。 例えば、「クラウドコンピューティングとAI(人工知能)を駆使して事務業務を効率化し、事務職員の必要人員を半分にする」などといった大きな改革を遂行できる社員はレベル5に該当します。
レベル4:創造行動
レベル4の創造行動とは、独自の工夫を加えて状況を変化させることです。 前述の例えにならえば、レベル4の事務職社員なら、クラウドを使った事務改革がスタートしたら、「経理部の会計ソフトと販売部の販売管理ソフトをドッキングさせるアイデア」を出したりするかもしれません。経理業務と販売管理が連動すると、社長の経営判断がスピーディになり企業の機動性が向上するといった成果が期待できます。
レベル3:能動行動
レベル3の評価を得るには、明確な意図や目的を持ち能動的に行動できなければなりません。 「うちの会社でもクラウドを本格活用するらしい」という情報を得ると、すぐにIT関連の研修会に参加したり、関連書籍を買い求めたりする社員はレベル3に該当します。
レベル2:通常行動
レベル2は一般的に言う通常の社員と言えるでしょう。 最低限やらなければならない通常の業務を行う社員です。ただ「ミスなくやろう」といった前向きな考えを持っていますので、これが以下で説明するレベル1の社員との違いになります。
レベル1:受動行動
レベル1の受動行動とは、文字通り受け身の姿勢のことです。 上司から指示を待って業務を進める社員がこのレベルに該当します。他レベルの社員がクラウドに関する情報の収集やアイデアの創出に前向きであるのに対し、レベル1の社員は上司に課題を出されるまで行動をおこさない、などといった部分が見られる場合があります。

尚、上記のように説明をしていますが、「レベルが高いほど良い!」と言い切る事はできません。従業員全員がレベル5であると起こり得る弊害もあるかもしれないのです。自社の文化や将来を考えて、どのレベルの人材が何人必要かを構想することが最も大切だということを理解しておきましょう。

コンピテンシーは3つのシーンで活用できる

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では、コンピテンシーは主にどのようなシーンで活用できるのでしょうか。ここからは、【採用面接】【人事評価】【教育研修】の3つのシーンでの具体的な活用方法について解説していきます。

採用面接

コンピテンシーを意識した面接のメリットは、受験者の「本質を見抜くことができる」部分にあります。

例えば受験者が採用面接で「学生時代に仲間と起業して、マスコミの取材を受けました」とプレゼンしたとします。面接官が受験者の行動や成果に注目してしまうと、その受験者が実はレベル2程度の貢献しかしていなくても、なかなか見抜くことができません。

しかしコンピテンシー面接を意識している面接官は、受験者の「思考」に注目した質問をするので、その起業が「受験者のオリジナルのアイデアだったのか?」といった事が分かります。

また、コンピテンシー面接では個々の面接官の判断の偏りも軽減できます。

面接での対話時

コンピテンシー面接での具体例をいくつか紹介します。

  • 「それを行うと決めた理由はどこにありましたか?」(意思決定の背景を確認する)
  • 「なぜそうしようと思ったのですか?」(動機を聞く)
  • 「なぜそれをしなければならなかったのですか?」(目的を尋ねる)
  • 「その経験をビジネスシーンでどのように活かしますか」(将来の行動を確かめる)

こうした質問項目は面接マニュアルに記しておき、すべての面接官が同じ質問をできるようにすることで偏った判断を軽減することができます。

コンピテンシーテスト

コンピテンシー面接の導入効果を高めるには、一緒にコンピテンシーテストを行うことも有効です。これは選択式のペーパーテストで、採用面接前に受験者全員に受けさせるのが一般的です。

更に、コンピテンシーテストは採用の際だけでなく、自社の社員たちに行っても効果があります。社内でテストを継続すると、人材の基礎能力を定量的に把握できるようになります。

コンピテンシーテストはネットで購入できるものも多く、自社向けにカスタマイズすることも可能になってきています。

人事評価

人事評価にコンピテンシーを導入するメリットの1つ目は、評価者の「ブレ」が小さくなることです。

コンピテンシー人事評価では評価項目を詳細に規定するので、恣意や偏見が介入しにくくなります。

2つ目のメリットは、評価された社員が納得できることです。評価基準を全社員に明示することで、社員たちは「なぜ自分がこの評価だったのか」を受けとめることができます。

教育研修

コンピテンシー教育研修は、ハイパフォーマー社員を育てていくための直接的なツールです。研修ではハイパフォーマーの行動と思考を他の社員に示すことになるので、事前に自社のコンピテンシーモデルをつくっておくとよいでしょう。

研修に参加する社員への目標は「どのように考え、どのような行動を取ればハイパフォーマーになれるか」といったシンプルな内容です。

人事部が従業員のモチベーションを保つよう努めることは、大きなテーマになりますので別の記事「個々のモチベーションをマネジメントする方法~時代の変化と多様性に対応する~」 であらためて解説します。

それでは次に、コンピテンシーモデルのつくり方について見てみましょう。

自社のコンピテンシー項目・モデルの作り方

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自社の「コンピテンシー項目」や「コンピテンシーモデル」は実は1種類ではありません。社内に人事、総務、経理、開発、営業などの部署があれば、それぞれにコンピテンシー項目・モデルをつくらなければなりません。また役職ごとのコンピテンシー項目・モデルも必要になります。

ただ、一度にすべてをつくり上げる必要はありませんので、1つずつ確実につくっていきましょう。

方法1:ハイパフォーマー社員へのヒアリング

コンピテンシーモデルをつくるには、まずはハイパフォーマー社員の行動と思考を紐解く必要があります。ハイパフォーマー社員に、次のような視点でヒアリングをしてみてください。

  • 「それを決めるときに、どうしてそのように考えたのですか?」(意思決定の背景)
  • 「なぜ成功したいという気持ちがそこまで強いのですか?」(モチベーションの源)
  • 「成果を出したときの行動を選択したときに、他に検討した行動はありましたか?」(成功の方程式)

これらを加味してまとめる事で、考え方や行動にどういった傾向があるのかをある程度把握することができます。

方法2:ストーリー仕立てにする

コンピテンシーモデルは、「1本のストーリー」にまとめると解りやすくなります。ハイパフォーマーの駆け出し期、低迷期、成長期、爆発期を順に追い、「こうした積み重ねがあるから成功を獲得できた」と説明すれば、他の社員も記憶にとどめやすくなります。

方法3:人材ポートフォリオの作成・分析

人材ポートフォリオとは、社員1人ひとりの業績や強みなどをまとめたものです。全社員分のポートフォリオをつくることで人材の総合力が見える化できます。

まとめ

人事制度にコンピテンシーの概念を落とし込むことは、人事担当者にとって確かに楽な作業ではありません。ただ、全社的な利益を考えたとき、人事部が苦労を重ねたとしても取り組む価値は十分に見いだせるでしょう。ぜひ焦らずひとつひとつ着実に取り組んでみてください。

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更新日:2018年03月20日

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