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熊大通信(再掲)記事一覧

「熊大通信」は、2010年8月~10月に掲載した記事を、再度お届けするものです。

こんにちは、佐藤です。

気づけばもう10月も終わりが見えてきてしまいましたね。
やりたい事を整理しておかないと、あっという間に12月が来て、師走を忙しなく過ごしているうちに2010年が終わってしまいそうです。
秋の日は釣瓶落としといいますし、最近はかなり夜も寒いですから、体調に気をつけて貴重な時間を大事に使っていきたいですね。

さて、『熊大通信』は今回で11回目です。
前回(第10回)の最後にもお伝えしましたが、千葉・佐藤の教授システム学専攻後学期が始まったこともあり、今回が区切りの回となります。

そこで、今回は今までお伝えしてきた『熊大通信』 の内容をまとめつつ、千葉・佐藤の今後の予定などをお伝えしようと思います。
今回初めて『熊大通信』を読まれる方や、まだ読んだことが無い回がある方は、今回のまとめを見て興味を持った回を覗いていただければ幸いです。

【千葉と佐藤の視点の違い】

前回までで10回刊行してきた『熊大通信』ですが、執筆を担当しているのがソリューション営業職(千葉)と、企画・マーケティング職(佐藤)という異なる立場の二人ということもあり、それぞれ別々の視点で本ブログを執筆してきました。千葉

 ■千葉の担当分について

 ◇視点

  • 企業の人事・教育担当者様の日常業務における課題や問題意識を解決する

 ◇エントリ

エントリタイトルエントリ概要
熊大のシステム ~eラーニング大学院ならではの学習の仕組み~ eラーニングの成功事例として、熊本大学大学院教授システム学専攻の仕組みを紹介
御社のeラーニング、効果的に使えてますか? どのようにeラーニングを活用すると上手く行くか、eラーニングの失敗事例から学ぶもの/成功するために欠かせないものを紹介
どうしたらみんながeラーニングを活用してくれると思いますか? eラーニング活用推進のため、関係者の役割分担を明確にする際の参考情報として『eラーニングプロフェッショナル』の体系を紹介
どうしたらみんなが自発的に学習してくれると思いますか? 自発的な学習を促すためのヒントとして、『成人学習学』の考え方を紹介。
eラーニング最新動向 ~eラーニングの明日はどっちだ!~ eラーニングに求められるユーザーニーズや、最近のeラーニングコンテンツの動向について紹介

このように、eラーニングを主眼に、成功事例/失敗事例の紹介や、ケーススタディ的に職場での悩みを問いかけて解決のヒントになる情報を提供しています。
それに対して、佐藤のエントリでは以下のような特徴があります。

■佐藤の担当分について佐藤

 ◇視点

  • 熊大で学んだID(インストラクショナル・デザイン)の知識について、読者の方が教育の企画や評価を行う際に、現場で使えそうなテクニックや理論を紹介する

 ◇エントリ

エントリタイトルエントリ概要
新カテゴリ「熊大通信」を開始します! 教育を効果的にする方法としてID(インストラクショナル・デザイン)を、ID専門家の養成機関として熊本大学大学院教授システム学の紹介
教育をする意味~期待を整理して改善へとつなげよう~ 教育の目標整理について問題定義し、教育する意味を整理するため、『キャロルの時間モデル』を紹介
インストラクショナル・デザインの実践に向けて~プロセスモデルに基づいた開発体験を通して~ 学習目標達成に向けた教育プロセスの回し方についてADDIEモデルの紹介
学習目標の立て方~5分類を活用しよう~ 学習目標を正しく設定・評価するために、目標の分類や評価の方法を整理するツールとして『ガニエの学習成果の5分類』を紹介
誤った目標設定から脱却する! 学習目標を正しく設定・評価するために、目標のレベル感を整理するツールとして『ブルームの目標分類』を紹介


このように、教育企画(設計も含む)や教育評価を行う際に活用できるIDの理論について、IDについて詳しくない方にも分かりやすくお伝えすることを主眼としています。

それぞれ異なる視点で書かれているため、実はエントリにもそれぞれの視点の色が出ています。

【熊大1年次後期の予定】

後期が始まって1ヶ月ほど経ちましたが、非常にグループワークが多く、多人数でのディスカッションやスケジューリングに四苦八苦しております。
イメージとしては、前期に学んだ理論について、グループでのディスカッションを通してブラッシュアップしながら後期で実践していくという感じです。

千葉・佐藤両名とも、かなり苦労しながら進めていますが、その分色々なことに気づく機会があって充実した毎日です。

今回、2ヶ月あまり続けてきた定期刊行については一旦区切りとさせて頂きますが、この学びをまた皆様にフィードバックできるよう、頑張っていきたいと思います。

今後ともFLMの活動、人材育成最前線ブログにご期待ください。

「熊大通信」は、2010年8月~10月に掲載した記事を、再度お届けするものです。

千葉こんにちは!千葉です。
9月後半のシルバーウィーク、10月10日の体育の日と、連休続きの後はいまひとつ仕事をするペースに戻りきりませんね・・・。
後期からは土曜日の集中講義も始まりますので(eラーニングでの学習や合宿とは別で、何と半期に6日もあります・・・)、今の内に体調を整えて、臨みたいと思います!

さて、今回で『熊大通信』も10回目。
"eラーニング"という言葉自体は1990年頃から使われ出したらしいですが、それから20年経った今、社会人の学びのスタイルや中身自体が大きく変わりつつあります。
そんな中どんなeラーニングが有効だと言われているのか・・・、当社のイチオシコンテンツのご紹介を交えつつ、見て行きたいと思います。

【現代のeラーニングに求められるものとは】

冒頭でも少し触れましたが、"eラーニング"が生まれた1990年頃、当時は「CDROMに入った学習ソフト」や「書籍をPDF化してインターネットに上げたもの」なども"eラーニング"と呼ばれていました。

また、最近まで、或いは今でも多くのコンテンツは、
・パラパラとページをめくっていく「紙芝居型」
・講師がしゃべっている動画が中心の「動画型」
・衛星放送を用いたリアルタイム講義を行う「同期型」
などが主流です。

ではこれらが良くないコンテンツかというとそんな事はなく、これはこれで使い方によってはとても便利です。
例えば、10,000人の社員に法令順守の為の教育をする場合の「紙芝居型」は、学習効果はともかく、低コストで効率よく"全社一斉教育"という目的を達成できますし、
千葉の所属する熊本大学教授システム学専攻で先日行われた遠隔講義は遠隔会議システムを用いた「同期型」でしたが、リアルタイムに東京・熊本・名古屋を繋ぎ、質問がいつでもできる仕組みが確立されており、集合研修と変わりませんでした。

ただ、昨今のユーザーニーズ多様化の波は教育業界にも押し寄せており、上記のような「効率が良い」「集合研修と変わらない」というだけでは、社会人はもう満足できないんです。

例えばどんな新しいニーズがあるかというと、以下のようなものが主ですね。


今後のeラーニング動向

1.  問題解決型になる
知識習得ではなく、パフォーマンスに直結する業務や生活の問題解決が主に。

2.  教科書にない知識が得られる
書籍や教科書など、他のメディアでも得られにくい知識が習得できるように。

3.  コミュニティ・オブ・プラクティス型になる
あるテーマに関する知識や技能を、継続的に交流しながら相互習得する、コミュニティ・オブ・プラクティス(実践的コミュニティ)型になる。

4. ナレッジマネジメントとの融合が進む
 先人の暗黙知を貯め、活用できる仕組みナレッジマネジメントの仕組みが取り入れられる。

5. コンテンツだけでなくコンテキストを学べるようになる
 成果(コンテンツ)から経緯(コンテキスト)重視の学習になる。

6. コラボレーションツール(WikiやBlogなど)が使われるようになる
 Web2.0のコミュニケーション促進ツールが活用されるようになる。

7.  検索エンジンが大きな役割を果たす
 4.で貯めた暗黙知を迅速に探し出す仕組み、検索エンジンが重要視され始める。

8. 管理型学習と非管理型学習にハッキリ分かれる
 人事部や人材開発担当者が進捗管理をする管理型学習と、自主的かつ主体的に学習する非管理型学習に学びが二分される。


※「eラーニング活用ガイド」(日本イーラーニングコンソーシアム)を参考にして作成。

この表からは「実務や生活など即日活用できる」「eラーニングでしか得られないもの(知識・気付き・人間関係など)を」「より効率的に」得たいというニーズが読み取れると思います。

【実際、どんなコンテンツが開発されてるのか】

こういった流れを受け、eラーニングベンダーは新しい学習の仕組みに日々頭を悩ませています。
当社でも幾つか面白いコンテンツを開発していますので、上記を取り入れるとどんなものが出来上がるかの例として、簡単にご紹介したいと思います。

 ■体験型eラーニング ~失敗しながら学ぶプロジェクトマネジメント~

ITプロジェクトのマネージャになって、疑似体験をするコンテンツです。
私も(学生として演習課題で)全編体験しましたが、ストーリーが作り込まれているので、アドベンチャーゲームのような感覚で楽しんで工程体験ができました。
また、自分の行動でプロジェクトが大成功したり、頓挫しかけたりする辺りも面白いですね。

 ■ビジネスメールスキルアップ研修 ~E-mail環境だけで学べる文章力研修~(UAP02D)

 eメール環境だけで学べるビジネスメールのスキルアップコンテンツです。
4,725円(2010/10現在・税込)というお値段もあってか、お客様にもとても好評です。
当社の新人も受講していたのでメールを見せて貰いましたが、「社内イベントの参加呼びかけ」や「業務成果のアピール」といった新人さんにありがちなものから、「お客様へのお詫び」「上司への依頼」などといった業務で即使えるメールを実際作ってみる事ができ、多くの気付きがあるようです。

超上級PMから学ぶ!目からウロコのプロジェクト疑似体験 ~リスク編~(UAP80L)

このコース自体はプロジェクトマネジメント熟練者向けの最上級レベルの集合研修ですが、受講後にWebコミュニティによる情報提供や受講者同士の交流の仕組みが付いています。
こういった仕組みを上手く使っていただくことにより、研修時間内だけで終わらない学習と気付きの機会を作ることができます。


これらはいずれもここ数年で開発したもので、前述の表"今後のeラーニング動向"の要素を少なからず取り入れたコンテンツであることがお読み取り頂けると思います。
こういった新しい学習の仕組みを取り入れたコンテンツで、楽しく、より効率的に実用的な学習をして頂ければ幸いです。
なお、この辺の情報は当社ホームページでも随時発信しておりますので、宜しければちょくちょく覗いてやってくださいませ。

最後に突然ですが、ちょっと悲しいお知らせです。
ご好評を頂き連載しておりました熊大通信ですが、佐藤・千葉の後期日程が開始した事もあり、次回で一旦の区切りとさせて頂くこととなりました。
最終回の11回目では、これまでの総まとめをお送りして、定期刊行の区切りとしたいと思います。
最後までお付き合いの程、宜しくお願い致します♪

「熊大通信」は、2010年8月~10月に掲載した記事を、再度お届けするものです。

佐藤こんにちは、佐藤です。
最近はすっかり秋めいてきて、そろそろ紅葉も見頃を迎えますね。
第8回の熊大通信で教授システム学の夏合宿の様子についてお伝えしましたが、実は合宿直後から後学期が始まっており、参考資料の用意や履修のスケジューリングなど、慌しくしています。

さて、『熊大通信』も今回で9回目です。
が、その前にちょっとおさらいです。
私(佐藤)が第7回の投稿で、ID(インストラクショナル・デザイン)の重要なポイントとなる学習目標の分類方法や評価方法をご紹介いたしましたが覚えていらっしゃいますでしょうか。
(まだ第7回を見てない!という方は、是非第7回と併せてお読みください)

以下のような表で目指すべき学習目標の成果分類を定めることで、学習者が達成したい(または学習者に達成させたい)目標と、教育プログラムの内容との乖離を防ぐことができるというものでした。

表:ガニエの学習成果の5分類

学習成果言語情報知的技能認知的方略運動技能態度
学習の性質 指定されたものを覚える

宣言的知識

再生的学習
規則を未知の事例に適用する力

手続き的知識
自分の学習過程を効果的にする力

学習技能
筋肉を使って体を動かす/コントロールする力 ある物事や状況を選ぼう/避けようとする気持ち
学習成果の分類を示す行為動詞 記述する 区別する

確認する

分類する

例証する

生成する
採用する 実行する 選択する
成果の評価 あらかじめ提示された情報の再認または再生

全項目を対象とするか項目の無作為抽出を行う
未知の例に適用させる:規則自体の再生ではない

課題の全タイプから出題し適用できる範囲を確認する
学習の結果より過程に適用される

学習過程の観察や自己描写レポートなどを用いる
実演させる:やり方の知識と実現する力は違う

リストを活用し正確さ、速さ、スムーズさをチェック
行動の観察または行動意図の表明

場を設定する

一般論でなく個人的な選択行動を扱う

出典:鈴木克明(1995)「放送利用からの授業デザイナー入門」日本放送教育協会 より一部抜粋


【学習成果の5分類には限界がある】

5分類の表は学習者が目指す目標や、既製の教育プログラムが設定している目標を整理して、"どんな"目標を目指すのか、目標の方向性が一致しているかを確認するのに非常に便利なツールです。

実際に試された方はいらっしゃるでしょうか・・・
この学習成果の5分類を用いて企業の現場での学習を整理すると、何かを覚えること(「言語情報」)と何かを知識を応用すること(「知的技能」)が主な学習目標になるかと思います。
お気付きの方もいらっしゃるかもしれませんが、何かを覚えることというのは非常にシンプルでブレ難い目標なのですが、知識を応用するという目標は非常に様々なレベルで捉える事ができてしまいます。

例えば、 一つの知識について別の言葉や例で言い換えること と、 実際に教わったシーンとは別のシーンに適用して実践できること では、同じ知識の応用(=知的技能)ですがレベル感に差があります。

このレベル感というのがポイントになります。
学習成果の5分類では"どんな"目標を目指すのかを整理することができますが、"どれくらい"のレベルかについては大雑把にしか整理することができません。
そこで、このレベル感について整理するために使えるもう一つのツールについて紹介します。

 【ブルームの目標分類でレベル感が整理できる】

教育目標のうち、特に頭で覚えたり考えたりする領域について、B・ブルームが以下の表のような6段階にレベル分けして定義できるとしています。

表:ブルームの目標分類

この表のレベルの数値が上がるほど、高度で複雑な技能が必要な目標になるということが確認されています。

上記の表にも書きましたが、レベル1.0に該当するのが学習成果の5分類でいう「言語情報」であり、レベル2.0から6.0までが学習成果の5分類でいう「知的技能」にあたります。
「言語情報」の目標というのはやはりシンプルですが、「知的技能」に該当する「知識」より上のレベルについては、結構細分化されているのがお分かり頂けると思います。

先程の例で考えると、「別の言葉に言い換えること」はレベル2.0の理解にあたり、「別のシーンに適用して実践」はレベル3.0の応用にあたるため、「別のシーンに適用して実践」の方がより複雑な目標であると言えます。

 

【ツールを活用して間違った目標設定から抜けだそう】

今回ご紹介したブルームの目標分類や、第7回でご紹介したガニエの学習成果の5分類を用いれば、より体系的に学習者の目標を整理したり、既製の教育プログラムの目標を評価したりすることが可能になります

例えば、企業の教育担当者は社員の求める教育レベルについて整理し、より社内のニーズ(目標)に一致した教育プログラムの選定が可能になります。

または、OffJT(Off the Job Training)で予めレベル2.0までを学習しておき、OJT(On the Job Training)でレベル3.0を目指すといった切り分けも可能になってくるでしょう。

皆さんが今後、目標の設定について考える際や教育プログラムを評価する際に、このような目標整理のためのツールの情報がお役に立てば幸いです。

 次回は、ちょっと骨休め的なエントリで、eラーニングの最新動向をお伝えします。お楽しみに!

「熊大通信」は、2010年8月~10月に掲載した記事を、再度お届けするものです。

千葉こんにちは!千葉です。
どうも夏休みに羽目を外しすぎたらしく、夏風邪がいつまで経っても治りません...。
今年は夏が長かったからか、結構夏風邪を引きずっておられる方が多いような気がしておりますが、皆様方はいかがでしょうか。

そうそう、夏と言えば先日教授システム学の夏合宿がありまして、激しく楽しい2日間を過ごしてまいりました。
初日は熊本大学にて先輩方の発表を聞いて勉強させて頂き、そのまま南阿蘇の地獄温泉清風荘へ! もちろん、夜は楽しい懇親会♪
2日目は旅館内で発表会。前期の科目で作った教材を披露させて頂きました。
写真は携帯で撮ったものですが、激しく楽しい雰囲気が伝われば嬉しいです。

さて、本題に入りましょう!(合宿を思い出して若干テンションが高めです(笑)
『熊大通信』8回目の今回は、「どうしたらみんなが自発的に学習してくれると思いますか?」と題し、成人学習学の考え方をご紹介していきます。 

【そもそも大人って何で勉強するんでしょうか?】

本稿をお読みの方々は色々なお立場の方がおられますので、教える対象、学習させなければいけない対象もさまざまかと思います。
自社の社員、大学院の学生さん、講習会の受講者など色々ですよね。

それらの方々に「学習してほしい!」という思いは共通だと思いますが、大人ってどういう時に「学習したい!」と感じるんでしょうか。
ご自分は「何故、どういう時に学習していますか?」と聞かれたら何とお答えになりますか?
「業務で使う知識だから」
「少し仕事に余裕ができたから、昔から興味があったテーマを学びたいと思って」
「転職や昇進に役立ててやる!」
など、色々ですね。
でも、「自分の為になる(はず)」「何に役立つか明確」「きっかけはともかく自分でやろうと思って学習している」など、大人の学習ならではの共通点もありそうです。

【大人の学習と子供の学習の違いって何だろう?】

逆に子供の頃って何故勉強していましたか考えてみるとどうでしょう。
「学校の先生が将来どこかで役立つって言うから」
「国数理社英って受験科目があったから、とりあえずそれに沿って勉強してた」
「お母さんに怒られるから...」
など、やはり色々あると思いますが、上でご紹介した大人の学びとは大きな違いがありますね。

それらをまとめたのが下の表です
ペタゴジーは"子供の教育学"、アンドラジーは"大人の教育学"を指しています。

※ 「eラーニングファンダメンタルテキスト」鈴木克明(2004)より転載。

例えば、ペタゴジーのレディネス(学習が成立する為の前提条件)は年齢や授業などによって「高校1年生の進学理系クラスだから数Ⅱ・B!」などというように統一されていますが、アンドゴラジーは社会的役割(仕事や家庭)の問題・課題解決に応じて一律ではありません。

学習意欲もペタゴジーは報酬や罰など他者からの働きかけに左右されがちですが、アンドラゴジーは興味・関心など、自分自身の心の動きによるところが大きいわけです。
大人の学習と子供の学習では、色々な面で違いがあることがお読み取りになれると思います。

【大人の学習を有意義なものにして貰うために】

こういった大人と子供の違いを踏まえ、それぞれの特徴に応じた教育を行うことはとても大事です。

例えば、半年後に受験を控えた受験生が「自分の好きなように勉強すればいいよ!やり方も含め全て君に任せた!」と言われても何から始めて良いか判らないでしょう。
逆に社会人6年目の私(千葉)が、上司に「いつか役に立つと思うから、高校数学のIA・IIB・IIICをイチから勉強し直すといいと思うよ!」と言われても、正直面倒くさいし、やる気が出ません。
考えてみれば、当たり前のことですね。

では、大人が自主的に学習を行うためにはどのような工夫が必要なのでしょうか。
その為の成人学習学の知見をまとめたのが、下の2つの表です↓。

 

※ ともに「eラーニングファンダメンタルテキスト」鈴木克明(2004)より転載。

いずれもペタゴジーアンドラゴジーの違いを踏まえ、具体的にどうしたら良いかが書かれています。
「これが絶対の正解!」というわけではありませんが、自発的に学習して貰えるコース設計や教育計画のフォロー施策立案にあたり、そのまま使える観点であると思いご紹介いたしました。ご参考になれば幸いです。

 

次回は、学習目標を設計する際に参考となる「学習目標の分類とレベル感の整理方法」についてご紹介する予定です。どうぞお楽しみに。

 

「熊大通信」は、2010年8月~10月に掲載した記事を、再度お届けするものです。

佐藤こんにちは、佐藤です。

つい1週間ほど前までは半袖で過ごしていたのが嘘のように涼しくなってしまいましたね。
暑さ寒さも彼岸までと言いますが、こんなにいきなり気候が変わるとは思ってもいなかっため・・・実は衣替えがまだ終わっていません。
ブログを読んでくださっている皆様は、もう秋・冬の支度を済まされたでしょうか?

さて、『熊大通信』も今回で7回目です。
今回はID(インストラクショナル・デザイン)の中でも重要なポイントの1つである学習目標について、目標の立て方や分類方法、評価方法などをご紹介いたします。
「予定していた研修は一通り問題なく終わったのに、期待していた目標はなぜか達成されない・・・」といった悩みを一度でもお持ちになった方は、必読の内容となっています。

【目標を整理しよう】

『熊大通信』の第3回、第5回でも書いてきましたが、IDで最も重要と言えるのが学習目標を何に定めるのかということです。
代表的なIDプロセスモデルであるADDIEモデルでも、学習対象の分析と目標の設計をプロセスの起点としていました。

この学習目標について、とても分かりやすく体系的にまとめられたものがID研究の第一人者とも言えるR・ガニエによって発表されているのでご紹介します。
学習目標をどのようなものに設定したのか、その目標の分類によって、学習成果がどのように表され、どのように測ればよいか、分類ごとに以下のような表でまとめています。

学習成果言語情報知的技能認知的方略運動技能態度
学習の性質 指定されたものを覚える

宣言的知識

再生的学習
規則を未知の事例に適用する力

手続き的知識
自分の学習過程を効果的にする力

学習技能
筋肉を使って体を動かす/コントロールする力 ある物事や状況を選ぼう/避けようとする気持ち
学習成果の分類を示す行為動詞 記述する 区別する

確認する

分類する

例証する

生成する
採用する 実行する 選択する
成果の評価 あらかじめ提示された情報の再認または再生

全項目を対象とするか項目の無作為抽出を行う
未知の例に適用させる:規則自体の再生ではない

課題の全タイプから出題し適用できる範囲を確認する
学習の結果より過程に適用される

学習過程の観察や自己描写レポートなどを用いる
実演させる:やり方の知識と実現する力は違う

リストを活用し正確さ、速さ、スムーズさをチェック
行動の観察または行動意図の表明

場を設定する

一般論でなく個人的な選択行動を扱う

出典:鈴木克明(1995)「放送利用からの授業デザイナー入門」日本放送教育協会 より一部抜粋

上記のように、学習成果を5つのパターンに分けて整理したものを「ガニエの学習成果の5分類」と呼びます。
少し専門的な用語も含まれていますので、簡単にまとめると、目標を以下のような分類に分けて整理することができるということです。

<目標の種類>
◆言語情報
 特定の情報を覚えることが目標
 覚えたことがそのまま再生(出力)できれば目標は達成

◆知的技能

 何かを覚えるだけでなく、その知識が応用できることが目標
 覚えたルール(例えば公式など)を未知の例に適用することができれば目標は達成

◆認知的方略
 学習を効果的にするための作戦を修得することが目標
 自分が学習を進める際に、効率や効果を向上させる手法が適用できれば目標は達成

◆運動技能
 自分の体の動きをコントロールすることが目標
 自分が思った通り(または学習した通りに)に体を動かすことができれば目標は達成

◆態度
 人が行動する際、その行動を選ぶに至る気持ちを変化させることが目標
 気持ちの変化によって特定の行動を取らせるなど、行動を変えることができれば目標は達成


【目標の分類によって評価方法は異なる

このように、ガニエの学習成果の5分類を用いて教育や研修の目標を整理することで、研修を行う際にどのような目標を設定するべきか、目標が達成されたかをどうやって測定するべきかをまとめることができます。

例えば電話応対の研修において、「率先して電話応対できる」という目標は態度の学習成果と考えることができますが、肝心のテストでの設問が「電話応対における正しい敬語選択しなさい」(敬語というルールの応用なので、知的技能の学習成果)では、態度の学習目標が達成できたかどうかを確認することができません。

また、意外とやってしまいがちな間違いとして、「~~ができるようになる」という目標に対して、研修の中ではできるようになるかまでは確認してないということがあります。
どうでしょう。このような間違いの経験はありませんでしょうか?

ガニエの学習成果の5分類は、目標の立て方や測定方法だけでなく、目標に対してどのようなアプローチで教えていくのがよいのか(=指導方略)や練習とフィードバックの方法についても体系的にまとめられており、学習設計を行う際には非常に強力なツールといえます。
学習成果の分類に対する指導方略などにご興味を持たれた方は、こちらのページに詳しく載っていますのでよろしければご参照ください。

次回は、eLをはじめとした自己管理学習を支援するための足がかりとして、成人学習学の考え方を幾つかご紹介したいと思います。
どうぞお楽しみに!

 

「熊大通信」は、2010年8月~10月に掲載した記事を、再度お届けするものです。

千葉こんにちは!千葉です。
おかげさまで無事、修士課程1年前期の全科目課題提出を終え、つかの間の夏休みを堪能しております。
9/25(土)~26(日)には熊本で教授システム学専攻の合宿があり、その後は後期日程が始まりますので、あと1週間強なのが残念ですが・・。

さて、『熊大通信』6回目の今回は「どうしたらみんながeラーニングを活用してくれると思いますか?」というお題について、ご一緒に考えていただければと思います。


【eラーニングを活用して貰うために必要なこと】

第4回の最後でお話した通り、意外とeラーニングを導入したものの、当初の目的である「研修の効率化」「受講終了率の向上」などを満たすのは簡単ではありません。

どうしたらeラーニングを活用してくれるかを考えるためには、当然「eラーニングを活用して貰うために必要な工夫は何か」を考えなければいけません。
もし、同僚や上司にそう聞かれたらあなたなら何て答えますか?

「進捗を定期的に監視して、進みの遅い受講者のフォローが大事だよね」
「便利なシステムを用意するだけじゃみんな使わないから、サポートデスクが必要かもなあ」
「コンテンツのデキが良いことが一番!いろんなコンテンツがあるとなお良いな...」

などなど、色々思いつかれることはあると思います。
でも、なかなかeラーニング活用に必要なことを網羅するのは難しいですよね・・・。

 
【役割分担と担当者設定が肝!】

また、仮に必要なことを作業項目単位で分け、網羅できたとしても、"誰が"・"何を"・"どれだけ"やるべきなのかを定めるのがまた一苦労です。

一般的な会社組織を想像いただくとイメージが付きやすいと思いますが、部長、課長、担当は、それぞれ役割が大きく違いますよね。
例えば、私は営業担当ですので、普段は各種ご提案や案件の手配などを行っていますが、営業部長は部全体統括と売上・損益の管理、営業課長は各担当のフォローや指導、各種手配・受注の確認と承認、担当の手には余る難しい案件の担当などをしています。

営業担当間でも、業種(製造系・流通系など)や商品区分(研修・ドキュメント・パソコン教室など)で大きく業務が異なっています。
役割分担や担当が決まっていると、自分が取り扱えない仕事(お客様や商品)が出てきてしまう一方、"何をやれば良いのか"・"どれだけやれば良いのか"が明確になり、余計な迷いを持つこと無く、職務を全うし、成果を上げることができるのです。

これは当社営業部門の例ですが、eラーニング導入や運営にも同じ事が言えるでしょう。

【eラーニングプロフェッショナルとは】

そうしたことを考える上で非常に役立つのが、日本イーラーニングコンソシアム(eLC)が認定・運用しているeラーニングプロフェッショナル(eLP)資格制度。
今回は資格制度そのものの話は省きますが、eラーニング活用に必要なことを網羅して、役割分担や担当を定義するときには有効なフレームワークであると思います。

 ※  eLCホームページ「eLP資格制度とは」より引用

 

今回、特に注目頂きたいのは下から二段目の7つの資格です。
これらにの資格については、eラーニング導入から運用までの各フェーズで、それぞれの資格者が何をすべきかが以下のように明確に定義されています。

※  eLCホームページ「eLP資格制度とは」 より引用

上記の表を見れば、 "誰が"・"何を"・"どれだけ"やれば良いかが、一目瞭然ですね!
加えて、結構ベンダに任せられる部分や、分担できる部分があることもお判りになると思います。

また、「各フェーズでやることが書いてあるけど、これだけ読んでも何だか良く判らない」という方は、eLPベーシックのeラーニングコースを受講してみるのも1つの手です。
実は熊本大学大学院教授システム学専攻の講義でも、同等の内容を学びましたが、事例分析を通して広くeラーニングのことが判り、大変勉強になりました。

「みんなにeラーニングを活用してもらう」為の方策をイチから考えるのは骨の折れる作業ですし、役割分担無しに1人で抱え込むには、現実的にかなり重たい話です。
こういったツールを上手く使いながら、効率的にeラーニングの活用促進を進めると良いでしょう。

次回はID(インストラクショナル・デザイン)における学習設計の柱となる学習目標について、目標の立て方と評価方法についてご紹介する予定です。お楽しみに★

「熊大通信」は、2010年8月~10月に掲載した記事を、再度お届けするものです。

佐藤こんにちは、佐藤です
さて、『熊大通信』も今回で5回目です。
私がお届けした第3回では学習に寄せる期待について振り返り、教育を"なんとなく"ではなく、より効率的、効果的に行ないたいと考えるならば、教育をシステマチックに捉える必要があるということをご紹介しました。

今回はその期待を達成するための道具の1つとして、ID(インストラクショナル・デザイン)のプロセスモデルについてご紹介していきます。

【IDプロセスモデル】

教育に対する期待とは、言い換えれば教育した結果どのように成長(または変化)するかという目標といえます。
IDプロセスモデルとは、目標を達成するために必要な学習活動を分析・設計・開発・実施・評価の5つのフェーズとして定義するものです。
5つのフェーズは分析(Analysis)、設計(Design)、開発(Develop)、実施(Implement)、評価(Evaluate)の頭文字を取ってADDIEモデルと呼ばれ、代表的なIDプロセスモデルになります。このプロセスモデルのポイントは、下図のように分析フェーズに対して評価フェーズからフィードバックを行い、学習活動を常に改善するようプロセスが循環しているところにあります。

正確にいうと、IDプロセスモデルはIDモデルとは異なるとされており、ADDIEモデルは学習を行う際の手順を示すものであって、その中身(ADDIEモデル図でいうそれぞれのマルの中身)についてはIDモデルを参照しなくてはいけないとされています。

 

【すべては目標達成に向けて】

では、各フェーズでは実際にはどのようなことをすれば良いのでしょうか。
IDプロセスモデルの各フェーズで行うべき作業を大まかにまとめると以下のようになります。

分析フェーズ
IDでは、学習の目標を明確にすることが大事となります。
「○○を使って▲▲ができるようになる」
「○○について部下に説明できるようになる」
など、その学習カリキュラムによって人をどう変えたいかをまず設定します。

そして、この目標をどれだけ達成できるようになったかを測る評価基準を併せて設定します。
このように教育ニーズの分析として、教育対象の設定や、目標と評価基準の設定などを行うことを、分析フェーズとして考えます。

設計フェーズ
目標を設定したら、目標達成に向けた具体的なカリキュラムの設計を行ないます。
学習期間の設定や目標に合わせた具体的な教授方略(学習目標の種類に合わせた教え方や問題の出し方)などを考えるフェーズです。
目標の種類に適した教授方略なども、IDにおける設計範囲ですが具体的なお話は別の機会にご紹介したいと思います。

開発フェーズ
分析・設計フェーズが完了したら、実際に学習を行うための準備を進めていきます。
この段階では、学習教材を作成する、eラーニングのシステムを導入する、などのように学習に必要な環境を用意していきます。

実施フェーズ
カリキュラムや学習環境の設計/準備が完了したら実際に学習を行います。
ここまで来たらあとは、予定通りに進めることが重要です。実施の段階になって、目標を変更したり学習範囲を変更するのは分析・設計フェーズの準備不足と言えます。もし講師のインストラクションでカバーすべき場所があったとしても、それは予め設計されている必要があります。

評価フェーズ
学習者が設定した目標をクリアしているかを測定します。
目標が達成出来ていない場合は、目標や教授方略だけでなく、期間や対象まで含めてカリキュラムを見なおします。
見直した結果は分析フェーズにフィードバックし、学習内容を改善していくサイクルを実現します。
この時、第3回でご紹介した「キャロルの時間モデル」を用いて、カリキュラムに関わる要因を整理してから分析すると、改善すべき点をより明確にできます。

【熊大での教材開発実践から・・・】

大学院のとあるカリキュラムで紙教材を作成した際にも、「教材設計マニュアル」(2002 鈴木克明 北大路出版)に基づいて最初に教材企画書を作成し、その中で教材対象の前提知識や学習目標、合格基準を真っ先に決め、テストから設計を始めるということをしました。

これは、目標を分析してから設計に進み、目標ベースで教材を設計するためゴールとなるテストを最初に作るというIDプロセスモデルの出だしの Analysis Design を実践する演習です。
この演習では、もし目標がぶれるとその後の教材設計・作成に大きな影響を及ぼすという恐怖を味わいました(『熊大通信』を共同で書いている千葉くんも、教材の目標を途中で修正したことで後工程の分析・設計フェーズがやり直しになって苦労していましたね・・・)
 
また、教材が完成したらそれで終わりではなく、実際に想定していたユーザーに使って貰い、当初設定した目標が達成できるかどうか、達成できない場合に何が原因だったかを調査するのですが、実際に使ってもらうと想定していなかった学習者の行動に出会うこともあり、予定通りに学習が進まないというケースも多々発生します。
同期入学の教材作成報告書を読んでいると、目標達成に向けた障壁とは予想以上に多いことが分かります。
例えば、思いのほかに前提知識が足りなくて教材の途中でつまずいてしまうことや、教材を読みながら問題を解いてしまい、結局十分理解しないまま教材を終えてしまうなど、「え!ここでつまずくのか!」「そんな教材の使い方をするの!?」といった思いがけない落とし穴も・・・。

これは企業内研修でも同じことが言えます。
自分ではこのカリキュラムで目標達成できる!と考えても、実際にやってみるとうまくいかないことは必ずあります。その原因を評価して次回の分析に活かすことで、企業内研修の実施を単発で終わらせずにサイクルとして回し、教育設計の品質向上を図っていける仕組みが作れるのではないでしょうか。

次回は第4回でご紹介したeラーニング導入・運営を成功させる為の、役割(ロール)分担についてご紹介する予定です。お楽しみに!

 

「熊大通信」は、2010年8月~10月に掲載した記事を、再度お届けするものです。

千葉こんにちは!千葉です
暑い暑いと言いつつも、段々と暑さも落ち着いた日が増えてきた今日この頃・・・だそうですが、8/26-28に北海道大学で開催された教育情報システム学会(JSiSE)全国大会に参加して以来、札幌の涼しさに慣れてしまったのか、全くそんな気が致しません
季節の変わり目でもありますし、皆様体調にはお気をつけくださいね。

さて、『熊大通信』もいよいよ4回目。
今回は「御社のeラーニング、効果的に使えてますか?」と題し、どのようにeラーニングを活用すると上手く行くのかをお話させて頂きます。

【eラーニングとは何か】

突然ですが、「eラーニングって何?」と聞かれた時に、皆様は何とお答えになりますか?
eラーニングの定義というスタートラインで躓いては、上手く行くものも行きませんので、まずはeラーニングの定義について考えてみたいと思います。

本稿をお読みの方々には釈迦に説法かも知れませんが、eラーニングの定義は、実は解釈する方向性や範囲、または人によってまちまちなのが実情です。

紙教材をデータ化しただけのPDFファイルも、Web上で疑似体験ができる当社シミュレータ型コンテンツ"体験型eラーニング~失敗しながら学ぶプロジェクトマネジメント~"のような手の込んだものも、熊大通信第2回でご紹介した統合型学習サイトである教授システム学専攻のポータルサイトも、全て広義ではeラーニングであると言えます。

 
これは私の新入社員の頃の失敗談ですが・・・
お取引先の役員の方に「eラーニングで全社教育をしたい」という漠然とした相談を頂き、喜び勇んでLMS(LearningManagementSystem)とコンテンツ受託開発の提案をしたところ、「...こんな大規模な仕組みじゃなく、遠地の社員へ紙を配布する手間を削減できる安価で手軽なものを提案してくれないかな」と言われてしまったことがあります。

これらの事から自社で「eラーニングを導入しよう」という話が持ち上がった時に、まず「そもそも(自社にとっての)eラーニングとは何か」を関係者全体で意識共有する事の重要性がお分かり頂けるかと思います。
このように意識合わせができているかどうかが、eラーニング活用を成功させるための前提条件です。

【導入失敗事例から学ぶもの】

では、次にeラーニング導入に失敗してしまった企業では、何が良くなかったのかを見ていきましょう。

eラーニングを導入する際に寄せられる期待として、↓下記の調査結果(eLC, 2005)によると、多くの企業では研修の効率化や受講率・終了率の向上を挙げられており、これらを目的として導入したというお話は実際たくさんのお客様から伺ってきました。


しかしながら、導入の結果これらの目的が達成され、経営層・研修担当者・受講者それぞれがハッピーになったかというと、一概にYesとは言えないのが実情ではないでしょうか?

eラーニングの導入が上手く行かなかったケースの原因は色々あると思いますが、ここでは、多種多様なeラーニング導入企業の声を集めてできた"eラーニング活用ガイド(日本イーラーニングコンソーシアム・編)"より「eラーニングの波が消えてしまった5つの理由」と題した、eラーニング導入失敗事例の幾つかのパターンをご紹介したいと思います。

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1. システムベンダのリード
効果的なeラーニングには、まず高性能で高価なLMSが必要、というシステムにフォーカスした議論が先行した。
⇒ 実はLMSがなくともeラーニングはできる。

2. テクノロジーの先行
社内インフラやネットワークとの連動、親和性という視点に偏りがちであった。
⇒ 本来はeラーニング先行であるべきで、経営情報システムとの連動が最も大事。

3. 汎用コンテンツから選ぶのがおトク
とりあえず格安な汎用コンテンツでラインナップを揃え、体裁を取り繕おうとしてしまった。
⇒ コンテンツはLobとBusinessに密接に関連したものを注意深く開発しなければ効果はない。

4. eラーニングとはひとりでコツコツ学ぶもの
eラーニングは自学自習が基本。学習者はひたすら「受け身」の姿勢で眺めるもの、というイメージがあった。
⇒ eラーニングの本当の利点は、オンライン上で初めて実現する高度なインタラクティブ性にある。
成功するeラーニングにはプロアクティブなチューターのサポートと、学習者同士の情報交換が欠かせない。

5. eラーニングは研修コストを削減するのが目的
トレーナーの代わりにテクノロジーを使うのがeラーニング。
トレーナーが無用になり、人件費や、研修に参加するための交通費・会場費などがなくなるので、研修コストは大幅に削減されるという主張があった。
⇒ トレーナーはラーニング戦略のキーパーソンであり、有効なeラーニングを作り、サポートし、運用していくうえで最も大事な役割を担う。
リアルなクラスルームからインターネット上のバーチャルなクラスルームに学習環境が変わったときに、コミュニケーションのツールや手法、ルールはどうあるべきか、を新たに組み立てていくべきであり、その開発・研究にはむしろ時間や費用がかかるとみるべき。

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eラーニング活用ガイド(日本イーラーニングコンソーシアム・編) より引用

いかがでしたでしょうか。
同じような事が自社には言えないかどうか、少し考えてみて頂ければと思います。

「熊大通信」は、2010年8月~10月に掲載した記事を、再度お届けするものです。

佐藤こんにちは、佐藤です。
暑い暑い」と毎日言っている気がしますが、気がつけばもう8月も終わりですね。
9月になれば少しは過ごしやすくなるかなと期待する一方、東京では9月から小中高校が一斉に始まるため、また朝の電車の混雑が厳しくなると思うと少し憂鬱でもあります(苦笑)。
季節の変わり目ですので、読者の皆様も体調には是非気をつけてお過しください。

さて、『熊大通信』も今回で3回目です。
今回からは熊大で学習した内容や得た気づきを元にした情報を発信していきます。
主にID(インストラクショナル・デザイン)に関わる内容を発信して行く予定ですが、今回はIDの方法論や具体的活用法の前にまず「なぜ教育を行うのか」について少し考えていただきたいと思います。

【なぜ教育を行うのか】

なぜ企業は社員に教育を行うのでしょうか。
「特定のスキルを身につけさせたい」「定められたプロセスの一部として教育を実施したい」(例えばPマークを取得した企業ならば個人情報の取り扱いに関する教育を行うことがプロセスとして組み込まれている)など理由は様々だと思いますが、共通して言える事は「教育をすればできるようになるという期待を持っていることではないでしょうか。

例えば、教育担当の方ならば学習内容や予算範囲を考えて「こういう教育をやればできるようになるだろう」と教育を企画しますし、教育設計者は学習目標や教授方略を考えて「こういうふうに教えればできるようになるだろう」と教育を設計します。

教育担当者の方は、(もちろん意識していらっしゃる方もいらっしゃると思いますが)割と意識をせずに「こうすればできるようになるだろう」と教育を企画・設計することが多いと感じています。

しかし教育をシステマチックに考え、より効率的、効果的に行ないたいと考えると、教育に対して無意識な期待をするわけにはいきません。
どうして教育をするとできるようになるのか、教育をしてもできないことがあるのはなぜかを考え、できるようになるための改善策を練る必要があります。

【キャロルの時間モデル】

教育をシステマチックに考える際に、とても参考になるのがJ.B.キャロルの時間モデルです。
キャロルは学習率(教育の成果=どれだけできるようになったか)が、学習者の目標達成に必要な時間に対して、実際にどれだけ学習に時間を使ったかの割合で表現できるとして、次の学習率の式にモデル化しました。

        学習に費やされる時間
学習率 =――――――――――――
         学習に必要な時間

そして、キャロルはこの学習率の式を基本としつつ、この式に影響を与える要因として、学習に必要な時間を左右する要因三つと、学習に費やされる時間を左右する要因二つを次のように定義しました。

 
学習に必要な時間を左右する要因:

課題への適性 ある課題を達成するために必要な時間の長短。課題に対する素質だけでなく、前提知識や関連知識にも影響される。
授業(教育コンテンツ)の質 課題達成に掛かる時間を短縮するための仕組み。
授業理解力 授業の質の低さを克服する力。授業の質に対する素質とも言える。


学習に費やされる時間
を左右する要因:

学習機会 ある課題を達成するために用意されている学習時間。どれだけ教育時間が確保できるかに影響される。
学習持続力 与えられた学習機会のうち、集中して学習に使われた時間の割合。学習意欲や授業への適正に左右される。


以上の五つの要因を学習率の式にあてはめると次のようになります。

             学習機会×学習持続力
学習率 = ――――――――――――――――――――
         課題への適性×授業の質×授業理解力


【時間モデルから考えられること】

学習率、つまり学習したことでどこまでできるようになるかを個人の才能や能力と考えず、教育の成果を高めるために学習に必要な時間を分母の要因に注目して減らす工夫と、学習に費やされる時間を分子の要因に注目して増やす工夫ができると考えるのがキャロルの時間モデルです。

時間モデルに基づいて教育を考えることで、「なぜ教育をするのか」、「教育をより効率的、効果的にしたいと考えた時に時間モデルのどの要因にアプローチすればよいか」を整理することができるようになります。

教育ベンダーに勤める社員としても、教育に携わる個人としても、時間モデルの考え方は教育に携わるモチベーションとなっています。

今後の連載では、時間モデルの要因(主に「授業(学習コンテンツ)の質」、「学習持続力」など)に対して、IDの観点からの具体的なアプローチ(分析方法や改善策)についてもご紹介していきます。

次回はeラーニングのメリット・デメリットや導入に失敗してしまった事例からeラーニングを効果的に使うにはどうしたらよいかを考える予定です。どうぞお楽しみに

「熊大通信」は、2010年8月~10月に掲載した記事を、再度お届けするものです。

千葉こんにちは!千葉です。
東京は連日猛暑が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
お客様と直接お話できる営業職は楽しいですが、この時期ばかりは
「ずっと社内に居れる仕事が羨ましい...」「夏休み半月くらい取っちゃおうか...」などと
ちょっとイケナイ事を考えちゃいます(笑)。

さて、先週より始まりましたシリーズ『熊大通信』、2回目の今回はeラーニング大学院である熊本大学教授システム学専攻の学習の仕組みをご紹介いたします。
eラーニングを上手に活用した一事例としてご覧頂ければと思います。

【学習の仕組み】

教授システム学専攻は"インターネット大学院"をうたっており、修士・博士共に、基本的にはeラーニングを含めたインターネット上のやり取りだけで卒業が可能です。
とても判りやすいイメージ図なので↓に引用していますが、"LMS(LearningManagementSystem)"・"テレビ会議"・"VOD(VideoOnDemand)"など、多方面での学習・指導形態があり、その時々で使い分けて指導頂いています。

熊本大学大学院教授システム学専攻より引用。

 

勿論、熊本や東京(田町)キャンパスや各種学会で指導を希望することも可能ですし、夏・冬にはゼミ合宿(熊本開催・任意参加)が開催され、夜通し熱い議論が交わされると聞いています。
私は今夏初参加ですが、楽しみなような怖いような・・・。

【進捗状況チェックの為の仕組み】

学習は先ほどの"LMS"・"テレビ会議"・"VOD"3つを中心に進めるのですが、その他に学習の大きな支えとなってくれるのが、履修中の全科目の状況が一目でチェックできる"教授システム学専攻ポータル"です。

  ※教授システム学専攻ポータルより引用。

 

現状把握ができる仕組みがないと、「あと何をやれば終わるのか判らない」「今どこまで終わってるのか把握するのが大変」という事になってしまいますので、学習進捗管理を代わりにやってくれる専攻ポータルには日々お世話になっています。

余談ですが、↑図の「超過」と書かれているマスは"期限が過ぎているのに学習、または課題提出ができていないところ"です。
これを終わらせないと私の夏休みが来ないので、頑張ります!

 

【学習・議論・レポート提出を行うLMS "BlackBoard"】

学習は "LMS"である"BlackBoard"上で行います。
講義・テスト・課題(提出・添削)・ディスカッションなど、色々できますが、特筆すべきは掲示板機能を用いたディスカッション!

※eラーニング概論"第2回eラーニングとは何か"より引用。

課題を提出した後、他人の課題にコメントをつけることが求められている科目が多く、教員も一緒になって議論が白熱し、時には10個以上のコメントが付く大激論になる事も・・・。
非同期の掲示板方式なので、繁忙期でも安心して、自分のペースで楽しく議論できています

 このように様々なツールを活用して、日々講義を受けたり、議論をしたり、課題を提出して教員からのチェックを受けたりと、忙しいながらも、充実した大学院生活をエンジョイしております。

次回からはいよいよ、"インストラクショナルデザイン(ID)"のエッセンスや、eラーニングの有効な使い方など、"人材育成の勘所"の話になっていきますので、お楽しみに★

 

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