1. ホーム >
  2. ブログ ~人材育成最前線~ >
  3. アジアにおける人材育成記事一覧

アジアにおける人材育成記事一覧

みなさん、こんにちは!富士通ラーニングメディア・中部ソリューション部の太田です。
中部地区の研修全般(集合およびeラーニング)の企画から運営までを担当しています。

私は、2012年9月に韓国を訪問しました。目的は以下の2つです。
1.ソウルで開催されたe-Learning Korea 2012:Expoへの参加
2.韓国の企業や学校現場におけるeラーニング活用事例の視察

今回の訪問を通して、韓国におけるeラーニングへの取り組みやデジタル教材の使われ方などを、実際に目で見て肌で感じてきました。

今月は、この視察の報告として、韓国のeラーニングの最新動向、活用事例など4回にわたりお届けしてきました(毎週木曜日掲載)。
最終回となる今回は、社会人向けの教育コンテンツを開発している企業Tekvilleの事例と、今回の韓国視察を通してのまとめについてお話しします。

<会員数30万人。最大手の教育企業Tekville>

Tekvilleは企業のビジネスパーソンや、学校教育に携わる教師を対象としたeラーニングを開発・提供している教育系の企業です。

韓国の教師は約42万人で、そのうち約30万人がTekvilleの会員です。
教師を対象としたコンテンツは、約140。
各教科に関するものや、授業設計、クラス運営、生徒指導、校内暴力やゲーム中毒といった子どもをとりまく社会問題への対処法など、幅広い内容が提供されています。

<コミュニティでの"学び"を重視>

Tekvilleの特徴は、「コミュニティを活用した学び」です。
本特集の第2回でご紹介した「韓国の地理を学習できる教師向けのコンテンツ」に付随するコミュニティでは、受講者が自分の住む地域の名所の写真や解説などを投稿し、コミュニティの参加者同士で投稿したコンテンツに対して追加情報や意見、感想などを書き込めるようになっていました。20121206_3

このコミュニティの存在は、以下のような効果を生んでいます。
・あらかじめ用意されているコンテンツ(韓国各地の名所)について、さらなる情報が得られる
・あらかじめ用意されているコンテンツでは扱っていない新たな名所についての情報が得られる

つまり、受講者がコミュニティに参加することで、コンテンツが充実していくだけでなく新たな学びをもたらす仕組みになっているのです。

また、チューターは学習者に対して「自己紹介をお願いします」「感想を書いてください」などと声をかけ、コミュニティが盛り上がるように、積極的に呼び掛ける工夫をしています。
そのために、コミュニケーションを活性化させたチューター役の社員を表彰する制度があり、受講者だけでなくスタッフのモチベーションアップを促進していたことも印象的でした。

<韓国視察のまとめ~身近な取り組みへのヒントに>

以下に、今回の韓国視察を通しての、当社での気づきをまとめます。

1.韓国の学習コンテンツは、子どもはもちろん、社会人向けにもアニメーションやゲームなどを積極的に取り入れていました。korea43.jpg

また、3Dや拡張現実などの技術の活用も進んでいます。
当社としては、日本と韓国の文化的な違いや、アニメーションやゲーミフィケーションと日本企業や日本のビジネスパーソンとの親和性に配慮しながら、最適な形で取り入れることを検討したいと考えています。

2.韓国では、学びにおけるコミュニティの活用を重視していました。
時間、場所の制約がなく活用できるSNSなどのコミュニティは、学習者がお互いに刺激し合うことで、新たな気づきをもたらします。
当社もコミュニティのメリットは以前から注目し、いくつかの研修コースで取り入れ始めています。
同様の視点をもった企業が韓国にあることに心強さを感じました。

3.上記の1、2の活用を効果的に取り入れ、楽しみながら継続して学ぶためのデザインの重要性に気づかされました。

当社では、学びのスタイルとして、「フロネシスラーニング」という考え方を提唱しています。
これは、個人が学んだことを互いに教え合い、ともに成長することが、組織の成長につながっていく、という考え方です。
韓国でも同じような考え方のもと、eラーニングと、それに付随するコミュニティを展開していました。

4回にわたり、韓国の企業や教育の現場の最新動向を通じ、当社の気づきをお伝えしました。
充実したコンテンツ内容や楽しく継続して学ぶための運営におけるポイントなど、みなさんが
・教育ベンダーへeラーニングなどを活用した人材育成を委託するとき
・自社で研修や人材育成プログラムを開発するとき

の参考になれば幸いです。

※本シリーズは、今回で最終回です。
ご愛読ありがとうございました。
1月の【いま、求められる人材】もどうぞお楽しみに。
更新は、当社のメールマガジン『KnowledgeWing通信』
でお知らせしています。
お見逃しのないように、ぜひ、メールマガジンへご登録ください。
http://www.knowledgewing.com/kw/nurture/mailmag.html

みなさん、こんにちは!富士通ラーニングメディア・中部ソリューション部の太田です。
中部地区の研修全般(集合およびeラーニング)の企画から運営までを担当しています。

私は、2012年9月に韓国を訪問しました。
目的は以下の2つです。
1.ソウルで開催されたe-Learning Korea 2012:Expoへの参加
2.韓国の企業や学校現場におけるeラーニング活用事例の視察

今回の訪問を通して、韓国におけるeラーニングへの取り組みやデジタル教材の使われ方などを、実際に目で見て肌で感じてきました。

今月は、この視察の報告として、韓国のeラーニングの最新動向、活用事例などを4回にわたりお届けしています(毎週木曜日掲載)。
3回目となる今回は、デジタル教科書の研究校に指定されている中学校と韓国最大手の英語塾における「楽しく継続して学ぶための運営面での取り組み」についてお伝えします。

<デジタル教科書研究校での授業風景>

韓国では、2014年からは小・中学校で、2015年からは高校で、デジタル教科書が全面的に導入される予定です。
今回、デジタル教科書の研究校に指定されている、仁川市ソクジョン中学校を訪問し、1年生の英語の授業を参観させていただきました。

授業は、20代~30代の女性教師が担当していました(もう1名50代の男性教員も生物でデジタル教科書を使って授業をしているそうです)。
教室は、電子教卓と電子黒板が設置され、生徒には、1人1台、デジタル教科書が入ったノートパソコンが用意されています。
教師は電子教卓のパソコン、電子黒板、タブレットを使い分けながら以下のように授業を進めていました。
 20121213_1.png
1.デジタル教科書を使った授業
デジタル教科書を見ながら、構文の説明や発音の練習をします。
デジタル教科書はテキストとイラスト・写真で構成されていました。
確認問題は穴埋め式で、下線部分にキーボードから入力した単語が入るようになっています。
授業では、生徒それぞれにPCに向かって入力をさせた後、指名した生徒に電子教卓のPCで入力させ、内容を電子黒板に写して答えあわせをしたり、電子黒板に表示された英文を発音させたりしていました。

2.教師による課題提示
グループ(4~5名)でホームページを作る、という課題に取り組んでいました。
教科書で習った文章を入力し、それに関連する画像をインターネットから探してきて、ホームページに貼り付け完成させていきます。
その日の授業で扱った文章が、地球温暖化にまつわる内容だったため、グループで相談し合いながら、ゴミの山や木が伐採されている写真などを検索して作成していました。

3.各グループのページを電子黒板に表示して、発表
生徒たちが作ったページを電子黒板に表示し、文章を音読させたり、写真を選んだ理由などを発表させたりします(発表が終わると拍手)。
 20121213_2.png
4.その他
講師は、適宜、三択クイズなどを電子黒板に表示します。
学生は自分のPCで解答を選択すると、講師のタブレットで結果が確認できます。
また、電子黒板で各生徒のPC画面を一覧で表示できるため、違う画面を開いている生徒に注意を促したり、早くできた生徒に声かけをしたりしていました。

この授業で当社が注目したのは、ホームページ上で展開される生徒同士のコミュニケーションです。
生徒がアップした画像は電子黒板や各自のパソコンで見ることがきます。
そして、他の生徒が発表したものに対して「たくさん見つけたね」「この写真、いいね」など、互いにコメントを出し合っていました。
 20121213_3.png
デジタル教科書を使い、オンラインでのコミュニケーションも取り入れたことで、以下のメリットがあったそうです。
・他の生徒の発表を見ることで新たな気づきを得られる
・今まであまり会話をする機会がなかった生徒から良いコメントをもらったことで仲良くなれる
・多くの生徒からコメントをもらうことで、自分の新たな長所の発見につながる
・教師が教える時間が減り、子ども同士で学び合う時間を増やすことができる
・パソコン操作が得意な生徒が積極的に授業に参加し、他の生徒のサポートを買って出るようになる

ここで特に印象的だったのは、「英語を修得させる」という目標のために最適な機材や学習スタイルを、教師自らが考え、デザインして授業をしていることです。
視察したのは英語の授業でしたが、教師の工夫により、単に英文法を学ぶだけでなく、環境問題など提示された課題について考え、ITリテラシーも身に付けることができる、総合的な授業になっていました。

<オンラインとオフラインを組み合わせた韓国最大手の学習法とは?>

次にご紹介するJLSは韓国最大手の英語塾です。

塾の授業はオフラインで実施されます(これは日本で行われているような一般的な英語の授業と同じでした)。
授業が終わると、生徒たちはラウンジに集まり、講師や事務スタッフ、他の生徒の前で、その日に習った英語をスピーチしていました。
これは、人前で話す場を設けて、英語で話すことに自信をもたせたい、というJLSの教育方針だそうです。
 20121213_4.png
家に帰った生徒は、オンラインを活用した学習に取り組みます
JLSが開発した英語学習用のコンテンツは生徒が飽きないような工夫がたくさんありました。
学習効果が得られるようなゲームの種類を分析した上で選定しているそうです。(前回お話しした「ロケットのアニメを駆使した発音を身に付けるためのコンテンツ」もその1つです)

生徒用のホームページやSNSもあり、生徒が英語でスピーチした動画をアップしたり、それに対して教師や他の生徒がコメントをつけたりできるようになっていました
英語学習の成果を発表し、周囲から「すごいね」「上手だね」といったコメントを入れてもらうことで、英語力に自信をつけていく場として活用されていました。

<オンラインとオフライン、特徴にあわせた組み合わせが重要>

今回ご紹介した2つの事例では、どちらもIT技術を活用した学びを取り入れていますが、すべてをIT化しようとしているわけではありません。

ソクジョン中学校の教師によると、『書けるようになることや、書いて覚えることも重要な学びです。デジタル教科書が全面導入されても、プリントと鉛筆を使って穴埋め問題を解くといった、手を動かす授業も実施することになるでしょう』と話していました。
JLSでも、本やテレビなどさまざまなメディアから最適な方法を選定し、オンラインとオフラインを組み合わせて学びをデザインしていました。
また、どちらの事例もコミュニティの活用を重視していることが印象的でした。
今回の事例は子どもを対象としていましたが、社会人向け研修でもあてはまると感じています。

次回は最終回です。
コミュニティの活用など、運営面での取り組みの続きと、今回の韓国視察を通してのまとめをお届けします。

※次回は12月20日にお届け予定です。
更新は、当社のメールマガジン『KnowledgeWing通信』でお知らせしています。
お見逃しのないように、ぜひ、メールマガジンへご登録ください。
http://www.knowledgewing.com/kw/nurture/mailmag.html

みなさん、こんにちは!富士通ラーニングメディア・中部ソリューション部の太田です。
中部地区の研修全般(集合およびeラーニング)の企画から運営までを担当しています。

私は、2012年9月に韓国を訪問しました。
目的は以下の2つです。
1.ソウルで開催されたe-Learning Korea 2012:Expoへの参加
2.韓国の企業や学校現場におけるeラーニング活用事例の視察

今回の訪問を通して、韓国におけるeラーニングへの取り組みやデジタル教材の使われ方などを、実際に目で見て肌で感じてきました。

この視察の報告として、韓国のeラーニングの最新動向、活用事例などを4回にわたりお届けしています(毎週木曜日掲載)。
2回目となる今回は、アジアの中でも先行しているといわれるeラーニングのコンテンツについてお話しします。

<五感を使って楽しめる、3D図鑑>

e-Learning Korea 2012:Expoで特に印象に残ったコンテンツは3Dを使用したものでした。

五感で学ぶ「3D図鑑」
テーブルの上に置いてあったのは、蛙やカワウソなどの生物の写真が載った図鑑(書籍)。
普通の図鑑と違うのは、図鑑の前にモニターとカメラが置かれ、コントロールカードがついていたことです

20121206_1
コントロールカードを図鑑に近づけると、そのページに載っている動物がモニター上に3Dで映し出されます。
そしてコントローラーカードを動かすと、いろいろな角度から観察できます。
手元のコントローラーカードが、カワウソのページのモニター上では、魚として映り、口の前に魚(カード)を持っていくと食べさせることができました。
また、蛙のページでは、マイクから蛙の鳴き声が聞こえてきました。
このように、五感で生物の生態を知ることができる仕組みになっていました。

まだ実験段階ということでしたが、車のエンジンを3Dで画面に表示、モニターを手で(タブレット端末のように)触ることで、エンジンが回転し、さまざまな角度から見ることができるコンテンツの展示もありました。
このコンテンツはさらに、パーツを分解、組み立てができるようにもなっていました。
今後、企業や工業高校において、実物を使う前の練習教材としての利用が期待されるのではと感じました。

<ゲーミフィケーションで楽しく学習>

次に、視察した企業(子ども向け英会話学校)で印象に残った英語学習用コンテンツをご紹介します。
この会社のコンテンツは、韓国キャリア3社から最優秀賞に選出されました。
特徴はゲームの要素を取り入れた「ゲーミフィケーション」に着目していることです。

子ども向け英語学習コンテンツ
この会社のコンテンツは、子どもが楽しみながら英語を学べるように、ゲームの要素を多く取り入れていました。
たとえば、発音を身に付けるコンテンツは、ロケットを飛ばすゲームです。
ディスプレイに出てくる英文を、マイクに向かい発音すると、上手な発音であればロケットがスピードを増し、遠くへ飛んで行きます。
発音がおかしいと失速して落ちていきます。(発音のチェックは音声認識ソフトを使用していました)

20121206_2
このほかにも、さまざまなゲーム形式のコンテンツがありました。
どのような種類のゲームだと学習効果が得られるのかを分析した上で設計しているそうです。

<大人向けのコンテンツでも、アニメーションが一般的>

韓国では、大人向けのコンテンツにも娯楽性が取り入れられています。
学校の先生向けのコンテンツを作成・提供している企業で、いくつか視聴させていただきましたが、アニメーションを多用したつくりとなっていました。

韓国の地理を学習できる教師向けのコンテンツ
受講者が作った自分専用のキャラクターが、オンライン上にある韓国の名所を歩きまわるゲーム感覚のコンテンツがありました。

20121206_3
キャラクターは、まるでバーチャルアイドルのようで、3D映像を多用して表示される名所をめぐりながら、韓国の地理を学習できる仕組みです。
このコンテンツでは、数名のキャラクターが登場し、「今から○○に出かけましょう」というようなストーリー仕立てで学習が進みます。
途中、確認のためのクイズがあったり、コメントを書き込むとコンテンツに反映されたりします。
また、学習者が新たな名所情報をアップすることで、中身がより充実し、情報共有が進むつくりになっていました。

このような各教科に関するコンテンツに加え、校内暴力やゲーム中毒といった子どもをとりまく社会問題についてのコンテンツも充実しています。
いずれも、アニメーションを使ったり、有識者の話を撮影して流したりすることで、大人でも楽しみながら(飽きずに)学習できる教材になっていたのが印象的でした。

<"楽しく継続"を重視している韓国のeラーニングコンテンツ>

今回の韓国視察で当社が注目したのは、コンテンツ作りにおける日本との違いです。

韓国のeラーニングコンテンツは、アニメーション仕立て、クイズの活用、みんなで学ぶスタイル、ゲーミフィケーションなど、「みんなで楽しく、継続して学習する」という部分に焦点を当てたものが(日本より)多く感じられました。

また、単にコンテンツを提供するだけでなく、受講者がコメントを書き込んだり、他の受講者と交流を図ったりができるコミュニティの機能を積極的に取り入れていました
コミュニティには、他の受講者が書き込んだコメントを読むことで、新たな気づきを得られるというメリットがあります。
継続して学ぶための仕掛けについては、次回以降、具体的な事例をご紹介していきますのでお楽しみに!

※次回は12月13日にお届け予定です。
更新は、当社のメールマガジン『KnowledgeWing通信』でお知らせしています。
お見逃しのないように、ぜひ、メールマガジンへご登録ください。
http://www.knowledgewing.com/kw/nurture/mailmag.html

みなさん、こんにちは!富士通ラーニングメディア・中部ソリューション部の太田です
中部地区の研修全般(集合およびeラーニング)の企画から運営までを担当しています。

私は、2012年9月に韓国を訪問しました。
目的は以下の2つです。
1.ソウルで開催されたe-Learning Korea 2012:Expoへの参加
2.韓国の企業や学校現場におけるeラーニング活用事例の視察

今回の訪問を通して、韓国におけるeラーニングへの取り組みやデジタル教材の使われ方などを、実際に目で見て肌で感じてきました。

この視察の報告として、韓国のeラーニングの最新動向、活用事例などを4回にわたりお届けします(毎週木曜日掲載)。
みなさんの人材育成のヒントにしていただければ幸いです。
1回目となる今回はe-Learning Korea 2012:Expoと訪問先の概要についてお話しします。Korea1

<高まるスマートラーニングへの関心>

今回で7回目となるe-Learning Korea 2012:Expo は9月12日から14日の3日間開催されました。
このExpo の主催は、教育政策を担当する教育科学技術部、コンテンツ産業政策を担当する文化体育観光部、eラーニング産業政策を担当する知識経済部の各機関です。
韓国では国を挙げて教育とICTの融合(スマートラーニング)を支援しています。

東南アジアで最大規模の展示会の1つである、このExpoには、13ヵ国から100社程度の企業が出展していました。
昨年の来場者は2万3,000人あまり、今年も昨年と同程度の人出だということです。

当社のような企業からの参観者のほかに、教育現場からも多く来場していました。
教育現場からは、管理職よりも、現場で生徒に教えている教師が多かったそうです。
韓国では、2014年から小学校・中学校で、2015年から高校で、デジタル教科書が全面的に導入される予定です。
そのため、現場教師のデジタル教材への関心が高まっていることを感じました。

<e-Learning Korea 2012:Expoのテーマは、『Smart』>

e-Learning Korea 2012:Expoのコンセプトは、「Smart Learning. Smart Future!」。
会場のブースには、さまざまなタイプのコンテンツとそれらを閲覧するためのハードウェアが数多く展示されていました。
コンテンツは、スマートフォンで学べるもの、ゲーム感覚で学習できるように設計されたもの、3Dや拡張現実(AR)※の技術を駆使したものなど、さまざまなタイプがありました。
(※拡張現実:現実に起きていることにコンピュータが作り出した情報を加え、補足的な情報を提供する技術。実装例として、現実に見えているものに関連する情報をディスプレイに表示することができる「眼鏡型のディスプレイ」などがある)

学校教育用に開発された電子黒板・電子教卓などの展示も多数あり、生徒だけでなく教師を支援するハードやコンテンツが充実しているという印象を持ちました。

面白いと感じたのは、江原道(ソウルから北へ3時間の都市)にある小学校の教室をそのまま再現した「スマート教室」と呼ばれる展示です。
そこでは、ブースに展示されている電子黒板や教卓、デジタル教科書などを駆使した模擬授業が行われていました。Korea2
授業内容は、「拡張現実」の技術を使い、化石を掘り出し、その種類などを調べる、というもの。
塾が遠かったり、他の学校との交流が困難だったりする過疎地の子どもたちに対して、スマートラーニングが平等な教育機会を与えるという事例でした。

また、家庭学習支援について紹介していた「サイバー家庭学習」という展示では、家庭でインターネットを活用して教科書の内容を復習する方法を実演していました。
この展示には、学習者1人1人の利用状況にあわせアドバイスできる仕組みや、アバターなどを使うことで学習者が楽しく学べる工夫があり、学校と家庭をつなぐトータルな学びを紹介していました。

<韓国のスマートラーニングの活用状況は?>

e-Learning Korea 2012:Expoに参加後に訪問した企業や学校を簡単にご紹介します。

●ソクジョン中学校(所在地:仁川市)
デジタル教科書の研究校に指定されている学校です。
教師が自ら、授業のための機材や教材を選定し、ITを授業にどのように取り入れるかを研究・実践していました。生徒たちも新しい教え方の授業を楽しんでいるようでした。
私たちがこの学校で見学した1年生の英語の授業は、従来の英語の授業とは趣の異なる授業でした。
教師が一方的に英語の知識を教えるのではなく、生徒同士がお互いに学びあいながら、英語の知識をどのように活かしていくか、という点に配慮された授業が展開されていました。

●JLS(所在地:ソウル江南)
小中学生向け英語塾、最大手。
オンライン学習で使う英単語アプリケーションの開発も手掛けています。
塾の教室はごく一般的でしたが、塾だけでなく、家庭でも楽しみながら学ぶことで、授業と自己学習の連携が可能となり、相乗効果を生み出していました。
家庭でオンライン学習に取り組みたくなるコンテンツが充実しており、2012年に韓国教育企業大賞を受賞。
自社開発の英語学習アプリケーションは、韓国キャリア3社から最優秀賞に選出されています。

●Tekville(所在地:ソウル江南)
企業や、教師を対象としたeラーニングを開発・提供している教育系の企業です。
教育分野では韓国の教師42万人中約30万人が登録しているeラーニングサイトを運営しています。
教師向けのコンテンツとしては、教科の内容や授業設計方法から、校内暴力やゲーム中毒など昨今の社会的な課題に対する生活指導まで幅広く提供をしています。
また、受講者(教師)からの質問や問い合わせなどに対して24時間以内に回答するなど、受講者を手厚く支援しているところも印象的でした。

今回は訪問先で見学した内容の概要をお伝えしましたが、ソクジョン中学校、JLS、Tekvilleの取り組みには、私たちが人材育成の観点からヒントになり得る要素がたくさんありました。
詳細は次回からご紹介しますので、お楽しみに!

※次回は12月6日にお届け予定です。
更新は、当社のメールマガジン『KnowledgeWing通信』でお知らせしています。
お見逃しのないように、ぜひ、メールマガジンへご登録ください。
http://www.knowledgewing.com/kw/nurture/mailmag.html

こんにちは!富士通ラーニングメディア・ソリューション本部の森です。

日本がグローバルビジネスを展開するうえで、欠かせない地域である東南アジア。

その中で、特に親日性が高いといわれるベトナム・シンガポール・フィリピンの3ヶ国の人材育成の現状を視察してまいりました。

前回、当社の岨下がご紹介したのは、シンガポールのICT教育の取り組み。

シンガポールに多くの優秀な人材が揃っていることは知っていましたが、それは国をあげての人材育成の賜物だったのですね。

第4回の連載となる今回は、発展のスピードが目覚ましいフィリピンの現状についてお伝えいたします。

<英語堪能で親切な国民性>

前回、当社がフィリピンを訪れたのは、およそ10年前。

当時はほとんど整備されていなかった国が、この10年間で驚くほど発展しており、そのスピードにとても驚きました。

ベトナムやシンガポールと同じく、国内は活気にあふれており、グローバルビジネスを展開する企業から大きな注目を集めています。

実際、ここ10年の間に多くの欧米IT企業が参入、データセンターなどを集約する動きが見られました。英語が堪能な上、親切な国民性を持つフィリピン人。

彼らは諸外国の技術を取り入れ、フィリピン仕様に転換する能力にも長けています。

<日本とのパイプ役を育成>

国民の貧富差が激しいフィリピンでは、資産家が複数のベンチャー企業を立ち上げるケースが多く見られます。

ベンチャー企業は、ビジネスの読みが非常に早く、何に力を入れるかの判断がとてもスピーディーなのが特徴です。

現地の某ベンチャー企業では、オフショア開発の際に必要なブリッジSEを育成。

日本と現地の仕事の進め方の違いを理解した上で、二国間のプロジェクトを円滑に進める役割を果たしています。

<大学と企業の連携で人材育成>

フィリピン大学IT Training Centerでは、市場で必要とされるIT人材を育成するために、企業とタイアップしたカリキュラムを取り入れています。

企業から講師を呼んだり、社員を大学へ生徒として派遣したりと、双方の連携がうまくとれている様子が見受けられました。

また、企業からの手厚い奨学金制度が整っているのも特筆すべきポイントです。

学生は、企業と密着した学びを通じて、最新の知識や技術を身に付けることができます。

一方、企業は早い段階で優秀な人材を確保し、即戦力として活かすことができるのです。大学と企業、双方にとって大きなメリットが感じられるシステムといえるでしょう。

20120301_upittc_2

元々、フィリピン大学IT Training Centerでの「人材育成プロジェクト」は、2004年から2011年にかけて、日本のODA(政府開発援助)予算によって技術協力をおこなってきた取り組みです。

しかし現在では、大学と現地企業がうまく連携し独立採算制をとるまでに成長しており、ODAからの補助金は拠出されていません。

大学と企業連携の希少なモデルケースと言えるでしょう。

今後、フィリピンへのビジネス参入を検討する場合、フィリピン大学の例のように企業と大学が連携をとっていくのも1つの方法かもしれません。

企業から講師を輩出→大学で優秀な人材を育成→優秀な人材が企業へ就職というサイクルは、特に地元で就職をしたい若者にとって、とても魅力的にうつるのではないでしょうか。

20120301__2

<次世代の人材を育成するために>

これから、さらなる経済成長が期待できるフィリピン。

日本がフィリピンへのグローバルビジネス化を考えたときに必要となってくるのは、二国間を橋渡しするグローバルな視野を持った、リーダー的役割を担う人材だと考えています。

繰り返しになりますが、仕事のやり方が異なる日本とフィリピンにおいて、プロジェクトを円滑に進めるためには、双方の文化の違いを汲み取る能力が必須。

しかし、現状では、日本からの指示や意図を現地スタッフに的確に伝達し、議論し、新たな価値(ビジネス・サービス)を作り上げることのできる人材は、じゅうぶんに育っていません。

現地のスタッフを、どう育成していいかわからない企業が多いのも現状です。

資金に余裕があれば、現地スタッフを日本に呼んで、まずは日本のやり方をしっかり学ばせる。

その上で帰国させるのも1つの方法かもしれませんね。

また、フィリピン人も日本語習得のハードルを高いと感じています。

言語の壁をどのようにして越えさせるのかも、今後の大きな課題となってくるでしょう。

さらに、私自身が最も必要だと感じたのが、日本のプロジェクトマネージャー、およびリーダーのグローバル化

プロジェクトマネージャーやリーダーが、よりグローバルな視野を持ち、グローバルな仕事の進め方を身に付けないと、他国のビジネススピードにはなかなか追いつけないのではないのでしょうか。

---
4回にわたってお届けしてまいりました、「アジアにおける人材育成」いかがでしたでしょうか?

東南アジアの中でも、特に親日性が高いといわれる、ベトナム・シンガポール・フィリピン。

私なりに各国の知識を収集して視察に臨んだつもりでしたが、実際に足を運んでみると、当初の予想とはずいぶん異なることを実感しました。

東南アジアと言っても、文化や国民性はさまざま。

ひとくくりにして、グローバビジネスを展開するための判断材料にしてしまうのは、たいへん危険だと感じます。

これからグローバルビジネスを検討するにあたっては、やはり現地に赴き、生の状況をしっかりと把握すること、それを元に整理や分析をしていく必要性があることを強く感じました。

こんにちは!富士通ラーニングメディア・ソリューション本部の岨下(そわした)です。

ベトナム・シンガポール・フィリピン、アジア3ヶ国における人材育成の現状について、4回にわたってお届けしております。

第3回目となる今回は、シンガポールの教育の現状をレポート。

ビジネス都市として、すでに完成形に近づいているシンガポールでは、子どもたちに向けてどんな教育がおこなわれているのでしょうか。

非常に興味深い事例に、たくさん出合うことができましたので、ご紹介させてください。

<国家ビジョンとして掲げる人材育成>

国土が小さく、物資も少ないシンガポールでは、人材こそ財産であると考え、その育成のために力を注いでいます。

軍事費に匹敵するほどの膨大な予算をかけ、国家をあげて人材を育成。

優秀な人材こそが、地域を活性化させ、さらには国を発展させることにつながると考えているのです。

そんななか、国家ビジョンとして掲げているのが「マスタープラン」。

ICT(情報通信技術)を活用した教育により、21世紀に求められる能力を子どもたちに定着。

優秀な人材を育成することを目的として、1997年に制定されました。

<近未来型の学校の形、フューチャースクール>

マスタープラン政策の1つとして、シンガポールの教育省と情報通信開発庁が共同で立ち上げたプログラムが「フューチャースクール」です。

全国に、約300校ある学校のうち12校をフューチャースクールと認定。

指定期間の4~5年で、1学校に対し3ミリオンシンガポールドル(約2億円)もの予算を投じ、特色あるICT教育をおこなっています。

20120223_pc_2 予算を使った取り組みは、まずインフラ基盤の整備からスタート。

場合によっては、学校を建築するところからスタートすることもあります。

学内では、生徒の3~4名ごとに1台のPCを準備。
インターネットを完備し、学校内のどこでもICT教育がおこなえる環境を整えています。

<新しい学びスタイル協働学習>

インフラ整備が整ったあとに重要となってくるのが学習方法。

2009年よりスタートした3フェーズめのマスタープランでは、ICTを効果的に活用し、自律的かつ協働的な学習能力を重視した取り組みを推進しています。

まず、教師が生徒に対して一方的に教える受け身型の教育方法を排除

生徒は、ICTを通じて、自ら学ぶ方法を身に付けます。

授業中に、PC上に設問が出題されることが多いのですが、わからない単語が出てきたらインターネットで検索するなどして答えを見つけます。

家庭では、ノートPCやタブレットPCを活用して宿題を提出したり、わからない点は、オンライン上で教師とつながって解決していきます。

さらに、他の生徒と知識や見解を共有することが、協働学習の重要なポイント。

生徒同士が、オンライン上で互いの考え方を説明し合ったり、学習の成果物を公開し合ったりしており、さまざまな場面において協働学習に取り組む姿勢が確立されていました。

<最新鋭のICT機材が設置された教室>

フューチャースクール認定校の1つ、生徒数約1500人の義安(ニーヤン)中学校を訪れました。20120223__6

多くの教室で使われていたのは電子ホワイトボード。

その他にも、全面がスクリーンで、好きな場所にプロジェクタの映像を映し出すことができる教室があったり、

写真やビデオを生徒自らが編集できるコンピューターグラフィック編集室があったりと、各教室に先進のICT機材が揃っています。

20120223__7 教室の内装に至るまで、多くの経費が使われており、「こんな教室で学習したら楽しそう!」という印象を受けました。

また、ICT活用のためソーシャルメディアの使用を積極的に推進

アメリカの某大手IT企業からは教育ラボとして認定されており、資金援助も受けています。

<スマートフォンで自主学習>

同じく、フューチャースクールに認定されている南僑(ナンチャオ)小学校。

国立教育学院(NIE)から認定された唯一の研究校で、校内には専用の研究室が設けられています。

全校生徒約1900人のうち、90%ほどを中国系の生徒が占めています。

ナンチャオ小学校の特徴は、スマートフォンによる自主学習。

宿題のテーマが「中国のことわざ」であれば、児童たちは、スマートフォンを自宅に持ち帰り、家族の写真を撮ります。

20120223__9  さらに、その写真に見合ったことわざを考え、中国語で説明します。自分で撮った写真・ことわざ・中国語での説明をwiki(複数人が共同で構築していくWebコンテンツ)にアップロード。

学校の授業で、教師や他の児童と宿題を共有しながら、中国語で議論するという、協働学習をおこなっていました。

科学の授業では、スマートフォン上にスケッチを描かせる場面も。

スケッチを描かせることにより、児童たちは、ひとりひとり、まったく違ったプロセスで回答を導き出します。

教師は、文字が書けない児童でも、理解の度合いを把握しやすくなるのです。

中国語の授業にしても、科学の授業にしても、スマートフォンを活用した学習に共通していたのは、児童たちが自らの力で学ぶというスタイル。

ICTへの取り組みは、教師から指示されなくても、自主学習や協働学習を経て、自発的に学べる子どもたちを育てているのです。

<小学生のプレゼン能力>

フューチャースクールに認定されているのは12校のみというお話しをしましたが、実は一般校との違いはそんなに大きくはありません。

国を挙げたマスタープランによってICT活用を推進しているので、一般校においても積極的な取り組みがおこなわれているのです。

一般校である、啓北(チーホア)小学校の理科の授業でおこなわれていたのは、「地球温暖化」をテーマにしたディベートです。

児童たちは、1人1台のノートパソコンを持って、授業に参加。クラス全体が2チームに分かれ、各チームの代表者3名が、討論者として壇上にあがりました。

討論者は、パワーポイント等を使ってプレゼンテーションを繰り広げるのですが、聴衆役となっている児童たちも、ただ討論を聞いているだけではありません。

自分のチームを勝たせるために、有用な情報をパソコンで調べ、討論者のパソコンに送信。

討論者は、それを即座に汲み取って、さらなる討論を展開します。

日本では私たち社会人が使うイメージの強いパワーポイントも、シンガポールでは子どもの学習ツールの1つなんですね。

20120223__10 教師から生徒へ教えるという、一方的な教育方法では、知識も見解も大きな広がりを期待できません。

しかし、協働学習という仕組みを活用すれば、個人の知識や見解を、何倍にも大きく広げることができるのです。

<次世代の人材を育成するために>

今回の視察を通じて感じたのが、国をあげて優秀な人材を育成しようというシンガポールの強い意気込み。

少数精鋭で、次世代のリーダーを育てたいという熱いパワーがみなぎっていました。

小学校時代から、過当競争の中にあり、ハードな教育プログラムを課せられるシンガポールの子どもたち。

勉強に熱心に取り組む姿を見ていると、我こそが次世代のリーダーになるのだという意識が、すでに身に付いているように感じました。

日本の教育にもICT教育が取り入れられてきたとは言え、その発展のスピードはシンガポールとは比較できないほど緩やかです。

しかし、一方で、日本でも教育のICT化の動きは確実に歩みを進めています。

シンガポールのICT教育に感化された原口元総務大臣が、「ICTを使ったヒューマンニューディール」事業を提案。平成22年度には、総務省予算として10億円が計上されました。

また、同じく平成22年には、日本においてのフューチャースクール事業が小学校10校にてスタートしています。

平成23年度には中学校や特別支援学校にも拡大するとの見通しとなっており、今後の日本の教育分野において、シンガポールは大きなモデルケースとなってくるでしょう。

これから日本の企業がシンガポールに進出しようとするときに大切なのは、シンガポール国民が持っている「グローバル化」の概念に、私たちがどれだけ近づけるかではないでしょうか。

多民族国家であるシンガポールでは、英語はもちろん、2~3ヶ国語が話せて当たり前という風潮があります。

日本にも、ICT教育の推進とともに、語学学習についてのさらなる取り組が求められてくるのかもしれません。

当社でも、従来の受け身型ではなく、1対1のパーソナルな教育でもない、新しいスタイルの協働学習を模索中。

すでに、当社の「Learning Management System(LMS):学習管理システム」であるKnowledgeC@feをベースにしたクラウド型の人材育成を推進しています。

これからグローバルなビジネス展開を目指す日本にとって、企業の人材育成はもちろん、子どものたちの学習面においても、これまでのスタイルにとらわれない新しい教育の形が求められているのではないかと感じています。

こんにちは!富士通ラーニングメディア・ソリューション本部の森です。

日本企業のグローバル化を進める中で、東南アジアの国々との関係構築が急務となっています。

ひとことで東南アジアといっても、実は、国ごとの国民性や文化、人材教育の方法がまったく違うのです。

前回ご紹介したベトナムでは、IT人材不足が課題でした。

日本企業として、何らかのビジネス参入の可能性が大きいと感じたのに対し、シンガポールはすでに完成された国である印象を強く受けました。

今回は、そんなシンガポールの人材育成事情についてお伝えしてまいります。

<世界各国の流通拠点>

シンガポールの国土面積は、日本の琵琶湖とほぼ同じ。人口密度は世界で第2位です。

20120216__3 その小さな国の中に、人・物・情報・サービスのすべてが集約

さらに、シンガポールを拠点に世界中に広がっていく、中継地点として重要な役割を持っています。

アジアの流通の要として、世界各国から大きな注目を集めているのです。

すでに世界各国の大手企業が続々と参入。欧米の企業であれば、アジアへのビジネス展開の拠点にシンガポールを目指します。

アジアの企業であれば、欧米へのビジネス展開の拠点としてシンガポールを求めるのです。

世界各国の企業が、自社のハブ的な役割を担う地域として、シンガポールを大きく活用しています。

<シンガポールで求められる人材>

シンガポール国民は、非常に勉強熱心。

当たり前のように英語を話し、中国語をはじめとした多言語対応可能な人材も揃います。

さらに、発展好調なシンガポールは、ベトナムやフィリピンの人々にとって貴重な出稼ぎ先でもあります。

次々と優秀な人材が入り込んでくるため、企業側も大きなメリットを感じているようです。

そんなシンガポールで求められているのは、欧米の仕事の進め方をじゅうぶんに理解しつつ、それをアジア流へと転換し伝えていけるような人材。

柔軟性が高く、器用で強いリーダーシップが、人材にも期待されています。

<シンガポールの人材育成の今>

繰り返しになりますが、シンガポールは東南アジアで最も先進性があり、早い段階から多くの欧米諸外国が進出してきました。

その世界中の有名企業を求めて、ベトナムやフィリピンなどアジア各国から有能な人材が集まってきます。

シンガポールは、このようにして多民族性のある国へと進化してきました。

参入している欧米の某大企業では、すでに自社内で確立された人材育成体系を、そっくりそのままシンガポール版として適用しているようです。

そのような状況下において、単純な技術研修やビジネス研修は必要とされず、オリジナリティの高い研修プログラムが求められます。

当社のような人材育成会社が、教育サービスを提案する場合にも、じゅうぶんなオリジナリティが期待されることになるのです。

そんななか、クライアントごとにカスタマイズした教育プログラムを提供し、成功しているのが人材育成会社S社です。

企業戦略・セールスマネジメント・プロジェクトマネジメントなど、さまざまな研修テーマにおいて、企業ごとのオリジナル研修プログラムを組み立てます。

また、設立以来40年間以上にわたり積み重ねてきたビジネストレーニング&コンサルティング事業の実績を活かして、クライアントの業務に密着した研修プログラムを提供、目に見える形での成果を出しています。

コンサルティングの具体的な方法として、まず、1社1社に対して丁寧なヒアリングを実施。クライアントが抱えているニーズや問題点を細かく探っていきます。

さらに、そのニーズや問題点を細かく咀嚼(そしゃく)したうえで、クライアントの業務に密着したオリジナル性の高いプログラムを作成していくのです。

また、演習やケーススタディなど、研修用のシミュレーターも豊富に揃っています。プログラムは、英語はもちろん中国語でも提供しており、2000年以降、中国にも進出しました。

20120216_02_2

<次世代の人材を育成するために>            

フィリピンやベトナムなど、特定国へのグローバルビジネス化を考えた場合には、その国へビジネスを展開するのが1番の近道です。

一方で、東南アジア全般へのグローバルビジネス化を検討するのであれば、まずはシンガポールに拠点をおくこと。

もしくは、シンガポールでパートナーを見つけておくことが、効果的な方法かもしれません。

東南アジアまわりの複数の中小企業を束ねるヘッドクオーター(司令部・本部)となる企業も多いのですが、その多くが欧米諸国の大企業。

一時期、シンガポールに拠点を構える日本企業も多かったのですが、複数の企業が、不況の流れとともに撤退を余儀なくされました。

そういった点において、日本は、やや遅れをとっている感じも否めません。

東南アジアの最先端をいくシンガポール。こうしている間にも新しい人・物・情報・サービスが次々と入り込んできており、そのスピードに乗り遅れないように各国が必死になっています。

販売チャネルも多い、たいへん魅力的な国ではありますが、ビジネス都市として完成形に近づきつつあるシンガポールに参入し、ビジネスを大きく展開させていくのは至難の業と言えるでしょう。

グローバルビジネスの展開において、シンガポールが重要な位置を確立しているのと同様、東南アジア全般の人材育成を考えるとき、やはりシンガポールは無視できない存在です。

人材育成という点においても、日本よりも進んでいるのではないかと驚きの多かったシンガポール。

今、シンガポールに、既存の教育プログラムを持ち込んだとしても、相手にされないのでは?と不安さえ感じます。

そういった意味で、シンガポールへの人材育成分野での参入も、非常に難しいと感じています。

グローバルビジネス化のためのパートナー企業をシンガポールで探すのか。

日本ならではのオンリーワンの何かを持ち込むのか。

当社も含め、シンガポールを通じて、手腕が試される日本企業も多いかもしれませんね。

こんにちは!富士通ラーニングメディア・ソリューション本部の森です。

グローバル化を進める中で、欠かせない存在といわれている東南アジア諸国。

多くの日本企業が、製造の拠点として、また市場として最も注目している地域です。

日本企業がグローバル化を考えるとき、東南アジア諸国にいかに展開できるか、現地のスタッフをいかに育成し、組織化できるかが重要なポイントとなってきます。

海外での人材育成の現状を把握するため、ベトナム・シンガポール・フィリピンを視察してまいりました。

現地の企業や大学を視察した中で、今後の人材育成にとって重要となるポイントを厳選。

今回から4回にわたって、みなさまにお伝えいたします。

第1回目の今回はベトナム。私自身、今後、もっとも注目すべき国の1つです。

<IT人材不足を打破するために>

ベトナム南部に位置する「ホーチミン工科大学」を訪れました。

設立は、1957年。ベトナム南部の工科大学としては最も古い大学で、約1600名の学生が通っています。

学生たちは、真剣に授業に取り組んでおり、居眠りをする姿は見当たりません。

講義が終わってからも、ほとんどの学生が廊下に置かれている長机に座り込み、勉強を続ける姿が見られました。

20120209__8 学内にはコンピュータ室を完備。

現在、ベトナムではIT人材の不足が課題になっています。

そのため、より優秀な人材を確保すべく、政府や企業が大学に対し、研究費や奨学金などを提供するケースが増えています。

ホーチミン工科大学も、日本の団体や大学と連携し、技術プロジェクトを実施。政府・企業・団体・大学が強いパイプでつながり、熱心に学生を教育しようとする姿勢がうかがえました。

<勤勉な国民性と高い転職率>

ベトナムでは、社会人も勉強熱心で、会社が終わってから専門学校に通う姿も多く見られます。

学費は、基本的に個人負担。現状では、企業が費用を負担するケースはほとんどありません。

彼らが勉強熱心になる理由は、現在より高収入を得て、生活水準をアップさせたいという強い思い。

複数の仕事を掛け持ちしないと、なかなか食べていけないという経済的な背景がある中、キャリアや高収入を得るためなら、勉強する資金と時間を惜しまないというスタイルが確立されてきたようです。

勤勉という点においては、日本人と近い感覚を持っているベトナム国民ですが、キャリアにおいては、より欧米的で個人主義の側面を持ち合わせています。

その結果、現在、課題となっているのが高い転職率

ベトナムの人々は、少しでも条件のよい転職先が見つかれば、短いスパンで転職を繰り返します。

個人主義的な彼らにとって、所属する企業を発展させることよりも、賃金を含めた自身へのよりよい評価の方が重要なのです。

では、せっかく育てた優秀な人材を手放さないために、企業として、どのような取り組みを進めていけばよいのでしょうか?

20120209__9

<現地密着型の運営体制>

某企業の工場では、約2,000名のスタッフのうち、日本人はマネージャー約10名のみ。

ラインで就業するスタッフの大半を現地スタッフが占めており、現地に密着した運営体制をとっています。

スタッフの年齢層が非常に若く、社内は活気あふれる雰囲気。
笑顔で働くスタッフたちの顔が、強く印象に残りました。

親日性が高いといわれるベトナム国民ですが、それでも、まったく文化の異なる日本企業が進出し、よりよい形でビジネスを展開できるようになるまでは、かなりの年数と労力を要したようです。

スタッフの転職率の高さも悩みのひとつだったのですが、転職してきたスタッフに対しての教育プログラムをうまく稼働させることにより、ビジネスを円滑に進められるようになったといいます。

<ベトナムにおける人材育成のポイント>

個人主義である現地スタッフは、組織で仕事をまわした経験が少なく、上司と同じ部屋で仕事をする環境に慣れていません。

このように、個人主義的な側面を持つ一方で、人とのつながりを大切にするのがベトナムの国民性。

この工場では、彼らの国民性を尊重しつつ、会社への帰属意識を高めるためのアプローチを実践してきました。

その1つが、贈り物や報奨金付与の取り組み。
誕生日には上司や同僚からプレゼントを贈ることを欠かしません。

また、何らかの成果を成し遂げたスタッフには、報奨金が贈られるのですが、同時に周囲のスタッフにも一時金を配布します。

個人主義的な彼らにとって、自分以外のスタッフだけが評価されることは耐え難く、自分が正しく評価されていないと感じると、すぐに転職を決断してしまう傾向があります。

もう1つ、重要視しているのが、会社主催イベントの開催。
みんなで楽しめるバーベキューやピクニック、慰安旅行などを頻繁におこない、スタッフ同士の「輪(和)の精神」を強めています。

個人主義と輪(和)の精神。一見、相反するようにも見える国民性を把握し、尊重することが、現地での人材育成の重要ポイント。

プレゼントや報奨金を通じて、個人主義的な彼らの姿勢を尊重する。
多彩なイベントの開催によって、スタッフ同士のつながりを深めていく。

このような地道な取り組みが、結果として、日系企業への帰属意識につながっていくのかもしれません。

<次世代の人材を育成するために>

IT市場を拡大させていくためには、きちんとプログラム化された人材育成が必須。

しかし、現在のベトナムでは教育格差が大きく、大企業以外は個人にスキルアップを依存しています。

また、高い転職率がある限り、企業単位で人材育成に力を入れたとしても、なかなか発展は見込めないでしょう。

政府や企業、団体などが、横串となって企業をまとめ、人材育成に力を注いでいく。

ベトナムにおいては、そんな風土作りが求められる時期が来ているように感じました。

また、私たち日本人は教育が得意だという点も特筆すべきポイントです。

欧米諸外国が、お金や物など、いわゆる「箱」の提供が得意であるのに対し、日本人は、それらをどう活用していくかを現地の人たちと一緒に考えていく力を持っていると感じます。

その姿勢こそ、日本人の強みであり、欧米諸外国との差別化のポイントなのではないでしょうか?

20120209__10

月別アーカイブ