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【いま、求められる人材】アジアにおける人材育成★個人主義と輪(和)の精神を重んじる国ベトナム

[2012年2月 9日]

こんにちは!富士通ラーニングメディア・ソリューション本部の森です。

グローバル化を進める中で、欠かせない存在といわれている東南アジア諸国。

多くの日本企業が、製造の拠点として、また市場として最も注目している地域です。

日本企業がグローバル化を考えるとき、東南アジア諸国にいかに展開できるか、現地のスタッフをいかに育成し、組織化できるかが重要なポイントとなってきます。

海外での人材育成の現状を把握するため、ベトナム・シンガポール・フィリピンを視察してまいりました。

現地の企業や大学を視察した中で、今後の人材育成にとって重要となるポイントを厳選。

今回から4回にわたって、みなさまにお伝えいたします。

第1回目の今回はベトナム。私自身、今後、もっとも注目すべき国の1つです。

<IT人材不足を打破するために>

ベトナム南部に位置する「ホーチミン工科大学」を訪れました。

設立は、1957年。ベトナム南部の工科大学としては最も古い大学で、約1600名の学生が通っています。

学生たちは、真剣に授業に取り組んでおり、居眠りをする姿は見当たりません。

講義が終わってからも、ほとんどの学生が廊下に置かれている長机に座り込み、勉強を続ける姿が見られました。

20120209__8 学内にはコンピュータ室を完備。

現在、ベトナムではIT人材の不足が課題になっています。

そのため、より優秀な人材を確保すべく、政府や企業が大学に対し、研究費や奨学金などを提供するケースが増えています。

ホーチミン工科大学も、日本の団体や大学と連携し、技術プロジェクトを実施。政府・企業・団体・大学が強いパイプでつながり、熱心に学生を教育しようとする姿勢がうかがえました。

<勤勉な国民性と高い転職率>

ベトナムでは、社会人も勉強熱心で、会社が終わってから専門学校に通う姿も多く見られます。

学費は、基本的に個人負担。現状では、企業が費用を負担するケースはほとんどありません。

彼らが勉強熱心になる理由は、現在より高収入を得て、生活水準をアップさせたいという強い思い。

複数の仕事を掛け持ちしないと、なかなか食べていけないという経済的な背景がある中、キャリアや高収入を得るためなら、勉強する資金と時間を惜しまないというスタイルが確立されてきたようです。

勤勉という点においては、日本人と近い感覚を持っているベトナム国民ですが、キャリアにおいては、より欧米的で個人主義の側面を持ち合わせています。

その結果、現在、課題となっているのが高い転職率

ベトナムの人々は、少しでも条件のよい転職先が見つかれば、短いスパンで転職を繰り返します。

個人主義的な彼らにとって、所属する企業を発展させることよりも、賃金を含めた自身へのよりよい評価の方が重要なのです。

では、せっかく育てた優秀な人材を手放さないために、企業として、どのような取り組みを進めていけばよいのでしょうか?

20120209__9

<現地密着型の運営体制>

某企業の工場では、約2,000名のスタッフのうち、日本人はマネージャー約10名のみ。

ラインで就業するスタッフの大半を現地スタッフが占めており、現地に密着した運営体制をとっています。

スタッフの年齢層が非常に若く、社内は活気あふれる雰囲気。
笑顔で働くスタッフたちの顔が、強く印象に残りました。

親日性が高いといわれるベトナム国民ですが、それでも、まったく文化の異なる日本企業が進出し、よりよい形でビジネスを展開できるようになるまでは、かなりの年数と労力を要したようです。

スタッフの転職率の高さも悩みのひとつだったのですが、転職してきたスタッフに対しての教育プログラムをうまく稼働させることにより、ビジネスを円滑に進められるようになったといいます。

<ベトナムにおける人材育成のポイント>

個人主義である現地スタッフは、組織で仕事をまわした経験が少なく、上司と同じ部屋で仕事をする環境に慣れていません。

このように、個人主義的な側面を持つ一方で、人とのつながりを大切にするのがベトナムの国民性。

この工場では、彼らの国民性を尊重しつつ、会社への帰属意識を高めるためのアプローチを実践してきました。

その1つが、贈り物や報奨金付与の取り組み。
誕生日には上司や同僚からプレゼントを贈ることを欠かしません。

また、何らかの成果を成し遂げたスタッフには、報奨金が贈られるのですが、同時に周囲のスタッフにも一時金を配布します。

個人主義的な彼らにとって、自分以外のスタッフだけが評価されることは耐え難く、自分が正しく評価されていないと感じると、すぐに転職を決断してしまう傾向があります。

もう1つ、重要視しているのが、会社主催イベントの開催。
みんなで楽しめるバーベキューやピクニック、慰安旅行などを頻繁におこない、スタッフ同士の「輪(和)の精神」を強めています。

個人主義と輪(和)の精神。一見、相反するようにも見える国民性を把握し、尊重することが、現地での人材育成の重要ポイント。

プレゼントや報奨金を通じて、個人主義的な彼らの姿勢を尊重する。
多彩なイベントの開催によって、スタッフ同士のつながりを深めていく。

このような地道な取り組みが、結果として、日系企業への帰属意識につながっていくのかもしれません。

<次世代の人材を育成するために>

IT市場を拡大させていくためには、きちんとプログラム化された人材育成が必須。

しかし、現在のベトナムでは教育格差が大きく、大企業以外は個人にスキルアップを依存しています。

また、高い転職率がある限り、企業単位で人材育成に力を入れたとしても、なかなか発展は見込めないでしょう。

政府や企業、団体などが、横串となって企業をまとめ、人材育成に力を注いでいく。

ベトナムにおいては、そんな風土作りが求められる時期が来ているように感じました。

また、私たち日本人は教育が得意だという点も特筆すべきポイントです。

欧米諸外国が、お金や物など、いわゆる「箱」の提供が得意であるのに対し、日本人は、それらをどう活用していくかを現地の人たちと一緒に考えていく力を持っていると感じます。

その姿勢こそ、日本人の強みであり、欧米諸外国との差別化のポイントなのではないでしょうか?

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