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業務の見える化とは?概要・メリット・見える化すべき項目・方法・ポイントについて詳しく解説!

業務の見える化とは?概要・メリット・見える化すべき項目・方法・ポイントについて詳しく解説!

2023/09/28

このようなお悩みはありませんか?

「取引先からの要望を断ったが、対応できる方法があると後から判明した」
「生産性向上のためにコストを下げたいが、これ以上効率化できるところが見つからない」
「人が入れ替わるたびにナレッジの継承がなされず、各人が試行錯誤している」

これらの原因の一つは、業務で見えていない部分があること。業務を「見える化」することで解決の糸口をつかみやすくなります。

この記事では、業務の「見える化」について、メリットや実施に必要な要素、方法、注意点などについてご紹介します。業務の見える化について詳しく知りたい方に、参考にしていただけると幸いです。

業務の見える化とは?

「見える化」は、見えていなかった物事をわかりやすく表現することを指し、「可視化」と同じ意味の言葉です。トヨタ自動車の製造現場において、業務上の問題に現場で気づいて対応できるように業務の状況を一目で見てわかるようにする「見える化」という言葉が生まれ、その後ビジネスの世界で普及しつつあります。

今回のテーマである業務の見える化は、業務について「誰が」「いつ」「どこで」「どのように」「どのレベル・基準で」を明らかにして、その業務に携わる従業員の誰にも客観的でわかりやすく共有することです。

業務の内容だけでなく、どこでエラーやトラブルが発生しやすいかも一目でわかり、その解決方法は何を見ればわかるかなど解決のための行動がとれるレベルであることがポイントです。

業務の見える化のメリット

業務の見える化のメリット

業務の見える化を行うことで、次のようなメリットがあります。どのようなメリットなのか見ていきましょう。

  • 業務全体の把握が可能
  • 業務フローの修正・改善
  • 人員配置の最適化
  • 従業員の適正な評価

業務全体の把握が可能

業務全体の把握が可能

業務の全体像の見える化を行うと、自分の業務と関連する他業務についても理解が進むようになります。

例えば部署の業務の全体像をわかりやすいマニュアルにして見える化し、各課の従業員が研修の際に読み込むようにします。自分の業務と関係のある業務を知っていると、トラブルが発生した際に影響のある関係部署にすぐ連絡できるなど、対応力が違ってきます。

従業員は業務の状況がわかりやすいと理解度が高まり、前向きな気持ちになります。従来の担当範囲を横断するような案件にも目を向けられる柔軟な空気が醸成されれば、新たなビジネスチャンスが広がります。

業務フローの修正・改善

業務フローの見える化を行うと、ムリ・ムダ・ムラのある箇所がわかるようになり、修正・改善に取り組むことができます。

例えば業務フローを細部までわかりやすくフロー図で表示することで「この作業工程は他の業務と重複してムダがある」「他の業務と比べて工程が複雑なため、繁忙時に人数が足りない」などの改善点が見えてきます。

また、すべての工程を洗い出すことで、誰かが抱え込んで周囲の人が状況を把握できていない属人化状態の業務を発見・改良することにもつながり、不正などのリスクやトラブル防止になります。

人員配置の最適化

人員配置の最適化

作業に必要な時間や人数、つまり工数の見える化を行うと、人員配置を最適化できます。

例えば、事務作業についても、業務のかたわら作成する報告書やレポートの作業タイミングやボリューム、作成にかかる時間を表示すると、単に報告書名を一覧表にしているよりも業務の負荷が把握しやすくなります。業務量に応じた適切な人員・人員数の配置につながります。

業務内容や業務量は未来永劫同じではなく、少しずつ変化しているものです。見える化したベースがあると変化を反映でき、業務の変化に沿って人員配置もスムーズに変化させていくことができます。

従業員の適正な評価

業務量や難易度の見える化を行うと、管理職が従業員をより適正に評価できるようになります。

テレワークの普及などで、周囲の人が何をどのように推進しているのかが見えにくくなっています。例えば、関係者が多岐にわたる難しい作業が増えたり、取引先からの依頼内容が複雑化していたりと、業務量や業務の難易度が変化しているのに把握できていないことも。いつの間にか増えた負担を抱え込んでいる従業員がいるかもしれません。

業務量や難易度がわかると求める業務レベルやスキルが明らかになり、従業員の適正な評価につながります。

業務の見える化に必要な4つの要素

業務を見える化し、わかりやすい形で共有するためには、次の4つの要素があると望ましいでしょう。

  • スケジュール
  • タスク進捗状況
  • 業務フロー
  • ナレッジ

それぞれについてご説明します。

スケジュール

業務の見える化に必要な4つの要素

従業員一人ひとりの業務スケジュールを見える化し、従業員の一日の予定を、例えば課やグループなど必要な範囲で共有・閲覧できるようにします。

  • いつ誰が何を行っているのか
  • 時間がかかりすぎる作業はないか
  • 特定の従業員に負荷がかかっていないか

これらが見えるようになると、業務実態の把握やムリ・ムダ・ムラのある業務の発見ができます。

複数人で同じ種類の仕事を行う場合でも、同じ内容を記載すると、その仕事で必要な人員数がわかります。

スケジュールで業務量をつかむためには、スケジュールに入力した「予定」に「実績」をコメントしておきます。スケジュールは「未来の予定」ですから、突発的な対応が発生して大幅に予定がずれた場合は、可能な限り実績を付記していくと、実態に即した業務量データとなります。

タスク進捗状況

課やグループ単位の、タスクの進捗状況を見える化し、タスクの担当者や進捗状況、タスクがいつ完了したかなどを閲覧できるようにします。タスクの実行がいつしか漏れており誰も着手していない状況や、タスク進捗があまりに遅い状況などを早めにキャッチできます。

新しいタスクが発生した際にも、各人のタスク進捗状況が見える化できていれば、誰に新しいタスクをアサインできるのか検討しやすくなります。

業務フロー

業務の見える化に必要な4つの要素

業務フローは、いわば業務の目次・概要といえるものであり、業務内容の全体像を一つの図にまとめるものです。例えば製造の工程でいえば、原材料の調達・投入から製品の製造・出荷までを一目でつかめるようにしたもの。営業でいえば「アポイント→面談→提案→契約」といった流れがあり、手順の概要を表しています。

注意点としては、フローの一つひとつが大まかすぎる項目だと、細かな項目が入れられず見える化の効果が薄れる点です。営業の例でいえば、新規案件と継続案件で流れが分かれる場合は、フローとして分岐して表現すると実態に即した表現となるでしょう。

ナレッジ

ナレッジという言葉は「知識」や「常識」などの意味があり、ビジネスにおいては、技術やノウハウ、業務をうまく遂行するコツなど、業務の過程で得られた知見のすべてを指す言葉となります。

業務の概要や手順のほか、次のようなナレッジについても、今後新しく発生するたびに追加して見える化を行うとよいでしょう。

  • 経緯や背景
  • 業務に求めるレベルや基準
  • 使用する機器、システムやツール
  • 過去の事例(イレギュラー事項、トラブル、成功例、失敗例)

以上の4つの要素のうち、スケジュールとタスク進捗状況が日々変化するフロー情報であり、業務フローとナレッジは変化の幅が少ないストック情報と表現できます。次に、これらを見える化する方法をご紹介します。

業務の見える化を行う方法

業務の見える化を行うには、次の3つの方法を行います。

  • 業務を調査・分析する
  • フロー情報(スケジュール・タスク進捗状況)の見える化を行う
  • ストック情報(業務フロー・ナレッジ)の見える化を行う

どのような方法なのかご説明します。

業務を調査・分析する

業務の見える化を行う方法

業務について従業員からの聞き取りや実地調査をします。先ほどご紹介した4つの要素(スケジュール・タスク進捗状況・業務フロー・ナレッジ)の観点に沿って業務に関する情報を集めると漏れがなくなります。

これまでの業務のイメージと実際の業務にずれがあったり、言語化して人に伝達するのが難しい暗黙知のナレッジがあったりした場合は、やって見せてもらう、データを集めるなどしてつかんでいきましょう。今まで把握できていなかった部分こそ、見える化で課題解決につながる可能性があります。

そして、集めた情報を分析します。見える化は、ただ集めた情報を開示するだけでなく、わかりやすい形で共有することが重要となります。わかりやすくするためには情報を細かい要素に分けてから同じものをまとめ、分類し、どのような構成で伝えると従業員にとってわかりやすくなるかを吟味しましょう。

フロー情報(スケジュール・タスク進捗状況)の見える化を行う

業務の見える化を行う方法

スケジュールやタスクの進捗状況の見える化を行うには、システムやツール、Microsoft ExcelやGoogleスプレッドシートなどを活用する方法があります。「プロジェクト管理ツール」「タスク管理ツール」などのツールでは、タスクやスケジュールをカレンダーやボード、ガントチャートなどで見やすく管理し、リアルタイムで進捗を把握できます。

既にグループウェアやアプリケーションを使っていれば、その中の機能を活用したり、Excelでの管理を新たに追加したりといった方法もいいでしょう。

見える化した情報を現場で「見て」活用するのは従業員ですから、従業員にとってわかりやすい形式を選択しましょう。

ストック情報(業務フロー・ナレッジ)の見える化を行う

業務の見える化を行う方法

業務フローやナレッジの見える化を行うには、マニュアルを作成する方法があります。マニュアルは、ストック情報を記録して共有するのに最適な手段であり、人が入れ替わっても企業にナレッジを保存し、伝承していけるものです。研修資料や引き継ぎ資料へと形を変えて活用することも可能ですから、マニュアルを既に活用している企業でも「内容が十分に見える化され共有されているか」という視点で見直してみましょう。

マニュアルは、一般的に「全体のフロー・業務の概要・本文(書く項目の説明)」という流れで作成します。業務によっては、チェックリストや手順書などを別途作成し、作業ごとのチェックを行うこともあります。

マニュアルの作成にあたっては、「マニュアル作成ツール」「文書管理ツール」などやMicrosoft Word、Googleドキュメントなどを活用する方法があります。マニュアル作成ツールは、作成だけでなく、作成した文書の管理や情報共有に優れており、次の記事でも解説していますので、ご覧ください。

関連記事:マニュアル作成はワード(Word)とエクセル(Excel)どちらが良い?手順・注意点・メリットとデメリットをわかりやすく解説!

業務の見える化を行う際のポイント

業務の見える化を行う際のポイント

業務の見える化を行う際に、留意したいポイントを3つご紹介します。

  • 見える化の目的を明確化する
  • 見やすさ・わかりやすさを重視する
  • 情報の更新を行う

見える化の目的を明確化する

何を実現するために見える化を行うのか、目的を明確化しましょう。

見える化を行う目的は企業によってさまざまです。業務の効率化、生産性の向上、従業員のスキルの底上げ、適材適所の人員配置、ナレッジの集積と技術承継、テレワークの推進、全国展開へ向けたコミュニケーションインフラの構築など、さまざまな目的があります。

目的が明確化されると手段の規模や予算が見えてきます。既存のツールを活用して予算を抑えるか、日常業務のベースとなるシステムを構築するかなど、どのような手段で見える化を実現するのがベストなのか、自社の状況に合わせた手段を検討しましょう。

見やすさ・わかりやすさを重視する

見える化の過程では、見やすさやわかりやすさを重視しましょう。

見える化とは、単なる情報の共有ではなく、誰でもわかるようにすることがポイントですから、現場の従業員にとってパッと見て内容をつかみやすいかを意識して見える化を推進します。

また、システムやツールを活用する場合は、新しい情報を追加する際に使い勝手がいいと、従業員に活用されます。ベースとなるわかりやすいマニュアルを作成するコツについては、次の記事もご参照ください。

関連記事:マニュアル作成が成功する7つのコツ!実施ステップやツール選定のポイント・手順書との違いも解説

情報の更新を行う

業務の見える化を実施した後は、情報の更新を続けていきましょう。

フロー情報であるスケジュールやタスク進捗状況は、流れていく情報ですから基本的には更新の必要はありません。ただ、前述したように、スケジュールは立てたときは予定であって実績ではないため、実績を把握したい場合は実際行った作業へ更新するとよいでしょう。

ストック情報である業務フローやナレッジについては、今後変更点や改善点が出たら最新の状態へ改訂しましょう。改訂が行われるからこそ、見える化が行われ、情報を確認するために立ち戻る場所であり続けられます。

マニュアルの改訂はどのように行うとよいのか、次の記事で解説しています。

関連記事:マニュアルの改訂履歴が重要?企業が行うべき改訂の流れと書き方も解説

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まとめ

今回は、業務の見える化について、見える化の意味やメリット、見える化に必要な4つの要素や見える化の方法などを解説しました。

見える化を行うと、業務全体の把握が可能になり、業務フローの修正・改善や人員配置の最適化、従業員の適正評価を行えるメリットがあります。業務の現場においても、業務の状況が見やすくわかりやすいとやる気がわき、改善に取り組む前向きな姿勢も持てるようになっていきます。

見える化の方法としては、フロー情報(スケジュール・タスク進捗状況)にはプロジェクト管理ツールなどを活用し、ストック情報(業務フロー・ナレッジ)をマニュアル作成ツールなどで見える化を行う方法があります。見える化を行う目的を明確にした上で、自社に合うやり方でぜひ見える化に取り組んでみてください。

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