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マニュアルの改訂履歴が重要?企業が行うべき改訂の流れと書き方も解説

2021/10/13

あなたの会社で使っているマニュアルは、どのように改訂作業をしていますか?

「直したいところが出てくれば、その都度修正しています」

なるほど、小さな規模のマニュアルであれば、この対応でも問題ないですよね。

ただ、関係部署や使用者が多いマニュアルについては、いつ、どんな理由で改訂したのか履歴を記録しておく方が良いでしょう。なぜなら、履歴を残すことは、法改正やルール変更、業務の改善などにきちんと対応している職場であることの証明になるからです。また、あなたの後に職場に来て仕事をする人にとっても、過去の経緯を知ることは、業務にとても役立つからです。

企業のマニュアルでは、どのような改訂履歴を作るべきなのか、どんな書き方をするのか。改訂するタイミングはいつがベストなのかなど、マニュアルの改訂に必要な知識を一挙ご紹介します。

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マニュアルで必要とされる改訂履歴

企業で使用しているマニュアルは、どのような改訂履歴を作るとよいのでしょうか。

一般書籍や学術論文では、初版の内容に変更が生じたら、第2版として改訂版が出版されます。その際、どの箇所をいつどのように直したのかが分かるように、改訂履歴を付けます。改訂履歴は文章の場合もありますし、表形式の場合もあります。

マニュアルについても同じです。最初のバージョンに変更が生じたら、第2版として改訂版を作成し、改訂履歴を付けます。その後も変更が生じたら、第3版として改訂版を作成し、第2版と第3版双方の改訂内容を履歴として記載します。改訂履歴は、表形式が多く使われます。

改訂履歴に記録するのは、日付と内容です。もう少し具体的にいうと、版数、改訂日、改訂箇所(章やページなど)、改訂内容(改訂前と後の比較)などです。

改訂履歴を見れば、改訂がいつどのようになされ、現在の版に至ったかを理解することができます。マニュアルは、書籍や論文と比べると、読み手に具体的な行動を指示するものですから、改訂履歴もわかりやすいものである必要があります。

マニュアル改訂作業の流れ

それでは次に、マニュアル改訂作業をどんな流れで行うかを見ていきましょう。

具体的には、「改善点のヒアリング」「認識のすり合わせ」「改訂作業」の3つのステップで行います。
それぞれのステップの内容と、その作業を行うべき理由について、詳しくご紹介します。

ステップ1 改善要望のヒアリング

まず、改訂するマニュアルに対して、予定している変更箇所のほかに改善要望があるか、現場のマニュアルの使用者にヒアリングします。

改善すべき点があるのなら、マニュアルを改訂するタイミングで同時に改訂した方が効率的だからです。

マニュアルを改訂するということは、業務の内容や進め方が変わることになります。これは、企業の業績にも関わる責任重大なことです。内容の間違いがないかとともに、誤植などの表記の間違いがないかを確認するため、何度も行うと、担当者に負担がかかります。無駄に回数を重ねないために、予定している変更とともに、改善要望をとりいれた変更も漏れなく行いましょう。

具体的には、マニュアルに関係する部署に、改訂予定のマニュアルを伝え、何か改善してほしい点がないかヒアリングをします。書面でのアンケートだけでなく、複数人で話し合う場を設けると、「そういえば先月こんな事例があったから、それも反映した方がいいね」と記憶を呼び覚ますことができます。読むだけでは思い出さないことも、話すことで思い出せる場合があります。

ステップ2 現場と改訂責任者の意識すり合わせ

次に、マニュアルを使用している現場と、マニュアルを改訂する責任者で意識のすり合わせをします。

改善要望のヒアリングをした結果、改善した方がよい箇所が出て来たとします。それらをどう変更するのかを、マニュアル改訂責任者だけで決めてしまうのではなく、現場の人と方向性を話し合うことで、現場にとって本当に役に立つマニュアルとなるからです。

どの箇所をどのように変更するか、マニュアル改訂責任者がリストアップし、それを現場に報告します。
「1章だけではなく、2章の作業も影響があるので直した方がいい」
「文章だと分かりにくいので、箇条書きの方がわかりやすい」
こんな意見が出るかもしれませんね。
変更内容のイメージが一致するまですり合わせしましょう。

ステップ3 改訂作業の実施

現場へのヒアリングとすり合わせが完了したら、いよいよ改訂作業を実施します。

マニュアル改訂責任者がいきなり改訂作業を始めるのではなく、ここまでの段階を踏んだ上で改訂作業をすると、真に現場で使いやすいマニュアルとなります。

改訂作業の段階で行うのは、変更箇所の修正と、改訂履歴の作成です。
改訂履歴には、変更する内容だけでなく、背景や経緯の記録も残します。そうしないと、今後改訂履歴を見た人が、経緯を知らずに元に戻してしまうなどの無駄な作業が発生しますので、残しておきましょう。

マニュアル改訂履歴の書き方

それでは、マニュアルの改訂履歴の書き方をご紹介します。

【A・改訂箇所が少ない場合や、改訂内容が軽微な場合】

  • マニュアルの表紙に「第2版」などと版数を記入する
  • 表紙の次に、改訂履歴の表を挿入する
  • 本文の中の、改訂したい箇所を修正する

【B・改訂箇所が多い場合や、改訂内容に解説が必要な場合】
上記の作業に加えて、次の作業をします。

  • 表紙の次(改訂履歴の表の前)に、改訂序文を挿入する
  • 本文の中の、改訂した箇所に「改訂注」を挿入する
  • 巻末に、改訂注をまとめた「改訂索引」を挿入する

「改訂序文」とは、今回改訂に至った大きな背景や経緯を文章の形でまとめたものです。
「改訂注」とは、見出しと、改訂した簡潔な理由を補足のように短文で書いたものです。
「改訂索引」とは、「改訂注」の見出しだけをまとめたものです。

Aの対応にするかBの対応にするかは、マニュアルの目的や改訂内容によって判断するとよいでしょう。
例えば、ある業務を「皆で同じレベルで完遂するのが目的」のマニュアルであれば、Aの方が使い勝手がよいといえます。一方、「高いレベルの業務遂行を求める目的」のマニュアルで、改訂内容が多いのであればBの方がよさそうです。

ここで、マニュアルのイメージ図をご紹介します。

【Aの、改訂履歴のみ挿入したマニュアルイメージ】

表紙→改訂履歴→序文→目次→本文

【Bの、改訂序文・改訂履歴・改訂注・改訂索引を挿入したマニュアルイメージ】

表紙→改訂序文→改訂履歴→序文→目次→本文(改訂注)→改訂索引

マニュアルを改訂すべきタイミング

最後に、マニュアルを改訂すべきタイミングの決め方をご紹介します。

「改訂作業は時間がかかるので、直したい箇所がある程度たまったらやるけれど、そうすると記憶が薄れることもあるから、タイミングが難しい」と迷う人も多いのではないでしょうか。

確かに、先ほどご紹介した改訂作業の流れをきちんと行うと、改訂が全て完了するまで1~2ヶ月程度かかります。そうすると、毎月のように改訂作業を行うというのは非現実的です。

どんなマニュアルの規模やボリュームであれ、以下の基準を参考に、最適なタイミングを考えてみてください。

  • 期末や繁忙期を避けた月に、1年に1回は必ず実施する
  • 業務に大きな影響のある変更が発生したら、すぐ実施する

まとめ

今回は、企業でマニュアル改訂をしたときに、どのように改訂履歴を作成するのか、一般的な方法をご紹介しました。

改訂履歴の書き方としては、改訂履歴や改訂序文、改訂注や改訂索引といった、書籍での方法を採用することができます。ただ、企業のマニュアルの改訂履歴は、書籍のものよりもさらにわかりやすい、読んですぐ読み手が行動できるような表現にすることがポイントです。

マニュアル改訂作業は、改善要望があるかを現場にヒアリングし、ヒアリングした内容をどう直すかを現場と改訂責任者がすり合わせて、そして改訂責任者が改訂作業を行う、という流れで行います。

マニュアルを改訂すべきタイミングとしては、どんなに忙しくても1年に1回を定期的に、そして法改正やルール変更など、業務に与える影響が大きい変更があった際は随時に行うのがよいでしょう。

マニュアル改訂は、必ずしもこの方法でなくても構いません。ただ、いろいろな社員が働く企業において、どんな経緯で業務に変更があったのかを記録しておくと、後の人がマニュアルを読むときに役立ちます。
マニュアルを改訂した人や改訂した内容を知っている人が、いつまでもその職場にいるとは限りません。
自分のため、そして後の社員のために、わかりやすい改訂履歴を残すようにしましょう。

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