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新人教育マニュアルとは?メリット・デメリットや作成における注意点について徹底解説!

新人教育マニュアルとは?メリット・デメリットや作成における注意点について徹底解説!

2023/03/27

あなたの会社では、新人教育マニュアルを活用していますか?

新人が入社すると研修やOJT指導などが行われますが、社内の共通事項について新人教育マニュアルにまとめてあれば、指導の場で効率的にかつ効果的に教育を行うことができます。

この記事では、新人教育マニュアルの作成について、作成するメリット・デメリット、マニュアルの内容、作成における注意点や作成手順などを詳しくご紹介します。新人教育マニュアルの作成や内容の見直しを考えている方に、参考にしていただければ幸いです。

新人教育マニュアルとは?

新人教育マニュアルとは、新卒や第二新卒など社会人経験の少ない社員が入社した際に、社会人・企業人として育成するために使うマニュアルのことです。

社会人経験のある中途採用社員であれば、それまでの経験で社会人としての基礎知識を習得していますが、新卒ではまだ習得していないため、基礎知識を教える必要があります。加えて、企業理念や業務の目的、社内のルールなど、企業人として知っておいてほしいことを伝えるものです。

新人教育マニュアルは一般的に、新人向けの研修やOJT指導の場でテキストとして活用されています。取り扱う内容は主に全社員共通の内容であり、個別の業務については配属に応じて別に学ぶことになります。

新人教育マニュアル作成のメリット

新人教育マニュアルを作成すると、次のようなメリットを得ることができます。

  • 社内の基礎知識の共有が可能
  • いつでも振り返ることが可能
  • 指導者の負担軽減
  • 仕事の質・判断のばらつきの防止

どのようなメリットなのか、それぞれご説明します。

社内の基礎知識の共有が可能

新人教育マニュアルによって、社内で必要な基礎知識をまとめて新人に共有することができます。

新人教育マニュアルには、企業理念や事業の全体像、ビジネスマナー、社内ルールや社内ツールの使用方法といった情報が盛り込まれます。新人用にまとめることで、会社生活を送る上で必要となる基本的な知識を一度に漏れなく新人に伝えることができます。

新人教育マニュアルの作成が社内の基礎知識を整理するきっかけとなり、中途採用の社員にも活用できる資料となります。

いつでも振り返ることが可能

新人教育マニュアルがあれば、社内で必要となる基礎知識をいつでも振り返って確認できます。

基礎知識に関しては、会社生活が始まってしばらくしてから「福利厚生のことはどの担当者に聞けばいいのかな」といった疑問が出てきます。そういうときに確認できる資料を受け取っていると、新人は安心して会社生活を送ることができます

新人のうちはどんな場面でも緊張し、研修で教わっても「緊張していてよくわからなかった」「頭に残っていない」ということもあります。マニュアルの形で渡すと知識が定着しやすくなりますし、「新人が困らないようにしてくれる」「社員を大切にする会社だ」という印象にもつながります。

指導者の負担軽減

新人教育マニュアル作成のメリット

新人教育マニュアルがあれば、先輩社員の負担軽減になります。

新人教育マニュアルを持った新人が配属されてくると、社内の基礎知識については一から指導しなくて済むので、先輩社員は業務についての指導に集中できます。

また、新人教育マニュアルがあると共通事項として教えるべき内容が定まるため、毎年の新人研修の指導負担軽減になります。

新人の採用を毎年行うかまだわからない企業では、新人教育マニュアルの必要性をあまり感じないかもしれません。しかし、たまに発生するイベントは毎月のように行うイベントよりもノウハウが蓄積しにくいものです。たまに発生するからこそ、新人教育について記録があると次回がスムーズになりますから、新人教育マニュアルを作成するメリットが大きくなります。

仕事の質・判断のばらつきの防止

新人教育マニュアルによって、仕事の質や判断がばらつくことを防止できます。

新人教育マニュアルがないと、新人研修の際、指導者によって指導内容がばらついてしまいます。特に企業理念や行動規範といった指針は、多様な解釈をしてしまわないよう定められた言葉で伝える必要がありますが、新人はばらついた指導に基づいて行動することになり、仕事の質や判断のばらつきにつながります。

新人教育マニュアルがあれば、新人の仕事ぶりや行動で課題が見られた際にも、例えば「うちの会社では、疑問点はそのままにしないで徹底議論する方針だよ」とマニュアルに基づいて指導することが可能です。

新人教育マニュアルのデメリット

新人教育マニュアルのデメリット

新人教育マニュアルは新人教育に欠かせない存在ですが、作成や更新に手間がかかる、といったデメリットもあります。

どのようなデメリットなのか、ご説明します。

マニュアル作成の手間がかかる

新人教育マニュアルの作成には、手間がかかります。

内容の検討を行い、わかりやすい言語表現を考え、画像や図を作成するなど、一から作るには手間がかかります。忙しい業務の合間を縫って作成するとなると、業務の手が止まることもありえます。

初めて作成する際は、あまり多くの内容を網羅しなくてもよいと割り切り、重要で優先度の高い知識をシンプルに記載する。その後の新人の育成状況も参考にして、少しずつ内容を充実させていく、といったスモールスタートを行うとよいでしょう。

定期的な見直し・更新が不可欠

新人教育マニュアルは、一度作ればあとは何もしなくてよいわけではなく、内容によっては定期的な見直しや更新が必要になります。

ビジネスマナーや企業理念などは頻繁な変更はないかもしれませんが、ルールや社内ツール、問い合わせ先など、具体的な情報は変更される可能性があります。内容を更新していないと、翌年の新人研修で新人教育マニュアルを使用する指導者や新人が困る事態となります。

更新作業の担当者やタイミングを決めておくなど、マニュアルの作成と同時に見直し・更新の方法についても考えておく必要があります。

不定形な事柄については不向き

新人教育マニュアルは、不定形な事柄については不向きである、というデメリットがあります。

不定形な事柄とは、未確定なものや、全新入社員に関係するわけではないものです。今後すでに変更が予定されている組織体制、業務によって該当の有無が分かれるツールなど、マニュアルを受け取ったあとすぐ変更になる情報や配属先次第で不要になる情報です。

こういった不定形な情報があるとマニュアルへの信用が浅くなり、次第に参照されなくなってしまいます。不定形な事柄は新人教育マニュアルには入れずに、別の周知方法を検討した方がよいでしょう。

新人教育マニュアルの内容

新人教育マニュアルには、一般的に次のような内容が記載されます。

  • 社会人としてのビジネスマナー
  • 企業理念
  • 業務の全体像
  • 社内ルール
  • 社内ツールの使用方法

それぞれどのような内容なのか、見ていきましょう。

社会人としてのビジネスマナー

新人教育マニュアルの内容

どの職場に配属されたとしても必要となる、社会人としてのビジネスマナーです。

社会人経験の少ない新入社員がスムーズに仕事を始められるように、例えば以下のような内容を記載します。

  • 挨拶
  • 言葉遣い
  • 身だしなみ
  • 名刺交換や名刺の取り扱い
  • コミュニケーション
  • 仕事の進め方

コミュニケーションは、電話の受け方・かけ方や、メールやビジネス文書での対応、社外のお客様とのやり取りなどを基礎から教えます。仕事の進め方では、上司や職場の人への報告・連絡・相談など、社会人としてのふるまいをわかりやすく解説するとよいでしょう。

企業理念

企業の理念や行動指針などの、会社の方針です。

企業理念は、企業が重要視する考え方や価値観のこと。経営理念とも呼ばれますが、企業がどのような価値観を大切にしながら社会に貢献していくかを端的な言葉で表すものです。行動指針は企業理念を体現するためにどのような行動をとるかを示すものであり、その企業に在籍する全員に行動の規範としてほしい内容です。

例えば、大手コンビニチェーンでの企業理念は「私たちはみんなと暮らすマチを幸せにします。」であり、行動指針の一つは「チャレンジを、楽しもう。」となっています。大手IT企業では、企業理念を「チームワークあふれる社会を創る」というパーパス(存在意義)と、その実現のために重視する4つの文化によって説明しています。

こういった企業理念や行動指針の一つひとつの言葉の意味について、具体的な業務と結びつけながら説明すると、よりイメージしやすくなります。

業務の全体像

会社の事業内容や担当部署などの、業務の全体像についてです。

自分の業務が社内でどのような位置付けとなるのか、他の部署ではどのような業務を行っているのかなど、早い段階でつかむと業務の理解が早くなります。

自社の業界や事業について、また社内については組織図や業務の概要説明があるとわかりやすくなります。新人が会社生活をスタートしたらすぐ必要になりそうな問い合わせ先があれば、それについても記載するとよいでしょう。

社内ルール

会社生活を送る上で必要となる、社内ルールです。

業務がスタートすると、社内ルールに基づく手続きを行う場面がさっそく出てきます。例えば、出張した際の交通費の精算方法や会社を早退する場合など。経費や休暇の取り扱いといったルールや制度を記載しましょう。

また、業務の遂行に伴い必要となるルール(会議やチャット、使用言語などのコミュニケーションルール、企業倫理やコンプライアンスのルールなど)、いずれは知っておいた方がよいルール(福利厚生や人事評価制度など)については、それぞれのマニュアル本編の該当ページの案内を記載し、電子マニュアルであればリンク先を挿入するのもよいでしょう。

FAQ(よくある質問)も記載すると、新人も助かりますし、問い合わせが減って問い合わせを受ける側にも効率化になります。

社内ツールの使用方法

社内ツールの使用方法

社内で使用されるシステムやツールのうち、社内共通のものについて使用方法を記載します。

会議ツール、社内SNS、バーチャルオフィス、勤怠管理ツールなど、業務固有のツールではなく社内共通となるツールについて、使用目的や使用方法、ルールを記載します。

ファイル名やフォルダ名のルール、データの保存場所やセキュリティのためのルール、パソコン・スマホ・タブレットなどの端末利用ルールなどもあれば、新人のうちから知っておく方がよいことですから記載するとよいでしょう。

新人教育マニュアルの作成手順

新人教育マニュアルの作成手順について、4つのステップでご紹介します。

【手順1】目的の設定

新人教育マニュアルをどのような目的で作成するのか、まずは目的を設定します。

ここでいう目的とは「このマニュアルを理解すると、新人がどのレベルに達しているか」ということです。社内の基礎知識を理解し、スムーズに業務をスタートできるレベルや、企業理念を深く理解し、業務に従事する中で理念に沿った行動を取れるレベルなど、新人に求めるものは会社によって異なります。

新人研修の場でマニュアルを読んだだけではまだ目的を達成できるわけではありませんから、半年後、一年後などの期間をイメージします。向こう数年間の中期経営計画や人材育成方針などから、目標レベルを逆算するとよいでしょう。

【手順2】新人に必要な知識の洗い出し

新人に必要な知識の洗い出しをします。

新人教育マニュアルの目的に沿って、具体的にどのような知識やスキルを習得してもらうか候補を出し、その中から選んでいきます。

新人教育マニュアルに盛り込む内容として、ビジネスマナーや企業理念、業務の全体像、社内ルール、社内ツールの使用方法などを例に挙げましたが、必要なビジネスマナーの種類は業種によってさまざまです。また、世間で広まっている文化やツールに関しては、世代によっては先輩社員よりも新人の方が長けている知識もありますから、教えるべき知識をよく選別しましょう。

新人教育でつい陥りがちなNG例や、新人教育における重要ポイントなどをこちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:『新入社員の教育方法で重要なこととは?効果的な方法をまとめて紹介

【手順3】マニュアルの作成

マニュアルの作成

新人教育マニュアルの作成作業に取り組みます。

マニュアルに盛り込む知識を理解しやすい順序に並べ替え、内容を記載します。作成にあたってのコツをいくつかご紹介します。

  • 新人がわかる言葉で書く
  • 短文で端的に表現する
  • 図や表、イラストや写真で表現できるものは積極的に採用する
  • 正確なシステム名、部署名を使用する

マニュアルのスタイルとしては、紙にするか電子マニュアルにするか、電子化するならワードなどで作るかマニュアル作成ツールを使うか、などいくつかの選択肢があります。選択肢の内容は、次の記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

関連記事:『マニュアル作成はワードとエクセルどちらが良い?手順・注意点・メリットとデメリットをわかりやすく解説!
マニュアルをWeb化する手順・メリット・デメリット・注意事項を解説

【手順4】上司や先輩社員によるフィードバック

作成した新人教育マニュアルは上司や先輩社員に見てもらい、フィードバックをもらいます。

見てもらうポイントは「マニュアルの目的を達成できる内容になっているかどうか」「内容に誤りがないか」の2点です。業務経験が豊富な上司や先輩社員であれば、目的が達成できるレベルの内容かどうかがチェックできます。また、内容に誤りがないかは、誤字脱字の校正という意味合いではなく、表現で間違っているところはないかどうかです。マニュアル作成者の理解が違っていることもまれにありますので、複数の人で内容を確認するとよいでしょう。

また、若手社員など新人に近い年次のメンバーにも見てもらい、わかりやすいかどうか確認しましょう。

新人教育マニュアルの作成における注意点

新人教育マニュアルを作成するにあたって、注意したい点を6つご紹介します。

  • 誰でもわかりやすい言葉を使用する
  • 全体が把握できる内容にする
  • 図やイラストで視覚からつかめるようにする
  • その行動の目的や判断基準を追記する
  • 問い合わせ先を明記する
  • マニュアルの保存場所を明確にする

6つの注意点について、ご説明します。

誰でもわかりやすい言葉を使用する

新人教育マニュアルの作成における注意点

誰でもわかりやすい言葉を使用しましょう。

新人への教育は、社内のことが全くわからない人に教えることです。学生向けインターンシップなどで短期間就労経験をした人は別として、会社で飛び交う言葉は生まれて初めて聞く言葉が多いでしょう。自分が新人だった頃を思い出しながら、わかってもらえる表現を模索します。

専門用語や社内用語は、今後たびたび出会うことになりますから、読みがなや略称・通称、意味も記載しましょう。

全体が把握できる内容にする

全体像を把握できるような内容にしましょう。

今回はどこからどこまでを学ぶのか、今読んでいる内容が社内においてどのような位置付けになるのか、新人としてこのあとは何を学ぶのかといった、全容と現在地を示します。新人はやる気に満ちている半面、どれほど学べば一人前に仕事ができるようになるのだろうと不安な気持ちもありますから、全体像がわかると安心できます。

そのためにも、新人教育マニュアルによってどのような目的を達成してほしいのか、どんなレベルに到達していてほしいか、マニュアルの目的も明記するとよいでしょう。

図やイラストで視覚からつかめるようにする

図やイラストで視覚からつかめるようにする

図やイラストを積極的に盛り込み、視覚から内容をつかめるようにしましょう。

マニュアル作成となると、とかく文字情報が多くなりがちです。マニュアル作成者は熟知している内容なので正確に伝えようとつい説明が長くなりますが、内容がわかっていない新人にとっては文字だらけだと読む気が起こりにくくなります。

図や表、イラストや写真を使うと一目で内容を把握できますから、できるだけ盛り込みましょう。

その行動の目的や判断基準を追記する

やるべきことに加えて、その行動の目的や判断基準を追記するよう心がけましょう。

とるべき行動を示すのがマニュアルですが、その行動をどのような目的のために行うのか、どのようなレベルだと望ましいのか、といった目的や判断基準についても加えると、新人が自分で考えることができて行動しやすくなります。

イレギュラーなケースがあるかもしれませんから、ある程度新人が判断できる基準を端的に示すとよいでしょう。

問い合わせ先を明記する

問い合わせ先を明記する

不測の事態が発生したときの問い合わせ先を明記しましょう。

例えば新人が社内ツールを使用していて、何かボタンをクリックしたら見たことのない画面になって困るなど、不測の事態が発生した際、どの部署のどの担当者に問い合わせればよいのかを記載します。研修期間中はマンツーマン指導を行う先輩社員に質問すればよい体制であっても、先輩社員が多忙だったり在宅勤務中だったりすると、新人が少しでも自力で解決できる情報があると助かるものです。

担当者名や内線は頻繁に変わる可能性がありますから、部署名や役割名で表示するとよいでしょう。

マニュアルの保存場所を明確にする

マニュアルの保存場所を明確にしましょう。

これは、新人のためというよりも、今後マニュアルの内容を見直し更新作業を行っていく担当者のためです。せっかく作成したのに保存場所がわかりにくかったため担当者が見つけられず、翌年もまた一から作成するはめになった…、ということでは時間も手間も無駄になってしまいます。

更新作業を行った場合は作業日を記録することも忘れないようにしましょう。紙のマニュアルであれば内容に記載し、電子マニュアルであればファイル名に作業日を入れるなど、わかりやすい工夫をしてみてください。

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まとめ

今回は、新人教育マニュアル作成によるメリット・デメリット、マニュアルに盛り込むとよい内容や、作成時の注意点を6つご紹介しました。

新人教育マニュアルがあると、新人はスムーズに会社生活をスタートさせることができますし、指導者は指導内容が定まり、人によるブレがなくなります。新人への指導内容は会社の重要なナレッジであり、マニュアルの形で継続的に毎年の新人教育に活用すると、ナレッジを蓄積しつつ継承していくことができます。

ただ、作成には手間や時間がかかりますし、作成後は見直しや更新作業が必要になります。「新人の入社までにひとまずシンプルなものを完成させればよい」という気持ちで取り組んでみましょう。見直しや更新作業を考えると、マニュアル作成ツールを使うと修正が楽で、バージョン管理も手間なくできます。次のようなツールもありますので、自社に合うやり方を見つけてみてください。

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