操作マニュアルとは?わかりやすいマニュアルの作成手順やポイントなど徹底解説!
操作マニュアルは、初めてシステムや機械を操作する人にとって大変頼りになる存在です。そのため、操作マニュアルを作成する側としては、できる限りわかりやすく作りたいと思うものの「細かな点を省いてもいけないし、かといって詳しく書くとわかりにくくなり、どんな風に作ればよいのか」と悩んでしまいませんか?
- 操作マニュアルをこれから作成するが、作成の手順がわからない
- 操作マニュアルを作ったが、さらにわかりやすい操作マニュアルの作り方を知りたい
こうお悩みの方に向けて、操作マニュアルの作り方をご紹介し、わかりやすい操作マニュアルを作成するためのツールやポイントについて詳しく解説します。
操作マニュアルとは?
操作マニュアルとは、システムや機械の操作方法を記載したドキュメントです。内容が正確であることはもちろん、わかりやすい表現で検索性にも優れ、読んだ後に読者が正しく操作できるようになるマニュアルです。業務システムやソフトウェア、機械など、IT化や機械化が進むにつれて操作マニュアルが必要となるシーンは増えつづけています。
操作マニュアルの読者は、基本的には初めてそのシステムや機械を操作する人になります。また、最初に操作をする時に読むほか、トラブルが発生した時や不明点が出てきた時にも閲覧することがあります。難解な表現だと読まれなくなり、その結果操作ミスにつながるので、徹底的にわかりやすくする工夫が必要です。
ちなみに、操作マニュアルと取扱説明書は一見似ていますが違いがあります。
操作マニュアルは、システムや機械など、操作するものを対象としたマニュアルです。一方、取扱説明書の対象は広く、操作ではなく組み立てる製品(家具や備品など)や、操作も組み立ても必要としない製品(家電やおもちゃなど)を対象としています。
また、取扱説明書は、対象製品によって消費者庁や公正取引委員会が定めたルールに基づく必要表示項目や特定用語の表示基準がありますから、製品のメーカーはそれらをふまえて作成する必要があります。
操作マニュアルの作り方
わかりやすい操作マニュアルを作るためには、どんな作り方をするとよいのでしょうか。作り方を5つのステップにまとめましたので、一つずつご説明します。
【ステップ1】誰向けに作成するのかを決める
誰に向けて操作マニュアルを作成するのかを決めましょう。
マニュアルの読者対象を決定すると、表現のレベルを統一でき、読者が理解しやすいマニュアルになります。
例えば、マニュアルを読む人は、消費者など一般の利用者か、それとも企業の従業員や官公庁などの職員でしょうか。一般の利用者なら学生や高齢者なども含まれる可能性がありますから、専門用語を一般用語に置き換えたり、平易な表現にしたりするとよいでしょう。
マニュアルを読む人が企業の従業員や官公庁などの職員なら、その企業で使用するパソコンなどのシステムや機械には日頃から触れていますから、一般の利用者より一歩進んだ表現で作成します。
さらに、システム開発・運用部門の担当者向けなのか、操作を中心としたユーザー(営業や事務などの一般従業員や工場の従業員など)向けなのかによって、用語説明が必要かどうか、どこまで詳しく記載するかが決まっていきます。
【ステップ2】マニュアルの全体構成を決める
次に、マニュアルの全体構成を決めましょう。
一般的には、操作マニュアルは「概要→目次→本文(操作方法)」といった流れになります。そして、この中の「操作方法」については、システムや機械の性質によってわかりやすい順番を検討しましょう。
例えば、以下のような順番があります。
- 画面遷移の順
(例:ログイン画面→メインメニュー画面→サブメニュー画面) - 操作の時系列順
(例:機械の名称や仕様→操作方法→注意事項) - 使用頻度の高い順
(例:取引の入力→取引の照会→ログインパスワードの変更) - 難易度の低い順
(例:基本操作編→応用操作編)
このように、読者が知りたい情報から順に構成を作るとよいでしょう。構成で大まかに見出しを作ることで目次もおおよそ完成しますから、次のステップでは概要と本文を書いていきます。
【ステップ3】各操作の詳細を記載
全体の構成が決まったら、概要や各見出し内の説明を記載しましょう。
文章を書くときは、いきなり整った文を書こうとせず、入れるキーワードやフレーズをまず挙げます。文をあれこれ試案していると、入れるべきキーワードを忘れるおそれがあるからです。操作マニュアルで重要なのは、必要十分な情報を操作しながら読めることですから、流ちょうな長文ではなく意味をパッとつかめる短文にしましょう。
例えば、かがんだ姿勢で作業を行う機械の操作マニュアルを作成するにあたり、「操作前に足周りに物がないかを確認する」という内容を書く場合、次のAとBではどちらが内容をつかみやすいでしょうか?
A:「機械を操作する前に、足元に物があると危険なため、足元を確認する。」
B:「足元に物があると危険なため、機械操作前に、足元2m四方に物がない環境にする。」
Aは「機械を操作する前に」が頭にあってわかりやすいのですが、「足元に物があると危険なため」が間に入ることで一瞬考えさせる文章といえます。
Bのように、行動に沿った順で、数値化できるものは数字で表し、文章の頭から重要なキーワードを置いていくと、読者が内容を早くつかめる文章になります。
また、部品や製品名、画面内に表示される用語などはシステムや機械のものと一致させ、マニュアル内でも統一しましょう。登場する用語を別に書き出していくと、「前の章ではどう書いたかな…」と迷わなくて済むのでオススメです。
【ステップ4】Q&Aを追記
概要、目次、操作方法が作成できたら、次はQ&Aを追記しましょう。
想定されるQ&Aを追記することで、マニュアルを読んだ読者の疑問が解消されます。マニュアルを作成した時はあらゆる情報を記載したつもりでも、初心者の読者にとっては疑問が生まれることがあります。Q&Aがあれば、読者も問い合わせをしなくて済みますし、マニュアルの作成者も問い合わせが減って助かります。
例えば、これまでに受けたことのある質問や過去のトラブル事例を盛り込みましょう。まだ質問や事例がない場合は、そのシステムや機械を使用したことのない周囲の人に読んでもらって、疑問に思うことをヒアリングし、その質問と回答を盛り込んでみてください。
【ステップ5】緊急時の連絡先を記載
最後に、緊急時の連絡先を記載しましょう。
できる限りの情報を操作マニュアルに盛り込んだとしても、まれに想定外のトラブルやイレギュラーなケースが発生します。そのようなトラブルに見舞われた際に、マニュアル読者が連絡できる担当者の連絡先を記載します。
操作マニュアルを作成するためのツール
操作マニュアルをできるだけ手間なく作成するためにオススメなのが、次の3つのツールです。
- Microsoft Officeソフト
- マニュアル作成ツール
- Microsoft、Googleのテンプレート
これらのツールのメリットやデメリット、どんな人にオススメかをご紹介します。
Microsoft Officeソフトを活用
MicrosoftのWordやPowerPointなどのソフトを使う方法です。
メリットとしては、業務上使い慣れていればすぐに操作マニュアルを作り始められる点や、ソフトをすでに使用していればプラスのコストがかからない点です。
デメリットは、データ量が増えると重くなる点や、ファイルをどこのフォルダでも保存できるため、マニュアルが一元管理しにくく、バージョン管理に手間がかかる点です。
作成後の管理がそれほど大変にならない、種類やボリュームが少ないマニュアルを作る方にオススメです。
マニュアル作成ツールを活用
マニュアルを作成・管理できるソフト「マニュアル作成ツール」を使う方法です。
メリットとしては、クラウドを利用するためデータ量が大きくてもよい点や、ソフト内でマニュアルを一元管理できるので、マニュアルを改訂した際にバージョン管理が簡単な点です。また、多言語マニュアル対応や閲覧権限管理ができるメリットもあります。
デメリットは、コストがかかる点です。マニュアルの規模によってコストが違うので、どれほどのコストになるかを見積もる必要があります。
マニュアルの種類が多く、ボリュームも多い場合は、長い目でみると管理がしやすいので、多くのマニュアルを取り扱う方にオススメです。
『本格的なマニュアルを手軽に作成できるマニュアル作成ツールKnowledgesh@re(ナレッジシェア)』はこちら
Microsoft、Googleのテンプレートを活用
MicrosoftやGoogleの、レイアウトがすでに組まれているテンプレートを使う方法です。
Microsoft OfficeのWordにあるテンプレートや、GoogleドキュメントやGoogleサイトにあるテンプレートから、適切なデザインのテンプレートを選んで作成します。
メリットとしては、テンプレートに沿って入力していけば簡単に作成できる点や、初期コストがかからない点です。
デメリットは、マニュアル用テンプレートではないため仕様があてはまらない場合はかえって手間がかかる点や、Googleではデータ量が増えると有料になる点です。
マニュアルの種類やボリュームが少ないか、もしくはGoogleのビジネス向けプランに加入し他ツールを活用している方にオススメです。
わかりやすい操作マニュアルを作成するための5つのポイント
わかりやすい操作マニュアルを作成するために意識するとよいポイントを5つご紹介します。
- 目次を作り検索しやすさを意識
- 操作説明は網羅的に記載し、3ステップで説明
- 想定される疑問点や注意事項は事前にメモ
- 視覚的にわかりやすいイラストなどを使用する
- 操作の目的を記載
一つずつ見ていきましょう。
1.目次を作り検索しやすさを意識
目次を作って、検索しやすさを意識して作成しましょう。
どんなに短い操作マニュアルであっても、必ず目次を作りましょう。大見出しだけでなく小見出しも全て目次に表示させることで、操作上重要となるキーワードが表示された一覧ができあがります。そうすると、マニュアル読者は目次から知りたい情報にアクセスできるようになります。
小見出しを作ると、1つの小見出し内の文章が短くなります。その方が読者にとって内容をつかみやすいので、さらに知りたい情報を見つけやすいマニュアルになります。
2.操作説明は網羅的に記載し、3ステップで説明
操作内容は網羅的に記載し「操作前・操作中・操作後」の3ステップで説明しましょう。
- 操作前…作業開始時の確認事項や準備すべき備品、注意点など
- 操作中…システムや機械の操作
- 操作後…作業終了時の状態や終了後に行うべきことなど
例えば、ソフトウェアのインストールマニュアルであれば、操作前にはパソコンを立ち上げておくこと、操作後は画面にショートカットができているのを確認すること、といった内容が考えられます。
どの章も統一された流れになることで、読者は知りたい情報がだいたいどの辺に書いてあるかをつかみやすくなります。
内容を網羅するためには、「誰が(Who)」(=ここでは操作者)を除いた4W1Hを意識すると漏れがなくなります。
「いつ(When) どこで(Where) 何を(What) なぜ?(Why)どのように(How)」を入れましょう。
3.想定される疑問点や注意事項は事前にメモ
想定される疑問点や注意事項は、本文を書き始める前にメモ書きをしましょう。
マニュアルの全体構成を決めると、どこにどんな内容を入れようかと考えます。同時に、読者が持つと思われる疑問点や注意事項をメモ書きしておきます。そうすると、本文を書く時にそれらを漏らさず盛り込んでいくことができます。
本文中の特定の箇所での疑問点や注意事項ではない、操作全体に関わるようなものがあればQ&Aに入れましょう。
4. 視覚的にわかりやすいイラストなどを使用する
イラストなどを使用し、視覚的にわかりやすくしましょう。
文章だけでは操作をイメージしづらい場合もあるため、イラストや図、写真や動画を使用して、目で見てわかるようにすると、使いやすいマニュアルになります。特に、短い動画は言葉では説明しづらい作業中の状態や音、色などを伝えるのに効果的です。
文字による説明が多くなるとマニュアルのボリュームが増え、読む気がうせる人もいます。できるだけボリュームを抑えて「マニュアルは全部でこれだけだな」と読者が前向きな気持ちになれるよう心がけましょう。
5.操作の目的を記載
操作の目的を記載するようにしましょう。
先ほどご紹介した4W1Hのうち、「なぜ?(Why)」にあたる部分です。なぜその操作を行うのか、目的を示すことで、操作で押さえるべきポイントや操作順序への理解が深まり、操作の全体像を把握することにつながります。
例えば、最初の「概要」で各大見出しの操作の目的をまとめて解説したり、本文中の大見出しのすぐ下のリード部分で「顧客の取引情報を照会するために、以下の操作を行います。」と記載したりするとよいでしょう。
お役立ち資料:『『業務マニュアルをクラウド化するメリットとは?』~業務マニュアルクラウドツールをお悩みの方は必見!~』
まとめ
今回は、システムや機械の操作マニュアルについて、その作り方や作成に便利なツール、わかりやすい操作マニュアルを作成するポイントについて解説しました。
作成にあたっては、マニュアルの対象者と全体構成を決め、詳細を記載していきます。Q&Aや注意点、事例なども盛り込み、最後に緊急時の連絡先を記載しましょう。
作成に便利なツールを3つご紹介しました。Microsoft Officeのソフトやマニュアル作成ツール、MicrosoftやGoogleのテンプレートです。自社の状況によって使い分けていくとよいでしょう。
操作方法を文字だけで説明しようとすると、長文のマニュアルになりがちです。図やイラスト、写真も取り入れながら、見ながら操作しやすいマニュアルにしましょう。短文で端的に書くことも心がけてみてください。
富士通ラーニングメディアの「KnowledgeSh@re」
操作マニュアルの作成にもKnowledgeSh@re(ナレッジシェア)が役立ちます。
本格的なマニュアルが手軽に作成でき、品質のばらつきも削減できます。どのようなツールなのか、60日間の無料体験で確認できます。
マニュアル作成・共有ツール『KnowledgeSh@re無料トライアル』
※資料はこちら
関連記事:『マニュアル作成が成功する7つのコツ!実施ステップやツール選定のポイント・手順書との違いも解説』
伝わるマニュアルで業務課題を解決「富士通ラーニングメディアのマニュアル作成・運用サービス」
「良いマニュアルってどうやって作るもの?」「もっと効率よくマニュアルを作成したいけどノウハウや⼈⼿が⾜りない…」と悩んでいませんか?
富⼠通ラーニングメディアでは、このようなお客様の声・ご要望をしっかりとお聴きし、マニュアルの利用者や用途・目的に合った、最適なマニュアルを作成いたします。
どんなことができるのか?詳しくはこちらから