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技術伝承について徹底解説!進まない原因と成功させる方法・ポイントも詳しく紹介

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2022/09/09

駅伝で有名になったある大学には、トレーニングや体のケアについてのマニュアルがあります。先輩の体験談を加えるなど数年に一度改訂されるマニュアルを、全選手がしっかりと読み込む体制となっており、学生が毎年入れ替わってもチームの強さを高め続けています。

このように、マニュアルを活用した指導体制を整えて技術伝承に取り組む組織もありますが、人手不足の課題などもありなかなか進まない場合が多いものです。

そこで、企業における技術伝承が思うように進まない原因や成功させる方法、成功させるためのポイントをご紹介します。技術伝承についてお考えの方に、お役に立てば幸いです。

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技術伝承とは

企業における技術伝承とは、ベテランの従業員が長年業務において培ってきた技術やノウハウを、後輩の従業員に伝えることを指します。

例えば、後工程がスムーズになる部品の組立順序や、バグを素早く見つけるためのチェックポイントなど、ただ業務を行うのではなく「より良く業務を行う」ために必要な技術があります。こうした技術は、企業というフィールドでベテラン従業員がさまざまな経験を積み重ねることで得た、いわば企業と従業員で協同して作り上げた財産であり、次世代を担う従業員に引き継いでいきたい財産です。

技術伝承は、永らく認識されてきた課題ですが、今こそ取り組む時なのです。
2022年6月現在で、人口が多いのは45~49歳と50~54歳、70~74歳、つまり1940年代~1950年代生まれの団塊世代とその子ども世代です。この世代以降は人口が減る傾向にあります。この世代が得た技術を伝える体制を整えないと、失われていく一方になります。

技術伝承と技能伝承との違い

技術伝承に似た言葉に、技能伝承という言葉があります。これはどう違うのでしょうか。

技術とは、ものを生産するときのやり方や技のことであり、技能とは、あることを行うための技術的な能力のことです。技能は伝統芸能の伝承や手工芸品の伝承などで使われることが多い言葉であり、例えば技術を行使する際の発声や身のこなしなどの、体の所作までも含むものです。

ですから、企業の業務におけるスキルやノウハウの伝承については、技術伝承と呼ぶ方がふさわしいでしょう。

技術伝承が思うように進まない原因

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企業の技術伝承が思うように進まない原因について考えてみましょう。

企業の状況によってさまざまですが、例えば若年人材が不足していて伝承する相手がいないことが挙げられます。他にも目先の業務に追われて時間がない、技術のマニュアル化が難しく、技術伝承の適切な方法がわからない、といった原因があります。

主な6つの原因について、ご説明します。

【原因1】人材不足

1つ目の原因は、人材不足です。

採用活動を行っても人材が集まらず、若手従業員を十分に確保できていなかったり、苦労して採用したのに育成途中で離職・転職してしまったりという状況です。

人口のピラミッドは、若年層が少なくなる傾向にありますから、少ない若者の争奪戦となり、人材不足になっています。現在は高齢の技術者がリタイアせず働くことで労働人口を保っていますが、今後はますます厳しい状況になりますから、業務効率化や柔軟な働き方などの変革が求められます。

【原因2】目先の業務対応に追われる

2つ目の原因は、目先の業務対応に追われ、技術伝承するための時間がないことです。

人材不足で人員に余裕がなく、目先の業務をこなすだけで精一杯であり、じっくりと技術伝承に時間を割くことができない状況です。

技術を伝承していくにはしっかりとしたマニュアルを作成し、それに沿って1対1でOJT指導するのが望ましいですが、マニュアルを作る時間やじっくりとOJT指導して後輩の成長を見守る時間もなく、業務をまずこなさなくてはならない、といった状況があります。

経営層が業務と技術伝承の両立を決断し、方向性を示す必要があります。

【原因3】コミュニケーション不足

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3つ目の原因は、コミュニケーション不足です。

現在のベテラン従業員は子どもの頃から同世代の人数が多く、一人ひとり丁寧に指導されるよりも、先輩の背中を見て学び、自分で解決策を考え、切磋琢磨してきました。一人前になる過程はそのようなものだと考え、後輩に聞かれたら答えるけれども、丁寧な教え方に慣れていないといった側面があります。

一方、若手従業員は多忙な先輩を邪魔してはいけないと考え、教えてくれるのを待っており、お互い歩み寄らずコミュニケーションが成り立っていない状況があります。

また、業務効率化や分業化を重視するあまりに、従業員同士のコミュニケーションが分断されてしまっている場合もあります。

ベテラン従業員の技術は企業の財産であり、積極的に伝承していくべきものだという意識を全従業員に持たせる必要があります。

【原因4】OJTの体制が整っていない

4つ目の原因は、OJTの体制が整っていないことです。

新任者に対する教育研修として、OJTを行わない職場や、OJTに短期間しか時間を割けない職場、OJTの内容が指導者に一任されており、教える範囲が人によってまちまちになっている職場など、さまざまな状況があります。

OJTの体制が整わないということは、技術伝承を行う環境ができていないことにつながります。

OJTの体制を整えて技術伝承を行うには、指導する内容を明確にし、OJTの範囲やレベルを保つ運用方法を確立する必要があります。

【原因5】マニュアル作成の仕方がわからない

5つ目の原因は、マニュアルの作成の仕方がわからないことです。

マニュアルがそもそもなく、マニュアルを使う文化がない職場や、マニュアルがあっても最低限の手順しか記載していない職場もあります。または、この技術をマニュアル化するのははなから無理だと考えているケースや、マニュアルの作成方法がわからないのでそのままにしているケースなどもあります。

つまり、これらは、技術伝承に最適なマニュアル作成の仕方がわからないという原因です。確かに、長年の経験に裏打ちされた勘や、手ざわりやタイミングなどの感覚を、どう言語化すべきか考えるのは簡単ではありません。

しかし、現在は文字、写真、図、立体画像、模型、音声、動画などさまざまな方法がありますから、諦めずにマニュアル化の方法を探ることが必要です。

【原因6】マニュアルを活用しにくい

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6つ目の原因は、マニュアルを活用しにくい状況になっていることです。

「見ればわかるから」とマニュアルを使わずに指導するケースや、マニュアルを作成したものの、その技術の伝承に適した形式で作られておらず言葉だけで説明されていてわかりにくいため、せっかくのマニュアルが活用されていないケースがあります。

また、ベテラン従業員が最初に作成したとき以来誰も内容を更新していないため、マニュアルの内容が古くなっているケースや、更新のタイミングや担当者が決まっておらず、適切な運用がなされていないケースもあります。

マニュアルは、技術伝承の源ですから、マニュアルの運用方法の策定など、次世代もそれ以降もずっと活用していける取り組みが求められます。

技術伝承を成功させる方法

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技術伝承が思うように進まない原因を解消しつつ、成功させる方法をご紹介します。

まずは、業務と並行して技術伝承にも取り組むことを経営層が決断し、全従業員に技術伝承の重要性を理解してもらいます。そして、伝承すべき技術を可視化して洗い出し、マニュアルやOJT体制を整えながら、人材不足の課題に取り組んでいきましょう。

ここでは、5つの手順に分けてご説明します。

1.技術伝承の重要性を理解

ベテラン従業員の技術を伝承することの重要性を、全従業員に理解してもらい、技術伝承の体制づくりに取り組むことを経営層が宣言します。

日々の業務に追われ、何も手を打たないと、今後もどんどん技術が失われていきます。教える体制がないと、ベテラン従業員は「もう古い技術だから」と謙遜し、あえて後輩に伝えようとしないものです。

ベテラン従業員が日々研究を重ね、苦労して得た工夫や知識は貴重な経営資源・共有財産であることや、ベテラン従業員の技術を基にさらに改良を重ねていくことを説き、業務とともに技術伝承に取り組む方針を伝達しましょう。

2.技術の可視化

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次に、伝承する技術の可視化に取り組みます。

具体的には、ベテラン従業員の頭の中の知識を表に出す作業です。
知識を大別すると、暗黙知形式知に分かれます。暗黙知とは、感覚や経験で身につけた、言語化が難しい知識であり、形式知とは、言葉や図などによって表現できる知識です。

自転車に例えると、暗黙知は「体がバランスをとれると自転車に乗れる」という知識を指します。体のバランスをとる方法は、個人の体格によってさまざまであり、言葉では「バランスをとる」という表現以外では、説明しにくいものです。

形式知とは、例えば「自転車を止めるときは、ハンドルについているブレーキを握る」という知識です。ブレーキについては「ブレーキからホイール外周の部品に力を伝え、挟んでホイールの動きを止める」という仕組みを、言葉で説明することができます。

ベテラン従業員が身につけた技術は、暗黙知も形式知もどちらもあるでしょう。暗黙知がどれで、それをどんな形式なら説明できるのか。例えば自転車のバランスをとれている状態ととれていない状態を写真で並べてみる、といったように、可視化して他者に伝えられる方法を模索しましょう。

3.技術の整理

技術の可視化ができたら、伝承する技術の整理を行います。

ここでいう整理とは、可視化した技術を全て並べてみて、現在従業員に周知のこととなっている技術に加えていくべきかを検討することです。

検討は、ベテラン従業員と中堅従業員、若手従業員が一緒に行うとよいでしょう。若手従業員が知ると「この手順はこんな意味があったのか」と作業手順を深く理解するきっかけになりますし、「この方法があるなら、あの方法も試してみてはどうか」などと一瞬にしてひらめきが起こることがあります。また、若手従業員が知らない用語や概念が出てくるかもしれませんから、中立の立場で解説を加えられる中堅従業員も必要です。

手段は変わっても本質は変わらない場合がありますから、安易に「この技術は機械が撤去されたから記録不要だろう」と判断せず、関連情報として参考になりそうな箇所に加えておく方がよいでしょう。

4.マニュアル整備

伝承する技術の整理ができたら、マニュアルを整備します。

マニュアルとは、対象業務についての標準的な手順だけでなく、業務の目的や背景、全体像、社内における業務の位置付け、過去の事例、注意点などが盛り込まれたものです。

マニュアルがある職場では、伝承する技術を盛り込むと共に、わかりやすい内容になっているか全体を見直します。

これまでマニュアルがなかった職場や、簡潔な作業手順書だけを使用している職場では、技術伝承に取り組むタイミングでマニュアルを作成してみましょう。マニュアルは技術の集積場所であり共有する手段となりますので、作業のバラつきが減少します。また、作業の目的や理由がわかると、従業員は自律的に行動でき、より良い方法を模索するようになります。

5.OJT体制の構築

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マニュアルが完成したら、マニュアルを活用しながらのOJT指導の体制を構築します。

人手や時間が不足していても、現状でできる方法を工夫します。例えば、ベテラン従業員はそのグループの後輩従業員全員と、1人10分ずつ、何ヶ月かかけてでも一緒に作業を行い、後輩従業員はアウトプットとして互いに作業をプレゼンし合う、など、少しずつでも取り組んでみます。

お客様や取引先は待ったなしであり、材料を無駄にはできないので、後輩に練習させる機会はなかなか持てないかもしれません。ここは、現場任せではなく経営層からどの範囲で行うかを指示するとよいでしょう。

「人手不足だから技術伝承はやれない」のではなく、「技術伝承を行い、必要な体制を構築したら必要な人員が明確になる」と逆に考えてみましょう。

技術伝承のポイント

技術伝承が進まない原因を解消しつつ、成功させる方法をご紹介しました。技術伝承を成功させる方法を実践する上で、ポイントとなることが3つあります。

  • 熟練者と若手の意思疎通
  • 画像や動画で伝える
  • マニュアル公開後も改善を続ける

それぞれのポイントについて、ご説明します。

【ポイント1】熟練者と若手の意思疎通

1つ目のポイントは、ベテラン従業員と若手従業員の双方からの意思疎通ができているか確認しながら推進することです。

同じ仕事をしている仲間ですし、自分が理解していることは他の人も理解できるだろうと思いがちですが、立場が異なると理解できていないことがあります。

ベテラン従業員は、「言って、持たせて、やらせる」「簡単な言葉で説明する」「例え話でイメージさせる」「大事なポイントは2度言及する」などを心がけます。若手従業員は、一度聞いただけではよくわからないこともありますから、わかるまで質問します。

お互い遠慮せずにコミュニケーションするよう促しましょう。

【ポイント2】画像や動画で伝える

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2つ目のポイントは、画像や動画で伝えることです。

スマホやタブレットが普及し、画像や動画を気軽に撮影できるようになりました。マニュアルにおいても、文字や図だけでなく、画像や動画を積極的に採用すると、文字だけでは伝えにくい情報を伝えることができます。

  • 音の種類や大きさ
  • 物が動く様子、振動の振れ幅など
  • 液体の濃度
  • 蒸気などの気体の量
  • 糸やロープなどの張り具合
  • 特に名称のないフックなどについての説明

このような情報を、わかりやすく記録し共有することが可能になります。

【ポイント3】マニュアル公開後も改善を続ける

3つ目のポイントは、マニュアルの公開後も業務の改善を続けることです。

一通りの技術伝承を終え、マニュアルが完成し、公開して使用開始したあとにも、また従業員それぞれの気づきが生まれていきます。そういった気づきや注意すべき事例、イレギュラー対応などが発生した都度、もしくは年に1回や半年に1回など定期的にマニュアルを更新し、改善点を反映させましょう。

業務手順の変更があれば必ずマニュアルに記録する体制となれば、従業員間の情報共有もスムーズになります。

トヨタ式を取り入れている工場など、1秒単位で作業工程を縮めようと努力を続けているところがあります。労働時間が短縮でき、歩留まり率が上がり生産性が向上するなどのメリットがありますから、工程を見直しマニュアルを更新し続けていくことの意義やメリットを、従業員に常に伝えていきましょう。

まとめ

この記事では、企業における技術伝承について、進まない原因や成功させる方法、成功させるためのポイントについて解説しました。

技術伝承の基本は、マニュアルの整備と、マニュアルを活用したOJT指導の体制を築くことです。このような体制を一度作れば、今後も技術を伝承し続けることが可能になります。

技術伝承の文化があると、従業員どうしが教え合う社風になっていきます。このような社風は魅力的であり、入社希望者の増加につながっていきますから、ぜひ技術伝承に取り組んでみてください。

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関連記事:『業務の引継ぎマニュアルとは?引継ぎ書との違いや必要項目、作り方を解説

(ご参考: )
総務省統計局の「人口推計」

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