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業務の引継ぎマニュアルとは?引継ぎ書との違いや必要項目、作り方を解説

2021/11/10

異動や退職などで、自分の業務を後任者に引継ぐことになったら、どのように引継ぎをすればスムーズにいくでしょうか。急な異動で引継ぎ期間が短い場合もあります。前任者も後任者も安心できる引継ぎを行うには、何を準備しておけばよいでしょうか。

今回は、業務の引継ぎがスムーズになる「引継ぎマニュアル」をご紹介します。「引継ぎ書」とどう違うのか、どんな内容なのか、どんな作り方をするとよいか、など詳しく解説します。

今すぐには引継ぎのタイミングがなさそうな人にも、引継ぎの機会はいずれやってきます。引継ぎには準備が必要になりますので、早めに知っておいて損はありません。ぜひご覧ください。

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業務の引継ぎマニュアルが必要な理由

自分の業務を後任者に引継ぐことになった場合、一般的には書面を作成し、口頭で補足説明をしながら引継ぎを行います。どのような書面を作るとよいのでしょうか。

例えば、次のものがあります。

  • 業務マニュアル(業務の概要、目的、流れ、手順などをまとめたもの)
  • 引継ぎ書(引継ぐポイントを簡潔にまとめたもの)

業務マニュアルは、業務の流れや手順は記されていますが、引継ぎで特に重要な「現時点の未処理事項や懸念事項」は記載されていません。
したがって、業務マニュアルが設置されている職場であれば、未処理事項や懸念事項を中心に引継ぎ書を作成し、業務マニュアルと引継ぎ書を使って引継ぎを行うと効率的です。

もし、業務マニュアルがない職場であれば、引継ぎ書だけでは不十分なおそれがあります。未処理事項・懸念事項だけでなく、業務の流れや手順をわかりやすくまとめた「引継ぎマニュアル」を作成する方がよいでしょう。

引継ぎマニュアルに、どのような項目を盛り込むとよいのか、次の項で詳しく説明します。「うちは業務マニュアルと引継ぎ書で良さそうだな」とお考えの方も、引継ぎ書作成の参考になりますので、読んでみてください。

業務の引継ぎマニュアルに記載すべき項目

業務の引継ぎマニュアルに記載すべき項目をご紹介します。大きく分けて、6つの項目があります。記載する順にご紹介しているので、この順番で書いていただくと引継ぎマニュアルが完成します。では、さっそく見ていきましょう。

【項目1】業務概要と目的

1つ目の項目は、業務概要と目的です。
引継ぐ業務がどのような位置付けであるか、なぜその業務を行う必要があるのか、業務の目的は何か、といったことを記載します。

業務の全体像や目的を把握できると、後任者は納得して業務に取り組むことができます。目的を理解していないと、トラブルの対応を誤ったり、作業という手段を完遂することが目的のように誤認してしまったりする可能性があります。

具体的には、次のような内容が挙げられます。

  • 業務についての大まかな説明
  • 業務の理由や背景、経緯など
  • 業務遂行によって達成したい目的
  • 社内での業務や当部署の位置付け

【項目2】スケジュール

2つ目の項目は、スケジュールです。
詳しい業務の手順の前に、年間や月間のスケジュールを記載します。

今、引継ぎをしている時期がどのような時期にあたるのか、これから何が予定されているかを後任者がつかむことができ、周囲の状況を早く理解できるようになります。

具体的には、次のような内容を記載します。

  • 年度始めから終わりまでの、一年間の業務スケジュール
  • 毎月の業務スケジュール

【項目3】業務の流れや手順

3つ目の項目は、業務の流れや手順です。
業務の具体的な内容を、業務の流れに沿って記載します。

流れに沿わないで書いてしまうと、すぐ必要なことが後の方に書いてあるなど、最後まで一通り読まないと業務を理解することができなくなります。理解に時間がかかり、後任者の早期戦力化の妨げとなってしまいます。
事前の準備、作業、作業後の処理など、流れに沿って記載しましょう。

システムの取扱説明など、別に説明書が存在するような内容は、引継ぎマニュアルでは簡潔に操作手順をまとめ、別の説明書があることを併記しておくと、すっきりした引継ぎマニュアルにできます。

また、それぞれの業務の優先度合や、日頃気づいたことや自分なりのノウハウがあれば、ここで盛り込んであげるととても後任者の役に立ちます。

【項目4】イレギュラーな事態が発生した時の対応方法

4つ目の項目は、イレギュラーな事態が発生した時の対応方法です。

後任者にとって、イレギュラーな事態は一番不安なものです。業務に慣れれば対応できるようになりますが、慣れるまでにイレギュラーな事態が発生すると、対応に時間をとられます。
職場に業務マニュアルが整備されている場合でも、このような内容は記載がない場合があります。業務を経験してきた前任者がしっかりと引継ぎの場で伝えましょう。

また、自分の在職中には起こらなかったことでも、過去から引継いでおり今後も起こりうることは、備忘として漏らさず記載しましょう。

具体的には、次のような内容が挙げられます。

  • イレギュラーな事例
  • トラブル事例
  • イレギュラーやトラブルが想定されるポイント
  • これらの事例の影響範囲、解決策
  • サポートしてくれる部署名や連絡先

【項目5】未処理事項や懸念事項

5つ目の項目は、未処理事項や懸念事項です。

未処理事項や懸念事項があるかどうかは、後任者にとって重要なポイントです。これらの事項を知っておけば、未処理事項の早期解決を意識して行動できますし、懸念事項がトラブルとなって問題が顕在化したときの対応も早くなります。
この項目は必ず引継ぎマニュアルに入れ、ない場合も「なし」と記載しましょう。

営業担当であれば、仕掛案件の有無にかかわらず、取引先ごとの注意事項や取引条件をまとめたものも、作成しておきましょう。

具体的には、次の内容を記載します。

  • 在職期間中に終了できなかった業務の内容、締切日、関係部署
  • 懸念される事項、内々に打診されている案件、会議で出た議題など

【項目6】資料が閲覧できる場所

6つ目の項目は、データや資料が閲覧できる場所です。

引継ぎマニュアルに資料の名前は書いてあるけれど、どこにあるか分からない…といったケースが発生することがあります。前任者は、自分が分かっていることはつい伝え忘れがちになりますが、「後任者は何も知らない」という前提に立ち、資料の保存場所を記載しましょう。

念のために、前任者が社内にいるのであれば、前任者の連絡先も記載しておくと良いでしょう。

業務の引継ぎマニュアルを活用して引継ぎする流れ

次に、業務の引継ぎマニュアルを活用しながら引継ぎする流れをご紹介します。後任者へ実際に引継ぎをする日より前から、引継ぎの準備を始める必要があります。
自分の業務では何日前くらいから準備しておけばよい、というイメージがつかめますので、参考にしてみてください。

1.引継ぎスケジュールの設定

引継ぎスケジュールの設定をします。

まず、引継ぎに必要な日数を考えます。例えば、説明に1日、社内外の関係者へ同行して挨拶するのに1日、業務を実際にOJTで見せるのに1日、合計3日などと割り出しましょう。そして、関係者への挨拶など、相手があることについては、相手に連絡し、スケジュールを決めていきます。

もし今、すでに後任者が決まっている場合は、後任者自身も引継ぎしてくる期間が必要になるため、いつが引継ぎ日になるか、何日間引継ぎ期間を持てるかをまず後任者の部署とすり合わせし、確認します。その上で具体的なスケジュールを設定します。

重要な業務や、特に注意を要する業務については、引継ぎに十分な時間がとれるよう時間配分を考えましょう。

2.引継ぎマニュアルの記載内容を決定

引継ぎマニュアルに記載する内容を決定します。

先ほどご紹介した6つの項目に沿って、記載する内容を洗い出します。
業務マニュアルがある場合は、業務マニュアルに書いてあることは引継ぎマニュアルにタブって書かないことも、時短の観点からおすすめです。前任者が書く時間と、後任者が見比べて違いがあるかを確かめる時間を、どちらも節約することができます。

参照すべきデータや書類、ツールの保存場所、関係部署名など、ヒントとなることはできるだけ明示しましょう。引継ぎマニュアル作成にあまり時間を振り向けられない場合は、これだけでも後任者に役立つ情報となります。

同僚や上司は、後任者と一緒に仕事をすることになりますので、「こんな内容を引継ぐ予定です」と事前に見てもらい共有しておくことをおすすめします。

3.引継ぎマニュアルの作成

引継ぎマニュアルを作成します。

紙で渡す場合は、作成後印刷し、引継ぎの際に手渡します。作成したデータファイルも、差し支えなければ後任者の次の引継ぎに役立つので、渡しておいてもいいでしょう。

データで渡す場合は、引継ぎのあとに後任者が閲覧できるよう、データの保存場所を忘れずに伝えましょう

引継ぎマニュアルを作成する際に、留意しておきたいポイントがあります。このあとの「業務引継ぎマニュアルの質を高めるポイント」も、併せてご覧ください。

4.後任への引継ぎ

1から3までの準備が整ったら、いよいよ後任者への引継ぎを行います。

引継ぎマニュアルを渡すだけではなく、一緒に読み合わせる時間がほしいところです。前任者がいる間に読み終わり、質疑応答まで済ませた方が、前任者にとっても忘れた頃に質問を受けることにならず、効率的です。

また、実際に業務を行ってもらい、引継ぎマニュアルが活用できそうかを見届けると、お互いにとって安心材料となります。

お客さまや取引先の連絡先(名刺など)も、引継ぎマニュアルと同時に渡せるよう、きちんとまとめておきましょう。

業務引継ぎマニュアルの質を高めるポイント

最後に、業務引継ぎマニュアルを作成する際に役立つ、質を高めるためのポイントを3つご紹介します。
引継ぎは、短期間で業務を詳しく知らない後任者に概要を把握してもらうものです。また、前任者自身もゆっくり書類を作成する時間はないかもしれません。効率的に引継ぎを行うために、ぜひご紹介するポイントを頭に入れておいてください。

【ポイント1】作業手順どおりに記載

作業については、手順どおりに記載します。

なぜなら、業務が初めての人にとっては、作業手順どおりに読めると頭に入りやすいからです。

引継ぎマニュアルを見ながら後任者が一人で業務を行う姿を想像し、必要な準備は手順の前、アフターフォロー・片付け・連絡などは手順の後、など、業務の流れを妨げない書き方をしましょう。

手順の各ステップに、そのステップのゴールについても記載すると、どこまでやるとステップが完了したことになるのかがつかめます。

【ポイント2】文章は結論を先に書く

文章を書くときは、結論や重要なポイントを前の方に持っていきます。

なぜなら、知るべきことを先につかむと、短時間で内容を理解できるからです。

前置きしたくなる内容や修飾語となる内容は、結論のあとから補足するように入れるという意識で書くと、わかりやすい文章を書くことができます。

【ポイント3】視覚的にわかりやすくする

視覚的にわかりやすく作成します。

なぜなら、後任者の理解度がどのくらい早いかは分からないからです。自分と同じような年次の人であっても、この業務に対する理解が早いかどうかは、経験によるところがあります。どんな人にも理解してもらえるような、わかりやすい内容にしましょう。

文字だけだとイメージがつかみにくいことがあります。できるだけ、写真や絵、フローチャートなどの図を活用し、この業務をよく知らない人がパッと見てイメージをつかめる見た目にしましょう。

まとめ

今回は、業務を引継ぐ際に役立つ、業務の引継ぎマニュアルについて解説しました。

業務の引継ぎマニュアルとは、引継ぎ書より詳しいものであり、業務マニュアルにない項目を補足するものです。記載項目は、以下のものを盛り込みましょう。

  • 業務概要と目的
  • スケジュール
  • 業務の流れや手順
  • イレギュラーな事態が発生した時の対応方法
  • 未処理事項や懸念事項
  • 資料が閲覧できる場所

引継ぎマニュアルの質を高めるためには「後任者は初めて業務に触れる」「短時間で理解してもらう」ということを念頭に置くとよいでしょう。作業の順番に沿って記載し、文章の組み立てや見た目を、わかりやすくなるよう工夫します。

引継ぎマニュアルを作成したら、手渡して終わりではなく、内容の読み合わせと質疑応答まで行いましょう。

異動の多い会社では、赴任したときから引継ぎのことを意識して、イレギュラーな事態や気づいたノウハウなどを日頃から記録している、という準備のよい方もいます。今回は前任者として引継ぐ側の方は、次の仕事では引継ぎも意識して業務にあたると引継ぎが楽になりますし、実は業務マニュアル改訂にも役立つ行動となります。

業務の引継ぎマニュアルを活用し、短い引継ぎ期間であってもスムーズに、そして前任者も後任者も安心できる引継ぎをしてくださいね。

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