業務標準化とは何か?実現のための5つのステップを解説
あなたの職場では、どのくらい業務標準化に取り組まれているでしょうか。
顧客や取引先が増え、それに伴い業務の種類や商品の生産量が増えていくと、多くのスタッフが同じアウトプットができるよう、最適な業務手順に統一する必要性が出てきます。
業務を標準化すると、最適な手順を職場のメンバーで共有することになり、その後もより良い方法を見つけ改善していく流れが定着し、業務効率化につながるメリットがあります。
今回は、業務標準化とは何か、どのような効果が得られるのかについて解説し、業務標準化を進めるための5つのステップをご紹介します。
次のような方のご参考になれば幸いです。
- 新事業のために立ち上げた部署やプロジェクトチームの業務が軌道に乗り、標準化をイメージしている
- 組織のメンバーが増えつつあり、組織改編を行う予定がある
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業務標準化とは
一般的に、標準化とは「作り方や規格、評価方法などを統一し、認識を共有すること」であり、業務標準化とは「ある業務について、職場のメンバーが合意して手順や成果物の水準などを決定し、そしてその認識を共有すること」を指します。
例えば、経理の業務を行っている部署であれば、この費用はこの勘定科目を使うと決め、システムへのデータ入力方法を決めて、正しいデータが反映されているかをチェックする体制を確立します。この流れを職場のメンバーが理解し、新しく来た従業員にはやり方を教え、誰もが同じ手順で業務を行う、というイメージです。
業務標準化ができると、誰が業務を遂行しても同じ手順で成果物を生産できるため、品質が安定します。また、「Aさんしか詳しいやり方を知らない」といった属人化が起きにくくなります。従業員みんなで標準的なやり方を共有し、もしより良いやり方があれば提案する職場風土ができれば、さらなる業務効率化や生産性向上につながります。
これらの業務標準化による効果について、次の項で詳しく説明します。
業務標準化による3つの効果
業務標準化を行うことで、次の3つの効果が得られます。
- 品質の均一化
- 属人化防止
- 業務効率化
どのような効果なのか、わかりやすくご説明します。
品質の均一化
1つ目の効果は、品質の均一化です。
業務標準化では、まず手順を明確にします。手順は「長らく続けてきた、これまで通りの手順でよい」というわけではありません。業務効率がよく、成果物の品質も求める水準を満たすもので、安全性や法令順守などの観点からも問題のない、最適な手順です。
この手順を職場のメンバーで共有し、新入社員や異動してきた従業員にも指導する体制を構築するまでが標準化です。
業務標準化を行っていないと、人によって微妙に手順が違ったり、誰かが良いやり方を見つけても共有する体制がなかったりするので、作業時間や品質にばらつきが生じてしまいます。
業務標準化をしていると、誰もがベストな手順で業務を行うことができ、その結果成果物の品質が均一となります。
属人化防止
2つ目の効果は、属人化の防止です。
属人化とは「業務が役職やその業務を担当することになった人のものではなく、特定の個人のものとなり、その人しかわからない状態になってしまうこと」を指します。ある従業員が、その仕事の詳しい手順やノウハウ、進捗状況などを抱え込んで他の従業員に知らせず、一人で推進するような状態です。
属人化が進むと、その従業員が不在の場合に業務が滞り、誰も対応できなくなります。また、万が一トラブルが起きた場合、その従業員がトラブルをも抱え込み、顧客や取引先へ悪影響を及ぼすリスクもあります。
業務標準化の体制を整えると、手順やノウハウ、進捗状況を職場のメンバーで共有し、教え合う体制となるので、属人化が起きにくくなります。また、異動や退職などで従業員が入れ替わる際にも、前任者だけでなく誰もが後任者をサポートできる状態なので、引き継ぎがスムーズになります。
業務効率化
3つ目の効果は、業務効率化が進むことです。
業務効率化とは、業務のムリ・ムダ・ムラのある手順を改善し、効率的にしていくことです。ムリやムダがあれば排除し、ムラがあれば均一化することで、業務が効率化します。効率化すると、より少ないコストで成果物を生み出すことができ、生産性向上にもつながります。
業務標準化をしていないと、最適な手順や成果物の水準が定まっていない状態なので、どの手順がムダなのか、どの工程にムリやムラがあるのかを洗い出すことが難しくなります。
業務標準化が行われていれば、ベースとなる手順や成果物の水準があり、それを共有する体制があります。ムリ・ムダ・ムラのある手順を改善する提案を誰かが行えば、それについて皆で議論し、より良い案に洗練し、新たな標準的手順を決めて皆で共有するまでの流れを自然に行うことができるので、効率化策を実践しやすくなります。
また、業務標準化によって、従業員が一定のレベル以上の業務スキルを身につけるため、職場全体のスキルの底上げになります。スキルの底上げが実現できるとタイムロスが減ったり、さらなるスキルアップに時間を回せたりするので、同じ人手でより多くの成果物を生み出すことができるようになり、生産性向上につながります。
業務標準化を進めるための5つのステップ
業務標準化を進めるために、最適な5つのステップをご紹介します。
- 現状把握と業務洗い出し
- 標準化すべき業務の優先順位付け
- 業務整理
- マニュアルと業務フロー作成
- 運用と改善
業務標準化は、端的にいうと「標準的な手順を決め、職場のメンバーで共有すること」ですから、1と2は標準的な手順を決めるための準備のステップ、3は標準的な手順を決定するステップ、4は共有するステップとなります。5は、永続的に業務標準化の体制を維持していくために必要なステップです。
では、それぞれのステップについて、見ていきましょう。
【ステップ1】現状把握と業務洗い出し
1番目のステップは、業務の現状把握と業務手順の洗い出しです。
職場の業務について、その目的や社内での位置付け、他部署との関係性、顧客への影響など、業務を取り巻く全体像を把握します。そして、業務の手順や流れ、顧客もしくは次の部署に提供する成果物、成果物のあるべき水準などを具体的に洗い出します。
成果物のばらつきや増産に伴う品質低下といった、今見えている課題や問題意識、今後の懸念や不安材料も洗い出しましょう。
もし、業務マニュアルや手順書、チェックリスト、SOP(標準作業手順書)、業務フロー図などがあれば、それらを活用して洗い出します。
洗い出しが終わったら、次のステップで行う優先順位付けができるように、次のような材料も用意します。
- 業務の所要時間や担当者数
- 組織の目標や達成率、担当者の実績
- 顧客リスト、取引先リスト
- 取扱商品・サービス一覧
- 関係省庁への報告書などの提出物
このステップでは、標準的な手順や成果物の水準を検討するために必要となる、業務にまつわる全ての事柄を洗い出し、「見える化」することがポイントです。
【ステップ2】標準化すべき業務の優先順位付け
2番目のステップは、標準化すべき業務の優先順位付けです。
1番目のステップで用意した、業務についての材料をもとに、標準化していく順番を決めていきます。最終的には、標準化すべき業務は全て標準化することが望ましいですが、業務と同時並行で標準化を行うには、優先順位付けをして取り組むのが現実的です。
次のような業務から優先的に標準化するとよいでしょう。
(1)基幹となる業務や、組織の目標と関わり今後周辺業務が増えていく業務
(2)課題が見えている業務
- 属人化している業務(例:特定の人が休んだ時に誰も代替できない状態になっている)
- 工程にムリがある業務(例:納期が遅れがちである)
- ムダな手間や時間がかかっている業務(例:二重にチェックしている、作成目的がはっきりしない報告書がある)
- 担当する人によって品質にムラが出ている業務(例:顧客のアフターフォローにばらつきがある)
【ステップ3】業務整理
3番目のステップは、業務整理です。
いよいよ、業務の標準的な手順を定めるステップです。
2番目のステップで優先順位が高いと決定した業務について、業務の工数や頻度、作業の順番、必要な担当者数、難易度、成果物、成果物の水準といった項目について、定量化します。
定量化とは、数値で表すことを意味しており、数値で表しにくい質的要素も可能な限り数値で表します。例えば、難易度であれば「本業務を2サイクル(2か月)担当し、ミスなく独力で完了できるレベル」、成果物であれば「○○報告書を2営業日で作成する」など、誰から見てもわかりやすく表現することです。
2番目のステップで、すでに属人化やムリ・ムダ・ムラなどの解決すべき課題が見えている業務の場合は、改善策を検討し、代替手順を策定した上で定量化します。
【ステップ4】マニュアルと業務フロー作成
4番目のステップは、マニュアルと業務フローの作成です。
標準的な手順を職場のメンバーで共有するステップです。簡単な覚え書きレベルでは、3番目のステップで定めた手順や定量化数値を漏らさずまとめ共有することは難しいでしょう。きちんとした構成のマニュアルと業務フローを作成し、職場のメンバーがすぐ参照でき、今後も手順の見直しを続けていける体制を整えます。
すでにマニュアルや業務フロー図があるならば、それらをベースに、新たな標準的手順を記載していきます。
マニュアルや業務フロー図がない場合は、次のような構成で新たに作成しましょう。
- 概要
- 目的や背景
- 業務フロー図(フローチャートなどで、業務工程の全体像を図にしたもの)
- 具体的な手順
- 注意事項
- トラブル発生時の対処方法
【ステップ5】運用と改善
5番目のステップは、運用と改善です。
標準化した手順を、マニュアルや業務フローによって職場のメンバーで共有する体制が整ったら、次はマニュアルの運用方法を決めていきます。
- 新入社員や転入者への共有方法
誰が(業務の指導担当者など)
いつ(配属初日など)
どのように(マニュアルの参照方法、更新の運営方法など) - マニュアルの更新方法
誰が(各グループの担当者が1ヵ月交代で担当するなど)
いつ(変更があれば随時見直す、変更がなければ半年に1回見直すルールとするなど)
どのように(マニュアルの修正すべき箇所をグループ内でヒアリングし、反映させるなど)
さらに、前述した業務標準化による3つの効果(品質の均一化、属人化防止、業務効率化)をあげていくには、この運用を続行し、マニュアルの内容や運用方法に改善すべき点があれば、職場のメンバーで検討し共有していくと良いでしょう。
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まとめ
この記事では、業務標準化の意味や3つの効果、業務標準化を進めるための5つのステップについて解説しました。
業務標準化とは、業務の標準的な手順や成果物の水準などを決め、職場のメンバーで認識を共有することです。業務標準化の体制が整うと、品質が均一化し、属人化の防止や業務効率化といった効果を得ることができます。
業務標準化を進めるステップとしては、業務の手順や課題を洗い出し、どの業務から標準化していくか優先順位を決めます。そして優先度の高いものから標準的な手順を策定し、マニュアルに記載して職場のメンバーで共有する、という流れになります。
業務標準化に必要な、マニュアルの作成や共有を手間なくできるのがマニュアル作成ツールです。
次のようなマニュアル作成ツールだと、安心して標準化する業務を増やしていくことができます。
- ゼロからマニュアルを作成する場合に便利な、マニュアル構成がテンプレート化されている
- 既存のMicrosoft Wordで作成したマニュアルを取り込める
- オンラインでいつでもどこからでもアクセスでき、さまざまな媒体でマニュアルを参照できるので、従業員数や営業所が多い場合や、リモートワークにも強い
- セキュリティ対策の万全なサーバにマニュアルを保存できる
これらの特徴を持つ、富士通ラーニングメディアの「KnowledgeSh@re(ナレッジシェア)」は業務標準化に取り組みやすく、標準化の体制を維持できるツールです。こういったツールを活用して業務標準化を図るのも一法です。
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