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離職率の改善が必要な理由とは?離職が起きてしまう原因と具体的な改善方法10選をわかりやすく解説!

離職率の改善が必要な理由とは?離職が起きてしまう原因と具体的な改善方法10選をわかりやすく解説!

2024/01/22

ある日突然上司に「会社を辞めます」と申し出る社員。

離職の理由をたずねると「ほかにやりたいことが見つかったから」といった前向きな理由を話すものの、内々に聞くと実は会社への不満を抱えている……。こんな離職者が増えた、とお悩みではありませんか?

離職率が高い会社は求職者に敬遠されるおそれもありますから、魅力ある会社づくりのためには離職率の改善が必要です。

この記事では、離職率の指標や業界別の離職率、離職が起きる原因や離職率を改善すべき理由、離職率改善の具体的な方法などについて、わかりやすく解説します。離職率の改善をお考えの方に、参考にしていただければ幸いです。

離職率の改善とは?

離職率とは、厚生労働省の定義によれば、一定期間のうち、常用労働者(期間を定めずに雇われている者や1か月以上の期間を定めて雇われている者)に対する、離職したり解雇されたりした労働者の割合のことです。離職率の改善とは、離職率を下げていくことになります。

企業は、コストをかけて社員を採用・育成するわけですから、離職率が低い方が望ましいものです。また、離職率が高いと「ブラック企業なのではないか」という印象になることも。そのため、離職を防止する取り組みであるリテンションマネジメント(retention=保持、残留 management=取り組み、手法)の考え方が知られるようになりました。

リテンションマネジメントの施策は社員が働きやすい環境を作るものであり、やりがいの向上や環境整備などが挙げられます。

離職率の改善を判断する指標

次に、離職率の改善を判断する指標について見ていきましょう。
離職率の計算方法や日本の離職率、新卒社員の離職率、業界別の離職率などの数値をご紹介します。

離職率の計算方法

離職率は、厚生労働省が実施している雇用動向調査において使用される指標であり、次の計算方法で算出します。

離職率の計算方法

(引用:厚生労働省

つまり、ある時点で在籍していた常用労働者のうち、調査対象期間中に離職した人の割合ということです。例えば、ある年の1月1日時点で常用労働者数が10,000人、直近の半年間の離職者数が100人だとすると、離職率は1%ということになります。

日本の離職率

日本の企業の離職率を見てみましょう。

厚生労働省が全国の15,200の事業所を対象に調査した令和3年雇用動向調査結果の概況 によれば、令和3年は13.9%でした。令和2年は14.2%、令和元年15.6%であり、2007年からの15年間を通じて14~15%程度の離職率となっています。

新卒社員の離職率

新卒社員の離職率をご紹介します。

厚生労働省では、学歴別の新規学卒者の離職状況を調査しています。

この調査によれば、昭和62年から令和3年の約30年間において、入社後3年までの離職率は、おおむね次のような数値になっています。

  • 中学卒…60%前後
  • 高校卒、短大等卒…40%前後
  • 大学卒…30%前後

(「学歴別就職後3年以内離職率の推移」より

この調査は毎年さまざまな分析がなされていますが、平成30年の分析「特集 就労等に関する若者の意識」 において、初職の離職理由がまとめられています。それによると、「仕事が自分に合わなかったため」が43.4%であり、「人間関係がよくなかったため」23.7%、「労働時間、休日、休暇の条件がよくなかったため」23.4%、「賃金がよくなかったため」20.7%といった理由が続きます。

業界別の離職率

業界別の離職率をご紹介します。

前述した令和3年雇用動向調査結果の概況 によると、産業別離職率は高い順に次の業界が挙がります。

  • 宿泊業、飲食サービス業25.6%
  • 生活関連サービス業、娯楽業22.3%
  • サービス業(他に分類されないもの)18.7%
  • 教育・学習支援業15.4%
  • 医療・福祉13.5%

生活関連サービス業は洗濯・理容・旅行業など、サービス業(他に分類されないもの)は廃棄物処理・自動車整備業など。宿泊業、美容師、教師や保育士、看護師や介護士の離職率が他業界よりも高くなっていることがわかります。最も低い離職率は複合サービス事業(郵便局や協同組合など)の8.1%です。

なお、業界の詳細な業種名は日本標準産業分類にあります。

離職率の改善が必要な3つの理由

企業にとって離職率を改善しなくてはならない理由が3つあります。
どのような理由なのか、わかりやすくご紹介します。

優秀な人材の流出

離職率の改善が必要な3つの理由

第一の理由は、優秀な人材の流出です。

企業は、将来性のある人材を採用し、企業の信用や看板のもとに実務経験を積ませ、利益を生み出す人材へと育成しています。転職されてしまうと、それまでに積み上げた高いスキルとナレッジが流出することになり、その人材が生み出したであろう今後の利益をも逸失することになります。さらに人材の流出先が競合企業だと、今後より厳しい戦いになる可能性があります。

ある企業の、入社後多くの成果を上げてきた課長職の社員。人柄もよく、部下の育成も熱心であったが、ある日赴任してきた部長にパワハラまがいの重圧を受け、人事異動を訴えるも叶わず、このままでは心身に影響をきたすため転職を決意。この課長が将来企業にもたらす利益は永遠に失われてしまいました。

離職率の改善に取り組むことで、優秀な人材の流出を防止し企業が将来的に得られる利益を守ることができ、競争力を向上させていくことにつながります。

既存社員の負担増加

第二の理由は、既存社員の負担増加です。

労働力人口が減少傾向にあり、人材確保がただでさえ難しい状況において離職者が出ると、既存社員の負担が増加します。何とか工夫してしのげれば良いですが、仕事量は減らず人員が減る状況ではサービスの質が低下したり、社員のモチベーションが低下しさらなる離職者を出したりするおそれがあります。

ある保育園の保育士は、やりがいのある仕事で頑張っているが、給与やボーナスが少なく生活に不安を感じ、別の仕事へ転職。残った保育士は残業が多くなり体調に影響が出て、連鎖的に離職者が出てしまいます。保育士の人員数が足りなくなり、保育園の存続も難しくなってしまいました。

離職率を改善し離職者を最小限にとどめることで、生産性の低下を防止することができます。

企業イメージの低下

離職率の改善が必要な3つの理由

第三の理由は、企業イメージの低下です。

現在は、SNSや転職サイトへの口コミ投稿が増え、企業名と離職率のキーワードで検索すれば離職率や離職理由が閲覧できる状況です。もともと起業・独立を推奨する風土があるなど前向きな理由がない限り、「人が定着しない企業」という印象を与え、きちんとデータを集めロジカルに就職活動を展開するような優秀な人材こそ、エントリーを敬遠してしまいます。

ある就職活動中の大学生は、志望する業界をよく研究し、社員にも話を聞いています。入社したらできる限りその企業で活躍したいので、離職率が高いと聞くと、仕事がきつそうだし、社員教育も十分に行われず自己の成長にもつながらなさそうだと考え、エントリーを見送りました。

離職率を改善すると、「人材を大切にする企業」といったイメージを与え、働きやすそうだと安心して応募する求職者が増え、優秀な人材の確保につながります。

離職が起きる3つの原因

離職率の改善策を検討するために、まずは離職が起きる原因を考えてみましょう。

配偶者の転勤や介護など家庭の事情や、本人がもともと志望していた仕事への転職であればやむを得ない離職といえます。ここではそれ以外の、企業に起因する原因を3つご説明します。

【原因1】労働条件が悪い

労働条件が悪い、という原因です。

労働条件は生活に直結するため、思い描いていた生活とあまりにもかけ離れてしまうと、離職につながります。例えば、給与や賞与が少ない、成果を出しても給与が上がらないといった報酬の条件や、長時間労働が多いなど労働時間の条件、時差出勤やフレックスタイム制があるのに実際には利用できないなど働き方の条件で課題が多い状況です。

働き方改革の推進によって働きやすさ向上に取り組む企業が増えているだけに、「将来のために貯金したい」「子どもがほしいから柔軟な働き方ができる方がいい」といった社員の理想が実現できない労働条件であれば、同じ業務ができる別の職場を探して離職することになってしまいます。

【原因2】人間関係のストレス

離職が起きる3つの原因

人間関係のストレスがある、という原因です。

職場の人間関係がうまくいかず、人事異動を希望しても配置転換してもらえなかったり、上司からのパワハラや強く苦情を訴える顧客からのカスタマーハラスメントなど、社内外からのハラスメントを受けたりすると、職場に行くのもつらくなり、離職を考えることになります。

人間関係のストレスは、前述したように、新卒社員の離職理由の上位にも位置しています。長い就職活動を経て入社し、この会社で頑張ろうと決意したにも関わらず、職場での人間関係に悩み、コミュニケーションがとれなくなって仕事に支障をきたしてしまい、離職につながります。

【原因3】会社の将来性への不安

会社の将来性への不安、という原因です。

経営方針がトップダウンで急激に変化したり、今自分が頑張っている部門の事業が縮小されたりすると、社員は会社の将来性に不安を感じます。また、業績の拡大にも関わらず十分な報酬で報いていなかったり、人材育成や社員のキャリア形成のサポートが不足していたりなど、体制に疑問を感じると、年収アップやスキルアップが期待できず、会社で働き続けることに不安を感じるようになります。

近年、転職に対する心理的なハードルが下がっていますから、社員は会社の将来性に不安を感じると離職を考えるようになります。

離職率を改善するための具体的な方法10選

離職率を改善するための具体的な方法10選

離職率を改善するための具体的な方法を10個ご紹介します。
どれを実施するのか、どこに力を入れていくと効果的なのか、社員の意見をヒアリングしながら検討してみてください。

1.賃金・待遇の改善

賃金や待遇を改善する方法です。

賃金とは給与や賞与(ボーナス)のことであり、待遇とは勤務日や勤務時間、社会保険や福利厚生、手当などのことです。基本給をやみくもに上げては経営や退職金計算に影響があるおそれがありますから、賞与の幅を大きくするか、長期的展望をもって給与体系の見直しをはかりましょう。

勤務日や勤務時間の条件が本当に業務実態とマッチしているか、見直してみましょう。業務の内容によっては、少ない人数で推進する方がやりやすい仕事や、多くの社員で手分けして短時間で行う方が効率のよい仕事もあります。

福利厚生や手当は、昔の社会情勢に基づいたものになっていないか、現代の社員にとって有益な内容になっているか確認します。陳腐化した制度を入れ替えるチャンスですから、「福利厚生が悪くなった」と受け取られないよう、制度の廃止や新設についてわかりやすい説明を行いましょう。

2.長時間労働の改善

長時間労働を改善する方法です。

職場で、次のような実態はありませんか?

  • 早朝残業を残業時間に含めていない
  • パソコンの電源を落とすよう指示するなど、実際の残業時間を申告させない
  • 振替休日や代休をとっていない
  • 休日出勤が常態化している

政府の働き方改革の推進にともなって2019年4月より改正労働基準法が施行され、労働基準法第36条に基づく労使協定(サブロク協定)を締結していても、臨時的で特別な事情がない限り時間外労働の上限は月45時間、年360時間となっています。この上限枠をまず守ることから始めましょう。枠内におさまらないほど仕事量があるなら、仕事量を減らすか、人員を増やすか、やり方を効率化するか、検討します。やめても大きな影響のない仕事は、意外と多いものです。

長時間労働は特に社員の心身への影響が大きく、離職に直結しやすい問題です。残業代を支払っていればよいという問題ではありません。先ほどのような実態があるなら、他の施策より優先して取り組んでください。

3.柔軟な働き方ができる環境の整備

離職率を改善するための具体的な方法10選

柔軟な働き方ができる環境を整備する方法です。

勤務形態には、固定時間制、変則労働時間制、始業・終業が自由なフレックスタイム制、始業・終業のないみなし労働時間制、時短勤務など、さまざまな種類があります。「この業界はこれが当たり前だから」などの固定観念を脇に置いて、「どんな働き方だと最も生産性が高いと思うか」を社員にヒアリングしてみましょう。

例えば、休憩をずらし9時~15時の6時間制にする、完全テレワークにする、ペアでカバーしながら業務を行うなど、柔らかな発想の意見が出るかもしれません。

単に「個人の希望する自由な働き方を何でも許可する」ということではなく、その業務にとって最も成果を出しやすい働き方を探りましょう。自分の意見に沿う制度を作ってもらえると、社員は会社に愛着がわき、離職率の低下につながります。

自由度の高い制度になると、運営や管理のために余計に人手が必要になる場合があります。管理する部署や上司だけが大変になってしまわないよう、その側面においても柔軟さを実現できるよう注意しましょう。

4.評価制度の改善

評価制度を改善する方法です。

まず、現行の評価制度について、新入社員にも理解できるような説明資料があるか確認しましょう。評価制度は複雑なものであり、評価制度を不服として離職する人がいるとしたら、評価制度を十分に理解していないせいかもしれません。

その上で、どこが報いられていない印象となるのか見直します。階級や部門によって基準を細分化した方がよいなど、改善点が見つかれば、議論を重ねて代案を検討しましょう。

評価制度は賃金につながることであり、慎重な判断が求められます。短期間でコロコロ変えると、同じ役職でも異なる評価制度に基づき昇格していることにもなり、かえって社員の不満のもとになります。

理想的なのは、客観的で透明性の高い評価制度です。わかりやすい評価制度に沿って努力し、納得感のある評価をされたいと社員は思っています。納得感があればモチベーションが高まり、貢献意欲がわいて離職など考える隙間もなくなります。

5.教育体制の改善

離職率を改善するための具体的な方法10選

教育体制を改善する方法です。

教育体制の充実は、社員にとって働く場所としての魅力になります。
いくつかアイデアをご紹介しますので、まだ実施していないものがあれば、制度化を検討してみてください。

<OJTの制度>

  • 他部署への社内留学や部門横断のプロジェクトを実施し、協働しながら理解を深める。
  • 業務マニュアルをマニュアル作成ツールに変更し、学習効果を高める。

<Off-JT(Off-The-Job Training)の制度>

  • 在籍年数に応じた研修や、業務別・職種別の研修などを行う。
  • 多様な年次や部署の社員が参加する意見交換会・勉強会を行う。
  • eラーニング教材で予習し、研修で実践的な内容を学習する「反転学習」を導入する。
  • 外部セミナーや資格取得の支援、課題図書の貸出を行う。

社員教育プログラムを見直し、研修の実施時期やカリキュラム内容は適正か、何らかの学ぶ場を平等に設けているかをチェックすることも大切です。教育の機会の提供は「会社と社員がともに成長していける場にする」という会社からのメッセージです。社員が自己の成長も実感できると幸福感が高まり、この会社で頑張ろうという気持ちになります。

6.定期的な面談の実施

離職率を改善するための具体的な方法10選

定期的な面談を実施する方法です。

定期的な面談には、1on1ミーティングやメンター制度、キャリアカウンセリングなど、さまざまな手法があります。

1on1ミーティングは上司との面談であり、メンター制度は比較的年齢の近い先輩と後輩がペアになり、互いに支援し合うものです。キャリアカウンセリングは、人事部担当者か外部のキャリアコンサルタントが行います。いずれも一対一で行う面談であり、話し合う内容は幅広く、日頃の業務や職場の人間関係、仕事とプライベートの両立やキャリア形成についてなど、社員が悩みや不安を相談できる場です。

こういった面談を月に1回などと定期的に行うことで、職場で面談が習慣化されるため、業務中に遠慮なく席を立って面談に臨むことができます。中には少し話すだけで気持ちが楽になるケースもありますから、短時間でも定期的に行うのがポイントです。

なお、面談に臨む上司や先輩社員にはコーチングスキルが必要な場合もありますので、スキルを習得できるようサポートしましょう。

7.退職する理由のヒアリングと課題の把握

退職する理由のヒアリングと課題の把握を行う方法です。

効果的な離職率改善策を検討するためには、退職理由の把握が重要です。定期的な面談で悩みの芽を把握するとともに、退職を決意した人に理由をヒアリングしましょう。

人事担当者と退職手続きを行う際に、退職手続きの一環として行いましょう。イメージとしては、商品やサービスの利用者アンケートです。回答しやすいように〇×で回答する設問と、自由記入の設問を設け、必ず全員に回答してもらっている旨を伝えます。

ヒアリングができたら課題を把握し、離職率改善へ活用しましょう。

8.社内コミュニケーションの活性化

離職率を改善するための具体的な方法10選

社内コミュニケーションを活性化する方法です。

コミュニケーションが活性化すると、人と人がつながりやすくなり、一緒に働くことが喜びとなります。楽しい人間関係を築くことができれば仕事でのやり取りもしやすくなり、業務が円滑に進みます。

コロナ禍やテレワークの普及により、社内コミュニケーションは希薄になりがちな状況です。社内イベントや交流会を実施したり、コミュニケーションツールを導入し環境整備したりすることで活性化をはかりましょう。

イベントを企画する際は、初めての人も参加しやすい内容で、その場限りの出会いにならないような工夫をします。テーマを決めた読書会や、部署を超えた勉強会など、業務に役立つ内容もよいでしょう。

コミュニケーションツールには、チャットツールや社内SNS、チャットに加えファイル共有やWeb会議などの機能を備えたグループウェアなどがあります。複数のコミュニケーション手段があると分散して活用されないものも出てきますから、ツールを導入する場合は手段を一本化しましょう。

9.採用活動の見直し

離職率を改善するための具体的な方法10選

採用活動を見直す方法です。

離職する理由に「仕事が合わなかった」「イメージと異なる職場だった」などがあれば、採用活動の際に業務内容や職場の雰囲気を十分伝えきれていない可能性があります。求職者に情報を伝える方法を改善しましょう。

例えば、新卒採用の就活生向けには、会社のホームページや発信する情報をわかりやすくする、説明会の内容をより具体的なものにする、職場見学やインターンシップを行うなどの工夫が考えられます。実際の業務の様子を見てもらうと学生の理解が進みます。中途採用の転職者向けには、エージェント経由の説明や面接において、より丁寧にすり合わせを行うとよいでしょう。

内定後の面談や、入社前後の面談もこまめに行い、ミスマッチをできる限り減らすようにしましょう。

10.ストレスチェックツールの活用

ストレスチェックツールを活用する方法です。

ストレスチェックツールとは、質問に回答するとストレスの状態を把握できるツールです。厚生労働省や民間企業が作成したツールがあります。厚生労働省は、2015年から従業員数50人以上の事業者にはストレスチェック実施を義務化しており、以下のプログラムを提供しています。

(事業者向け)「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム
(個人向け)「5分でできる職場のストレスセルフチェック

このほか、民間企業が作成したツールは、無料から有料のものまでいろいろあります。多言語やスマートフォン端末にも対応したり、分析の結果によって職場環境の改善提案をしたりする機能があるものもあります。ツールの活用により、ストレスが心身に影響を及ぼしていないか、離職につながらないかを早期につかむことができます。

離職率改善に成功した事例

離職率改善に成功した事例

離職率改善に成功した企業の事例をご紹介します。

  • 働き方の柔軟性を高めた例
  • 長時間労働を解消した例
  • 社員のフォローを徹底した例

いずれの例も離職率改善や長時間労働の是正など、高い成果を上げていますので、ぜひご覧ください。

働き方の柔軟性を高めたIT業界の企業事例

グループウェアの開発や販売事業を展開する企業では、離職率28%と過去最高を記録して以来さまざまな施策を講じたところ、離職率を3%前後まで下げることに成功しました。

制度については、勤務時間や場所を宣言できる「働き方宣言制度」、退職後も最長6年間復帰可能な育「自分」休暇制度、上司の承認不要の副(複)業許可、他部署業務を体験できる「大人の体験入部」など独創性のある取り組みや、人事制度策定プロセスや給与評価の見直し、社内コミュニケーション活性化策などを行っています。

その他、情報共有クラウド、リアルオフィス/バーチャルオフィス、ビデオ会議などのツールを活用。「公明正大」「自立と議論」「ルールより目的」の文化を重んじる風土とし、説明責任・質問責任の考え方を浸透させています。

社員の意見を受け入れながら多彩な制度を導入し、働きやすい環境づくりを実現した好例です。

長時間労働を解消した不動産業界の企業事例

アパートの賃貸や開発事業を展開する企業では、業界水準を超える離職率を改善すべくさまざまな制度を導入し、特に残業の多さや有給休暇取得率の低さを解消しました。

現場が中心だった社員教育について、研修制度を充実させ、階層別・職種別研修を導入し、社員のモチベーションを向上させています。長時間労働が仕事熱心さの裏付けであるという意識を変革すべく、時差出勤・シフト制、リフレッシュ休暇や時間単位年次有給休暇制度、テレワーク制度などを導入し、社員の働きやすい環境整備を推進しています。

取り組みの結果、一人当たりの時間外労働が月27.8時間(2014年)から11.3時間(2022年)まで減少し、有給休暇取得率についても33%(2014年)から81.7%(2022年)に向上するなど、大きな成果が出ています。

社員のフォローを徹底した外食産業の企業事例

飲食業は新卒社員の入社3年以内の離職が50%前後と高い業界ですが、全国に600店舗以上を展開する外食企業では離職率低下のために、きめ細かなフォローを実施しました。

入社1か月後頃に人事担当者が面談し、店長には伝えにくい悩みや不安をフォローすることや、中途採用は合議制へ変更し、よく見極めた上で採用すること、退職者への理由のヒアリングを行うことなど、多忙な店舗を支えるべく人事部が努力を重ねました。

また、無断残業や休日出勤は禁止し、月2~3回の連休や夏冬の4~5連休の取得を実現。月給のベースアップや子育て支援として家族手当を支給するなど、社員とその家族を大切にする姿勢を打ち出しています。

さらに、離職リスク可視化ツールを導入し、入社1か月後面談に活用。的確なフォローにより離職率を7%前後まで低下させています。

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まとめ

今回は、離職率の改善について解説しました。

離職率は、労働環境や雇用条件、仕事のやりがいなど、従業員満足度につながる要素が関係する指標です。離職率が高い=人材の定着率が低いということは、優秀な人材の流出や企業イメージの低下につながりますから、離職率の改善は重要なテーマとなります。

離職が起きる原因は、主に労働条件や人間関係のストレス、会社の将来性への不安などが挙げられます。これらの原因を解消する10個の方法と、離職率改善に成功した3つの事例をご紹介しました。

具体的な解消方法はたくさんあります。重要なのは、どこに力を入れるべきか、社員の意見を取り入れることです。ご紹介した事例を参考に、ぜひ社員の皆さんの意見を聞き、離職率改善に取り組んでみてください。

マニュアル作成ツール「KnowledgeSh@re」は、業務マニュアルの中に設問を設けて自律的な学習を促進する機能などで社員教育をサポートし、離職率改善に貢献します。
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