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ノウハウとは?ビジネスにおける意味と類語の違いや組織内で共有するメリットについて簡潔に解説!

ノウハウとは?ビジネスにおける意味と類語の違いや組織内で共有するメリットについて簡潔に解説!

2023/10/23

ノウハウという言葉に、どんなイメージをお持ちでしょうか。その物事に詳しい人だけが知っているコツ、重要な機密情報など……。

ビジネスにおいて、ノウハウには重要な意味があります。利益を生み出す資産であり、法律で保護される、知的財産や営業秘密といった存在なのです。

この記事では、ノウハウについて解説します。ビジネスにおいてノウハウが持つ重要な意味や、スキル・ハウツー・ナレッジなどノウハウの類語との違い、企業がノウハウを蓄積するメリットなどについて、わかりやすく説明します。ノウハウについて詳しく知りたい方の参考になれば幸いです。

ノウハウとは?

ノウハウとは、専門的な知識や技術、手法や情報という意味です。know(知識)とhow(やり方)を組み合わせた英語の「know-how」から来た言葉であり、技術や知識、何かを行うときの進め方や手順のことを指しています。

例えば、コミュニケーションのノウハウといえば、話の聞き方や話し方、メールの書き方や送信タイミングなど、相手とコミュニケーションを行うときの技術です。時間管理のノウハウ、料理のノウハウなど「〇〇のノウハウ」といったように、書籍のタイトルになることも多く、ジャンルを問わずに使われる言葉です。

ビジネス上のノウハウの意味と活用例

ビジネスにおいて、ノウハウは重要な意味を持ちます。企業の事業の根幹であり、保全すべき財産です。
ビジネス上のノウハウの意味や、ノウハウの活用例についてご説明します。

実務を通して得た技術や知識

ビジネスにおけるノウハウは、事業を展開するための専門的な技術や知識を意味しており、企業が事業を運営し、従業員が実務を行う過程で得てきたものです。

その内容としては、開発や製造に関する技術や製造方法、商品やサービスの販売やマーケティングに関する知見などがあります。例えば、特殊な素材の製造方法や、部品の金型、AIによるプログラム、食品のレシピや調理方法、販売数や販売経路拡大のメソッドなどが挙げられます。いずれも、企業が資金や人材などのリソースを投じ、試行錯誤の上に得た、価値のある技術や知識です。

これらは自社の強みとなり、企業間の競争に打ち勝つ原動力となるものですから、たやすく他社に知られて真似されるようなことがあってはならないので、守るべき財産といえます。

知的財産

ビジネスでのノウハウは、知的財産とも称され、知的財産基本法において次のように定義されています。

“この法律で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。”
(引用:知的財産基本法 平成14年法律第122号)

知的財産に似た言葉に知的資産、無形資産などがありますが、無形資産は知的資産とその他の実務的な資産(借地権、電話加入権など)で構成されており、知的資産に知的財産(ノウハウ)や知的財産権(特許権、著作権など)が含まれています。
(ご参考:知的資産と知的財産権(特許等)の違い

また、ノウハウは国際的にも保護されるべき対象とされており、例えば1961年に国際商業会議所では「工業目的に役立つ技術や知識、方法、資料」をノウハウと定義づけ、ノウハウ保護に関する決議が行われています。

営業秘密

ビジネス上のノウハウの意味と活用例

ビジネスでのノウハウは、営業秘密という側面もあります。よく耳にする「企業秘密」という言葉と同じ意味ですが、不正競争防止法で使われているのが営業秘密という言葉です。

不正競争防止法とは、他人の技術開発や商品開発の成果を、同意を得ずに使用する行為を不正競争として禁止することで、事業者の営業上の利益を守り事業者間の公正な競争を維持するための法律です。不正競争の規制が知的財産の保護につながっており、知的財産基本法の一環でもあります。

営業秘密とは、企業の研究・開発や営業活動の過程で生み出された情報であり、次の3つの要素を満たすと定義されています。

  1. 秘密として管理されている(秘密管理性)
  2. 生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報(有用性)
  3. 公然と知られていないもの(非公知性)

不正競争防止法を所管する経済産業省では、営業秘密の例を次のように挙げています。

  • 顧客名簿や新規事業計画、価格情報、対応マニュアル(営業情報)
  • 製造方法・ノウハウ、新規物質情報、設計図面(技術情報)
    (引用:不正競争防止法概要

いわば、営業秘密は、知的財産として保護されるノウハウのうち、営利活動を行う事業者が社外秘として管理し事業に役立てている機密情報といえます。

ノウハウの活用例

企業において、ノウハウはマニュアルや事例、データの形で活用されています。

ノウハウは、研究開発室での実験や、工場での製造工程、取引先との交渉過程、顧客対応など社内のさまざまな場所で日々生み出され、決められた保存場所に記録されます。多くは、文書や図解のマニュアル、画像や動画の資料など、業務に使いやすい形態となります。

ノウハウの保存場所は、社員で情報共有し、必要なノウハウを取り出せるよう検索しやすく閲覧しやすい環境が適しており、誤って削除や上書きをしないよう操作制限を設けたり、漏洩のないようデータ書き出しやアクセスの制限をかけたりして管理されます。

そして業務で活用し、新たなノウハウが生み出されれば追加し、古くなったノウハウは新しいものに置き換えられます。業務で活用するだけでなく、ノウハウ自体を商品化したり、品質管理の徹底などPRできる内容であれば広告宣伝に活用したりするケースもあります。

ノウハウの類語

ノウハウに似た類語として「スキル」「ハウツー」「ナレッジ」といった言葉があります。
これらの意味について、ノウハウとの違いに触れながら解説します。

スキル

ノウハウの類語

スキルは、英語の「skill」であり、「技術、熟練、技量、技能」という意味です。

技術という点ではノウハウと似ていますが、スキルは個人が身につけた技術という意味合いが強く、ノウハウは個人の技術だけでなく、人と共有できる技術も含みます。また、ノウハウの方が幅広く、その技術の使い方や具体的な手順といった意味も含んでいます。

例えば、契約書を作成する業務において、「契約書作成のスキル」といえば、パソコン操作の技術や法律の知識など、契約書作成者の作成技術を指します。「契約書作成のノウハウ」といえば、作成技術に加えて、ドラフトのやりとりや第三者によるチェックなど、法的に問題なく不利にならない契約書を締結するためのコツや留意点も含みます。

ハウツー

ハウツー

ハウツーは、英語の「how-to」が日本語でも使われるようになった言葉であり、how(やり方)とto(誰々へ、といった方向)を組み合わせた語句です。「やり方を教えるもの」という意味です。

やり方という点でノウハウと似ていますが、ハウツーは基礎的な技術という意味合いが強く、ノウハウは専門的で高度な技術といった意味を持ちます。ハウツーは、その物事を初めて行う人がまず何をすればいいのか、初心者向けの内容を説明するものであり、ノウハウは、ある程度慣れた人がより上達するための秘訣を指す、といったイメージです。

例えば、営業担当者が顧客を訪問する場合、「顧客訪問のハウツー」といえば、約束の時間通りに訪問する、名刺を渡す、訪問目的を告げるなどの、最低限必要なことを指します。「顧客訪問のノウハウ」といえば、顧客との信頼関係を築く方法や本音の引き出し方など、より踏み込んだ知識を指します。

ナレッジ

ナレッジ

ナレッジは英語の「knowledge」であり、「知識、学問、常識、理解、熟知していること」などの意味があります。

知識という点でノウハウと似ていますが、ナレッジは一般常識的な知識もノウハウも含む幅広い知識を指しており、ノウハウはどちらかというと有益で付加価値の高い知識を指しています。

対象の広さの違いから、ノウハウはOJTなどの体験を通じて学ぶ暗黙知であり、ナレッジは言語化された形式知であると特徴づける見方もあります。ただし、これは業界によってさまざまであり、ノウハウにも形式知がありますし、ナレッジにも暗黙知が存在することもあるでしょう。

例えば、水素自動車の製造に関して、「水素自動車のナレッジ」といえば、「ガソリンの代わりに水素を燃料とする」といった一般的な知識も含まれます。「水素自動車のノウハウ」といえば、水素エンジンの精巧な設計や水素供給の速度向上策など、利用価値の高い知識を指します。

ノウハウを蓄積・共有するメリット

ビジネスにおいて、ノウハウを蓄積し、社内で共有するメリットが3つあります。
どのようなメリットなのか、見ていきましょう。

業務効率化・生産性向上

ノウハウを蓄積・共有するメリット

ノウハウを蓄積・共有すると、業務効率の改善や生産性の向上につながります。

ノウハウを知っている人が退職してしまうと、現場にノウハウが残らず、人とともにノウハウが去っていきます。また、ノウハウを一部の人だけで共有していると、情報格差が生まれます。そのノウハウを知らない人は「そんなやり方があるなら教えてほしかった」と不公平に感じ、仕事へのモチベーションが下がるおそれがあります。

ノウハウが生まれたら蓄積し、新しいノウハウも追加していく体制にすると、人が入れ替わってもノウハウが現場に残ります。そして共有する体制になっていれば、新入社員やしばらく休職していた社員もそのノウハウを読んで早くキャッチアップできます。全体の業務レベルが底上げされ、高い業務品質を維持できるとともに、新しいアイデアや工夫を記録していく流れができて、業務の効率化や生産性の向上につながります。

業務の属人化防止

ノウハウの蓄積・共有化は、業務の属人化を防止する効果があります。

属人化とは、特定の社員が業務を抱え込み、担当や役職が代わってもその人がずっとその業務を行う状態のことです。業務が属人化すると、その業務のノウハウは他の人がわからないので仕事を代替できなくなってしまいます。

ノウハウを職場で蓄積し、複数人で共有していれば、業務の担当者が急に長期休暇をとることになったとしても、代わりの人が業務を担当できます。急な退職などで十分な引き継ぎを行えなくなっても業務をストップしなくて済みます。ノウハウを職場で共有する体制となっていれば、業務を抱え込むことがそもそもなくなり、属人化が起こらなくなります。

知的財産の活用

知的財産の活用

ノウハウを蓄積し、共有することで、知的財産として活用できるようになります。

2021年6月にコーポレート・ガバナンスコードが改訂され、上場会社が知的財産を投資家向けに開示することが促進されています。知的財産を所有していることは、たとえ現在業績が右肩上がりでなくても日々資産を積み上げていることを表しますし、知的財産そのものがブランド力となり得ますから、知的財産についての情報開示が投資家へのアピールにつながります。

また、知的財産は蓄積・共有するツールやシステムを整備することで、有事の際にも消失しにくい資産となります。このような大切な財産を守り発展させていくことで顧客からのロイヤルティ(愛着、忠誠)が向上し、競争力を増す効果も期待できます。

ノウハウを活かすためのナレッジマネジメント

ノウハウを活かすためのナレッジマネジメント

企業が自社のノウハウを事業に活かしていくために、ナレッジマネジメントへの取り組みが求められます。

ナレッジマネジメントとは、企業が持つナレッジを管理し活用する仕組みを作り、新たな知識や価値を創造していくことです。ノウハウとともに幅広い業務知識についても蓄積する取り組みであるため「ナレッジ」と冠されており、蓄積場所となるシステムの構築から、ナレッジを活かして新たな価値や知識を創造するまでの一連の流れがナレッジマネジメントと呼ばれています。

具体的には、ナレッジ共有システムマニュアル作成ツールなどを設置し、そこにノウハウを蓄積していきます。ノウハウには、言語化できる形式知の情報もあれば、人の勘や経験に基づく言語化しにくい暗黙知の情報もありますから、複数の社員から情報を得たりデータを分析したりして言語化し、文書や動画などのわかりやすい形で蓄積します。

ノウハウは日々生まれてきますから、使い勝手のよいシステムで情報検索や閲覧のしやすいものだと、ノウハウの活用や新たな価値の創造が実現できるでしょう。

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まとめ

今回は、ノウハウの意味やスキル・ハウツー・ナレッジとの違い、企業がノウハウを蓄積するメリットやノウハウ活用のためのナレッジマネジメントについて、ご紹介しました。

ノウハウは専門的な知識や技術のことであり、スキル、ハウツー、ナレッジなどの言葉よりも、より高度で専門的な、有益な技術や知識を指します。また、ノウハウは知的財産や営業秘密といった側面もあり、企業がノウハウを蓄積・共有する体制を整備することで、生産性向上や属人化防止、知的財産活用といったメリットを得ることができます。

ナレッジマネジメントに取り組むことで、企業はノウハウを事業に活用する体制を整備できます。ナレッジ共有システムやマニュアル作成ツールなどさまざまなツールがありますが、使い勝手とともに営業秘密の要件である秘密管理性も重視して選ぶとよいでしょう。例えば「KnowledgeSh@re」(ナレッジシェア)では、適切なアクセス管理機能や、富士通グループの厳格なセキュリティに保護される富士通クラウドを基盤としており、高い保全性を兼ね備えています。

ナレッジマネジメントについては、こちらの記事もご参照ください。
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