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ナレッジとは?ビジネスにおける意味や類語・蓄積するメリットについて徹底解説!

ナレッジとは?ビジネスにおける意味や類語・蓄積するメリットについて徹底解説!

2023/07/24

ビジネスの場で「ナレッジ」という言葉を耳にしたことはありませんか?

「事業のデジタル化で獲得したナレッジを活用する」
「ナレッジの共有により経営の質の向上をはかる」

こういったフレーズの、意味は何となくわかるけれども、ノウハウやスキルとの違いは明確にはわからない……、という人も多いのではないでしょうか。

実はナレッジは重要な概念であり、今後の企業や組織の活動に活かせる資産なのです。そこで今回は、ナレッジの意味や、ノウハウ・スキル・ハウツーなどの似た言葉との違い、ナレッジマネジメントなどのナレッジ関連の言葉の意味、ナレッジの重要性についてわかりやすく解説します。この記事でナレッジについての理解を深め、今後のビジネスシーンでお役立てください。

ナレッジとは?

ナレッジとは?

ナレッジは英語の「knowledge」であり、その意味には次のようなものがあります。

知識、学識、学問、常識、認識、理解、熟知していること

研究や観察、経験などから得た、真理や事実として確立した情報を指しています。そのジャンルについての研究や経験によって明らかになった情報や知見、というイメージです。

例えば、英語では次のような文脈でknowledgeが使われます。

  • 彼は、イタリア語がよくできる。
    He has a good knowledge of Italian.
  • 16世紀以降、科学の知識は大きく進化してきた。
    Since the 16th century, scientific knowledge has evolved greatly.
  • 採算がとれないことは十分承知の上で、プロジェクトは進行中です。
    In the full knowledge that it doesn't pay, the project is just under way.

このように、ナレッジは幅広く使われる言葉であり、学問だけでなく一般常識や慣習などについても、事実として存在するものはナレッジという言葉を使って表現されます。

ビジネスにおけるナレッジの意味

ビジネスにおけるナレッジの意味

日本においては、主にビジネスにおいてナレッジという言葉が使われています。

ナレッジは「経験の結果、事実として確立しているもの」を指す言葉ですから、業務知識や過去の事例、企業が事業に取り組んだ結果得た有益な情報、失敗から得られた教訓、コツや手法、法則などが挙げられます。単に「知識」という言葉にとどまらず、知見や技術などのさまざまな言葉を内包する言葉として、英語のナレッジが使われるようになりました。

例えば、次のような文脈で使われます。

  • ベテラン従業員のナレッジ継承体制を強化する。
  • 新しいCFOが、財務部門のDX推進についてのナレッジを経営陣と共有した。
  • 当部門のナレッジが、新薬の認可プロセス短縮に大きく貢献した。

企業の研究開発チームが特許申請をするような技術だけでなく、従業員が業務上知り得た経験則や業務知識は、すべてナレッジに含まれます。また、成功や功績だけでなく、試行錯誤の結果失敗したこと、失敗から得たこともナレッジです。

業務から得られた事実は、次の施策に活かすことができ、ひいては社会や人々の生活に必要な商品やサービスとなり得ますから、企業がナレッジを蓄積し活用することは重要なテーマです。

ナレッジに似た言葉

ナレッジに似た言葉として、「ノウハウ」「スキル」「ハウツー」が挙げられます。
これらはどういう意味を持つのか、ナレッジとの違いに触れながら解説します。

ノウハウ

ノウハウ

ノウハウは、英語の「know-how」が日本語においても使われるようになった言葉です。

know(知識)とhow(やり方)を組み合わせた語句であり、「専門的知識や技術、手法」という意味があります。

ナレッジと意味が似ていますが、ノウハウは「専門的で実用的な知識」という意味合いが強く、ナレッジはそれよりも幅広く、必ずしも専門的ではない知識についても使用されます。

スキル

スキル

スキルは、英語の「skill」であり、「技術、熟練、技量、技能」という意味があります。

こちらもナレッジと意味が似ていますが、スキルは「個人が身につけている技」という意味合いが強く、ナレッジは「他者と共有できる知識や常識」といった意味を持ちます。

ハウツー

ハウツー

ハウツーは、英語の「how-to」が日本語においても使われるようになった言葉です。

how(やり方)とto(誰々へ、といった方向)を組み合わせた語句であり、「実用的なやり方を教えるための」「手引きの」という意味の形容詞です。日本語でも、実用書を「ハウツー本」と呼ぶなど方法ややり方を指しています。

こちらもナレッジと意味が似ていますが、ハウツーは「教わることで身につく基礎的な技術」という意味合いが強く、ナレッジはやり方や技術だけでなく「幅広い知識や高度な知見」といったものも含みます。

ナレッジ関連の言葉

ナレッジを含み、関連する言葉として「ナレッジベース」「ナレッジワーカー」「ナレッジマネジメント」などがあります。
これらがどのような意味を持つのか、見てみましょう。

ナレッジベース

ナレッジベース

ナレッジベースとは、ナレッジを管理するためのデータベースのことです。

knowledge(知識)とbase(土台、基盤)を組み合わせて作られた語句であり、ナレッジを蓄積していくデジタル化された場所を指しています。

具体的には、企業や組織が保有している文書やデータを、従業員がアクセスしてナレッジを入力したり、参照したりできるシステムのことです。例えばマニュアルやヘルプデスク、グループウェアといった種類があります。

ナレッジは、デジタル化して検索可能な状態にすることで従業員が共有しやすい知的財産となりますから、ナレッジベースはナレッジ活用のために欠かせないものといえます。

ナレッジワーカー

ナレッジワーカー

ナレッジワーカーとは、ナレッジを扱い、知的生産物を生み出す労働者のことです。

knowledge(知識)とworker(労働者)を組み合わせて作られた語句であり、『断絶の時代』(ピーター・F・ドラッカー著)によると、かつてのナレッジワーカーは医師や弁護士、教師、官吏といった職業を指していましたが、学校教育の延長・高度化により、知識を無形のサービスとして提供する職業が増加していきました。今はさまざまな企業や組織に勤務する労働者もナレッジワーカーに含まれます。

ナレッジワーカーはホワイトカラーという言葉と似ていますが、『知識経営のすすめ』(野中郁次郎・紺野登著)によると、ホワイトカラーとは製造業において、工場での製造業務(直接部門)に従事するブルーカラーに対して本社業務(間接部門)に従事する従業員のことを指すとされています。

ナレッジマネジメント

ナレッジマネジメント

ナレッジマネジメントとは、企業や従業員が持つナレッジを適切に管理し活用する仕組みを作り、その仕組みにおいてナレッジを参照しながら、今抱えている業務上の課題に取り組み、新たな知識や価値を創造していくことです。

アメリカでナレッジマネジメントへの関心が高まったのは1990年代、その後日本でも注目されるようになりました。前出の『知識経営のすすめ』では、ナレッジマネジメントとは「知識の共有・移転、活用のプロセスから生み出される価値を最大限に発揮させるための環境の整備とリーダーシップ」であると定義しています。ナレッジを蓄積するシステムの所有だけでなく、新たな価値や知識を創造することに最大限にナレッジを活用することまでがナレッジマネジメントであるとされています。

具体的には、ナレッジベースとなるシステムにナレッジを蓄積し、従業員が閲覧し検索できる形に整備します。文字や図解によって表現しやすい形式知の情報もあれば、個人の経験や勘による言語化しにくい暗黙知の情報もありますから、可視化したり、統計学の見地から法則性を明らかにしたりしながら、業務や施策に役立てていきます。

日々生まれていくナレッジを散逸させないよう蓄積することや、ナレッジベースを整備する従業員の編集権限を適切に管理することなど、きめ細やかな対応も求められます。

ナレッジを蓄積する重要性

ナレッジを蓄積するとさまざまな効果が得られるため、企業ではナレッジの蓄積が重要視されてきました。どのような効果が得られるのでしょうか。

ナレッジベースには、前述のようにさまざまなシステムが想定できますが、例えば、ナレッジベースとして、わかりやすく検索しやすいマニュアルツールにナレッジを蓄積するとしましょう。業務の背景や全体像、過去の事例や詳しい業務手順が見やすくまとまったマニュアルで、キーワード検索ですぐ必要な情報に早くたどり着くことができるイメージです。

この例に沿って、ナレッジ蓄積による効果をご紹介します。

業務効率化・生産性向上

業務効率化・生産性向上

ナレッジを蓄積することで、業務効率化や生産性向上につながります。

サッと内容をつかめるマニュアルであれば、新入社員も異動してきた従業員も早期に戦力化できます。自分の業務においてトラブルが発生した際には、他の業務の担当者にマニュアルに沿って通常業務を手伝ってもらい、自分はトラブル対応に専念する、といった臨機応変な体制をとることが可能になります。業務をサポートし合う体制ができれば、いつも決まった担当の人が残業するといったムラも減っていきます。

また、マニュアルの最適な業務手順に沿って、誰もが最適な手順で業務を行うことができます。品質のばらつきが減り、やり方を迷ったり探したりするムダな時間が少なくなります。

業務におけるムラやムダが減り、効率化できれば、少ないインプットで大きな成果を得ることができ、生産性向上につながります。

顧客満足度の向上

ナレッジを蓄積することで、顧客満足度の向上につながります。

過去の事例やその対応についてマニュアルで共有してあれば、顧客のニーズやクレームといった過去の経緯を把握できます。これらのナレッジを知ることで、従業員がより適切な対応をとれるようになります。また、マニュアルの共有によって誰が担当者であっても一定レベルの対応ができるので、顧客の安心感につながります。

また、ナレッジの共有によって従業員のスキルが上がると、顧客への対応の質が変化してきます。例えば、コールセンターでの顧客対応において、顧客の求める情報をより迅速に提供したり、顧客に最適なサービスの組み合わせを提案したりするなど、顧客満足度が高まる行動をとれるようになります。

人材育成のサポート

人材育成のサポート

ナレッジを蓄積することで、人材育成のサポートに役立てることができます。

ナレッジがわかりやすく記載されたマニュアルは、研修やOJT指導で教材として使うことができます。特に、業務の手順だけでなく、社内における業務の位置付けや、関連部署、業務の前後工程の流れ、業務の目的や意義が盛り込まれたマニュアルであれば、教材として予習し、その後業務手順についてOJT指導を受ければ、すぐ業務に取り組むことができます。

しばらく休職していた従業員や、別のプロジェクトに関わって業務から離れていた従業員も、最新のナレッジが反映されたマニュアルがあればキャッチアップが早くなります。

マニュアルに動画や画像を挿入していると、言葉で説明するよりも即座に内容をつかめますから、教える側の手間を省きつつナレッジを共有できます。

業務の属人化防止

ナレッジを蓄積することで、業務の属人化を防止できます。

属人化とは、業務が役割(新規顧客担当、など)のものではなく、特定の個人のものになってしまう状態のことです。例えば「ある従業員が何年も同じ顧客を担当している」「ずっと同じシステムの運用を管理している」といった状況です。

業務が属人化すると、その従業員しかわからないナレッジが増え、その人が休暇をとると業務がストップしたり、顧客からの問い合わせに周囲の従業員が対応できなくなったりします。さらには、トラブルが発生した際に自分一人で解決しようと隠ぺいしたり、特定の顧客を優遇したりするなど、最悪の場合には会社の信用問題に発展するリスクもあります。

ナレッジをマニュアルに蓄積し共有する体制があれば、業務を自分一人で抱え込むのは難しくなります。マニュアルの編集者や閲覧者など、複数の従業員の目が行き届くので業務をこっそり行えなくなりますし、体制があることで業務分担の意識が根付き、属人化が起こりにくくなります。

組織力の強化

組織力の強化

ナレッジを蓄積することで、組織力の強化をはかることができます。

組織力とは、共通の目的を達成するためそれぞれ役割を持って協力し合う組織のメンバーが、一致団結することで発揮される大きな力のことです。一致団結のためには、組織内での情報共有や意思疎通、意思決定がスムーズに行われる必要がありますが、ナレッジをわかりやすく言語化して情報共有できれば、意思決定がスムーズでスピーディになります。

また、ナレッジの消失を防止し、有事に強い組織にすることができます。例えば、ベテラン従業員の退職や、急な従業員の転職、災害時など、人材がいなくなる場合に備え、日頃からナレッジを集約する場所を設けておくことで、ナレッジのバックアップになります。

さらに、企業独自のナレッジは他社にない差別化の要素になりますし、ナレッジそのものが商品になります。顧客に提供するサービスの手順を、教材やコンサルティングサービスに転用するなど、ナレッジそのものを商品化し、同業他社にない特色を打ち出し組織の競争力を高める効果も考えられます。

いつでも最新のナレッジを閲覧できるマニュアルがあれば、人が入れ替わってもナレッジは企業に残り続け、新しいメンバーがナレッジをさらに深めていくことができ、技術競争力の向上につながっていきます。

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まとめ

この記事では、ビジネスにおいてよく使用されるナレッジという言葉について解説しました。

「ノウハウ」「スキル」「ハウツー」といった、ナレッジと意味が似た言葉とナレッジとの違いや、ナレッジ関連の言葉「ナレッジベース」「ナレッジワーカー」「ナレッジマネジメント」の意味をご紹介しました。

ナレッジを蓄積し共有していくと、業務効率化・生産性向上、顧客満足度の向上、人材育成のサポート、業務の属人化防止、組織力の強化といった効果を得ることができます。ナレッジは企業の知的財産として、それぞれの企業に合う方法で適切に管理し活用していくことが重要です。そして、その企業にしかないナレッジは他社と差別化できる強みになります。

一人ひとりの従業員がナレッジの大切さを意識して、今日からの業務に取り組んでいきましょう。

参考文献:『断絶の時代-来たるべき知識社会の構想-』(ピーター・F・ドラッカー著、林雄二郎訳 ダイヤモンド社)
『ドラッカー名著集7 断絶の時代』(ピーター・F・ドラッカー著、上田惇生訳 ダイヤモンド社)
『知識経営のすすめ-ナレッジマネジメントとその時代』(野中郁次郎・紺野登著 ちくま新書)

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