Effective manual creation

効果的なマニュアル活用法

-すべてのナレッジを価値に変える-

AIの仕事効率化とは?RPAとの違い・必要とされる背景・メリット・活用事例を総まとめ!

AIの仕事効率化とは?RPAとの違い・必要とされる背景・メリット・活用事例を総まとめ!

2023/08/25

ITの進化によって、企業が持つデータの集約や分析が高度化し、それらのデータをAIに学習させることでこれまで人間が担ってきた労働を機械に任せられるようになりました。この変化は第四次産業革命とも呼ばれますが、企業にとってなかなか効率化できなかった仕事を効率化するチャンスが到来したといえます。

そこで、この記事では、AIの概要やAIによる仕事効率化を実現することのメリット、活用事例やAI導入時の注意点など、AIを活用した仕事効率化の情報をまとめてご紹介します。AI導入による仕事効率化をお考えの方に、ヒントになれば幸いです。

仕事効率化につながるAIの概要

AIとはArtificial Intelligenceを略した言葉であり、日本語では人工知能と呼ばれています。データとその解析手順を与えることで、学習や推論、判断など、これまで人間しかできないと考えられていた機能を果たすことのできる機械です。

1956年にアメリカの計算機科学研究者であるジョン・マッカーシーがAIと名づけ、各国で研究開発が行われ商品化が進んでいます。例えば、日常生活ではスマートフォンの音声起動デバイスや迷惑メールのフィルタリングなど、ビジネスシーンでは顔認証ゲートやWebサイトでのチャットボット対応など。消費者はAIによる便利さを享受し、企業は人間が行うと時間や手間のかかる部分を効率化できています。

AIは、学習材料としてのデータと推論手段としてのデータを与えられると、データの集約や整理、分析を行い、推論してパターンを確立します。その後はパターンに沿って判断を行い必要な行動をする、という一連のプロセスを実行します。このプロセスに当てはめられる仕事であれば、機械が人間の仕事を代替可能となりますから、今後も多くの場面で仕事効率化に役立つ可能性を秘めています。

仕事効率化で使用されるAIとRPAの違い

仕事効率化で使用されるAIとRPAの違い

近年さまざまな仕事効率化ツールが開発されていますが、AIと並び存在感を増しているのがRPAです。

RPAとはRobotic Process Automationを略した言葉であり、日本語では事業プロセス自動化と呼ばれるものです。パソコン上で動くソフトウェアであり、例えばデータ入力やデータの同一性チェック、メール送信など他のアプリやシステムの操作を行います。ユーザーがインターフェースから指示を行うと、登録した手順に沿って自動的に処理を行うため、定型的な業務に向いています。

AIとRPAの違いは、AIは自らデータから推論しどのパターンに当てはまるかの判断を行いますが、RPAではその機能がないという点です。ただ、RPAは企業の既存システムを改変させることなく導入できるため、比較的導入しやすいツールであるといえます。

AIが仕事効率化で必要とされる背景

AIが仕事効率化のために必要とされる背景は2つあります。

  • 労働人口の減少と働き方改革
  • 技術の発展による実用性

それぞれについて説明します。

労働人口の減少と働き方改革

2023年1月末時点の総務省統計局の労働力人口の調査によれば、15歳~64歳までの労働力人口は過去10年間ほぼ横ばいです。65歳以上や女性の労働力人口は増加傾向にあり、それによって総労働力人口数を維持している状況です。

このような、少子高齢化に伴い生産年齢人口が減少している状況を打開するよう、政府は働き方改革を推進しています。2019年より施行された働き方改革関連法に基づき、時間外労働の上限規制や年次有給休暇の取得などが企業に義務付けられ、長時間労働の体制が是正されつつあります。

労働者にとって働きやすい環境を整備する一方で、企業は従業員の総労働時間が減っても生産性を高められる体制を整備すべく、人間の労働を担ってくれるAIに注目しています。

技術の発展による実用性

技術の発展による実用性

1950年代頃より、AIについての研究成果がアメリカで出始め、2006年頃ディープラーニング(深層学習)と呼ばれるAIの学習手法が確立したことや、2010年代頃よりビッグデータを取り扱う環境が整備されるようになったことで、より一層AIの研究開発が進みました。膨大な量のデータを持つ企業が積極的に投資を行うことで、世界各国で研究開発競争が行われ、AIを搭載した商品・サービスが次々に生まれています。

このような技術の発展を政府も後押ししています。例えば、経済産業省は「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」を通して、AIやIoT、データサイエンス、クラウドなどの分野の高度な専門性を身につけた人材の育成を支援しています。

技術が発展し、AIの実用性が向上したことにより、さらにAIが仕事効率化の鍵となるよう期待が高まっています。

AIによる仕事効率化のメリット

AIによる仕事効率化のメリット

AIを仕事効率化のために活用するメリットは5つあります。

  • プロジェクトごとにカスタマイズ可能
  • 学習するたびに精度が向上
  • 24時間稼働できる
  • 仕事の属人化を解消
  • 単純労働からの解放

一言でいうと「人間には処理しきれない量や質の仕事をAIにはやってもらえる」ということです。人間には体力や気力の限界がありますから、ずっと同じペースで成果を出し続けるのは難しいもの。AIであれば、人間に近いレベルで行ってくれます。

どのようなメリットなのか説明します。

【メリット1】プロジェクトごとにカスタマイズ可能

AIは、導入目的に合わせて、どの範囲でどのレベルまでの成果を出させるかカスタマイズできます。会社の都合で「このプロジェクトだけにずっと取り組んでほしい」と従業員に頼むのは、人材育成の観点からすると難しいですが、AIなら実現可能です。

効率化のため採算の合わない事業を廃止する際にも、その事業にずっと取り組んできた人材が新規事業にスイッチしてもうまくいかない場合もありますが、AIであれば、設定を変えれば新しい設定に沿って稼働し続けてくれます。

【メリット2】学習するたびに精度が向上

AIは、学習するたびに推論や判断の精度が向上し続けます。

AIの学習プロセスは機械学習と呼ばれ、これまでのパターンにない新たな学習事項が入ってくると、人間の脳の仕組みに似せた、多層の構造に当てはめる深層学習を行います。学習事項が増えれば増えるほど検討材料が増え、パターンが充実し、物事の把握が高速で正確なものになっていきます。

人間は、何度か学習や経験したことであっても忘れたり同じミスを繰り返したりする側面がありますが、AIであれば一度学習したことは蓄積され、学習すればするほどベストプラクティスを選択できるようになります。この性質を活かすと「過去のデータや事例をすべて洗い直す」「それらに基づいて判定を行う」といった仕事を人間よりも効率的に行ってくれます。

【メリット3】24時間稼働できる

AIによる仕事効率化のメリット

AIであれば、人間が働いていない時間帯にも稼働し続けることが可能です。人間は心身の健康を保ちながら働くためには時間制限がありますし、体調の波などもありますから、機械のように毎日同じペースで働き続けるのは難しいものです。

しかも、AIなら単純な機械よりも高度なレベルで人間の仕事を代替してくれますので、人間が働いていない時間帯に稼働させることで生産性を上げることができます。例えば、夜間など営業時間外に顧客からの問合せに対応するといった仕事はAIに任せた方がより効率的でしょう。

【メリット4】仕事の属人化を解消

AIによって、仕事が属人化している状態を解消できます。

属人化とは、特定の人材に仕事や役割が固定化している状態です。例えば一人の担当者がずっと同じ仕事をしており、他の人が代替できないような状態のことです。

なぜ属人化が起こるかというと、慢性的な人手不足や、仕事の専門性が高いなどの原因があります。それらにより担当をローテーションしにくい体制となり、ますます属人化は解消しにくくなっていきます。その担当者が永遠に働き続けられるわけではないですから、何かあれば業務がストップするリスクが内在しています。

AIは人間の代替となれる範囲が広く、専門性の高い知識も覚えて忘れることがありません。人手不足な職場や、専門的な業務でAIが効率化に役立つでしょう。

【メリット5】単純労働からの解放

AIは単純労働から人間を解放してくれます。

同じ作業を繰り返す仕事や、簡単でも注意深くやらなくてはならない気が張る仕事は、人間には長時間続けるのが難しいものです。「自分は単純労働が嫌いじゃない」と思っている人でも、やってみるといずれ体のあちこちが疲れ、能率が下がっていくでしょう。

単純作業をAIに任せればミスなく完遂してくれますし、作業を終了するタイミングなども調整できます。定型の業務と必要な判断がセットになった仕事や、複数のメディアから必要なニュースを漏れなく収集するような仕事の効率化が期待できます。

AIの仕事効率化の活用事例

AIを活用することで仕事効率化を実現した事例を、4つご紹介します。

  • 問い合わせ対応
  • 契約書の内容確認
  • 製造における異常検知
  • 医療における診断のサポート

【事例1】問い合わせ対応

AIの仕事効率化の活用事例

社内外からの問い合わせ対応にAIを活用した例です。

  • Webサイトにおいて、顧客からの問い合わせ入力に対し、AIが内容分析して適切な回答を表示し、24時間対応可能となった
  • コールセンターにおいて、顧客の通話内容を把握しやすいようAIが支援し、オペレーターが対応しやすくした
  • 業務上の規約やマニュアルをAIが学習し、Q&Aを自動作成し、社内での問い合わせ対応が迅速化した

社外の顧客や取引先からのカスタマーサポートに対する問い合わせや、社内での問い合わせなど、企業では日々さまざまな問い合わせが発生します。

問い合わせ対応で大変な点は、内容のレベル感がまちまちであり、本当に情報がないものから、少し調べればすぐ解決策が見つかるものまでいろいろあることです。問い合わせを受けてレベル感を把握し解決方法を振り分ける役割をAIにゆだねると、人手が大幅に削減できます。

【事例2】契約書の内容確認

AIの仕事効率化の活用事例

契約書の内容確認にAIを活用した例です。

  • 契約書の内容確認において、チェックポイントを学習したAIがレビューし、問題点の洗い出しを漏れなく実施

1日に何百通もの契約書のリーガルチェックを必要とする企業もありますから、チェックをAIに任せることで大きな効率化となります。また、AIが統一感のある判定を行うことで、同じ企業内で案件によってバラつきのあるチェックをしてしまうのを防ぐ効果もあります。

他にも、同じ条文についての過去の文案を検索・表示したり、翻訳や修正案の提案をしたりするなど人間のチェックをサポートする機能があり、AIの強みが活かせる分野です。

【事例3】製造における異常検知

AIの仕事効率化の活用事例

製造現場における異常検知にAIを活用した例です。

  • 製造ラインにおいて、AIが画像認識によって不良品の検知を行い、不良品検知の精度が向上し人間の目視負担が軽減された
  • システムやサーバーでのアラート対応において、AIがアラート内容による担当振り分けを行い、人間が対応する件数を削減
  • 建造物の老朽化検査において、AIがひび割れなど劣化を漏れなく洗い出し、危険な場所での人間の検査負担を軽減

一定の水準に基づき検査を行うには、集中力が必要とされます。「問題なし」とされるレベルがいくつも続くと、問題ありのレベルの検知に気づけず、重大なミスや事故が発生する例もあります。水準を保ちながら長時間同じ業務を行うのは人間よりもAIが適任であり、効率化に貢献してくれます。

【事例4】医療における診断のサポート

AIの仕事効率化の活用事例

医療現場における、医師の診断のサポートにAIを活用した例です。

  • 診察において、患者が撮影した皮膚の患部をAIが病変と認識し、医師の診断をサポート
  • 検診において、レントゲンやMRI、CTの画像から腫瘍と思われる箇所をAIが抽出し、医師の見落としを防止

画像判定は、経験豊富な医師であっても、画像の見え方によって見落としなどが起こり得ます。AIが医療現場をバックアップすることで、多忙な医師の仕事効率化や堅確化につながります。

AIを仕事効率化で導入する場合の注意点

1点目は、AIはデータ次第では結果に偏りが発生することです。

AIが過去から現在までの既存のデータから学習するため、データ内容に人間の無意識の固定観念による偏りが入っていると、AIも偏りの傾向を学習し、差別的な判断をしてしまいます。例えば、検索エンジンにおいて人種差別的な検索結果を表示したり、採用ツールにおいて性差別的な判定がなされたりする事例が過去にありました。

こうした事例に対して、既に世界各国ではガイドラインや検査体制を設けるなど対策を始めていますが、AIを活用する企業側も、AIは万能ではなく仕事ぶりを監視すべきであると常に意識するとよいでしょう。

2点目は、こうしたAIの特性を踏まえた上で、自社の仕事効率化に最適な手法を選ぶことです。

AIの技術は魅力的ですが、「AIを導入すること」を目的としないようにしましょう。非効率の原因はどこなのか、どの仕事を効率化すると企業の目標につながっていくのかと効率化の対象を明確にした上で、さまざまな手段を検討してみましょう。例えば、業務のプロセスの効率化であれば、前述したRPAなど他の効率化ツールを選ぶ方法もあります。

こちらの記事で、効率化のツールを選定するポイントをご紹介していますので、こちらもご参照ください。
業務効率化のツールを導入する目的から具体的な選定方法まで徹底解説
コア業務に集中したい!できない原因と対策・ポイントを徹底解説

お役立ち資料:『業務マニュアルをクラウド化するメリットとは?~業務マニュアルクラウドツールをお悩みの方は必見!~

まとめ

今回は、AIを活用した仕事効率化についてご紹介しました。

20世紀から21世紀にかけてAIの技術が進化し、仕事効率化に活用できるさまざまなツールが開発されています。AIを活用するメリットや活用事例をそれぞれ4つご紹介しました。

AI活用上の注意点として、AIの判断は学習データ次第で偏りがあることやAI導入だけが効率化の手段ではないことがあります。ご紹介した4つのAI活用事例でも共通しているのは、問い合わせへの回答バリエーションや製造現場における正常な状態など、AIには「正しい姿」「あるべき姿」のデータを学習させることです。そのためにはまず社内のナレッジをマニュアルなどの形で明確化し、AI活用時に正しい内容を学習させられるように整備しておきましょう。

ご参考:厚生労働省 労働力調査(基本集計) 2022年(令和4年)12月分結果
経済産業省 第四次産業革命スキル習得講座認定制度

KnowledgeSh@re体験版 60日間無料

KnowledgeSh@re体験版 60日間無料

富士通ラーニングメディアの「KnowledgeSh@re」

仕事の効率化にもKnowledgeSh@re(ナレッジシェア)が役立ちます。
本格的なマニュアルが手軽に作成でき、品質のばらつきも削減できます。どのようなツールなのか、60日間の無料体験で確認できます。

マニュアル作成・共有ツール『KnowledgeSh@re無料トライアル
※資料はこちら

記事一覧ページへ戻る

お問い合わせはこちらから