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品質のばらつきとは何か?発生する要因・解消する方法も詳しく紹介

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2022/11/11

製品を製造する際に、ばらつきが全くないことはないものです。技術が進歩した現在でも、わずかな重さや大きさなどの違いはどうしても出てきます。

今回は、ばらつきとは何か、ばらつきが発生する要因にはどのようなものがあるかについて解説します。また、ばらつきを少しでも減らし解消する方法も紹介しますので、参考にしていただければ幸いです。

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品質のばらつきとは

品質のばらつきとは「製品を製造する過程で発生するもの」です。

例えば、100gと表示する食品で、100.1g、102g、97gなどとばらつくことを指します。
製品の設計段階で定められた許容範囲があり、その範囲に収まれば良品、範囲を超えれば不良品となります。

不良品であれば販売ができませんし、万が一販売してしまうと回収のコストがかかるほか、顧客からの信頼を失ってしまいます。不良品を購入してしまった顧客にとってはその製品が全てですから、「1万個製造している商品のうちの1つの不良なら仕方ない」と許してくれるわけではありません。また、医療用品など、法律で数値の上限が決まっている製品は特に厳密なばらつき管理が求められます。

良品であれば、多少のばらつきがあっても販売はできます。ただ、ばらつきを可能な限り抑えれば、コストを正確に見積もることができ、売上の見通しや、顧客や取引先からの信頼につながるため、ばらつきの管理は重要なテーマです。不良品を検査ではじけば済むのではなく、検査の前段階でそもそもばらつきを少なくしていこう、ということです。

品質にばらつきが発生してしまう要因

品質にばらつきが発生してしまう要因には、一般的に4M(人:Man、機械:Machine、材料:Material、手順:Method)検査(Measurement)を加えた5Mといったわかりやすい表現があります。

この記事では、さらに影響を及ぼす要因として「環境」と「管理体制」を加え、要因は7つと考えます。その上で、記事の後半で解説する各要因の解消方法別に、次の3つに分類しました。

  1. 機械、材料
  2. 人、環境、管理体制
  3. 手順、検査

それぞれどのような要因なのか、ご説明します。

1.機械、材料による要因

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1つ目は、機械や材料による要因です。これは、機械の使用割合や材料の種類が多ければ多いほど大きく影響してきます。

例えば機械が故障していたり、経年劣化などの不具合が起こったりしていると、注がれる液体の量が微妙に変わる、仕上がりの厚みが異なる、などのばらつきが起こります。機械の一部を新機種に替えたり、2つの機械で行っていたことを1つの機械で代替させたり、といった変更によるばらつきも起こります。

材料は、仕入先の変更使用する材料の種類の変更などにより、ばらつきが起こります。仕入先が実は原料を変更していたのに連絡がなかった、同じものだという説明を受けていたが実は生産地が違っていた、ということもあります。

2.人、環境、管理体制による要因

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2つ目は、人や環境、管理体制による要因です。

作業者が不慣れな新人だったり、まだ経験が浅くスキル不足だったりすると、ちょっとしたミスや力加減の相違により、ベテランの作業者との違いが生まれます。人はデリケートですから、睡眠不足や体調不良、悩みを抱えるなどの状態にある時もミスが出やすくなります。また、基本を大切にせず、勘やこれまでの経験に頼るような性格だと、作業にムラが出てしまい、ばらつきの原因になります。

環境は、例えば温度や湿度、気圧、空気の状態などを指します。日本はそもそも季節の変化が大きい国ですから、製造する環境や原材料を保管する環境を整えるのは重要なファクターです。

管理体制では、製造に関わる計画人繰りを管理する上で変化があると、製品のばらつきにつながります。例えば、生産計画に関する大幅な変更、人員削減や増員、作業者の勤務体制の変更、指導育成方法の変更などです。機械を動かす期間が変わったり、作業者がシフト勤務となり時間帯によって違う作業者が担当したり、集合研修からオンライン研修に変わったりすることでも、これまで通りではない状態となり、ばらつきの原因になり得ます。

3.手順、検査による要因

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3つ目は、手順や、検査による要因です。これは、マニュアルや手順書がきちんと整備されていることや、あっても使われていなかったり、最新の状態へ更新されていなかったりしていないなどがないかがポイントとなります。

作業手順については、マニュアルや手順書が活用されていないと、機械の入れ替えに伴い手順が変わったり、より効率的な手順があるのに全員には周知されていなかったり、マニュアルを活用した指導が十分でなかったりすることが起こります。これらにより、人によってやり方が異なってしまい、品質にばらつきが発生します。

検査方法や検査機器についても、マニュアルで手順や検査機器の使い方、チェック基準を明らかにし、一定の方法やチェック基準で実施していればばらつきは起こりませんが、検査機器に不具合があったり、検査の方法にブレがあったりすると、正しい判定が行われずばらつきの原因になります。

品質のばらつきを解消する方法

品質のばらつきを解消するには、どのような方法があるでしょうか。

まずはばらつきの事象から要因を分析し、どこでばらつきが起きているのかを把握します。その上で、解消方法を実践していきます。それぞれの要因の解消方法について、具体的にご紹介します。

分析し要因をつかむ

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統計的な品質管理(SQC:Statistical Quality Control)の手法を用いて、ばらつきの起こる要因を把握しましょう。

QC七つ道具、回帰分析、多変量解析などを用いて、例えば「比重と強度はどうか」「ばらつきの起こる季節はいつか」など、さまざまな角度からばらつきの要因を調査します。

QC7つ道具は、次の7種類の図やグラフを要因分析に用いるものです。棒グラフや折れ線グラフ、点グラフなどを用いて、要因をわかりやすく可視化してくれます。

  1. パレート図(データを項目別に棒グラフ化し、折れ線グラフで全体に占める割合を表すもの)
  2. 特性要因図(想定される原因を書き出し、魚の骨のような形に記すもの)
  3. ヒストグラム(データを1~10など細かな区間に分けて、棒グラフで分布状態を表すもの)
  4. 管理図(折れ線グラフの上下に許容の上限・下限線を引き、正常範囲内外の様子を可視化するもの)
  5. 散布図(2つの項目についてのデータを点の分布で表すもの)
  6. グラフ(棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフ、レーダーチャートなどでデータを可視化するもの)
  7. チェックシート(点検、記録すべき項目をチェックリスト化したもの)

ばらつきの発生する要因をつかんだら、次のステップは解消方法の検討です。検討には、客観的な立場の人にも参加してもらいましょう。製造業務に直接携わっていない、設計担当者や販売担当者など、さまざまな立場の人から見ることで、幅広い視点で解消方法を考えることができます。

機械・材料の要因には

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機械が要因の場合は、さまざまな手が考えられます。まずは機械の点検や整備、清掃、摩耗する部品の交換サイクルの確認などを行います。工程が複雑だと、上流工程で起こるほど下流工程への影響が大きくなりますから、順を追って漏れなく確認しましょう。

また、機械メーカーに操作方法や機能について改めて説明を受け作業者に習熟させるなど、考えられる手を打ってばらつきに変化があるかを確認していきましょう。

材料が要因となる場合は、材料の品質を再検査したり、仕入先にヒアリングしたりします。もし仕入先で品質を変えていた場合には、元の品質に戻してもらうか、仕入先を変更する、新しい材料への対応などの方法を検討します。

機械や材料による要因は、ばらつきに一番直結しやすい要因ですので、比較的短期間でばらつきを減らすことができます。

人・環境・管理体制の要因には

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人が要因と考えられる場合は、ローテーションや配置転換を試みましょう。体調不良などによる一時的なミスであれば様子見でよいですが、常に勘や経験に頼りがちな人であれば、そういう人もミスなくできるような、その人の強みを活かせるような作業を担当してもらいます。新人とベテランの作業による違いでばらつきが起こるのであれば、むしろ技術を伝承すべききっかけともいえますから、しっかりと新人に習得してもらいます。

技術伝承については、こちらの記事もご覧ください。
技術伝承について徹底解説!進まない原因と成功させる方法・ポイントも詳しく紹介

環境が要因の場合は、どのように調整するとばらつきが抑えられるのか、トライアルを行ってベストな調整方法を模索してみましょう。季節の影響を受けるとすれば年単位で時間がかかることもありますので、じっくり取り組む必要があります。

管理体制が要因となる場合は、影響を及ぼした要因とばらつきの因果関係を見極めた上で、新しい体制下で改善できる部分を改善することになります。新しい体制が今後も長く続くのであれば、それが新しい良品水準や品質の許容範囲になっていくこともあり得ます。

人や環境、管理体制による要因は、適切な調整方法が見つかるまで長期間かかる可能性があります。特に管理体制については因果関係が見えにくい場合もありますので、機械や材料、人や環境、手順や検査の要因を解消してから改めてばらつきが起こるかを見ていくとよいでしょう。

手順・検査の要因には

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手順や検査の要因については、マニュアルや作業手順書の作成・共有・更新や、マニュアルを活用した指導・研修の実施が効果的です。

マニュアルは作成するだけでなく、作業者間で共有したり、最新の内容へ更新したりすることが重要です。更新されて最新の手順が記載されているマニュアルであれば、OJT指導や後任者への引継ぎもスムーズに行え、人の要因の解決にもつながります。更新は、手順の変更がある都度の随時見直しと、半年に1回や年に1回などの定期見直しを行うと抜け漏れがなくなります。

「マニュアル作成ツール」を使えば、マニュアルをそのまま研修教材にしたり、マニュアルの文章からチェックポイントをまとめたチェックリストを作成したりすることも手間なくできます。

結果(製品)が一つだけれど過程(手順)は何通りもある、といった作業もあるでしょう。しかし、手順の前後が異なるだけで思わぬ影響がある場合もあります。検査の場合は、特に定められた手順で行うことが重要です。マニュアルや手順書が、新人や未経験者にも理解できる内容になっているか確認しましょう。

まとめ

ばらつきとは製品の製造過程において発生するものであり、大なり小なり発生してしまうものです。そのばらつきの要因を分析して解消のための策を講じることで、ばらつきを最小におさえていくと、正確なコストの把握や売上の見通し、顧客や取引先からの信頼にもつながります。

この記事では、品質のばらつきが起こる要因を大きく3つに分けて説明し、要因の分析方法や解消方法をご紹介しました。ばらつきを把握し、解消する際の参考にしてみてください。

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