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マニュアル電子化の手順・メリット・デメリット・注意事項を詳しく解説

2021/8/12

マニュアルの電子化とは、紙のマニュアルをデジタルデータ化し、端末で閲覧できるようにすることです。
私たちの日常生活にパソコンやタブレット、スマホなどの使用が浸透した現在、職場でも「マニュアルを端末で見られたらもっと便利なのでは…」と感じる場面が増えていませんか?

「検索ができないので、探すのに時間がかかる」
「マニュアルの種類が多くて、管理が大変」
「貴重な書き込みをしたマニュアルを紛失してしまった」
紙マニュアルを使用している人に聞くと、こんな不便を感じているようです。

今回は、紙マニュアルを電子化することのメリットやデメリット、具体的な手順などについて詳しくご紹介します。

マニュアルを電子化するメリット

マニュアルを電子化すると、どんなメリットがあるでしょうか。
紙と電子化されたものの違いと捉えると、何となく予想はつきますね。しかし、それぞれの項目が業務に与える影響が実はとても大きいのです。具体的に見ていきましょう。

1.業務品質が向上する

マニュアルを電子化するメリットの1つ目は、業務の品質が向上することです。

電子化すると、膨大な量や何十種類ものマニュアルであっても、整理・分類して体系的に保存することが簡単になります。検索もしやすくなり、今見たいマニュアルがどれかがすぐ分かります。また、マニュアルをいつ誰がどのように変更したか、最新の情報が何であるかが把握できます。

これらによって、業務の全体像や最新の業務内容が、ベテラン社員だけでなく社員全員で共有できるようになります。それらを場所や時を選ばずに閲覧できることで、ミスや迷いが減り、業務の正確性や判断のスピードが増し、業務品質が向上していきます。

2.マニュアルの管理が容易

マニュアル電子化のメリットの2つ目は、マニュアルの管理が容易なことです。

業務で活きるマニュアルを維持するには、適切な管理(作成、保管、更新)が大切です。電子化すると、複数人でまめに更新できる、保管場所が全社的に統一できるなど、紙マニュアルとはがらっと違った環境になります。

複数人で更新作業を行える体制になれば、まめに更新ができ、情報共有のスピードが早くなります。マニュアルの保管場所が統一されると、社員が常に最新版を閲覧でき、「古いマニュアルを見て作業したらミスしてしまった」「いいやり方があるなら教えてほしかった」といった残念な事態が起こりにくくなります。

3.検索性が高い

マニュアル電子化のメリットの3つ目は、検索性が高いことです。

キーワード検索で全マニュアルから閲覧すべきものをピックアップでき、しかもその閲覧場所がピンポイントで分かります。

紙をめくって探す手間や時間、読むべきマニュアルが全て閲覧しきれず漏れてしまう残念なケースなどを一掃できます。関連の項目を一度に読むことができると、社員はより深く業務を理解できるようになります。

4.持ち運びが楽

マニュアル電子化のメリットの4つ目は、持ち運びが楽になることです。

紙のマニュアルは重く、持ち運びが大変ですが、電子マニュアルはどれだけボリュームがあっても重さは変わりません。スティーブ・ジョブズのプレゼンにおける名言「1000曲をポケットに」のイメージです。

外出先や在宅勤務で、機械操作のために機械の近くで、といった具合に閲覧場所の制約がなくなり、社員が思うように仕事を進めることができます。

5.コスト削減

マニュアル電子化のメリットの5つ目は、コスト削減になることです。

新しい人が来るたび、マニュアル更新作業のたびにマニュアルを印刷する。古いマニュアルをシュレッダーにかけて廃棄する。こういった手間やコストがかからなくなります。

マニュアルを紙で保存するということは、紙や印刷のコストだけでなく、保存する場所のコスト、印刷や廃棄のための人手も必要になります。これらのコストを削減することができるのです。
また、在宅勤務においてはマニュアルを自宅で印刷できない環境の人もいるため、電子化が必須となりますし、コスト削減と併せて紙マニュアルの紛失といった情報漏洩の防止策ともなります。

マニュアル電子化で生じるデメリット

マニュアルの電子化には、デメリットと捉えられる側面もあります。
まずどのような側面があるかを知り、あなたの職場にとってデメリットとなるかどうか、デメリットならどう解消していけるか、考えてみてください。

1.紙の方が内容に集中しやすい人もいる

紙で読む方が内容に集中できる」「端末で読むと集中しにくい」という人にとっては、電子マニュアルはデメリットとなります。

端末で読むとなぜ集中しにくいかは、「読む行為」と「画面をスクロールするなど、端末を操作する行為」を同時に行うためという説が一般的です。また、書き込んだり線を引いたりする方が頭に入るという人にとっては、紙マニュアルの方がいいと感じられるかもしれません。

紙に慣れている社員が多い場合は、電子化だけでなく紙版のマニュアルも残すとよいでしょう。

2.サイズが端末に依存する

一度に閲覧できるマニュアルの分量が、端末の画面サイズに依存します。
特にスマホのサイズでは、マニュアルの内容によっては一画面で見られる情報が少ないと読みづらくなります。

どのような端末であっても閲覧しやすいようなマニュアルにしておく必要があります。
ただし、見方を変えると、字を大きくして読みたい人にとっては、文字サイズを自由に変更できるメリットとも言えます。

3.複数ページや複数冊子を同時に参照できない

複数のページや複数の冊子を、その場に広げて一度に参照することができません。
複数の紙マニュアルを広げて参照していた人にとっては、電子化されると不便になる可能性があります。

複数のページや複数の冊子を参照しなくても済むようなマニュアルの構成にするなど、マニュアル作成時の工夫が必要です。また、マニュアル閲覧時には、端末を2つ使用したり、1つの画面に複数表示させたりするなどの方法もあります。

マニュアル電子化の手順

次に、マニュアルを電子化する手順をご紹介します。
まだマニュアルをお持ちではない方にも、既に紙マニュアルをお持ちの方にも、電子化の流れのイメージがつかめるよう解説していきます。

1.目的を決める

マニュアルを電子化することによって実現したい目的を決定します。

マニュアルを整備する、あるいは既存のマニュアルを電子化することによって、今まで見てきたメリットのように、ミスや迷いが減って業務品質が向上する、コスト削減できる、といった良い影響を得ることができます。どんな効果を得たいか、目的を明確にしましょう。

  • 現在推進しつつある在宅勤務体制を、週3日から週5日へ移行させる。
  • 店舗数を拡大し、年度末までに目標〇〇店にする。
  • モバイル端末を約〇〇名の営業系社員に配布し、より柔軟に顧客対応できるようにする。

ここが明らかになると、次のような、マニュアルの条件が定まってきます。

  • マニュアル使用者は誰か(新人なのか、〇年目以降の社員なのか)
  • どの業務で、どんなフェーズで活用するか
  • 文字だけがよいか、写真や動画入りがよいか

これらの条件について、次の項目でご説明します。

2.対象業務を決め、詳細を確認する

マニュアルを新しく整備する、もしくはマニュアルを電子化する対象の業務を決定し、現場の社員とマニュアル作成担当社員が一緒に詳細を確認します。

マニュアルを電子化することの目的が決まると、おのずと対象業務範囲が定まってきます。例えば、営業系社員が持つモバイル端末で閲覧できるマニュアルを電子化するとなれば、商品情報、顧客対応、事務処理などは対象だが人事管理は対象外となる、などです。

業務範囲、事前準備、手順、求めるレベルなど、細かなところまで洗い出しをしましょう。

3.必要なツールを揃える

マニュアルを電子化するために必要なツールを揃えます。

ツールには、有料のものや無料のもの、動画を組み込めるタイプや文字と図で展開するタイプなど、さまざまなツールがあります。

  • 有料ツール(KnowledgeSh@reなど)
  • 無料ツール(Googleドライブなど)
  • テンプレートサイト(無料のWord、Excelなどのテンプレート)

有料ツールは、マニュアルの作成から運用サポートまで盛りだくさんのメニューがあり、予算に応じて必要な機能やサービスを選べるようになっています。
無料ツールやテンプレートサイトは、どちらかというとマニュアルの数や量が少ない場合に向いています。
自社のマニュアル導入の目的や運用方法に沿うツールを選びましょう。

4.全体構成を決め目次を作成する

いよいよ、マニュアルの作成に入ります。全体の構成を決めて、まずは目次を作ります。既存の紙マニュアルがある場合は、これまでの構成で使いにくい箇所はなかったか見直しましょう。電子化のタイミングは再構築のチャンスです。

盛り込みたい内容を、抜け漏れなく、項目どうしのボリュームが著しく異ならないよう分配します。目次の表現は、マニュアル作りに関わる担当者が作成過程で迷わないようなものであれば、最初はざっくりしたもので構いません。

構成の決め方の代表例として、時系列と目的別があります。

時系列:業務の最初から最後へ、流れにそって記載する
業務の流れに沿っているか、抜け漏れがないかのチェックが必要となります。

目的別:読み手の目的に合わせて記載する
マニュアル作成者と利用者が異なる場合、利用者の視点で書くことが大切です。

5.内容を記載する

盛り込みたい内容を、マニュアルの目次に沿って書いていきます。既存の紙マニュアルがある場合は、より良いマニュアルとなるよう見直し、必要があれば加筆修正します。
そして、使うツールに応じてテンプレートへの入力や既存ファイルの取込などを行い、電子化します。

文章の書き方で特に意識するとよいのは、以下のポイントです。

  • 初心者にも分かりやすい表現にする
  • 使う言葉や専門用語は統一する
  • 短文でシンプルにする

書き方のポイントについては、以下のページでも詳しくご紹介しています。ぜひご参照ください。

マニュアルの目的とは?すぐ出る導入効果4つと書き方のコツも解説

6.定期的に更新する

マニュアル完成後は、定期的に更新していきます。

完成がゴールではありません。むしろ、完成したところがスタート地点です。「改善点や業務内容の変更があればすぐ更新する」「更新後はマニュアル使用者に通知する」などのルールや担当者を決めておくと、マニュアルが活用され、マニュアル電子化で果たしたい目的の実現に向かっていくことができます。

更新のタイミングは、以下の2種類を考えておくとよいでしょう。

  • 随時更新(業務フローや内容の変更時、組織の名称変更時など)
  • 定期更新(予め半年、1年など定めたタイミング)

マニュアルを電子化する際の注意事項

マニュアルの電子化の手順が理解いただけたところで、電子化する際の注意事項をお伝えします。
メリットを強化し、デメリットと思われるポイントを補うために、ぜひ読んでください。

1.読み手を意識する

マニュアルを電子化する際は特に、読み手を意識したレイアウトや内容にしましょう。

デメリットで述べたように、「紙の方が集中できる」と電子マニュアルに抵抗感のある人もいます。
「これなら読みやすい」と感じてもらえるように、紙マニュアル以上に読み手を意識することを心がけましょう。

こんな工夫をすると、読みやすくなります。

  • クリック&スクロールの回数が少なくて済むようにする
  • 読み手が今参照しているページが、全体のどの部分なのかを明示する
  • 一目で内容のイメージがつかめる図や表を盛り込む

2.目次に詳細情報を記載する

マニュアル作成時点でのざっくりした目次を、完成時には分かりやすい表現に修正しましょう。特に、読み手が知りたい情報やキーワードを入れて、親切な見出しにしましょう。

読み手はまず目次を見ることが多く、目次で業務の流れをつかんだり、読みたい場所を探したりします。
良いマニュアルは、見ただけで閲覧箇所が分かる目次になっています。

3.業務に合わせて紙版を用意する

業務に合わせて、紙マニュアルを用意しておきましょう。

例えば作業のチェックリストは、見るだけでなく実際にチェックマークを入れながら作業をした方がよい場合があります。覚えにくい用語や記号の表、停電など災害時の緊急対応などについては、紙マニュアルを用意しておくのがおすすめです。

デメリットに挙げた「紙の方が集中しやすい人」に配慮して、一度に全てを電子化するのではなく、社員が電子マニュアルに慣れるまでは紙マニュアルも併用するとよいでしょう。

4.タブレットやスマホ表示に対応させる

タブレットやスマホなどのモバイル端末にも対応できるマニュアルにしておきましょう。

当初は机上のパソコンでマニュアルを閲覧する想定であっても、便利さを実感して使い方が変化する可能性があります。持ち運びができる端末にも対応したツールで電子マニュアルを導入しておくことをおすすめします。
また、使用する端末の選択肢が増えれば、デメリットに挙げた「複数ページを同時に参照できない」点の解消にもつながります。

5.ツールを活用し効率よく電子化する

電子化のためのツールを活用し、効率よく電子化しましょう。

マニュアルを作成するためのツールは、無料のものから有料のものまで、多様なものがあります。
無料のものは気楽に試すことができますし、有料のツールは機能が豊富で、「使用者のアクセス分析ができる」「社員教育用の教材にもなる」など、導入後の運用が楽になるサービスがあります。

KnowledgeSh@reが展開している「マニュアル作成サービス」では、図表作成、フォーマットやテンプレートの提供、外国語版マニュアルへの翻訳など、マニュアル電子化を短期間で手間なく実現するサービスを取り揃えています。

まとめ

今回は、マニュアルを電子化することにどんなメリットやデメリットがあるのか、またその手順や注意事項は何かについてご紹介しました。

メリットとしては、業務に想像以上の好影響を与えるということ。
デメリットとしては、紙に慣れている社員にとっては不便を感じることがあるということ。

手順としては、何となく始めるのではなく、マニュアルを電子化することの目的をしっかりと決めてから着手すると、大きなリターンがあるということ。
注意事項としては、デメリットを踏まえ、マニュアル使用者に配慮した内容や運用を行うとよいこと。

例えば、こんな経験はありませんか。
「会議室の予約をノートに書き込む」体制を「社内システムのスケジュールツールに入力する」体制に変更する。「会議室に行って書き込む」動きが「手元で入力する」だけになる。
たったこれだけでも、一度体制を変更すれば、その後、会議室を使う何人もの人々の手間を省く結果になります。

紙のものを電子化するのは手間に感じられますが、一度変更してしまえば、ずっと便利な体制になります。マニュアル作成ツールを活用して、ぜひ効率的に実現してみてください。

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