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マニュアルの目的とは?すぐ出る導入効果4つと書き方のコツも解説

マニュアルの目的とは?すぐ出る導入効果4つと書き方のコツも解説

マニュアルとは、複雑な手順や仕様の詳細を、分かりやすいように明示したものです。
簡単に1ステップ、2ステップでできるような作業については不要かもしれませんが、次のような作業ではいかがでしょうか。

  • 関係者が多く存在する
  • 手順が複雑である
  • 手順を間違えると重大なミスやトラブルが発生する

こういった作業の場合は、人間の記憶力だけに頼ると危険な場合があります。

そのため、業種や業界によって、さまざまなマニュアルがあります。医療現場の看護マニュアル、金融機関の事務マニュアルや防犯マニュアル、サービス業での接客マニュアルなど…。
学生時代に、お店でアルバイトをしたときに、接客マニュアルを見ながら仕事をした経験がある人もいるのではないでしょうか。

また、オンライン化が進む現在では、多くの企業で独自のシステムを使用しています。在庫管理、販売管理、会計管理、人事給与などのシステムがその一例です。そのため、業務全体のフローや手順について述べた業務マニュアルと、システムの概要や操作方法について述べたシステムマニュアルの両方を整備している職場が増えています。

マニュアルを整備することには、大きな目的が2つあります。また、マニュアルの活用によって、目に見えて分かる効果があります。
この記事では、マニュアルにどのような目的があるのか、また、目に見えて分かる効果とはどういったものなのかをご紹介します。あわせて「社員に読まれる、読みたくなるマニュアル」の書き方のコツを解説します。

マニュアルの目的とは

マニュアルの作成には、2つの目的があります。「安定品質の提供」と「業務効率化」です。
どちらも業績の向上に必要不可欠なものです。なぜマニュアルを作成することで、これらを達成できるのか、その理由を解説します。ぜひご覧ください。

1.安定品質の提供

安定品質の提供

マニュアルを作成することの第一の目的は、安定した品質の提供です。
マニュアルを作成し、社員で共有すると、再現性が高くなります。誰がその業務を担当しても、一定レベルの安定した作業品質を提供できるようになります。

折り紙を折るときに、教える人がいなくても、見本を見ながら折れば、何度でも同じ作品を作れますね。それと同じように、たとえ作業の指導者がいなくても、担当者がマニュアルを見ながら業務を遂行する体制にすれば、安定した作業品質を維持できるようになります。

また、これまで「Aの仕事=Bさん」というように属人化していた業務を、他の人も担当することができるようになります。さらに、Bさんが自分なりに工夫していたことをマニュアルに書いて共有すれば、高いレベルの対応を標準化させることができます。

2.業務効率化

マニュアル作成の第二の目的は、業務効率化です。
マニュアル化することで、作業時間や社員の手間を省き、業務を効率化させていくことができます。

例えば、マニュアルを作るとこんな実態が見えてくることがあります。

  • たくさんの作業を短時間でこなす、負荷の大きい業務範囲になっている
  • 前例に従った不要な作業を続けている
  • 新しい人が来るたびに、同じミスが起こっている
  • 同じ作業を複数の担当者が行う重複がある
  • 課によって作業量の偏りがある

このような、時間と手間の「ムリ・ムダ・ムラ」を明らかにし、改善することで業務の効率化につながります。

マニュアルの目的達成による効果4つ

マニュアルを導入し、その目的である「安定した品質の提供」や「業務効率化」へと進んでいくと、目に見えて分かる効果が出てきます。中でも、すぐに表れる効果を4つご紹介します。

1.作業時間の短縮

作業時間の短縮

作業時間が短くなり、残業時間の削減につながります。

マニュアルがないと、担当者が判断に迷ったり不明点に悩んだりしたとき、すぐに解決できず時間がかかります。

  • 質問したくても、先輩が外出やリモートワークで不在
  • 誰に確認したらよいか、関係者が分からない
  • 見本がなく、これで正しいのか自信がない

こんな風に迷うと、「本来の業務時間」ではなく「業務そのものの確認にかかる時間」が発生します。その結果、不要な残業が増えてしまうのです。

マニュアルを導入することで、何が正しい処理なのかが明確になり、担当者の迷う時間が減少して時短になり、業務効率化につながります。

2.未経験者でも業務遂行が可能

経験の浅い担当者であっても、すぐに業務を行うことができます。

マニュアルがないと、新入社員や中途採用者など業務未経験の担当者は、熟練の担当者がつきっきりで指導することになります。未経験者が慣れるまでは業務がスピードダウンしてしまい、新しい人が来るたびに業務の進行がギクシャクします。

マニュアルがあれば、その業務が未経験であっても、読んで行動することができます。基礎的な内容をまずマニュアルで理解し、不明な点やマニュアルにない応用的な内容を熟練の担当者に質問する体制だと、ペースを遅らせることなく安定的に業務を進行させることができます。

3.スムーズな引き継ぎ

前任者から後任者への、業務の引き継ぎがスムーズになります。

マニュアルがないと、一から口頭で業務を説明することになります。人によって説明レベルはさまざまなので、前任者の説明次第では、詳しく教えてもらえなかったなど後任者が困る結果になります。

口頭の引き継ぎのみでは、後任者の聞きたいタイミングで聞けないという課題もあります。例えば半期に一度の事案については、半年後に後任者が聞くと前任者は細かな内容を忘れている、といった事態にもなりかねません。

マニュアルをベースにして、注意を要する事案は口頭で引き継ぎを行うといった体制であれば、短い引き継ぎ期間であっても、後任者がスムーズに業務を始めることができます。

4.業務の「見える化」

業務を「見える化」することができます。それによって、業務の範囲の広さや難易度のレベル、それらに基づく必要人員数や評価基準などが明らかになります。

マニュアルがないということは、仕事の範囲や評価基準が分かりづらい状態といえます。仕事の結果しか評価する手段がなく、どのようなプロセスでその仕事が進捗したのか、本人の工夫や努力が見えづらく、社員を適切に評価しにくい状態です。

マニュアルで業務範囲を明確にすることで、「Aさんの業務は、実は大変な仕事だった」「1課と2課では、業務範囲にかなり差がある」などの気づきが出てきます。その気づきをまとめていくと、各部署の適正人員数や、社員に求めるレベルなどの評価基準が確立できます。

その結果、人材の適正配置が実現でき、社員のモチベーションが徐々に向上して、安定した品質を提供することにも、業務を効率化させることにもつながっていきます。

マニュアルの目的を達成する「書き方のポイント」5つ

マニュアルを整備し、これまで述べた4つの効果を出すためには、社員が読みたくなるようなマニュアルにする必要があります。

「忙しいので読む暇がない」
「作業内容は頭に入っているから大丈夫」

こんな声を打ち消し、「読みやすく、あっという間に読める」「業務に役立ちそうだから読みたい」と思わせるマニュアルにするには、書き方を工夫するのがコツです。

読み手にすすんで読んでもらうために、ぜひ押さえておきたい書き方のポイントがあります。重要なポイントを5つご紹介しますので、参考にしてください。

マニュアルの目的を達成する「書き方のポイント」5つ

1.全体構成と目次を整える

マニュアルをいきなり書き出さず、業務をどう説明していくのか先に全体構成を決定し、目次を決めましょう。

目次の構成が分かりやすいと、読み手は「読んでみよう」という気になります。
例えば本は、「表紙→はしがき→目次→本文」という順になっていますね。これは、どこに何が書いてあるのか、最初に全体像をつかんでから読むと読者の頭に入りやすいため、このような順番になっているのです。マニュアルも同じです。

構成が優れたマニュアルは、内容を修正するときや更新するときも作業しやすいので、長く活用されるマニュアルになります。

<具体例>

  • 作業の時系列に沿った構成にする。
  • 「日常業務→月ごとの業務→期ごとの業務」など、優先順位に沿った構成にする。
  • 「作業手順→説明→重要ポイントの解説」など、共通のパターンにする。

2.読まれるタイミングを意識して内容を記載する

読み手がいつ、どのような状況でそのマニュアルのページを開くかを意識した上で書きましょう。

担当者は、さまざまなタイミングでマニュアルを使用します。業務の直前や業務の最中、手が空いているとき、前任者から引き継ぎを受けるとき、イレギュラーな事案に初めて遭遇し焦っているときなど…。
想定されるタイミングの中でも、余裕のないタイミングで閲覧されることを前提に書くと、担当者にとって使いやすいマニュアルになります。

マニュアルを作成する側は、書きたいことを書きたい順にどんどん並べてしまいがちですが、「時間がない」「初めて、このマニュアルを読む」といった、使う側の状況に寄り添って書きましょう。

<具体例>

  • チェックリストを本文より先に掲示する。
  • 初心者にも分かりやすい用語を使う。
  • 専門用語を使う場合は用語を統一し、用語の意味も近くに記載する。

3.表現をシンプルにする

文章表現はシンプルにしましょう。

シンプルな表現は伝わりやすく、頭に残りやすいからです。その物事に詳しい人がきちんと説明しようとすると、とかく長い文章になりがちです。詳しくない人の気持ちを想像し、ポイントを絞って短い文章にしましょう。
一目で見て内容がつかめると、読み手がすぐ理解できるので、作業時間も時短になります。

<具体例>

  • 修飾語を減らし、一文を短くする。
  • 修飾語となるような「〇〇の場合」「〇〇の連絡が来たら」という条件書きは、箇条書きにする。
  • 「ステップ1」「ステップ2」といった分かりやすい表現を採用する。

4.飽きさせないレイアウトにする

レイアウトを整え、読み手を飽きさせない工夫をしましょう。

パッと見て、目を引く箇所や興味がわく箇所があると、読み手は読む気になります。
読み手は、読む気になると、「次はどうなるのか見ておこう」と現在の作業より先の箇所も読むようになります。次の工程も頭に入ると、仕事ぶりが全く変わってきます。

<具体例>

  • 大見出しだけでなく、文章が数行続くところでは、小見出しを入れる。
  • 重要な箇所はアンダーラインや太字を用いて強調する。
  • 写真や図を入れ、文章ばかりが続かないようにする。
  • 余白を大切にし、文字を詰め込まない。

5.作業の背景や意味、よくある失敗を記載する

作業の背景や意味、多くの人がやってしまいがちな「よくある失敗」を盛り込みましょう。

作業手順そのものよりも、理由や経緯、背景といった「根拠が示されるもの」「ストーリー性のあるもの」に、人は心惹かれます。また、誰かの失敗談は、「何だろう」とつい読んでしまうものです。

過去にあった失敗は、同じように業務を遂行する限り、誰しも直面する事案です。別の人が同じ過ちを繰り返さないようにすると、業務の効率化につながります。

また、失敗談を記録する場所があると、今後新たな失敗をしてしまった担当者は、必要以上に落ち込んだり隠したりせず「この件もマニュアルに追加しておこう」と前向きに対処できるようになります。
先人の知恵や経験を、共有すべきナレッジとして記録し、後の人にもシェアしていくという意味でも、重要なポイントです。

<具体例>

  • 作業の意味や意義、求められる心構えなどをコンパクトに説明する。
  • よくある失敗や注意点、参考情報を小さな囲み記事にする。

まとめ

この記事では、次のような内容をご紹介しました。

  • マニュアルの目的は「安定品質の提供」と「業務効率化」であること
  • マニュアル導入によってすぐ得られる効果を4つ
  • 社員に進んで読まれるマニュアルの書き方のポイントを5つ

今、あなたの職場で、もしマニュアルがなくても複雑な仕事がきちんと遂行されているとしたら、社員一人ひとりの高い能力やたゆまぬ努力に支えられているからなのです。今後、さらに業績が伸び、社員が増えたり入れ替わったりすると、現状の高いレベルを維持することが難しくなる可能性があります。

マニュアル作りには手間がかかりますが、マニュアルを使う立場である社員にとってはより良い職場環境となるため、ぜひ取り組んでいきたい課題です。また、マニュアル作りに携わる社員にとっても、現在の業務を改めて見直したり過去の事例を思い出したりすることで、仕事に愛着がわき、より良くしていく気持ちが高まる、という副次的な効果もあります。

社員の働きやすさのために、ぜひマニュアルを整備していきましょう。

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