コラム
CO☆PITプログラム
情報システム部門の2025年 ~次世代のリーダーたちは、今 何を想うのか

2015年 情報システム部門リーダー他流試合 プログラム
ITが経営やビジネスに欠かせない存在になっていることは言うまでもない。大企業のITシステムを担っている次世代の 幹部候補生。日々、現場でも忙しく仕事を遂行しているリーダーたちは、将来の組織をどのように捉えているのか。 10年後の2025年。10年前を振り返ると信じられない進化を遂げたITの世界。この先10年も飛躍的なスピードで変化を していくだろう。企業のIT戦略を担う彼らが考える未来の姿についてせまってみた。

取り残されないようになるので精一杯 ~押し寄せる新しいビジネスモデルと技術の波~
国内外マーケットのニーズの多様化から、商品やビジネスモデルの入れ替わりが激しく、多様化した「モノ」は短いサイクルで生まれ、消えていく。 所属する会社の仲間を見ていれば、変化への危機感を感じずにはいられなかった。情報システム部門に属する立場からは、「ビジネスに貢献できるようになりたい。ITを活用してビジネスが成長できるように なればいい」と全員が口を揃えた。
「情報システム部門は、今までと同じではダメだと考えている」「基幹となるシステムの面倒だけを見ていてはだめだ」「ビジネス感度を高めなければならない」 様々な危機感が声となって、飛び交っている。それは、ビジネス環境の変化に伴い、情報システム部門を取り巻く環境や期待が、目まぐるしく変化していることを 肌で感じてきた彼らならではの声だった。 10年前は目にしなかったクラウドやスマートデバイスは今や主流となった。同様に2025年には、ITやロボット、人工知能を活用した ビジネスが主流となっていると、彼らは言う。
未来の組織をリードしていくための覚悟は、「新しいビジネスモデルと技術に立ち向かうこと」だった。

未来の組織をリードしていくための覚悟は、「新しいビジネスモデルと技術に立ち向かうこと」だった。 現状と未来へのギャップが大きすぎる ~技術革新に立ち向かう~
リーダーたちは、「海外を含めた素早い環境の変化に対応したい」「柔軟性や提案力を持った組織になりたい」と想いを吐露し始めた。
あるメンバーの1人は、「未来を見据えたときに、現実とのギャップが大きすぎる。とてもじゃないけど、今のままでは無理だ。」と言い放った。
「組織のフットワークは軽くして、ビジネスへの対応スピードは倍速化しなければならない」
多くの大企業の情報システム部門で働く人たちは、同じことを思っていると思う。 単純なことかもしれない。数十年前から言われていたことかもしれない。でも、できていない。
問題を棚上げしていては、何も変われない。この課題から乗り越えていくべきだとメンバーは口を揃えた。
「技術的な革新は待ってくれない!」「組織の課題が解決するのを待っていると、ビジネスが遅れる」
「ロボットや人工知能への対応」「ビジネスへのビッグデータ活用」「IoTへの対応」「高速化・高セキュリティ」 「環境変動に合せたITのインフラ稼動」など 挙がった発言の数は、この限りではない。 やりたいこと・やるべきことは、たくさんある。 つまり、 技術革新への動向を意識しながら、部門としての変革を進めていこうという決意だった。 このとき、大企業のITを支えてきた思いやこれからの覚悟を垣間見ることができた。 各社のリーダーは何ができるのか、口々に考えを発言し始めた。

ビジネス領域に踏み込んでいくことはできるのか? ~環境変化への対応力と業務知識に基づいた提案力~
ビジネス領域へと踏み込んでいこう!そんな思いが見え隠れしていた。ITのビジネス活用と向き合い始めた。 「今までとは違った感度が必要になる。」「今まで以上に世の中の変化に敏感になった上で、最新の技術知識を吸収する必要がある。」
色々な意見を交わしているものの、不安になっていること・具体的なことが思いつかないでいるリーダーたちの表情が印象的だった。
「今まで蓄積してきた広い業務知識と技術を結びつけ、ビジネス部隊へと最適なソリューションとして提案しなければならない」
「新しい提案をするためには、組織の壁を越えて踏み込んでいくことが必要である」
「一方で、既存のITシステムの品質を維持することは不可欠であり、そのためにはノウハウを蓄積し、着実に継承できる体制を構築することが重要である」
これまでの働き方と明らかに異なることを知っている彼らは、なかなか具体的なアクションを見つけられないでいた。

変化を恐れるな!志に変えて、覚悟を決めて立ち向かう ~変化と継承~
取り巻く環境から、自分たちに期待されていることは頭では理解している。しかし、それでは組織は変わらない。 ビジネスには貢献できない。どうすれば「自分の思い」として落とし込めるか。 本当にやりたいと思うことに落とし込めるか。9人のリーダーは、自分たちの心と志と向き合い始めた。
「やってみたいことがある。他社とのコラボレーションだ」1人のリーダーが口を開いた。 「他社の強みを組織に取り込んでいきたい」という思いが全体に火を灯した。 「社内体制を保守的な文化から変えたい」や「自分たちが主体性を持ち、部門の壁を無くしたい」「企業間の人材交流の活発化をしたい」など 新しいステージへと飛躍するための思いが積み重なっていく。
一方で、自分たちには「ITの技術者として、品質を起点とした根本的な広い業務知識を持つ強み」がある。それをベースにした 自分たちにしかできない提案力を磨き、情報システム部門を成長させ、部下へと継承していきたい。
不安と願望が混ざりながら、思いが交錯している。プライドの葛藤だったのではないだろうか。 あえて言うならば、ずっと変わらない・変われない情報システム部門のリーダーの姿を私は見てきた。 情報システム部門のリーダーたちは、「志がある」。「やりたいこと」や「変わりたい願望」がある。 今は不安だと思う。しかし、苦しさの先の喜びを目指して挑戦して欲しい。やりきるリーダーでいて欲しい。 そんな困難に挑んだリーダーたちと10年後に再会し、苦闘の軌跡を語り合いたい。
そして、9名のリーダーは決意を述べた。「私たちは、強いリーダーシップを発揮し、情報システム部門から組織変革を主導する」と。
本内容は、個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません。