連載コラム「わかりやすく書く」

色彩の基本ルール(1)

今回は「色彩の基本ルール」です

色は、わかりやすい文書を作るための重要な要素のひとつです。
色づかいや配色は個人の好みやセンスに依存すると思われがちですが、基本的なルールを守ることで、色を効果的に活用することができます。

トラ
お客さまへの提案書で、マニュアルの新規作成から翻訳までのながれをまとめてみました!

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ミケ
これは、ずいぶんカラフルだね。
トラ
お客さまにはカラー印刷した資料をお渡しするから、いろんな色を使ってみたんだけど……派手すぎるかなあ?
ミケ
色にも、ライティングと同じように基本的なルールがあるんだよ。
高度な色づかいやデザインは専門のデザイナーさんに相談した方がいいけど、テクニカルライティングの一環として、色彩の基礎知識を身につけておくといいね。
トラ
えっ?!
僕、デザインの勉強をしたことがないし、センスにも自信ないし……大丈夫かなあ。
ミケ
大丈夫。ちょっとした工夫で、見やすい資料を作れるようになるよ。
まず、たくさんの色を並べて使うときには、並べ方に気をつけて。
「色相環」に従って色を並べると、自然な順番になるんだよ。
トラ
しきそーかん……?
聞いたことないし、なんだか難しそう。
ミケ
色相環とは、色を順序立てて円形に並べたもので、虹の色をイメージするといいかな。
赤・橙・黄・黄緑・緑・青・紫の7色に、赤紫を付け加えて一周するよ。
色相環のイメージ
色の体系を定義している考え方ごとに、「12色相環」や「24色相環」など色の数は様々だけど、順番は変わらないよ。
色を並べるときは、この順番にしてみてね。
トラ
そうしたら、「作業のながれ」と「スケジュール」の各作業項目の背景色の順番は……こんな感じかな?

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ミケ
今使っている色をすべて残すと、そうなるね。
ただし、ビジネス文書や、いつもわたしたちが作っているようなマニュアルで色を使う場合は、必要最小限の色数に絞った方がいいんだよ。
トラ
どうして?
色がたくさんあった方がきれいだし、わかりやすくなるんじゃない?
ミケ
ケースバイケースだけど、色数が多すぎると、落ち着かない印象を与えたり、本当に大事な部分が目立たなくなって、逆にわかりにくくなってしまうことがあるんだ。
だから、装飾的に使う色は種類が少ない方がいいんだよ。
トラ
そうなの……?
ミケ
たとえば、今トラちゃんが色を並べ替えてくれた部分、思い切って色数を減らしてみたら……どうかな?

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トラ
あれ? なんだか統一感が出て、落ち着いたような……?
ミケ
統一感や調和は、色を使うときの大事な観点だよ。
でも、ビジネス文書で色を使うときには、もっと気をつけないといけないことがあるんだ。
次は、その観点で見直してみよう。
トラ
今まで色を使うときって、あまり考えず何となく選んでいたけど、ちょっと興味が出てきたかも!

予告

次回は、色彩の基本ルール(2)をお伝えします。