連載コラム「わかりやすく書く」

【英語】関係性を考えて訳す

今回のテーマは「関係性を考えて訳す」です

キャッチコピーなど、短い文章や句の集まりを英訳するときは、日本語を単純に置き換えるだけではだめなんです。
それぞれのつながりや関係性を考えて訳す必要があります。
また、意味が正しく通じるよう、単語の選び方にも注意が必要です。

トラ
来月の展示会で配布する新商品のチラシ、英語版をつくりました!

「次世代のeイノベーション。いまだかつてない機能を。他には類を見ない機能を。」なんて、格好いいキャッチコピーですよね。

Next-Generation e-Innovations. Brand New Features. None Like Them.
ナンシー
ちょっと見せて。
……あら、これじゃ使えないわね。
トラ
なんでですか?
製品のキャッチコピー、うまく訳せていると思うんですけど。
原文のとおり、この製品のセールスポイントは当社独自の新機能で、今のところ他社で同じ機能をもつ製品はないですよね。
まちがってないと思いますけど…。
ナンシー
日本語の句点をそのままピリオドに置き換えたせいで、全部が独立してるでしょ。
これだと、「いまだかつてない機能を。他には類を見ない機能を。」が、「次世代のeイノベーション。」を説明しているかんじが出てないのよ。
「Next-Generation e-Innovations」の後ろのピリオドをコロンに変更しましょう。
それから、「Brand New Features」の後ろのピリオドをダッシュに変更して、ながれを作ったらどうかしら。

Next-Generation e-Innovations: Brand New Features-None Like Them.
トラ
そっかぁ……
ナンシー
もうひとついい?
トラは、「There is nothing like our products.」(我が社の製品と同様のものは他社にはない)という意味で、「None Like Them.」と書いたのよね?
でも、ここでは「No one likes them.」(誰もそれらを好まない)と読めてしまうわ。
つまり、「Like」が動詞としてとらえられちゃうのよ。
トラ
えぇっ?!
ナンシー
だから、「None」は「Nothing」に変更しましょう。
「None」の前にあったピリオドをダッシュに変更しても、この場合、やっぱり「None」は「No one」って意味にとられちゃうと思うの。

Next-Generation e-Innovations: Brand New Features-Nothing Like Them.
トラ
難しいですね。どんなことに気を付ければいいんだろう…
ナンシー
短い文や句の集まりを英訳するときは、そのまま英語に置き換えるのではなく、それぞれのつながりや関係性を適切に表現する必要があるわ。

英語では、同じ単語でも、名詞、形容詞、動詞というように、違う品詞として使われるものがあるから、注意しないとね。
トラ
勉強になりました。ナンシーさん、ありがとう!

予告

「英語シリーズ」は今回でいったん終了です。次回からは、再び「日本語シリーズ」をお届けします!
テーマは、「読みやすくするコツ」です。