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コスト削減の方法には何がある?具体的な方法と実施の流れ・注意点をわかりやすく解説!

コスト削減の方法には何がある?具体的な方法と実施の流れ・注意点をわかりやすく解説!

2023/02/10

コストは、人件費や材料費など、利益を生み出すために必要な元手ではありますが、利益を大きくするためにどのコストを削減するか、ベストなバランスを判断していくのが難しいところです。特に、事業や組織が大きくなればなるほどコストの種類や金額が増えますから、売上の拡大とコストの最適化に同時に目配りする必要が出てきます。

この記事では、コスト削減を検討している方に向けて、コスト削減をスムーズに行う流れや具体的なコスト削減方法をご紹介します。また、コスト削減を実施する際の注意点もご説明しますので、今後コスト削減に取り組む方にぜひ参考にしていただければ幸いです。

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コスト削減方法を検討すべき2つの理由

なぜ企業がコストの削減を検討すべきなのか、理由は2つあります。
それぞれについて、ご説明します。

収益性の改善・向上

コスト削減方法を検討すべき2つの理由

1つ目の理由は、収益性の改善・向上です。

収益性とは、利益を生み出す能力のことです。投入した費用や資本に対してどれほどの利益を生み出しているのかが、売上営業利益率総資産利益率(ROA)などの数値に現れます。

日本能率協会が500社以上の国内企業に調査してまとめた「日本企業の経営課題2021」 によると、重要度の高い課題と認識しているのは「収益性の向上」が1位でした。2位以下の「人材の強化」や「売上・シェア拡大」「事業基盤の強化・再編」よりも大きな課題ととらえている企業が多く、かつまた過去の調査をさかのぼっても、収益性の向上は常に1位か2位に上がる課題です。

自然体で売上が右肩上がりになる時代ではなく、黒字を続けないとビジネス継続も難しくなる現在では、企業にとって収益性は最重要課題であるといえます。

必要なコストを削減してしまうと、利益もダウンしてしまいますから、コストが削減できれば何でもよいのではなく、必要なコスト・ムダなコストの見極めが収益性の改善・向上につながっていきます。

生産性の改善

生産性の改善

2つ目の理由は、生産性の改善です。

高い収益性を維持していくためには、売上が拡大している中でも、常に業務を効率化し生産性を上げていく努力が求められます。

コストのムダを削減し、効率化して業務のムリ・ムダ・ムラとなる部分をそぎ落とすと、経営資源を効率よく使えている状態になります。収益性だけでなく、従業員一人あたりや時間あたりなどの物的労働生産性、付加価値が生まれることによる付加価値労働生産性といった生産性の指標も改善されていきます。

IMD(国際経営開発研究所)がまとめた「世界競争力年鑑」2022年によれば、世界63の経済圏の中で日本は全体評価では34位、ビジネス効率性では51位に低迷しています。国際競争力を強化するためにも、業務効率化や生産性改善は重要なテーマとなります。

コスト削減方法実施の流れ

スムーズにコスト削減を行うための準備から、コスト削減実施後に行う検証や改善までの流れがあります。コスト削減プロジェクトの全体の流れを見ていきましょう。

1.コスト削減をする目的を設定

コスト削減方法実施の流れ

コスト削減を何のために行うか、目的を設定します。

コスト削減は、直接的な目的は「コストを減らし利益を増加させる」ことにありますが、どの利益をどれだけ増加させるかは企業によって事情が異なります。

利益を出すことで少し財務状況を改善させればいいのか、それとも限られたリソースの中でギリギリまでコストを削減しなくてはならないのか。初めてコスト削減に取り組みコストの最適化を目指すのか、すでにコスト削減は何度も経験しており、事業再編などの大きな変化に伴ってさらなる削減を行うのかなど、さまざまな目的が考えられます。

その上で、現在のコストに係る課題を洗い出し、どのコストをどこまで削減するのか目標を設定し、タイムリミットや具体的なやり方などのプランを設定します。プランについては、コスト削減プロジェクト推進者が考えてもよいですが、現場の従業員にアイデアを出してもらい、意見をヒアリングしながら決めると、実現性の高い内容になります。

2.コスト削減方法の共有

コスト削減方法の共有

次に、コスト削減の方法を社内で情報共有します。

コスト削減を実施する目的や、期日や削減額の目標、削減方法を、社内で情報共有します。ここで重要なのが、情報共有は、社内すべてにプロジェクトの全体像が見えるように行うことです。関係のある部署だけに伝達すると「うちの部署だけが厳しく制限されるのか」と従業員に不信感をいだかせてしまいます。

コスト削減は、従業員の意識や行動に変化を促すものであり、日々の業務への影響が大きいプロジェクトです。従業員に目的をきちんと伝え、目標達成への全社的協力を依頼する努力をしましょう。

3.実施プランの効果検証

コスト削減のためのプランを実施した後は、効果の検証を行います。

まずは目標額と実際削減額の比較を行います。目標以上に達成できたのか、達成できなかったとしたら目標額とどのくらい乖離があるかなど、対象となるコスト別・削減方法別に検証します。

そして、期間や削減方法の妥当性を確認します。見積った期間は短すぎたか、それとも長すぎたのか。「削減方法は取り組みやすいけれども削減効果がなかった」「取り組みにくいけれども大きな削減効果につながった」など予想と異なる状況があったかどうかも見てみましょう。

効果を検証し、次回以降のコスト削減に活かしていくと、会社の方針がわかり従業員に今後も協力してもらいやすくなります。

4.実施プランの更なる改善

実施プランの更なる改善

検証の結果、プランに改善すべき点があれば、改善して再実施します。

今回実施したプランでは目標を達成できなかった場合や、目標は達成できたけれどもプランに無理があり、削減方法が現場に負担をかける方法となってしまっている場合などがあります。検証の段階で改善すべきプランだと判明したら、プラン内容を変更し再度プランの実施に取り組みます。

削減方法の改善案については、現場の従業員にもヒアリングするのがおすすめです。本部のコスト削減プロジェクト推進者がプランを策定した場合は特に、現場の意見を聞いてみる方がよいでしょう。

コスト削減の具体的な方法

コスト削減の具体的な方法を4つご紹介します。
今回ご紹介するのは、多くの企業で共通する代表的な方法ですので、参考にしてみてください。

  • ペーパーレス化の推進
  • 消耗品にかかるコスト削減
  • オフィスにかかるコスト削減
  • 人件費の見直し

ペーパーレス化の推進

ペーパーレス化の推進

ペーパーレス化を推進し、紙を使うことによって生まれていたコストを削減する方法です。

紙を使うと、例えば以下のようなものに関わるコストがかかっています。

  • コピー用紙
  • インク
  • プリンター
  • コピー機
  • ファイリング用品
  • 書棚などの備品
  • 保管場所
  • 管理や廃棄にかかる人件費

また、コストだけでなく、紙は社外へ持ち出しやすいため情報漏洩のリスクもあります。「紙でないと不便だ」という思い込みを一度外し、紙を使わずに業務を行ってみると、紙でなくてもよい場面がいろいろ出てきます。

必要に応じて、電子契約書、名刺管理、精算システムなどのツールを活用すると、ツールの導入・維持コストはかかりますが、顧客管理や取引先とのやり取りがスムーズになるなど、さらなるメリットを得ることができます。

消耗品にかかるコスト削減

消耗品にかかるコスト削減

消耗品のコストを削減する方法です。

消耗品とは、事務用品やガソリン、10万円未満の什器備品(椅子や机)など、消耗品費に計上するものを指します。

  • 購入サイクルを長くする(在庫として保管する数を最低限にする)
  • 購入時に制限を設ける(年間の購入数を制限する、購入方法を社内で統一する)
  • 購入種類の削減(人によって使用する・しないが分かれる消耗品は購入しない)

このような方法を検討してみましょう。

また、同じ消耗品でも顧客や取引先に配布する「ノベルティ」は社名を宣伝し販売促進する目的があるため、財務上は消耗品費ではなく販売促進費や宣伝広告費で計上しますが、「社内で取り扱う消耗品」という意味合いではこれらも同時に見直しを行うとよいでしょう。私的流用がないよう申請方法を厳格にする、販売促進につながらなければやめる、といった方法があります。

オフィスにかかるコスト削減

オフィスにかかるコスト削減

オフィスにかかるコストを削減する方法です。

オフィスを構えるだけで、次のようなコストが発生します。

  • 地代家賃(事務所や店舗などの不動産の賃料)
  • 水道光熱費(電気、ガス、水道)
  • 通信費(電話、インターネット、切手、テレビ受信料など)
  • 賃借料(機器などの動産の賃料)

コロナ禍によってテレワークが普及しましたが、出社する従業員が減るとこれらのコストも減少しますから、可能な限りテレワークを推奨するのも方法の一つです。

家賃の価格交渉を行う、オフィスを移転する、分散しているオフィスを統合する、もしくは逆にオフィスを分散する、インターネット契約やリース契約を見直す、などの方法があります。

人件費の見直し

人件費の見直し

人件費を見直すことでコスト削減する方法です。

人件費は従業員に対して支払われるもので、次のようにさまざまな内訳がありますから、見直す余地があります。勘定科目としては給与や旅費交通費、福利厚生費などに計上されます。

  • 給与(所定内賃金、所定外賃金)
  • 各種手当(家族手当や通勤手当など)
  • 賞与
  • 退職一時金や退職年金の引当金
  • 法定福利費(社会保険料や労働保険料の企業負担分)
  • 法定外の福利厚生費(慶弔金や社員旅行費など)
  • 交通費(業務で必要な出張などの交通費)<.li>
  • 家賃補助、社宅の費用
  • 自己啓発支援費用

役員報酬は人件費に含まれませんが、派遣社員の賃金は勤務状況によって人件費に含まれます。通勤手当などの支払いは、雇用の条件として就業規則に掲示する必要があり、勝手に支払いをなくすことはできません。「人件費の見直し」はイコール「人減らし」「賃金下げ」ではなく、売上に必要なコストとなっているかを検証するということです。

テレワークを実施すれば通勤手当や出張のための交通費は減らせますし、自己啓発支援は業務に役立つスキルの習得に特化すると減額できます。その他、お祝い金や社内レジャーの費用など、従業員の生活に直結しない部分から見直してみましょう。

コスト削減方法を実施する際に気をつけたい注意点

コスト削減方法を実施する際に気をつけたい注意点

コスト削減実施の流れや方法について、イメージがつかめたでしょうか。最後に、コスト削減方法を実施する際に気をつけるべき注意点を3つご紹介します。

  • 従業員のモチベーションを下げない
  • サービスや製品の質を落とさない
  • コスト削減が目的になっていないか注意する

従業員のモチベーションを下げない

従業員のモチベーションを下げるようなコスト削減方法になっていないか注意しましょう。

やみくもにあらゆるコストを削減すると、あらゆる行動を制限されたように感じ、従業員のモチベーションが下がるおそれがあります。「思いきった工夫やアイデアを出す」「頑張りどころで残業してでも仕上げる」といった前向きなパワーが出にくくなります。

また、たとえコスト削減の目的や目標を明確にしていても、現場の状況を無視して厳しく取り締まるようなコスト削減方法を行うと、従業員は「これまでもきちんとコスト管理はやってきたのに、経営層は現場を理解していない」とやる気が失せてしまいます。

モチベーションを下げないよう注意するとともに、モチベーションを上げる工夫を行うのも一法です。例えば、コスト削減の目標を達成した部署には社長賞を贈呈するなど、コストが増大しない範囲内の工夫を考えましょう。

サービスや製品の質を落とさない

サービスや製品の質を落とさない

サービスや製品の質が落ちるようなコスト削減方法になっていないか注意しましょう。

例えば「原材料費を大きく削る」「コールセンターの人員を大幅削減する」などの方法は、十分な検討の上実施しないと、製品の質が落ちたり、顧客からの苦情につながったりするおそれがあります。また、人材育成は、短期的には成果が見えづらく、長期的な視点で取り組むテーマですから、自己啓発や研修参加、資格取得などの費用を大幅に削ってしまうのは、長い目で見るとサービスや製品の質低下につながります。

電話での問い合わせが減ったためコールセンターを縮小し、代わりにWebサイトのチャットボット機能を強化するなど、コストを下げつつサービスや製品の質を上げていくような取り組みを考えてみましょう。

コスト削減が目的になっていないか注意する

「コスト削減」自体が目的になっていないか注意しましょう。

例えば、今回のコスト削減の目的が「事業再編に伴うコスト見直し」だとします。

需要の少ない事業を縮小し新事業にリソースを投下していくにあたって、縮小事業のコスト削減額を目標設定したものの、このままでは目標を達成できない。何としてでも今期中に目標を達成しようと予定になかったコストまで削減してつじつま合わせをしてしまう…。

こういった状況は、コスト削減自体が目的になってしまっているといえます。

この場合は、なぜ削減額目標を達成できないのか、一度立ち止まってプランを検証すべきところです。しかし削減自体が目的となり、「削減額目標を達成できたらOK」とばかりに当初予定していなかった必須の外注コストまで削減してしまった。この結果、事業を廃止するつもりはなかったのに事業継続を断念することとなった、といったミスにつながりかねません。

コスト削減に熱心に取り組むのは良いことですが、必ず目的・目標・プランを確認し、うまくいかないときは本来の目的に立ち返りましょう。

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まとめ

今回は、コスト削減を実施するまでの流れやコスト削減の具体的な方法、注意点についてご紹介しました。

コスト削減は収益性の改善や生産性向上につながる重要なテーマですが、削減の規模によっては従業員に我慢やストレスを与える可能性もあります。なぜコスト削減を行うのか目的を丁寧に説明し、従業員の理解や積極的な協力を促しながら、前向きに取り組んでみてください。

以下の記事で、削減方法のヒントを多数ご紹介しています。ぜひご覧ください。
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