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ベテランのノウハウを継承するには?継承できていない理由や成功させる方法をわかりやすく解説!

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2022/12/16

あなたの会社では、ベテラン従業員のノウハウを継承する取り組みは進んでいますか?

長く業務を経験すれば誰でもベテランになれるものではなく、努力や経験を積み重ねることでベテランとしてのノウハウが培われます。また、ベテランのノウハウは、会社の信用や環境の中で育まれるわけですから、自社の知的財産としてぜひ残したいものです。しかし、なかなか継承が進まない、何かよい継承方法はないか、とお悩みではありませんか?

ベテラン従業員のノウハウの継承については、近年、多角度からノウハウを継承し、効果的に共有する方法が出てきました。そこでこの記事では、継承が進まない理由や継承によって得られるメリット、継承を成功させる3つの方法について解説します。

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ベテランのノウハウが継承できていない理由

ベテランのノウハウとは、例えばこのようなイメージです。

「営業のAさんは神がかっている。どのお客様に見込みがあるのかつかむのが早い」
「経理のBさんは、勘定が合わないときにどうしてあんなに早く原因を見つけ出すんだろう」

若手従業員から見ると神がかっているAさんやBさんは、入社したときから特別な才能を持っていたわけではありません。AさんやBさんには、経験によって得たノウハウを若手従業員へ継承してもらい、若手従業員にはさらに新しいノウハウを生み出してもらうのが理想的です。とはいえ、さまざまな理由により現実には継承が進んでいない状況があります。

どのような理由なのか、一つずつご説明します。

ベテランが非常に多忙

1つ目は、ベテラン従業員が非常に多忙であることです。

ベテラン従業員は、仕事を能率よくこなせるだけに受け持つお客様や案件が多くなる傾向にあります。周囲から頼られ、上司や後輩からの相談も多く、時には前にいた部署の後輩からトラブル解決策の相談を受けることもあるような、多忙な状況です。

このような状況では、自分のノウハウをじっくりと分析し、誰に継承していこうかと思案する余裕がありません。また、ノウハウは目に見えにくいものですから、ベテラン従業員は自分の知識は他の人も持っていると思い、貴重なノウハウだと認識しないこともあります。それゆえ、目の前の業務に追われてノウハウ継承の優先順位がなかなか上がらない状況になります。

ノウハウの共有方法が未整備

2つ目は、ノウハウの共有方法が未整備であることです。

新人に業務を教える際にはOJTやマニュアルによる指導を行うけれども、ベテランのノウハウについてはそのような指導体制を確立していない、といった状況があります。

OJT指導は、新人や新任担当者が来た場合に行う認識がありませんか? ベテラン従業員の定年退職が決まった時期なら引き継ぎで後任者を指名もしますが、まだ定年には遠い40代くらいのベテラン従業員が、後任者を指名する動きにはなりにくいものです。

また、マニュアルにノウハウを落とし込む流れができていればノウハウを従業員間で共有していくことができますが、その流れを作るには、こまめに記録できるマニュアルにするか、マニュアル改訂の頻度を上げる必要があり、なかなかその状態に至っていない職場が多いのが現状です。

メールやチャットのやり取りによってベテランのノウハウを教わることもありますが、そういう場でのノウハウは共有方法が確立されておらず、やり取りの中に埋もれて散逸してしまいます。働き方改革やコロナ禍によってテレワークが普及し、従業員間のコミュニケーションが希薄になりがちですから、ノウハウの共有方法を定めないことにはますますノウハウの継承は難しくなっていきます。

暗黙知のため形式知化しづらい

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3つ目は、暗黙知のノウハウは形式知化しづらいことです。

暗黙知とは、感覚や経験によって習得した知識で言語化が難しいものを指し、形式知とは、言葉や図などで表現できる知識を指します。

先ほどの営業のAさんの例でいえば、Aさんのノウハウは、どういったお客様なら課題を持ち、解決したいと考えているかを見いだす「目利き力」です。Aさんになぜそのお客様を見込み客と考えたのかを聞くと、それについてはお客様の特徴などを言語化できるのですが、それをさまざまな折衝の中で早く判断できる秘訣は何かと聞かれても答えにくい、というわけです。

このような、経験や勘によって脳からアウトプットされる暗黙知のノウハウについては、継承が難しいものです。

ベテランのノウハウを継承するメリット

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継承が進みにくい3つの理由を克服し、ノウハウを共有化する体制を整備してノウハウを継承できたら、どのようなメリットがあるでしょうか。主なメリットを3つご紹介します。

【メリット1】業務の質の向上

1つ目は、業務の質の向上です。

ベテラン従業員のノウハウを継承できれば、他の従業員の業務のプロセスの質や成果の質が上がっていきます。

ノウハウを蓄積し、それを共有化する体制を整備すると、後任者に指名された誰か一人ではなく、その情報が必要な担当者全員で共有できるようになります。共有によって「一人しか知らない特別な知識」ではなく「自社の常識」となり、全員の業務知識の底上げにつながります。

例えば、先ほどの例の経理のBさんが勘定の不一致の原因を探るとき、どのようなポイントに着目しているかを担当者全員が知識として知っていれば、それを活かし原因究明の時間が大幅に短縮できるわけです。

ノウハウ共有化の体制ができれば、ベテラン従業員以外の担当者の気づきや工夫も集約し共有できる流れになりますから、ムダを排除するなどの改善を提案しやすい風土が醸成されていきます。ムダを排除できれば業務効率化になりますし、成果の質が向上することで生産性向上にもつながる好循環に入ることができます。

【メリット2】業務の属人化防止

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2つ目は、業務の属人化防止です。

ベテラン従業員だけがノウハウを持っている状況は、そのノウハウの量によっては業務が属人化するリスクを秘めています。業務や顧客の社外秘情報がノウハウにともなう場合、そのベテラン従業員しか知らないことがあまりにも多いと、何かあったときに多大な影響を及ぼしかねません。

例えば、システム運用を担当しているベテランのCさんは長い間1つのシステムの運用を任されてきました。あらゆるトラブルを解決してそのシステムを熟知しており、今や「Cさんが休暇を取る日は不安だから事前に教えてほしい」とシステム利用者にいわれるほどのベテランです。

しかし、「休暇を取る日が不安」というレベルはかなり危険であり、他の担当者が代替できず業務が属人化していることを意味します。「Cさんはさすがだ」と賛美している場合ではなく、特定の担当者しか業務を行えない属人化状態であることに危機感を持つべき事態です。

ノウハウを継承し、いざというときに複数の担当者で対応できるよう共有化することで、属人化の防止や会社の知的財産を守ることにつながるメリットがあります。

【メリット3】従業員の業務習得が加速

3つ目は、従業員の業務習得が加速することです。

ベテラン従業員のノウハウを継承し共有化の体制を整えることは、それ自体が新人教育の体制にもなります。新人や新任担当者への教育は、一般的には研修やOJT指導、マニュアルなどによって行われますが、そこにベテランのノウハウが反映される流れがあるでしょうか? 運よくベテランにOJT指導をしてもらえる新人はノウハウに触れることができますが、それでもごく一部の従業員にしかノウハウが継承されない状況といえます。

研修やOJT指導を行う際の題材を特別な教材にせず、日常的に業務で活用されるマニュアルなどの教材を使い、その教材にはベテランを含めさまざまな従業員からの知見が随時蓄積されるようにすれば、新人も業務知識を得ながら最新の状況を吸収していくことができ、従来よりも習得が加速します。

また、社内のノウハウが共有化体制によって一元化されれば、新人がわからなくて困ったときも検索すれば必要な情報を見つけられるようになり、迷ったり悩んだりする時間を減らすことができます。

従業員の業務習得を加速させることで即戦力化につながりますし、この情報検索時代に「わからない」だけで損している時間をなくし、時間のリソースを有効利用することにもつながります。

ベテランのノウハウを継承する方法

ベテランのノウハウを継承する方法は、これまではベテラン個人の努力にゆだねられている部分が多くありました。

自らのノウハウを伝えていこうとするベテランがごく一部の従業員に伝えるまでにとどまり、共有化までには至りません。ノウハウを継承した従業員がマニュアルに反映させるなどをすれば共有化につながりますが、継承の仕組みがない中では積極的な行動に結びつきにくいものです。

ベテランが多忙で、ノウハウの共有方法が未整備、暗黙知のため形式知化しづらい。
先に挙げた、これら3つの継承が進まない理由を解消しつつ、ノウハウを継承する体制をどのように構築するか、3つの方法をご紹介します。

1.ベテランのノウハウ継承支援制度を設置

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1つ目は、ベテラン従業員のノウハウの継承を支援する制度の設置です。

ベテラン従業員にノウハウ継承の意識を持ってもらい、組織としてもノウハウ継承を推進する姿勢を打ち出すため、ノウハウ継承を支援する制度を作る方法です。具体的には、支援対象となるベテランを決め、継承のための課題や課題実施による報酬を提示します。ベテランとして会社に認められると、ノウハウを次の世代に伝えるのも仕事だとベテラン従業員が認識しやすくなります。

例えば、対象者となるベテランの定義を「勤続20年以上」「1つの部署に10年」「年齢何歳以上」などと指定します。本社や工場など、業務によってベテランの条件が大きく異なる場合は部署の上司と人事部で基準をすり合わせるといいでしょう。もちろん「うちの部署はあの人がベテランだろう」といった主観的な判断でもいいですが、客観的なベテランの基準を決めておくと、人が入れ替わったとしても長続きする制度になります。

そして、1週間のうち1時間をノウハウ継承のために使い、OJT指導やマニュアル修正、勉強会や研修を実施するなど、枠組みや課題内容を決めます。どうしても多忙で時間がとれない場合は、1泊2日の合宿や3日程度の研修の場を設けて、取り組む時間を作り出す方法もあります。

業務の一環ですから、課題に取り組むことで報酬も発生します。通常の評価ポイントに組み込むのでもいいですし、継承手当を作ってもいいでしょう。ベテラン従業員のやる気がわくものであればギフトも考えられます。

ベテランが非常に多忙であっても、優先的に時間を作れるように支援制度を設置しましょう。

2.ナレッジ共有ツールを活用

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2つ目は、ノウハウを共有する「ナレッジ共有ツール」の活用です。

ナレッジ共有ツールはナレッジマネジメントシステムとも呼ばれ、ベテラン従業員が持つナレッジを蓄積し、共有化をサポートするツールを指します。例を挙げると、マニュアル作成ツールや社内Wiki、文書管理システム、エンタープライズサーチなどがあります。

主な機能は文書管理やチャット、情報検索などで、ナレッジの蓄積と共有ができます。複数人で文書を同時編集できるものや、ページを閲覧した人や閲覧時間を確認できるものなどがあり、ノウハウの蓄積と共有をスムーズにしてくれます。

例えばマニュアル作成ツールであれば、業務マニュアルをツール内に一元管理し、そこへナレッジを蓄積していくことで、常に最新のノウハウが業務マニュアルに反映されます。それをe-ラーニングのような研修教材として使うこともできます。

ナレッジを蓄積するだけなら、文書にまとめればいいことです。しかし、その状態では複数人で編集しにくいですし、保存場所が統一されずに文書ファイルを逸失するリスクもあり、バージョン管理も難しくなります。ツールの活用で、ナレッジの蓄積と共有の体制を整えることが肝要です。

3.AIを活用

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3つ目は、AIの活用です。

ベテランのノウハウには暗黙知も含まれており、その部分が継承しにくいという理由がありました。そこで、AIの出番です。

AIが得意なのは、集積したデータに基づいて分析や予測を行い、予測をもとに実行することです。経験や勘による暗黙知であっても、人の行動ですから、状況や条件のデータを積み重ね、細分化して分析すれば、再現性のある形式知へ転換できるノウハウも生まれます。

分析にはある程度のデータ量が必要ですので時間はかかりますが、ベテラン支援制度を整備し、ナレッジ共有ツールを活用しつつ、AIの分析にも落とし込んでいくと、ベテランのノウハウだけでなくベテラン以外のノウハウや気づきについても磨き上げていくことができるでしょう。

今まさに、AIを活用してノウハウを継承する研究が進み、商品化が実現しつつあります。例えば、チャットでのやり取りをAIチャットボットが学習するツールや、AIが集積したデータの特徴を提示し、ベテランがチェックして形式知へ転換するツール、ベテランのオペレーションをAIが再現することでデータを蓄積するツールなどがあります。チャットボットの解答例作成にベテランが協力する、といった活動もベテラン支援制度でサポートするとよいでしょう。

AIの学習や分析結果によっては、ベテランのノウハウが見直され、さらに最適な技術が生み出されるかもしれません。

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まとめ

「ベテランのノウハウを継承していきたい」とお考えの方に向けて、継承ができていない理由や、継承を実現すると得られるメリット、継承を成功させる方法についてご紹介しました。

ベテランの自発的な行動に任せていては難しく、仕組みを整えノウハウを一元化していくことが大事です。継承を成功させるには、ベテランのノウハウ継承を支援する制度を作り、ナレッジ共有ツールやAIを活用したツールを使うなど、多角度からアプローチすることをお勧めします。

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