業務改善のアイデアを考えるポイントを基礎から解説
2022/03/18
「業務の改善を図り、業務効率化・コスト削減・業績アップにつなげよう」
このようなスローガンのもと、これから業務改善に取り組もうとしているけれども、具体的な業務改善の進め方がわからない…、と感じている方はいませんか?
「何から着手すればいいの?」
「いい改善策はどう考えたら浮かぶの?」
「アイデアはあるけれど、どの改善策から実行すべきなの?」
こうお考えの方に向けて、この記事では、業務改善のアイデアを考える際のポイントや、具体的なアイデア、さらにはアイデアを実行する際の注意点などを解説します。業務改善に取り組む際の参考にしていたければ幸いです。
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2つの観点からご紹介しています。
業務改善のアイデアを考えるポイント
業務改善のアイデアを考えるポイントについて、ご説明します。
今の業務に、改善の余地があるとはわかっているけれど、流れや手順にすっかりなじんでしまっているので「改善すべき点がわからない」「新しいアイデアはこれ以上思いつかない」とつい考えがちですね。
そこで、改善すべき箇所を見つけ、改善のアイデアを生み出すためのポイントを4つご紹介します。
「何から着手すればいいの?」というお悩みが解決に向けて一歩前進します。
【ポイント1】業務改善をしたい項目の明確化
1つ目のポイントは、業務改善をしたい項目の明確化です。
業務のうち、どの部分を改善すべきかを明確にします。改善したい項目がすでに見つかっている場合、改善のための費用と期待する効果を考え、それが最適な改善項目であるかを再検討しましょう。
まだどこを改善するべきか漠然としている場合は、次の観点から考えてみてください。
(1)目的から考える
「業務改善の目的は何か」
「業務改善する理由は何か」
「業務改善を行った結果、何を達成したいか」
これらの質問は、同じことを言っているようで、微妙に違う答えを導き出します。やってみてください。
(2)優先順位から考える
「重要な業務のもの」
「多くの業務の基礎となるもの」
「改善効果が大きいもの」
これらのものを最優先の項目と考えましょう。
他にも、次のような質問に答えることで、改善対象を明確にしましょう。
- 日常業務を改善したいか?月次業務か?
- 自動化して手間を減らしたいか?時間を減らして早く仕上げたいか?
- 全部の作業を変えたいか?部分的に変えたいか?
【ポイント2】業務改善したい項目の「ムリ」「ムダ」「ムラ」を洗い出す
2つ目のポイントは、業務改善したい項目のムリ・ムダ・ムラを洗い出すことです。
1つ目のポイントで明確化した、業務改善したい項目の中で、以下のムリ・ムダ・ムラがないかを考えてみてください。そこが改善点といえます。
<ムリ>
- 人手が足りないのに仕事量が多い
- 納期が特に短い仕事がある
- 作業する場所が狭い
- 手作業で、ツールやシステムを使用していない
<ムダ>
- 作業に重複感がある
- 人手が多くかかる
- 待ち時間がある
- ダブルチェックでよいものをトリプルチェックしている
- しなくても影響のなさそうな報告や連絡をしている
- 作業をする理由が不明確である
<ムラ>
- 人によって業務の品質が異なる
- 忙しい時とそうでない時の繁閑の差が大きい
【ポイント3】まとめられる業務を整理
3つ目のポイントは、まとめられる業務を整理することです。
同じ作業を同じタイミングで済ませると、脳がその内容について考えているタイミングなので、より集中して短時間で済ませることができます。
次のような観点で、まとめられる業務を洗い出してみましょう。
- 数人が同時に作業Aを行うのではなく、一人でAをまとめて行い、Aの担当を数人でローテーションできないか?
- いろいろな課で少しずつやっていた作業を、1つの課でまとめて行えるか?
- 顧客からの依頼を受け次第対応するのではなく、週に1回など、こちらの都合で対応タイミングをまとめられないか?
- 顧客属性で分けている担当を、商品別で分けられないか?
【ポイント4】マニュアルで作業を標準化し、改善点をあぶり出す
4つ目のポイントは、マニュアルで作業を標準化し、改善点をあぶり出すことです。
あなたの業務では、マニュアルは使っていますか?
また「マニュアルはあるけれど、誰も使っていない」「内容を更新していない」という状態ではありませんか?
もしマニュアルがない、または更新していないのであれば、まずシンプルなマニュアルを作成してみましょう。シンプルなマニュアルとは、「業務の目的」「業務フロー」「業務手順」が記載されたマニュアルです。マニュアルを作成することで、業務を客観的に分析する材料ができます。
マニュアルどうしを比較し、作業の量や質、関係者の数、フローの煩雑さなどを見比べます。例えば、B課の業務のマニュアルでは「必ず行う」となっているけれども、C課の業務で同じ作業について「任意で行う」と異なっているなど、課の中にいると実感しにくいことも、マニュアルがあれば把握しやすくなります。
マニュアルをしっかり活用できている職場であれば、現在のマニュアルを使って、複数の業務を比較してみましょう。
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業務改善の具体的なアイデア
次に、業務改善の具体的なアイデアをご紹介します。
アイデアを考えるときは、まず理想的な状態を考え、理想に近づくという視点で考えます。
また、すぐ否定しないようにしましょう。思いつくことはどんどん書きとめ、実現可能かどうかはアイデアを検討する段階のときに考えましょう。
8つのアイデアをご紹介しますので、これらをヒントに職場に合うアイデアを出してみてください。
「いい改善策はどう考えたら浮かぶの?」というお悩みが解決に向けて一歩前進します。
ムダな業務をなくす
ムダな業務をなくしてみましょう。
その業務を行う理由や目的が誰もわからない、過去の記録にも書いていない、といったものがあれば、なくしてみます。
例えば、他の部署から回付された資料をファイリングしているだけ、という業務はありませんか。反対に他の部署へ資料を回付する場合、本当に必要か、どの部分を使用しているのかなどを改めてヒアリングしてみましょう。
メールの宛先になんとなく関係者をたくさん入れるのもムダに入ります。1つ1つ見直してみましょう。
業務の優先順位を変える
業務の優先順位を変えてみましょう。
後回しにしがちな、時間がかかる業務を優先的に行い、短時間で終わらせるようにします。
優先順位がつけにくい場合は、業務改善をしたい項目の明確化で挙げた次の基準を参考に、考えてみてください。
「重要な業務のもの」
「多くの業務の基礎となるもの」
「改善効果が大きいもの」
「改善効果が大きいもの」を「費用対効果が大きいもの」「影響が大きいもの」と読み替えてもいいでしょう。
定型の作業は自動化
定型の作業は自動化しましょう。
同じ作業を繰り返すような業務は、ツールを工夫することで自動化してみます。例えば、毎月同じフォームで報告書を作成しているのなら、報告書内に自動的に数値が取り込まれるように変更します。顧客宛の資料を印刷して送付しているのなら、1つのツールで資料作成・印刷・送付準備が行えるようにします。
業務マニュアル準備と業務フローの整理
業務マニュアルを準備し、業務フローの整理をしましょう。
業務改善の箇所を分析するために「マニュアルがない職場であればシンプルなマニュアルを作成する」と前述しました。このマニュアルに、業務知識や知見、ノウハウ、過去の事例などを肉付けし、情報を集中させます。また、業務フローを俯瞰し、流れが合理的であるかを見直します。
この過程では、より詳細な改善点を見つけることができます。
業務のルールややり方をマニュアルで標準化しメンバーからの知見を集中させた上で共有すると、メンバー全員の業務レベルが上がり、さらに改善点が見えてきます。
業務の担当者を変更
業務の担当者や担当部署を変えてみましょう。
例えば、契約書の作成・チェックを行う担当者と、決済金額のチェックを行う担当者が別という場合です。契約書に決済金額が記載されているので、1つの課で両方を行うよう変更すると、手順を1つ減らせます。業務を統合するにあたってお互いの業務内容を知ることで、バックアップ体制構築にもつながります。
このアイデアは、場合によっては人事異動の発令も伴います。無理に担当をくっつけたり離したりするだけでは、またもとに戻す可能性があります。工場での製造過程で生産される副産物のように、自然に行えるものだと体制が長続きするでしょう。
業務を小分けする
業務を小分けしてみましょう。
例えば、1日に50件のデータを分析する作業を2人で行っていたところを、データを属性などで分類して4人で行うよう変更します。50件をこなさなくてはならない、という心理的負担を軽減し、短時間集中で進めることができるようになります。
また、日によってボリュームが異なる作業の場合、もし翌日に持ち越すことができれば、1日当たりの作業量をならして所要時間を抑えてみます。そうすると、その日にならないとわからなかった自分の時間をコントロールできるようになり、受け身ではなく能動的に時間を使え、能率が上がります。
データベースを構築・活用する
データベースを構築し活用しましょう。
日々の業務を行ううちに、知らず知らずに貴重なお客様の声や取引先からの質問、購入者情報などがたまっていきます。申込みに付随して必ず得られるデータがあったりしませんか?データに日々接していると気づきにくいものですが、こういった情報のまとまりは、分析してマーケティングや販売促進、もしくは不要なサービスを見直す業務効率化にスピーディに活かすことができます。
また、問合せの頻度をデータ化し、多い問合せへの対応方法をあらかじめマニュアル化しておけば、手間なく顧客対応できるようになります。
ツールやシステムを活用してデータベースを構築し、どんな形式でアウトプットするかなど、活用方法を考えてみるとよいでしょう。
業務のスピードアップ
業務のスピードアップを行いましょう。
例えば、今いる人数で、いかに短時間で完成できるかにチャレンジしてみます。現在の所要時間を計測し、それを30分短縮した目標タイムを設定し、その時間で終わるかどうかをやってみます。
このとき、後回しにしたり、省略したりする作業があれば、それが不要な作業である可能性があります。
他にも、新しく職場に来た従業員を短時間で育成するために、マニュアルをチェックリスト化して工夫したり、スキルアップ研修を行い従業員のレベルを引き上げたりする、という方法もあります。「ナレッジの共有」も業務改善アイデアの1つです。
業務改善のアイデアを実行する際の注意点
最後に、業務改善のアイデアを実行する際の注意点を3つ、ご紹介します。
「アイデアはあるけれど、どの改善策から実行すべきなの?」というお悩みが解決に向けて一歩前進します。
実行する業務改善アイデアの優先順位付け
どの業務改善アイデアから実行するのか、優先順位を付けましょう。
アイデアが1つであれば、それを実行するのみですが、2つ以上出てきたら、必ず優先順位を付けることをおすすめします。なぜなら、それぞれの業務改善による影響範囲が重なって思わぬ影響がないかを見極めた方が「現場が混乱してミスが増えてしまった」といった事態になりにくいからです。
前述した「業務改善をしたい項目の明確化」で使った優先順位付けは「重要な業務のもの」「多くの業務の基礎となるもの」「改善効果が大きいもの」です。これと同じように選んでみてください。関わる人が多いものや、自分の部署で完結せず次の部署での工程があるものは、改善に伴う変更の影響が大きいので、慎重に実施時期を決めましょう。
簡単にできるものからどんどんやるのもよいのですが、組織に大きく影響があるものを先にやらないと、担当者が変わってまた混乱する、ということになりかねません。よいアイデアはすぐ実践してみたくなりますが、一瞬立ち止まり、冷静に順位付けしましょう。
継続的に取り組む
業務改善は、継続的に取り組みましょう。
改善策によっては担当者が新しいフローに慣れるまで時間がかかったり、ツールの導入効果を見極めるには数か月かかったりと時間を要する場合があります。担当者が一巡するまでに3ヶ月かかる、四半期の業務なので3・6・9・12月に行うため1年かかる、など長期にわたるケースもあります。
現在の業務を変更するエネルギーを投入するのですから、しっかり効果を見極め次の改善に活かすために、すぐに結果が出ないからやめるのではなく長期的に取り組む必要があります。
特に、事務職や技術職の皆さんは、業務改善についての項目を毎期の目標設定に必ず入れるよう求められることがあります。そのためにも、前述した「業務改善のアイデアを考える4つのポイント」を常に意識することをおすすめします。
アイデアを実行したら振り返りを行う
業務改善アイデアを実行したら、振り返りを行いましょう。
業務改善は、一度アイデアを実施して終わりではなく、改善による効果があったのかを振り返ってまた次の改善に活かすと、さらによい見直しができますし、職場のメンバーに業務改善の意識付けができます。
業務改善プロジェクトの担当者を決め、その担当者が業務改善を遂行しながら、次のような項目を記録し、記録をもとに振り返ってみてください。
- 改善のアイデア出しから実行まで、何人で何日間かかったか
- ミスを防ぐために、どんな工夫をしながらアイデアを実行したか
- 改善前と改善後でどんな効果があったか
- 想定外の効果(もしくは損失)がなかったか
まとめ
業務改善のためのアイデアを考えている方へ向けて、アイデア出しのヒントやアイデア案、アイデア実行時の注意点について、一歩踏み出すためのヒントとなる内容を解説しました。
アイデアを出すときには、どの業務を改善したいかを明確にした上で、ムリ・ムダ・ムラはないか、まとめられる項目はあるかをチェックします。業務マニュアルをもとに改善項目を洗い出すことができますので、もしマニュアルがない場合は、シンプルなマニュアルを作成して分析してみましょう。
業務改善のアイデアを8つご紹介し、出てきたアイデアを実行する際に気をつけたい点にも触れました。どのアイデアから着手するのかを優先順位付けすること、改善は1年近くかかることもありますから長期的に取り組むこと、アイデア実行後は必ず振り返りを行うこと、この3点に注意してみてください。
業務改善の目的は、業務効率化・コスト削減・業績アップなどですが、「従業員にとって働きやすい環境になる」ことも実現できます。楽しく取り組んでみましょう。
次の記事でも、フレームワークを使う方法など、改善アイデアを考えるためのヒントを多数ご紹介しています。ぜひご参照ください。
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