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業務の属人化を防ぐ方法とは?属人化が起きる原因から標準化方法まで徹底解説

2022/02/07

「属人化」という言葉をご存知でしょうか。

人に属する、つまり「業務や役割が、特定の人のものとなること」という意味です。
その人が大きな責任を担うことができる、信頼をおける人だという証ではありますが、複数人で業務を行う場合は、さまざまな問題が出てきます。

入社20年目のベテラン従業員Aさんは、多くの仕事を抱えつつも、何か相談すると「私がやっておきますよ」とすぐ言ってくれる人。ある時Aさんがケガをして入院し、3週間ほど不在に。そんな時にクライアントから電話が来たが、誰も詳しいことがわからず、みな対応に困ってしまった…。

この例のように、業務が属人化することにより、業務がうまく回っている間はいいのですが、長期的に見るとデメリットも見えてきます。

今回は、業務の属人化が起きる原因とデメリット、属人化解消のメリット、属人化を標準化に変える解消法について解説します。属人化しているかな…と気になる段階の方や、「うちの職場は問題ない」と思っている方も、参考にしていただければ幸いです。

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業務の属人化とは?

業務の属人化とは、「業務が役職や担当のものではなく、特定の人のものとなり、その人しかわからない状態になってしまうこと」を指します。一人の従業員が、その仕事の詳しい手順やノウハウ、進捗状況などを他の従業員に知らせず、一人で進めているような状態です。

その仕事に何も問題が発生していなければ、一見きちんと業務が進捗しているように見え、属人化が起きているとは思えないものです。

しかし、その従業員が休んだり、異動・退職したりする場合や、その仕事でイレギュラーなことが発生した場合に、他の従業員には状況がわからず、対応できない可能性があります。また、トラブルが起きた場合、その従業員がトラブルをも抱え込み、業務や取引先への悪影響を引き起こすデメリットもあります。

業務の属人化が引き起こすデメリットとは?

業務の属人化が引き起こすデメリットは、大きく分けて3つあります。

  • 業務が停滞し、効率が低下する
  • サービスの品質が一定せず、改善もしづらくなる
  • トラブルを抱え込み、悪影響を及ぼす

それぞれどのようなデメリットなのか、ご説明します。

業務が停滞し、効率が低下する

業務が停滞し、効率が低下してしまうデメリットがあります。

例えば、受付業務はBさんしか担当していないといった場合、Bさんが急に休んだとき代わりに担当できる人がいない事態になります。ひとまず受付に立った人は、顧客からの問い合わせに「明日以降、担当がお答えします」としか言えず、急ぎの問い合わせにも対応できなかった、というような事態です。

Bさんにしかわからない業務は停滞し、それを待って作業する他の人も仕事が停滞してしまい、職場の業務効率が下がってしまいます。

サービスの品質が一定せず、改善もしづらくなる

サービスの品質が一定せず、そのサービスを改善するにも業務手法を客観的評価できないので、改善しづらくなるデメリットがあります。

例えば、従業員のCさんが顧客に提供していたサービスがかなり丁寧で、さまざまな依頼を請け負っていた場合、Cさんが退職した後に別の人が担当しても、同じサービスは提供できない可能性があります。

その場合、Cさんのサービスが適正であったのか、時間をかけすぎていないかを分析するも、Cさんの能力に負う部分もあり、業務の手法の客観的な評価がしづらく、改善がしにくくなります。

トラブルを抱え込み、悪影響を及ぼす

トラブルが発生したときに、周囲が気づきにくく、解決が長引いてしまい、会社の信用などに悪影響を及ぼすデメリットがあります。

「自分の仕事は、他の人にはわからないから」と独力でトラブルを解決しようとしたが、うまくいかず、かえって取引先の損失を大きくさせてしまったり、解決方法がわからずそのまま放置してしまったりする場合もあります。

最悪の場合には、トラブルを隠ぺいする不正につながり、会社の信用問題に発展する恐れがあります。

業務の属人化が起きる原因とは?

業務の属人化が起きる原因は、主に3つあります。

  • マニュアルが整備されていないため
  • 専門性が高い業務で、人的リソースも少ないため
  • 従業員が自分の地位を守りたいため

マニュアルが整備されていない「環境の原因」、専門性が高い「業務の原因」、職場での自分の地位を守りたいと考える「従業員の原因」があります。それぞれどのようなことなのか、ご説明します。

【原因1】マニュアルが整備されていないため

マニュアルが職場に整備されていない、という原因です。
マニュアルがあっても活用されていなかったり、最新の内容に更新されていなかったりする場合も、業務に活きるマニュアルになっていないため、ここに含まれます。

マニュアルはいわば業務共有のための教科書です。マニュアルがなければ口頭で業務を引継ぐことになり、引継いだ人だけが手順やコツを知っている状態となり、属人化の要因となります。マニュアルがあれば、それにしたがって業務を行うのが基本ルール・原則となり、属人化が起きにくくなります。

【原因2】業務の専門性が高く、割ける人的リソースも少ないため

業務の専門性が高く、その業務を学ぶために割くことができる人的リソースも少ない、という原因です。

特殊なスキル、専門領域になると、その部署に来たら誰でもできるという業務ではなくなります。そこでその専門領域を複数人で学び、ワークシェアできればよいのですが、割り当てられる人もいないとなれば、属人化が起きても仕方のない状況となってしまいます。

【原因3】地位を守るために従業員が業務標準化に消極的なため

従業員が、職場での自分の地位や存在意義を守るために、業務を標準化することに消極的になる、という原因です。

例えば「この仕事をすることで社内の専門家と見られたい」「この仕事は私のやり方が一番良い」といった考えから、業務の標準化を避けようとする人がいます。

自分の仕事にプライドを持ち、任務を完遂する姿勢は良いことですが、他の人を排除し自分だけがこの地位にいたい、この仕事で存在意義を守りたいと1つの仕事にしがみつく姿勢は、組織にとっては属人化という問題を引き起こします。

属人化を防ぐために業務を標準化するメリット

属人化を防ぐためには、業務を標準化し、複数人で仕事の情報や進捗状況をシェアしておく体制づくりが求められます。
このような体制をつくることで、3つのメリットが生まれます。

  • 業務の偏りがなくなり、業務効率化につながる
  • 知見が蓄積される
  • サービスの品質が一定になる

一つずつご説明します。

業務の偏りがなくなり業務効率化につながる

1つ目のメリットは、業務の偏りがなくなり業務効率化につながる、ということです。

職場の仕事を誰もが理解し、代替できるようにしておくことで、自分の仕事が立て込んだ時に「手伝って」とお願いしやすくなります。これにより、誰かだけが残業ばかりになるなどの不公平感や休暇を取りづらいといった閉塞感をなくし、従業員が働きやすい職場になります。

また、1つの仕事を複数人で対応することで、視点が変わり業務改善のポイントが見えてくる効果があります。一人ひとりの業務経験はさまざまですから「別の職場ではこういう方法にしていた」と新たな改善方法に気づくことができ、業務の効率化を図ることができます。

知見が社内全体に蓄積される

2つ目のメリットは、知見が社内全体に蓄積される、ということです。

職場のメンバーが仕事を理解し、ローテーションなどで誰もが必ず1回は全ての仕事を担当するなどマルチプレーヤー化すれば、業務の全体像や流れを理解することができます。特定の従業員に知見が偏ることなく、誰もが職場の業務についての知見を持てるようになります。

サービスの品質が一定になる

3つ目のメリットは、サービスの品質が一定になる、ということです。

業務を標準化すると、生み出される商品やサービスなどの成果物が一定の品質となります。誰かが行うと10個の製品を作成するけれど、別の誰かは違うやり方をしてしまい5個しか作成されない、といった状態ではなく、基本のやり方で常に8個の製品を作成する、という状態に保つことができます。

属人化した状況では、10個の状況が妥当なのか、5個の状況が妥当なのかがわかりませんが、複数人で業務に関わりやり方を分析すると、平均して8個の製品を作成することが妥当だとつかめます。サービスの品質が一定になり、目標管理などがしやすくなります。

業務の属人化の具体的な解消方法

業務が属人化してしまっている状況は、どうすれば解消できるのでしょうか。
3つの方法をご紹介します。

  • 業務のマニュアル化
  • 権限を分散させる
  • ナレッジマネジメントシステムを活用する

いずれの方法も、一見大変そうに見えますが少しずつ取り組むことができる方法です。取り組むべき順にご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

【解消方法1】業務のマニュアル化

属人化を解消するには、業務のマニュアル化をまず行いましょう。

マニュアルとは、業務の目的や全体像、詳しい手順やコツ、トラブルの対処方法や過去の事例など、業務についての情報を集中させたものです。文字だけのマニュアルから、図や表、イラストや写真を用いたもの、動画を用いた具体的なものまで、業務の特性に合わせて作成し、読む人がパッと内容をつかめるようにまとめます。

マニュアルがあれば、新しく来た社員もすぐ業務を行うことができるほど、短期間で的確に仕事を理解することが可能です。改善点やよりよいノウハウ、変更点があればマニュアルに記載し、定期的に内容を見直していくと、誰かにだけノウハウが偏っていく属人化が起きなくなります。

また、マニュアルによって基本の手順やルールが定まるので、属人的なオリジナルルールが発生しにくくなります。自分の地位を守りたい、やり方を守りたいといった従業員がそもそも生まれないようになります。専門性が高い業務をマニュアル化するのは難しいと感じがちですが、難しいからこそ、実現すると共有するメンバー全員の専門性が上がることになり、大きな業績向上になり得ます。

全ての業務をマニュアル化するのが望ましいですが、まずは1つずつマニュアル化するところから始めてみましょう。

【解消方法2】権限を分散させる

2番目の属人化解消方法は、権限を分散させることです。

属人化による不正は、ある特定の従業員が業務についての権限を一人で握ることで起こります。権限を分散させるために、職務分掌で責任の範囲をきちんと定め、一人で取引などを完結できない体制を作ることが大切です。

また、それぞれの従業員が一定期間不在の状態を作ることで、不在の期間に別の担当者を置くことで業務の相互理解が進み、目を変えて業務を見直すことで不正を発見することも可能となります。

例えば、5営業日などのまとまった休暇を半期に1度はとるルールを作り、自分の休暇期間中の担当者を決めておきます。その人に仕事を引継ぐことで、自分の仕事を他の人に把握してもらう体制にします。
このような体制が不正の抑止力にもなります。

いろいろな人が担当者になると、さらに業務の理解者が増えて理想的ですが、まずは権限を分散させる、交代要員となれるサブ担当者を一人決めるといったところからスタートするとよいでしょう。

【解消方法3】ナレッジマネジメントシステムを活用

3番目の属人化解消方法は、ナレッジマネジメントシステムを活用することです。

ナレッジマネジメントシステムとは、従業員が持つ情報や知見を組織で共有し、有効活用して企業経営に役立てるためのツールのことです。

近年はリモートワークの普及や働き方改革により、さまざまなツールが開発されています。例えば、マニュアル作成ツール、文書管理システム、社内SNS、オンラインストレージ、グループウェア、エンタープライズサーチといったツールがあります。

どのツールも、情報を蓄積し検索できる機能を持っていますが、マニュアルを作成・共有するシステムであるマニュアル作成ツールであれば、マニュアルを整備すると同時に業務の知見やコツを従業員間で共有できるので、属人化解消方法の1番目もクリアすることができます。

まとめ

業務の属人化とは、業務が特定の人しかわからない状態になってしまうことをいいます。頼りになる先輩有能な部下、こういった人の仕事が他の人にわからない状況になると、知らず知らずのうちに属人化が進んでいる可能性があります。

属人化が進むと、業務効率が低下し、サービスの品質が安定せず、改善されにくくなります。さらには特定の従業員がトラブルを抱え込み、会社に悪影響を及ぼすリスクも潜んでいます。

属人化の原因は主に3つあります。

  • マニュアルが整備されていない
  • 専門性が高い業務で、人的リソースも少ない
  • 従業員が自分の地位を守りたい

属人化を解消することで、業務が効率化できるようになり、業務の知見が広く職場で蓄積されるようになり、サービスの品質が安定していきます。そこで、解消する方法を3つご紹介しました。

  • 業務のマニュアル化
  • 権限を分散させる
  • ナレッジマネジメントシステムを活用する

属人化は、管理者から見えにくい傾向があります。従業員の声をよく聞いて、今どんな状況になっているかをつかまないと、属人化が進んでいるかわかりにくいものです。
マニュアルを整備し、ツールやシステムを活用することで、そもそも属人化が起きない体制にしていくことをおすすめします。

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