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マニュアル定着化に役立つチェックリストとは?メリット・デメリットと作成方法を解説

2021/12/22

あなたは、チェックリストを目にしたことはありますか?
「はい」「いいえ」で回答する問診票や、お店で従業員が使用する清掃チェック表などが身近なものでしょうか。
チェックリストは、大事な手続きを漏らさず実行するのに役立つ、簡易かつ有効な手段として、さまざまな業界で使用されています。

今回は、この便利なチェックリストに注目し、メリットやデメリット、チェックリストの作成方法やコツなどを詳しく解説します。チェックリストはいわば「マニュアルの要約版」であり、チェックリストを使いながら、不明なことが出てきたらマニュアルに戻る、といったマニュアル活用が定着する効果も期待できます。

これから業務でチェックリストやマニュアルを作成しようとしている人や、作ったけれどもあまり活用されていないとお悩みの人にも読んでいただき、参考になれば幸いです。

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マニュアルを定着させるチェックリストとは

チェックリストとは、業務の中で、特に重要であったり、抜け漏れのないよう注意が必要であったりする項目を、一枚の表にまとめたものです。

職場でチェックリストに沿って業務を行うことが習慣化されると、確認したいことや不安なことがあればマニュアルに立ち戻る習慣にもつながり、より業務品質が高いレベルで安定します。

マニュアルとの違いや、チェックリストを使うメリットやデメリットについて、ご紹介します。

マニュアルとチェックリストの違い

マニュアルとチェックリストの違いはどのようなものでしょうか。

マニュアルは、業務の全体像が把握できるものです。業務の概要、流れ、手順などが記載され、マニュアルを読めば誰もが一通りの仕事を行えるようになります。マニュアルで業務を理解し、遂行することにより組織の目標を達成するのが、マニュアルの目的です。

一方、チェックリストは、マニュアルの一部分でもあり、一つの業務について詳しい手順を示すことで、遂行状況を把握できるものです。必要な確認項目が正しい順序で記載され、チェックマークや記録を書く箇所があるので、誰もが抜け漏れのない作業を行えるようになります。チェックリストによって、間違えやすい箇所や重大なミスにつながる箇所を無事乗り越え、作業の品質を保つのが、チェックリストの目的です。

マニュアルはボリュームが大きく、本のようにページ数が多くなります。チェックリストは紙1~2枚に収まるボリュームで、簡潔に書かれるものです。

チェックリストを使うメリット

次に、チェックリストを使うメリットを見ていきましょう。

チェックリストを使うと、特に注意を要する業務において、次の4つのメリットを得ることができます。

  1. ミス(抜け漏れ)を防ぐ
  2. 業務の「見える化」ができる
  3. 業務の効率化を図れる
  4. 引き継ぎが楽になる

あらかじめ準備すべきものや順番を守るべきものを、チェックリストに沿って正しい手順でできるので、仕事のミスが減ります。これが一番のメリットです。

また、チェックリストを作成する過程で業務を見直すことができます。作業内容の「見える化」ができ、従業員の共通認識がどうなっているのかがわかります。古い作業や無駄な作業などを省くきっかけになります。

チェックリストの形で重要なことをピックアップして、異動や退職時の引き継ぎに活用することもできます。

チェックリストを使うデメリット

チェックリストを使うデメリットはどのようなものでしょうか。

  • チェックリストが形骸化する
  • 目的と手段が入れ替わってしまう
  • 突発的な出来事に対応できない

チェックリストを使用しているうちに、内容に変更が出てくる場合があります。その場合、すぐにチェックリストを修正しないと、修正があったことを知らない人にとっては「間違っているチェックリスト」となり、だんだん使わなくなってしまいます。

チェックリストの項目があまりに多すぎると、チェックリストの項目を済ませることに集中してしまう人が出てくる可能性があります。そうすると、肝心な作業の仕上がりをよく確認しない、チェックリストにない突発的な出来事に対応できない、などのおそれも出てきます。

チェックリストは便利なものですが、作り方や使い方に注意が必要です。簡潔にまとめること、内容を最新のものにしておくこと、作業後の仕事の品質が重要であると周知することなどを徹底した上で、項目一つひとつを読み上げチェックマークするような使い方が大切です。

マニュアルを定着させるチェックリスト作成の事前準備

チェックリストは業務のエッセンスを要約したものですから、不明な点があればマニュアルを読むことも定着化していく効果があります。
ここからは、マニュアル定着化につながる、しっかりしたチェックリストを作成する手順を詳しくご紹介します。

まずは、チェックリスト作成の事前準備についてです。作成に着手する前に、ぜひ読んでみてください。

目的を明確化する

チェックリストを作成する目的を明確化しましょう。

チェックリストは、一つの業務について作成するものなので、目的は何となく「〇〇作業の完了」だと思いがちです。しかし、それではあいまいで、各項目の書き方がバラバラになってしまいます。

「何のために・いつ・どこで・誰が・どうやって」を埋めるように目的を明らかにします。チェックリストは間違いや抜け漏れなど、ミスを防いで品質を保つ存在ですので、ミス防止を意識した目的とします。

例えば、「お客様へ送付する資料の封入作業」についてチェックリストを作るとしましょう。この場合は「お客様に資料を送るために、資料の発送前に、〇〇部の担当者が資料を過不足なく封入する作業」といった内容が目的となります。これが明確になると、「資料を作成する作業」や「封筒の送付手続き」などは、このチェックリストの範囲外となることがわかりますし、担当者の動作についての内容だとはっきりします。

使用者と利用シーンを選定する

チェックリストの使用者と利用するシーンを選定しましょう。

どんな人が使うのかによって、専門用語をそのまま使うか説明を付けるかなど、書きぶりが変わるからです。また、利用するシーンが途中で変わったり何箇所かにまたがったりするようであれば、わかりやすいようにチェックリストを別にすることも考える必要があります。

例えば、社内での作業とお客様訪問先での作業、本社での作業と工場での作業などのように利用場面が変わるのなら、それぞれの場所で1つのチェックリストを作成しましょう。

フォーマット(デザイン)を決める

フォーマット(デザイン)を決めましょう。

チェックリストは、リスト形式表形式が一般的です。リスト形式は、チェックマークをつけて実行済みであることを記録するもの、チェックが1回で終わるようなものに使います。
表形式は、チェックマーク以外のデータや記述を、ある一定期間で定点観測し記録するものに使うとよいでしょう。

例えば、次のように考えてみましょう。

  • 事前準備・・・リスト形式
  • 点検・・・表形式
  • 記録や調査・・・表形式
  • 評価や診断・・・リスト形式

運用方法を決める

チェックリストの運用方法を決めましょう。

運用方法とは、作業後に誰がチェックリストを再鑑するのか、もしチェックマークが漏れていたり埋まっていない項目があったりしたらどう対応するのか、などの「チェックリストを活用していくためのルール」のことです。単に作業の備忘のためだけにチェックリストを使用するのではなく、もし異常があればどう処理するのかまで決めておくと、チェックリストは業務品質を上げていくツールとなります。

チェックリストの作成から使用、使用後の再鑑まで、一連の運用方法をきちんと定めることができると、チェックリストの業務の参照元であるマニュアルを導入し、定着させることもスムーズにできます。

マニュアルを定着させるチェックリスト作成手順

チェックリスト作成の事前準備が完了したら、次はいよいよチェックリスト作成に入りましょう。わかりやすいよう、手順を4段階でご紹介します。では見ていきましょう。

【手順1】カテゴリで整理する

作業をカテゴリで整理します。

チェックリスト作成の目的に従い、対象となる作業を洗い出し、カテゴリごとに分類します。
その後、順序を時系列に並べたり、似ている項目は一本化したりして、整理しましょう。

例えば、お客様に説明すべき重要事項についてのチェックリストであれば、「説明内容」「補足事項や注意点」「その他」といったように、おおまかなカテゴリを挙げて、そこに入れたい項目を分類していきます。

【手順2】時系列に作業をピックアップする

時系列になるように、作業をピックアップします。

チェックリストは、じっくり読む読み物ではなく、作業をしながらサッと見られるよう、確認事項をピックアップしたものです。上から順に目を通せるように、入れるべき作業項目をピックアップし時系列に並べましょう。

時には、同じタイミングでの項目が重なるかもしれません。その場合は、1-1、1-2のように枝番号を振った上で、具体的な作業方法や注意すべき点、作業完了後の確認事項、作業の所要時間などの要素を考えながら、チェックリストを使う人にとってわかりやすいような順序にします。

<注意点>
作業の順番が少し前後するだけでも、正確な作業ができないおそれがあります。書いた後は、業務内容を十分に理解しているベテラン従業員に見てもらいましょう。

【手順3】重要な箇所は強調する

重要な箇所は強調します。

チェックリストに掲載する内容は、すべて重要といっても過言ではないのですが、その中でも間違いが許されない箇所については強調しましょう。文字を太字にしたり、文字色や大きさを変えたりします。アンダーラインは、チェックリストの罫線に重なりがちなので、罫線や枠を入れたい場合はやめておきます。

例えば、次のような箇所は、強調するとよいでしょう。

  • ミスした場合のリスクが大きい箇所
  • 過去にミスが発生した箇所
  • 文章化すると目立たなくなるが、よく読んでほしい箇所

<注意点>
強調箇所を増やしすぎると、それはもはや強調ではなくなります。強調した文字が、全体の文字数の1、2割程度の範囲に収まるとちょうどよいバランスです。

【手順4】定期的に更新する

チェックリスト作成後は、定期的に更新します。

チェックリストは、重要な確認箇所を記載し、ミス発生を防止している「最後の砦」のような存在です。ここに不要なものがあっては、最後の砦になり得ません。
内容の変更があればすぐチェックリストを修正し、チェックリスト使用者が誤解してしまう表現があればすぐ改善しましょう。使用者の声を聞いて、内容をブラッシュアップしていくことで、長く活用されるチェックリストになります。

業務に追われてチェックリストの更新をうっかり忘れることもありますので、定期的に見直すタイミングを設定しておきます。例えば、6月に作成したのであれば毎年6月・12月に見直したり、他の定期的な検査のタイミングに合わせたりするとよいでしょう。

定期更新の際にやるとよいことを挙げてみます。

  • チェックリストの活用実態を調べ、当初の想定と合っているかを確認する
  • 更新した日付、版数を余白に記録しておく
  • 保存場所や保存期間が妥当かを見直す
  • 試用運転期間を1週間程度設けて使い勝手を試してみる

マニュアルを定着させるチェックリスト作成の5つのコツ

最後に、チェックリストを作成する際のコツを5つご紹介します。この5つのコツを押さえると、使用者にとってさらに使いやすく、活用したくなるチェックリストを作ることができます。ぜひ参考にしてみてください。

項目を厳選する

チェックリストに記載する項目は厳選しましょう。

チェックリストを作っていると、あれもこれもと項目を追加したくなります。業務はどれも必要があって行うものではありますが、チェックリストに記載するのは、特に重要で、ミスすると影響が大きいものと心得て、厳選しましょう。全てのステップを記載する必要はありません。

誰もミスしない項目まで盛り込んでいると、チェックリストとしての存在意義が薄まり、形骸化してだんだん使われなくなってきます。そういった項目は、業務について網羅的に説明するマニュアルに記載すればよいのです。むしろ、チェックリストにあれこれ書き足したくなったら、それはマニュアル化するチャンスです。

文章は短く端的にする

文章は短く端的にしましょう。

長い文章や、意味が複数あるような表現にしてしまうと、チェックする内容をつかむだけで時間がかかってしまいます。また、一つの項目に複数のチェックポイントを盛り込んでしまうと、1つのポイントをクリアしてチェック済にしてしまうなど、あいまいなチェックの原因となります。

以下のことを心がけましょう。

  • 文章は短くする(1~2行が望ましい)
  • 端的な表現を用いる
  • 誰が読んでも同じ意味にとらえられる具体的な表現にする
  • 1つの項目に1つのチェックポイント

現場に即した内容にする

徹底して、現場に即した内容にしましょう。

「現場に即した」とは、チェックリストを使用する職場で実際に使う用語や表現で、その職場にとって必要な内容を書いている、という意味です。同じ社内でも、製造部門、検査管理部門、営業部門など、場所が変われば必要となる項目がガラリと変わります。

チェックリストを作る際は、ベースとなるツールは統一のものを使用したとしても、内容は共通のものとせず、徹底して「今現場で必要なこと」を記載しましょう。

チェックの判断基準を明確にする

チェックの判断基準を明確にしましょう。

判断基準がよくわからないと、使用者は何となく「チェック済」としてしまいます。せっかくのチェックリストが無駄なものになってしまいかねません。「何をどこまでやればチェック済とするのか」が一つひとつの項目で完結するようにします。

判断基準を明確にするには、以下のような工夫をしてみてください。

  • 数値で表せるものは数値にする
  • 選択肢に分かれるものは、どちらに当てはまるのかはっきりわかる選択肢にする
  • 「確認する」「理解する」といったあいまいな表現は避ける

ツールを使う

チェックリスト作成に適したツールを使いましょう。

一番簡単な方法は、MicrosoftのExcelやWordの、フォーマットやテンプレートを使用する方法です。入力サンプルがついているなど、チェックリストを作成したことのない方がイメージできるように工夫されています。

おすすめの方法は、マニュアル作成ツールを使用する方法です。チェックリストはマニュアルのエッセンスですので、チェックリストを作るといずれマニュアルも必要となる流れになります。ここを想定し、初めからチェックリストとマニュアルを同時に作れるマニュアル作成ツールを使用すると、全体で見ると手間を省くことができます。

特に、次のような特徴のあるマニュアル作成ツール「Knowledgesh@re」は、チェックリスト作成に向いているツールです。

  • チェックリストを簡単に作れる
  • マニュアルの中にチェックリストを組み込める
  • 紙でも、パソコンやタブレットなどの媒体でも使える

どんなツールかな?とご興味を持った方は、こちらからご覧ください。
KnowledgeSh@reのご紹介パンフレット (PDF:1,090KB)』

まとめ

今回は、業務で役立つチェックリストについて、メリットやデメリット、作り方を解説しました。

チェックリストとは、業務の全体像を記載するマニュアルの一部分であり、業務の中でも特に重要なポイントを抜粋し、チェックマークをつけながら作業を進められるものです。誰もがやりがちなミス、影響の大きなミスを防止し、業務の品質を保ち、改良していくメリットがあります。

ただし、作っただけではその効果が薄れてしまいます。作り方、使い方のコツを押さえないと、形骸化して誰も使わなくなってしまうデメリットもあります。

活用されるチェックリスト作成のためには、まずは事前準備として、目的や使用者、利用シーンを明らかにします。表形式・リスト形式などのデザインを選択し、チェック漏れは誰が確認するのかなどの運用方法を決めます。そして、次のような4段階で作りましょう。

  1. カテゴリで整理する
  2. 時系列に作業をピックアップする
  3. 重要な箇所は強調する
  4. 定期的に改善する

チェックリストを作成する際には、項目や表現を厳選する、チェックの判断基準を明確にする、ツールを使う、といったコツを押さえると、使用者にとって使いやすいチェックリストになります。

チェックリストがあることで重大なリスクの発生を防止し、業務の質を安定させることができます。まだ使っていない方はぜひ、この記事を参考に作成してみてください。

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